雨降りvega

amefuri vega

雨降りvega
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神200
  • 萌×267
  • 萌35
  • 中立21
  • しゅみじゃない26

--

レビュー数
43
得点
1394
評価数
349
平均
4.1 / 5
神率
57.3%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784344830080

あらすじ

もう一生誰にも心を開かないし恋もしない……傷つき頑なだった文人を優しく解いてくれた彼は絶対に好きになってはいけない人だった。

高校生の文人が唯一心を開くのはネットで知り合った年上の男性「アルタイル」。趣味の天体観測を通じて穏やかにメールを交わすつきあいだ。卒業式の後、友人の言葉に酷く傷ついた文人は駆けつけたアルタイルと初めて会いその人柄に惹かれるが……

表題作雨降りvega

29歳~,ネットで知り合った年上の男性
高校3年生~,ゲイであることを隠す学生

その他の収録作品

  • 七年目の雨上がり
  • あとがき
  • 恋の末路

レビュー投稿数43

読後、じわじわと更に良くなった作品

最初に読み終わった時には、好きな話だなぁ「萌×2」位と思った。
でも……
何日か経っても気持ちが離れず、
気がつくと彼らのことを想像している自分に苦笑し
再読してみて、もっと気持ちが引き寄せられた。
その後も折りに触れ浮かんで来くる二人……。

         ☆   ☆

中学の時に自分の性癖に気がつき、周囲にそれを隠している高校生の文人。
そんな彼が悩みを打ち明けられるのは、ネットのゲイサイトで知り合い
星という同じ趣味を分かち合う年上の男性”altir”。

卒業を機に、思い切って友人に自身の性癖を打ち明けたが
快く受け入れてもらったと思ったのは上辺だけで、蔭で語られる事を聞いて絶望し
会った事もない本名も知らないaltirに、「死にたい」というメールを送ってしまう。

傷ついた自分の元に駆けつけてきてくれたアルタイルの優しさに、
惹かれずにいられない文人だが、バイのアルタイルには彼女がいて
それを大切にしたいと本名も知らぬままに、二人は別れることに……。


タイトルになっているvegaとは、七夕の織り姫のことで、
七夕が誕生日の文人が、自身につけたHNだ。
それは最初から、アルタイル(彦星)を意識してのことだっただろう。

忘れようとしていた文人だったが、思いがけない再会が待っていた……
再会に関する予想は二つあった。
その二つのどちらかではなく、結果両方だったのだがある意味予測のつく展開、
物語が力を持って読ませるのは、そこからの二人の苦しい道のり。

この二人は、物語の最初から相思相愛なのだ。
そしてお互いにそれを知っていながら、お互いの立場に踏みとどまる二人。
そんなストイックで理性的な二人のありように、胸が絞られ涙が出そうになる。


まるで星のように。
とんでもない熱を孕みながら、青く冷たく見えるそんな二人。
理性で断ち切ろうと思いながら、でも断ち切れず、
長い時間をかけてようやく手を取り合った二人の行く末は
それまでの経緯を考えると苦しいこともあるだろう。
でも、どうやってもお互いじゃなくてはダメだった二人の未来に
幸多かれと祈らずにはいられない。

評価は、神。
今まで読んだ凪良さんの作品で、一番好きです。

37

何度も読み返したい作品

もう一生誰にも心を開かないし恋もしない……傷つき頑なだった文人を優しく解いてくれた彼は絶対に好きになってはいけない人だった。


発売前から、このあらすじを読んでハラハラしていました。
絶対に好きになってはいけない人?
近親?親友の恋人?既婚者?
既婚者だけはどうか勘弁して下さい!と半べそで祈りを捧げていました(笑)

そして結果、地雷回避できました。
思いっきりネタバレですが、絶対好きになってはいけない相手、お姉さんの恋人なのです。

裕福な家庭で愛されて育ちながらも、自分のセクシャリティに悩み、それを誰にも打ち明けることができずにいる主人公文人は、ネットの掲示板でaltairという年上の男性に出会います。

この男性こそがまさに、後に再開するお姉さんの恋人なんです。


もうこの後の経緯書きたくて堪らないのですが、読み進める楽しみを奪ってしまうのも忍びないので我慢します…(涙)

ただ、本当に是非多くの人に読んで頂きたい一冊です
ハンカチ用意して下さいね〜!

28

赤穂

かたがんさんも既婚者地雷なんですね。私も同じです^^
同じ地雷持ちとしてこちらのレビューがとても参考になりました。

とてもとても好き

凪良さんは個人的に外れのない作家さまなのですが、中でもこれはとても好きです。

内容は皆さま書いてくださっているので感想を。

とにかく主要キャラの二人にとても心惹かれました。

高校生で、自分の性癖に悩む文人くん。色々なことを経験してきた大人なら大丈夫と思えることも、まだ高校生の彼には明けない夜のように感じて。心に大きな悩みを抱えながら、それでもまっすぐで素直なとても清潔感のあるキャラで、新開さんのように「大丈夫だよ」と言って抱きしめてあげたい気持ちになりました。

対して攻めの新開さん。彼も誠実な、大人な男性だなと思いました。男性も恋愛対象になるのに「結婚したいから」「子どもが欲しいから」と女性を選ぶ人って個人的に好きではないのですが、文人くんの姉である夏那を大事にし、誠実であろうとした態度があったからか、彼のことを批判的に見ることはできませんでした。バイであるがゆえに、女性も愛することができるために、世間体を考え結婚したいという新開さんの気持ちもとても良く理解できました。自分自身が大人の狡さを知っているからかもしれません。

二人が出会ったときにはすでに新開さんには婚約者がいて、お互いに納得してもう会わないと決めた二人。それがいろいろな偶然が重なり縁が切れることのなかった二人。
メールだけで繋がっていた3年間の間に培われたお互いへの気持ちが、芽を出す前に摘み取らなければならなかった二人の気持ちを思うと涙が出て止まりませんでした。

帯にもある、「いつか、ふたりで満天の星空を見たい」のメモを見つけたとき、不覚にも文人くんと一緒に号泣しました。

星が好きで、それが二人を繋ぐきっかけになったのに、曇っていたり雨降りだったりで一緒に星空を見ることができなかった二人が、最後に「一緒に行ってみたい」と願っていた地で満天の星空を見ることができて本当に良かったなと思いました。表紙の、傘を外し、星が流れている中で二人が微笑んでいる絵がとても合っていて素敵でした。

7年もかかってやっと一緒になれた二人に幸あれと願っています。

23

胸にせまる恋の話

ゲイであることに悩む高3の白石 文人は 『vega』と名乗って
掲示板で知り合った『altair』と名乗るバイの男性とメールのやりとりをしている。
好きな星の話、セクシャリティの悩み。
ある日友人にカムアウトした文人は、相手の言動に傷つき
「死にたい」とメールを送る。
会いに来てくれた『altair』に、はっきり自覚しないものの、恋心をいだく。
 しかし『altair』こと新開 巧は姉の恋人だった----。

あらあすじはこんなのなんです。
「姉の恋人、婚約者ってありがち」?
ちがいます、
これありがちな話と違います。劇的なエピソードはないのだけど、
真正面から恋が描かれている。
主人公が号泣するシーンでは一緒に泣けました。

キャラクターそれぞれに個性があって思いも、事情もあって。
作中でそれぞれに生きている。
誰が悪いというのではないのに
うまくいかないもどかしさ。

キャラメル、万年筆そしてプラネタリウムといった舞台、小道具が
印象深く使われています。
あと、大学生になった文人を好きになる神崎が可哀相な奴で。
救いが用意されていてホント良かった。

2人が想いを告げ合うのは会ってもう数年、文人には大学最後の冬休みです。

読んでいる最中、胸の痛む恋を文人と一緒に感じているようでした。
良かった、結ばれて良かった。やっと2人は始まる。

22

綺麗な文章なもんだから、切なさ2割増し

 BLって、どこかありえない設定が入ってて、「ありえないーあはは」と泣いたり笑ったりしながら、その設定も丸ごと楽しめてしまうところがあるんだけど、凪良さんの作品は、いつもリアル設定で、すごい引き込まれる。実際、文人のような男の子が町のどこかにいても全然不思議じゃないなあと思ったから。

 ゲイであることを自覚し、そのことに苦しむ文人がネットで知り合った男性アルタイルに思いを寄せる。でもアルタイルは文人の思いに応えようとしない。アルタイルのほうも、文人のことを憎からず思っているというのに・・・ここがまず切ない。
「君と出会わなければよかった。もしくはもっと早く出会っていればよかった」このアルタイルのセリフ、やられたー。なんでこんなにアルタイルのガードが固いのかというと、アルタイルさんには女の婚約者がいて、その女はなんと文人の姉ちゃん。

 ありえないー、でも笑えないー・・・

 お互いに忘れなきゃ、距離を取らなきゃ、とする2人だけど、どうしても気になって、好きで好きでたまらなくて、でもどうしようもなくて、もがき苦しむ様子が切なくて仕方なかった。いいかげん、アルタイルを忘れて前に進まなきゃいけないのに、と思う文人だけど、心はどうしてもアルタイルを忘れられない。新しい恋なんてできない、と思う文人が切なくて痛くてどうしようもなかった。

 ラストは、きちんとハッピーエンド。うっとりできた。恋は、やはり素敵です。いい作品でした。神評価です。

17

せつない二人

知り合ったのがネットの掲示板というのが、いかにも現代風なお話。

主人公の二人(攻め新開巧・受け白石文人)が、
真面目なだけに相手のことを想い過ぎてもどかしい。
攻めがバイというだけで、その人には女と言う選択肢が増えてしまう悲しさ。
よりによって、その相手が自分の姉だったなんて、切ないにもほどがある。
その姉が自分にとって良い姉であり、良い家族だからこそ
自分のことより姉の幸せを優先して考えようとする文人。
心の奥にしまってある本当の気持ちを、
時々隠しきれずにボロが出てしまうのが人間らしいところ。
心底好きになった相手を、忘れることなんて簡単にはできないことなのに
追い込まれた中でも、一生懸命前に進もうとして
だけど、ほんのちょっとの心の隙間にほんのちょっとのきっかけで
大好きなあの人が入ってくると、今まで抑えてきた気持ちを捨ててでも
衝動的に動いてしまう文人の気持ちが、すごく共感できて好きでした。

どちらかというと、文人の視線で書かれているので
文人の様々な気持ちの動きや葛藤はわかりやすいですが
巧の気持ちについては、事後報告的になっているので
バイである拓の大人としての心の葛藤などももっと覗いてみたかったかな。
巧は誠実過ぎるがゆえに、衝動的にとか本能で・・・とかが似合わない人。
お姉さんとのことも文人とのことも、どちらも真剣でどちらも本当の気持ちだったんだと思う。

文人が分かれる前に一度だけ拓に抱かれますが、その時の描写がすごくよくて
ちょっと感動してしまいました。
生々しさの中にも巧の愛があり、文人の何年分もの想いがあり
ただのSEXではなく、すごく情熱的な儀式のようにも感じられるものでした。
これで「さよなら」すると決めている文人が巧に抱かれながら想う気持ちが
せつなくて、涙なしでは読めませんでした。

北海道にいる巧に会いに行った文人が、
勘違いから今までずっと自分の心の中にしまっていた想いを吐き出すところ
切なくて涙が出るんだけど、なぜかスッキリしてしまいました。
何年もの間、苦しんできた本当の気持ちをやっとぶちまけられた文人。
読んでいる自分が我慢していたものをさらけ出したように、すっきりしました。
巧がまさか結婚していたとは・・と思いましたが
誠実な巧がそう簡単に自分の幸せだけを優先するとは思えない。
巧もまた文人と同じように、前に進めないでもがいた3年だったんですね。
何円もの月日が流れ、その間に実に様々な試練が二人の間にありましたが
とりあえずハッピーエンドで良かったです。

二人がその後どうなったか、すごく気になるところですが
まずは、ちょっとかわいそうな神崎に幸せになってもらわないと・・・
最後に「恋の末路」神崎の話が少しだけありますが
次回、神崎のスピンオフ期待しています。

16

人を想う気持ちは星みたいにキラキラしてるんだ

あらすじを見た瞬間、そんな悲しいに決まってる話、自分には無理だと思ったのですが、
今回アワードにノミネートがあり、評価も素晴らしいので読んでみました。

大学講師の新開と高校生の文人は、星が好きという趣味を通じてインターネットで出会い
匿名でのメールのやりとりから、あるきっかけで実際に会うようになります。
心惹かれあう二人ですが、新開には最初から婚約者がいて…。

二人が実際会うきっかけになった事件には胸が痛みましたが、
もうその時点で、すでにお互いが心を通わせていたことが分かります。
しかし、新開の婚約者が文人の姉だということが発覚し…。

一番伝えたいことは、一番口にしてはいけないことだということを
お互い分かっていて、その手に触れることも出来ずに
遠くからただ見つめるだけだなんて、
こんな哀しいことってあるんでしょうか。

正直、もっと他に方法があるんじゃないかと思う部分もなくはなかったし
新開に関しては、誠実さが臆病さに見えてしまう部分もありました。
ただ、相手が傷つかないよう、悲しい思いをしないよう、
お互いが細心の注意を払って行動しているのが手に取るように分かり、
その痛々しさと優しさに涙しました。

このお話は、二人の性格がとてもおだやかで、
自分の気持ちをぶつけたり、激昂したりすることがなく、
それぞれが一人で静かに涙をこぼすという印象です。

それが、二人の好きな星や夜空、紺の傘のイメージに合っていて、
心に沁み渡るような味わい深さがありました。
ラストに解き明かされるブルーの箱の秘密は感動的だったし、
altairとvegaという、秘密の暗号のようなHNもワクワクしました。

あて馬クンも良かったです。
人当たりが良く、文人のよき理解者と思わせて、
実は精神的に不安定な執着系キャラで、不気味な怖さがありました。
この彼の登場で、お話が新開と文人だけの閉ざされた空間にならずに、
第三者の視点から読むことが出来て、とても良かったと思います。

そして挿絵が素敵でした!
特にブルーの箱の、あのアイテムがああいう形になるということを
麻々原さんの丁寧な絵で見せてもらったので、大変分かりやすかったです。
そして読み終わった後に改めて表紙絵を見ると、
お話の内容を汲んだ、とても完成度の高いデザインだということが分かります。

愛しているからこそ、諦めることも出来るし、
離れた場所から、たとえ何年経っても、相手の幸せを願い続けることが出来るという、
愛情の本質のようなものを見せてもらえた作品だと思いました。

暗い夜空に瞬く星の輝きは、二人の相手を想う気持ちに似て、さりげなく儚く、それでもまっすぐに絶え間なく、静かに心を満たすものでした。
星空の下のラストシーンの素晴らしさと、
隠し玉のブルーの箱の秘密ネタで、チョット甘めですが神とします。
当て馬クンにも幸あれ!

15

凪良さんの作品で一番好きかも

ネットで知り合った年上の男性。
本名も知らず恋したその相手は、姉の婚約者だったというありがちな設定なのに、切なくて胸が絞られるようで読んでいてずっと苦しかった。
さすが凪良さん。
最初に出てくる七夕の織姫と彦星の話、二人が会うときはいつも雨、けして一緒には見れない満天の星空、プラネタリウム、キャラメル、万年筆、そして天球儀のストラップのからくり!いやーもう小さなモチーフの散りばめ方の巧さにやられっぱなしでした。
んでもって麻々原さんのイラストが見事に填まってる。
これ、麻々原さんでぜひともコミカライズしてくださらないかなあ・・・。

15

一気読み!

以前から本屋で目にすることがあり、ランキングを見てついに買ってみました。
後悔は全くありません!
久しぶりにドキドキ・はらはらしながらページをめくって気づいたら息つく間もなく一気読みしていました。

読了した今、一番印象に残っているのは、自分がゲイだということを言い出せない人の気持ちや、勇気を出して言ったことを友達に受け入れてもらえなかった時の表現です。
そこの文字追っている間ずっと心が痛んでいました。
こんな思いを抱えている人がきっと少なからずいるのかなと思うと、ただのBL作品で片付けてしまうには勿体無いと言える作品だと思います。

途中、暴力シーンがあるので苦手な方は注意です!
私もあまり暴力は得意ではないですが、話の上で必要だったと思えるので気にすることはありませんでしたが…。

ラストに向けては、人間の弱さや優しさが伝わってきて、登場人物それぞれの目線で見ると、みんながみんなすごくいいキャラクターすぎて苦しくなりました。

ぜひ、これは作品の世界にどっぷりつかって、一気に読んでいただきたいな、と思います!!

13

切ない純愛

キュンキュンとしました。知り合って七年目、そのうち三年はメールで話をした、一年はとても近い他人として過ごした、残りの三年は離れて暮らした。相手のことを何も知らないにもかかわらず、お互いに惹かれあう者同士。好きになってはいけないと分かっていながらじわじわと近づいていく距離、もどかしくて切なかった。つらくて途中涙ぐみながら読んじゃいました。悪人のいないお話だった。麻々原さんのイラストととてもぴったり合っていた。

13

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