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俺はっ あなたを好きになりかけているのに…っ
stance reverse
3つのスタンスリバースが描かれたお話。
個人的にまりあげはは、攻めの立場が社会的弱者っぽいけれど、実はめちゃ勝者だった! な、意外性が大好きなのでとてもツボな1冊でした。
とくに好きだった作品は、やっぱり表題作の「スタンス・リバース」でしょうか。
自分とは真逆の軽そうなおっさんが新人でやって来た。
けれど接していくうちに、仕事がとてもやりやすい相手だと知り、飲みに行ったりするようになる。
そんなある日、攻めに押し付けられた残業を2人でこなしていると、ふいに攻めから好意を向けられる。
以来、妙に攻めを意識してしまう受け。
ストレートなのに。
また別日、職場の呑み会で受けは攻めの肩を借りてしまう事件が。
その後から、受けは攻めを前にすると、ぎくしゃくしてしまうように。
と、突然攻めから、今日で受けの隣の席に座るのは最後だと言われてしまい、、、?!!
オチでなにかあるんだろうなあと、ワクワクしたその結果がまさにスタンスリバース的オチで、スタンディングオベーションでした。
なんだろ、ちょっと違うけれどシンデレラストーリー?!! 的な?!!
夢のあるお話でした。
他、大正時代とかなのでしょうか??
大きな家の跡継ぎ息子と、その父の部下の子どもとの身分差再会ラブのお話と、
実は、才能ある画家が描けなくなり、名も無き絵画教室の講師のもとへ通っていたお話。
どちらも立場逆転のどこか切なく、どこかミルクキャンディのように優しい甘さがほのかに口の中へ残る。
そんな短編集でした!
初読み作家さんです。
いつも利用している電子書籍サイトで分冊版の第1話が無料だったのが読んだきっかけでした。
表紙の絵が好みだったのですが、中も綺麗で見やすい絵でした。
全部で3つの作品が収録されていますが、リーマン物、アーティスト物、そして少し昔の時代物と色々楽しめました。
主人公達は10代後半~30代位で、若者の内でくすぶるような熱めの恋愛と大人の落ち着いた恋愛モノを読めたかなと思います。
ストーリーも起承転結が割とはっきり分かるような展開で、予想していなかったことが起こったりして楽しめました。
ヘタレな所もあるのに決める時には男前な攻め様が好みでした。
テイストの異なる3編の収録。本作が作者様のデビュー作だそうです。
「スタンス・リバース」「スタンス・リバース・アフター」
リーマン同士のオフィスもの。
はじめは苦手意識のあった「デキる年上部下」と段々打ち解けていって…するとその部下・宇津木が思わせぶりな態度を取るので、否応もなく意識し始める教育係の西村。
…とノンケが男性との恋に踏み出す話ですが、萌え所はノンケながら宇津木との関係にブレない西村の姿。そして宇津木の正体⁈
若い方からすればおじさんBLかもしれません。地雷の方は注意。
「春告げ鳥」前編・後編
舞台は明治時代。
実業家・清水家の長男・勝馬と、その清水家の支援を受けて下宿している佐野律吾の格差愛、身分差の恋。
はじめは傲慢な勝馬ですが、律吾への愛を貫く展開は一種の悲恋萌えとも言えます。
「あなたのために」
絵画教室の生徒・牧野と、教室の先生で少しフェミニン系の藤崎。
子供が多い絵画教室に通ってくる3才年上の大人の男・牧野に少し戸惑う藤崎だが、絵を描く時のまなざしに惹かれるものを感じ、意識するようになる…
牧野が何者なのか、藤崎がどう応えるのか、が見所だと思われます。短編として少し駆け足気味ですが、大人同士のしっとり系の物語だと思いました。
3作ともエロは控えめながらも「恋心」描写が楽しめました。
カバー下には各話の登場人物の説明がありますのでお忘れなく。
腐心をビンビンにくすぐられるキャラ設定を組み込まれた3編が収録されています。色々と模索されたのだろうなぁと端々から感じ取ることができました。
私は電子書籍を利用したことがないのですが、最近電子系の雰囲気といいますか、そういう風合いには特徴があるように思います。この作品もそうでして、甘いような少しライトなボーイズラブかなと。レーベルによって作風も変わると理解しておりますから、野萩先生もそれに合わせておいでなのでしょうか。ファーストコミックの初々しさも相まってより爽やかな印象を受けました。
[スタンス・リバース]
サラリーマンごちそうさまです。
宇津木さんが素敵にスタイリッシュすぎまして実はオチがなんとなく読めてしまっていました。イケおじさん大好物なので、手をこすりあわせニヤついて拝読していたのは間違いございません。
はじめは、これは宇津木さんが受けかしら?(当方の願望も混じっていますが、今から考えましたら表紙を見れば一目瞭然ですよね…(笑))なんて思っていたのですが、徐々にこの熱血気味な西村くんが可愛いことになっていって、展開に納得しておりました。
あまり宇津木さんがグイグイくるタイプではなさそうでしたから、この二人はきちんと発展するのだろうかと心配していたのも描き下ろしで見事フッ飛びました。宇津木さんの発言ひとつひとつが素敵にエロティック。さすがイケおじさん、最後までイケおじさんでした…絶倫の予感がいたします。西村くんとぜひともお幸せに!
[春告げ鳥]
ウグイスかぁ、確かにあの声を聞くと春を感じますね。
新しい季節、新しいときの始まり、新しいなにかと青々しい世界を。
具体的な時代がどこかを指定されてはおられませんが、お家のことや和服と洋服が混在している様子を窺いますと、おそらくは明治時代後半のお話かなと思いました。
なにかしらの良い家柄、という要素に必ずついて回る『結婚』の話がこの作品でもキーとなります。律吾と勝馬のキャラクター性やふんどし要素、若さゆえのガツガツとした性欲の現れなどは素敵だったのですが、どうしても時代背景と勝馬の家柄から導かれる結婚への道筋が読み慣れた展開に見えてしまったため、良いお話なのだけれども自分にとってはピンとキませんでした。
最後の抱き合う1ページは、非常に印象的です。
[あなたのために]
この作品読了後、3作品とも格差というか身分差? 攻めと受けになにかしらの差があるのだなと認識いたしました。野萩先生の萌えポイントはそこでしょうか。たしかに良いですよね、格差……! 抗いたい、抗えない、飛び越えたい、飛び越えられない、そういうジレンマをひしひしと感じられますもの。
で、こちらでは葛藤の要素が大きいお話でした。絵だけではないと思いますが、自分がなにかを形づくろうとするときってメンタル面が非常に大きく関わってきますよね。揺らいでいるときや心が折れているときは、大抵どんなことも進みません。造形だけでなく、学生ならば宿題であったり社会人ならば報告書も。仕事らしい仕事が進まなくなる。
でもそういうときに自分がいいと思えるものに触れるだけで、世界はパッと華やぎます。ですから、牧野さんの気持ちは誰しもが理解できるところでしょう。藤崎さんの劣等感と浅ましさに潰されそうになる感覚もまた、そうです。
読み手がふっと同化するような作品だと思いました。私は3編のなかではこちらが一番好きかなぁ。
それぞれエロも含まれていましたし、お話やキャラクタたちも創られていると思います。でも、やや薄味かな……もう少しなにかが……というのと展開がどうしても読めてしまったこともあり、評価は萌といたしました。
ですがキラッと光る粒たちでしたので、この次の単行本に期待しております。
可愛い後輩を厳しく鍛えていく。
そんな夢と希望を打ち砕く、年上で、更に要領も良くトントン拍子で仕事を覚えていく宇津木にすっかり苦手意識が先行してしまう西村。
ぐいぐいとプライベートに入り込まない大人の男同士らしい距離の縮め方が清潔感に溢れ爽やかさが強調されます。
宇津木のたぶんそう取られることはないだろうとタカをくくった好意を示す言い回しに、段々平静を装えない程動揺していく西村。
ノリも勢いもなく、言い訳すら出来ない気持ちだけのやり取りがぎくしゃくと進んでいく。
大人の恋にむず痒くなります。
「春告げ鳥」
恋というには乱暴的な2人の真っ直ぐな気持ちだけがゆっくりと熟成されていく。
多少2人を知るエピソードが少なくも感じられますが、美しい恋の欠片を抱えて寄り添うべき道を間違えずに辿り着いた。
選んだ選択の先に幸せを願ってしまうお話しです。
「あなたのために」
絵画教室の先生と年上の生徒。
藤崎のその先へは行けないコンプレックスと、その場所にいる牧野。
ゆっくりと打ち解けていた2人が、互いの描く世界に惹かれるからこそぶつかってしまう感情の激しさと怖さに驚いてしまいます。
その分嵐のあとの静けさのような告白に、心温まってしまうお話しでした。
私が探す限りだと、この本が野萩さんにとって初めての商業本かと思います。
それでこの質のものを出されるとは、すごく驚きました。
絵が自分好みだったので、表紙絵だけでの衝動買いしてしまったのですが、全く後悔はありませんでした。むしろ、良い作家さんを見つけられ、十分に萌えも補給でき、読後の満足感は並より頭ひとつ飛び出るのではないでしょうか。
以下、ネタバレは含まないようにしつつ、収録されてる三篇の感想をば。
スタンス・リバース
表題作らしく、表紙に出ている2人が主役のお話です。
西村(受)のもとに、年上の宇津木(攻)が部下として来て、そこで徐々に二人の距離が近づいていくのところを描いています。
表紙と帯の説明から、宇津木がすごく軽くてチャラいやつに見えるのですが、話を読み進めると意外とそうでもないかな、とは思いました。
最後の展開に少し無理があるのではないかなと思いましたが、あまり気にせず読むことができました。
リーマンもので、30代男性同士のラブが好きな人なら、読んで損はない作品化と思います。西村さん、かわいいです。ごちそうさまですw
春告げ鳥
前篇と後篇に分かれており、前篇が受である律吾を主役に、後篇では攻である勝馬を主体に話がすすめられます。前篇は律吾と勝馬の関係がどんどんと変わっていくところを描き、後篇では同性間恋愛の苦悩と家のしがらみにより二人の距離が開くお話になります。
律吾は勝馬の家に居候しているので身分で言うと勝馬の方が上になります。身分差恋愛というと家のしがらみによる苦しくてドロドロしたものを思い浮かべることもあるかもしれませんが、この話はそこまで深くはありません。あっさりしており、とても読みやすいうえに、登場人物に感情移入できるストーリーではないかと思います。
ただ、あっさりしているという点で、明治時代を背景としているにしてもあまり時代を感じません。明治時代でなくてもこの話は再現できるのではないか、こういうことが本当に明治時代にあり得たのか、などの疑問が目につく方も読者の中にはいるかもしれません。ただ、あまり気にせずに読んだ方がこの話はおもしろいと思います。
二人の距離が近づき、しかしさまざま足かせにより距離が開いていくところを見るのはとても切ないですが、その切なさの部分を微塵も落とさずに、とても読みやすい物語へと仕立てているところがこの作品の魅力化と思います。
あなたのために
とある絵画教室での、先生である藤崎(受)と生徒である牧野(攻)の少し切ないラブストーリーです。先生と生徒というと歳の差ものかと思われる方もいるかと思いますが、二人はそこまで歳は離れていません。前の二つの話より軽いテイストの話です。
藤崎の絵を愛する心に惹かれる牧野と、牧野の絵を通して彼の内面に惹かれる藤崎の二人ですが、ちょっとした誤解からすれちがってしまいます。ただ、それでも二人が互いを思う気持ちは変わらず、最後は落ち着くところに落ち着きます。
短編として、とても質の高い物になっているのではないかと思います。
総評
3篇のすべてに共通して、思い合う二人の距離の近づきと、そこに生まれるすれちがいの苦悩を描いています。本の帯では簡単に「ドラマチックなストーリー」「切ない」と書かれていますが、端的に表すとまさにそうです。ただ、その言葉だけでは計れないものがあります。是非全編通して読んでもらい、この1冊に込められた「切なさ」とはどのようなものなのかを肌で感じ取ってほしいです。
ここまで淡々と書評みたいなものを書きましたが、すごく個人的な感想を言いますと……、
絵がすごく良い! 成人男性のカッコよさや年を取った男性のにじみ出る渋さ、年を取るにつれて変わっていく男としての魅了とでも言いましょうか。そういったものがダイレクトに伝わってきます。もう、この一冊だけでいろんなものを補給できて、本当にごちそうさまですww
中年とまではいかない、だけど青年というには少し擦れている、そんな男性の持つ色気やかっこよさを是非体感してください。
いろんな人にお勧めしたい、良作ばかりの1冊でした。萩野さんの今後の活躍にも期待大です!!