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台湾の人気BL作家が贈る、FBIを舞台にした本格心理サスペンス!!解説編・第2巻!!
lost control
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
めちゃくちゃ萌えた!面白かった!!
二巻は一巻ラストからの続きで、二人のベッドシーンから始まる。事件メインの一巻とは打って変わって二人の恋愛模様がメインになっていて、怒涛の萌えの供給に悶絶する。
今までは見えそうで見えなかったハイエルの内面がガッツリ描かれていて、より一層魅力的に感じた。過去が語られ、外側からじっくり迫っていったハイエルは、とても鈍くて愚かで不安定でたまに子供っぽくて人間味に溢れ、幸せを願いたくなるキャラクター。重い切なさが加わり印象は変わったが、カッコ良さは変わらず。一巻での強引さがフリになっていて、内側の弱さ脆さが見えるたびに胸が締め付けられる。ここに萌えもきゅんもありまくって好きすぎる。
藍は悩みながらも前に進もうとする姿がとても良かったし、自分でしっかり答えを見つける芯の強さを見せてくれたのにも感動した。
FBIとしてのお仕事もしっかり。明らかに私情を持ち込む場面もあったが、それに対する同僚の対応が笑えたり温かい気持ちになれたりするものだったので、逆にあって良かったエピソードになっていた。
何があっても最後まで自分で決めたことを貫くハイエルと、過去を抱えたままのハイエルを丸ごと受け入れる藍のハピエン。幸せ過ぎて泣きそうなラストだった。
番外編は笑える事件とラブがあって最高。すっかり気が短い嫉妬彼氏になったハイエルは職権乱用でむちゃくちゃやっていて、藍は愛される自信を付けたような余裕が見える。
本編の、緊迫感の中でお互いへの信頼が高まっていくだけでも最萌えシチュエーションだが、こうして緩急をつけてさらに楽しませてくれる構成が嬉しい。
本を閉じ、彼らの物語を終わらせてしまうのが寂しいと感じた作品。ずっとこの世界に浸っていたいと思った。
今のところ私の中の一番。推しとしてトップに固定しておきたいくらい好き。殿堂入り。神じゃ足りない。……ん~しっくりくる言葉が見つからない。とにかく好き!
二巻合わせた評価ですが一巻があまりに辛いのでこの評価、この作品だけなら萌2。
一巻は被害者が年少者な上にあまりにも呆気なく殺され死体は湖に放置、この巻ではBLらしくメイン二人がくっついたり離れたりするのですがそれを楽しむ余裕はあまりありませんでした。
ちなみに攻めが受けに落ちない理由が奥さんが殺された事とその時の遺言にあるのですが、重いのと同時に納得もしてしまい心から二人の関係を祝福出来ませんでした。
1~2巻まとめての感想です。
個人的に、事件ものとしても大変満足できた小説でした。
BLというカテゴリーにおいて、例えば濡れ場をメインとした作品もそれはそれで何も考えずに軽く読めていいのですが、読み応えとして物足りないのも確かで、読了後に深い余韻や思索へ誘ってくれる作品との出会いをいつも待ち望んでいるのが正直なところです。
そこへ、この物語。
探し求めていた一冊に出会えた!と読んでいて高揚感に包まれました。
陰惨な事件、トラウマ、主人公二人の関係性、周囲の人々。
それらすべてが複雑に絡まり合いながら物語は進んでいきます。
紙面から伝わってくる温度と湿度は低く、薄暗く光が仄かに感じられる程度。
寂寥感や孤独、心のなかに悲しみや痛みを抱えながらも日々を過ごしていく登場人物の姿は胸に迫り、そうやってどうにか生きているのだという在り方に心震えました。
FBI捜査官である上司のハイエル×部下の藍。
1巻は幼女誘拐事件を軸に話は進み、そのなかで登場人物の人となりや生い立ちが明らかにされていきます。
互いの心情(恋情)を吐露することはなく、あくまで仕事のパートナーとしてのやり取りが続きます。
ほんの僅か滲み出てしまう想いが切なく、ある種の諦念を含んだ言動も読み手の私にはもどかしくもありました。
1巻の最後、そんな二人が一線を越えるであろう場面で2巻へ。
2巻は少しずつベールを剥いでいくように、薄暗く感じていた物語のトーンが終盤にかけ段々と光を帯びていく過程が無理なく説得力をもって展開されていきました。
心の深い場所、誰にも触られたくない痛みを伴うところに互いを入れていくのは強い信頼や愛が必要であり、生真面目でストイック過ぎる二人が歩み寄り恋人となった姿に心から良かったとホッと胸をなでおろしました。
ハイエルは愛した妻(お腹に子どもを身籠っていました)を事件で亡くしており、妻からいまわの際の言葉が、私が死んで他の人を愛していいけれど「愛している」は誰にも言わないで、と。
この言葉を大切に守っているハイエルは決して藍に「愛している」を言いません。
でも、ハイエルは実直に言えない理由を藍に伝えます。
個人的にこのシーンがとても印象に残りました。
そしてここから先の番外編に至るや、執着嫉妬の恋するバカ男(褒めてます)になったハイエルやなんだかんだラブラブな二人の姿が読め、最後は楽しい気持ちで本を閉じることができました。
アジア圏の翻訳BL小説を初めて読んだのですが、とても印象に残る作品でした。
翻訳ということで、原文の文章の質や流れ温度感とは多少違うかもしれませんが、この物語にはぴったりの文体と温度感での翻訳であったと思います。
そして、挿し絵のyocoさんの絵もこれ以上ないほどイメージにぴったりで素晴らしかったです!
文句なしの神評価。
ストイックだった1巻の反動からか、2巻では一気にBL萌えを刺激する展開になだれ込んで悶絶しそうだった。
もう、自分の顔がニヤケまくっているってのが見えていなくても分かったので、つくづく家の中で読んでいて正解だった…
遂に上司と部下の一線を越えてしまった二人だが、まだ心が通い合っているとは言い難い二人。
ハイエルが10年前に亡くした最愛の妻の面影を捜査中に出逢ったシングルマザーの女性に重ねていると思い、やるせない気持ちの藍。
藍が自身に向ける恋慕を掴んでいても、思い通りに身も心も任せないのに焦りを抱えるハイエル。
関わった事件自体は、容疑者ティム殺害についての真相はうやむやになっただろうし、切羽詰まった事情を知ってしまった限りシングルマザー・ジュリアが無事かどうか気になる。
ラストにて、藍が母親代わりのサムに感謝の意を伝える優しいエピソードがあるならば、罪の無い幼いリディアもどうにか無事でいてほしかったとスッキリしない点も残った。
母親の自殺を目撃した過去で、周りから心配されるほど危ぶまれていた藍が、自分を越える(脱却する)為の発想を掴んでいて芯の強さを秘めていたのに対して、この事件が結果としてトラウマの荒療治をなったのは実はハイエルのほうだった。
さすがにあれだけの凄惨さで妻を亡くす経験は簡単に克服できるものではないが。
たとえ亡き者に忠実であろうとしても、残された者が周囲の影響で心変わりしていくってのは誰も責めようがないし、生きていくうえで新たに大切な人を得るってのも大事な事だと思う。
なので、2巻でのハイエルが部下として側にいる藍に惹かれていくといった過程に関しては、個人的には申し分ない展開で満足している。
藍の身体をひとしきり抱きしめていても、自身からすり抜けそうに感じた瞬間に焦りを覚える様子や感情がいつの間にやら亡き妻への恋慕を越えていて、むしろほっとできた。
藍の良き友に徹したイアンにも、一生涯を共にできる伴侶ができてほしいものだ。
ちなみに、番外編としてこの二人の後日談も載っているのだが、本編のシリアスな雰囲気を180度覆すハイエルの意外すぎる一面に笑わされるとは思っていなかった。
ハイエルのあまりの砕け過ぎに巻き込まれるダンやアニタ達が気の毒になってくる(笑)
この小説に嵌った姐さんにとって更にニヤケる事間違いなし!!
前巻感じた読みにくさは文章に慣れたのか、今回はそんなに気になりませんでした。
やっぱりたまに会話が迷子にはなってしまいましたが、躓いて流れが止まってしまう感はありません。
そして内容についても漸くBがLしてる展開になってきたので、こちらの巻はとても楽しく読むことが出来ました。
攻の悲しい過去についても明らかになってきて、彼がどうしてそんな風になってしまったのか、というのが分かります。
この辺りについてはあまりに切なくて、BLなのにうっかり攻とその奥さんの話が読みたいと思う程……。
そして攻を想う受の健気さがこれまた切なくて、傷つくことに臆病な受がいじらしい。
幼女失踪から起こった事件が1本の糸に繋がっていき、その過程で攻と受の関係もどんどん変化していく様子は読んでいてとても楽しかったです。
脇を固めるキャラも非常に立っていて、それでいて主役2人を邪魔しないように出来ているのも好感が持てます。
個人的には受の親友であるイアンでスピンオフでも読みたいところ。
話が進んでいくうちに攻のボロが出てきたというか、本来の彼の子供っぽさ、嫉妬深くて独占欲が強くて、まるで聞き分けのない幼児かというような性格も、なぜかイラっとせずに受け入れることが出来ます。寧ろこの幼稚さが普段とのギャップもあって愛しい……。
そして受の抱えていた心の闇が綺麗に晴れて、前に進んでいく姿が美しかったです。
過去を受け入れ止まっていた時計の針を再び進めはじめた2人が、この先ずっと幸せであることを望まずにはいられません。ごちそうさまでしたー。
1巻のラストシーンで心身ともに疲弊した藍を罠にかけるようにして家に連れ込むハイエルと、拒まない藍の心境を仄めかして終わりましたが、結局寝たらしい。
けど、あっさりな心理描写だけで翌日になってました。
事細かに描写してなくてもいいけれど物足りなかったです。
ハイエルは相手を痛みで支配し手中に収めることに快感を覚える痛いsexをするどSです。
藍が初対面の時から自分に恋愛感情を持ってるとわかっていてからかうのは酷いな。
死んだ恋人や妻に執着している人との恋愛は無理だと思いました。
sexのあとハイエルが死んだ妻との思い出を夢中で幸せそうに語る心境がわからない、ランを傷つけいじめたかったのかそれとも自分から遠ざけたかったのでしょうか。
死んだ妻の今際の際の約束をかたくなに守るハイエル。
誰かを愛してもいいけど『あること』を封印するというのはやっぱり誰も愛さないで私だけを思って生涯一人でいて、という呪いの言葉のように思えました。
傲慢ですね。愛は傲慢なのだと思い知らされます。
愛していたらたとえ死んでも他の誰かに譲れないと思いますもの。
だからそんな重い過去を背負った男を愛してしまった藍に同情します。
だって思い出は美化されるし死者には勝てません。
愛する妻と子供との幸せな未来を失ってそこから這い上がれない気持ちも囚われ続けるのもわかるけれど、そこに他者を巻き込んではいけなかったと思う。
生い立ちから『自殺傾向がある』という理由で心理評価書から逃れられない藍だけれど、カウンセリングが必要なのは藍ではなくハイエルだと思う。
最後にはハイエルも自覚したけれど、失ったものの中で再構築するでもなく受け入れるでもないまま無いものをあるかのようにして誤魔化し続け、それでも喪失感だけが積もって行く時間を重ねてきたのだと思いました。
藍はいつか、ハイエルが約束を守り続けることに不満が湧くことはないだろうか。
態度や仕草、言わずとも伝わる想いがあれば満たされるのでしょうか。
というかそもそも『人を愛する想い』を死んだ妻とともに埋葬してしまったみたいで、許せないと思ってしまうのは私の心が狭いせいでしょうかね。
でもきっと藍なら亡き妻を愛していた気もちごと受け止めて二人で再生の道を歩いて行けると思います。
ロスト・コントロールの2巻で完結編。
2巻は1巻で解決した事件の、前回拾い切れなかった伏線を回収していくお話です。
「事件を追う」という推理的な部分は1巻のほうが楽しめたのですが、その分2巻ではキャラクターの心理描写に重点を置いて、己の恋愛感や内面に向かい合うキャラクターの様子が丁寧に描かれています。
1巻で曖昧だったハイエルの本心がどんどんわかってくるともう楽しくて萌えてしかたないです。
何が楽しいって、ハイエルの気持ちが部下にばれていることが。
なのに藍だけは気が付かないのですよね。
1巻では何でもできるボスに見えたハイエルが、この人は子供だ…と気付くまでに時間がかかりません。
藍が好きで、傍に置いておきたくて、危険なめに遭わせたくなくて、でも意地っ張りな藍にいう事を気かせるために、(プライドの高さもあるのでしょうが)言い方がきつくなる、強引で藍の意思を尊重していないように振舞う、でも他の部下にはバレている…。
1巻ではハイエルは藍のトラウマを開放しようと画策していたようですが、そのあたりがちょっと理解しがたく、ハイエルは藍に恋心を抱いているのか部下として大事にしているのかがわかりにくかったんです。
ハイエルのしていることはどういう風に藍の役にたつのか、と。
2巻では別々のトラウマを持った2人が違う方法でその出口を見つけるまでがしっかり書かれていています。
お互いのトラウマを抱えることは出来ないと思いますが、互いのトラウマに敬意を払って、この2人はこの先「お互いに愛してるとわかっている」ことを上手く示していけるのではないでしょうか。
番外編でその後の2人のお話が入っています。神評価をつけたのはこれがとても面白かったから。もうラストの終わり方まで大好きです。
とっても萌えたカップルなのにもっと糖度があったらなぁとか、もっと甘いシーンが見たかったなぁとか、そんな物足りなさを全部払拭してくれました。
1巻でハイエルをちょっとひどいと感じたのも、これで全部チャラに出来るくらい、2人の関係が面白く楽しく素敵に進化しています。
もう誰にも隠さず(藍にも、藍の友人にも隠さず)、公私混同しまくる我らがボスを、いつの間にか尻にしきつつある藍。
藍がこの関係を楽しめるようになり、主導権を持てるようになったことがとても素敵で、幸せなお話だと思いました。
思ったよりずっと子供っぽいハイエルは、これからも藍の行動に一々ハラハラしてくれたらとっても嬉しいと思います。
こにしそるさま
こにしそるさま〜、お読みになったのですね(*^m^*)
ダリアの小冊子は入手されましたか?そちらがまた良いのですよー!
前巻では、萌えの海で溺れ死ぬかと思いましたが、今回はそれ以上の萌えの宇宙か?宇宙遊泳か?という感じです。
個人的感想です、はい。
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攻め、受けは前巻同様です。
受けは、FBI捜査員で中国人の藍沐恩(ラン・M・エイムス)。
実母とその友人が目の前で自殺し、それがトラウマとなった自殺願望が潜んでいます。
攻めのレックス・ハイエル(レイ)は、元はCIA捜査員でランのチームを率いるリーダー。
妻をCIA時代の事件で亡くしてからは、女性とは寝ないバイセクシャル。
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ハイエルとランは仕事の相棒であり、上司部下の間柄であり、愛だとか恋だとかの所謂俗っぽいものは介在しない関係でした。
ランはずっとハイエルに恋していたけれどそれが思わぬ方向へと転がり、前巻の展開を一番驚いたのはランであったろうと思います。
ハイエルはランの気持ちに最初から気づいていましたし、ランの友人でありカウンセラーのイアンも二人の関係に変化が訪れる可能性があるとわかっていたはず。
ただランだけが頑なに、片想いでこの気持ちは隠せていると思っていただけで。
前巻ラストでとうとうハイエルの部屋へ行ってしまった(やっちゃった)ランですが、今回のスタートはランが聞けずにいるハイエルの元妻の死の真相から。
これか!これなのかー!ハイエルが囚われ続けている言葉は…切ない。
この亡き妻の最期の願いでその言葉を口にしないということもあるだろうけれど、ハイエルがその言葉を最後まで口にしないのは、自分が口にした相手は失われると無意識で恐れているからかなと感じました。
今のハイエルを形成する一部分となっているこの呪いのようなものを、ランならば丸ごと受け入れることが出来る、最後まで読むとそう思えました。
幸か不幸か、悲惨なトラウマも手伝ってランは支配されるということに慣れているので、それを口にできないハイエルに対して不満は持たないのだろうなと。
開き直ればランの方が精神的に強いのですよね。
割れ鍋に綴じ蓋…(苦笑
ハイエルがランへの苛立ちを見せるシーンが序盤にあるのですが、これはひとつの愛だなと。
ランは自分の痛みには無頓着なのですが、反面、他人のそれにはとても敏感で、それはいざという時に自己の命をかえりみないということと同義なんですよね。
それはまさにランの根底に根付く自殺願望なわけで…
あー、ハイエルは心配で仕方ないんだなあとウフフとしちゃいました。
ランを追いかけたらイアンに先を越されて、ムッとしてたところも可愛かった(苦笑
しかもその後、ゴリ押しで邪魔をするという。
もう、ハイエル可愛過ぎでしょう!
『今週の悶えシーン!』とでも称したくなるシーンが今回もてんこ盛りで、しかも体の関係を持ってからは随分とそれがハッキリとした桃色としてこちらへ感じられ、照れるってばよ〜と読みながらモジモジ。
もう読み終えるのがもったいなくてもったいなくて!
今年はまだ始まって三ヶ月しか経っていませんが、今年の中で自分自身の妄想萌えトップとなるとハッキリ言えますね。
だって文中には書いてないのに、『きっとハイエルは下はスエット、上は裸で寝てるわ』とか、『ランをイアンに掻っ攫われちゃった後はエレベーターの扉蹴ったよね』とか…もう妄想止まらずわたし壊れてます(苦笑
この本の買ったきっかけは、表紙買いです。たまたま、見かけて、どうかなー?と思いつつ買った作品です。海外物の小説だったので、あまり期待しないで1.2巻読んだら、それを裏切るようなすごい本格派スケール。びっくりしました。BL作品というより、一つのミステリー小説という感じがすごいしました。特に一巻目は顕著でした。二巻目でBL要素が入ってきて、ぐーっと一気によめます。萌えもそれなりに充実していました。超、萌えるのを読みたいという方には、あまりオススメしませんが、本格派のミステリー、BL作品を読みたいという方には、かなりオススメの作品です。
私は普通に萌えましたし、良かったです。
他の方が仰っていますように、ハイエルの気持ちの変化の描写が自分も少し足りないと感じましたが、物語自体には満足しました。描写もさっぱりすっきりした感じでくどくないです(翻訳による印象もあるかもしれませんが)。
でも少し疑問だったのが、ジュリア・ピータースに対するハイエルの姿勢がちょっと私情を挟み過ぎなのでは?と感じられるところ。命令だ!、彼女には関わるな!、を繰り返して、事情をよく知らない他の人(藍)による適正な聴取でさえ阻もうとするのは、あれはどうなんだろう。確かにジュリアの置かれた状況は危ういものでしたし、彼らの属する世界やそのやり方に自分は全く門外漢なので的確な是非のつけようは無いのですが、この問題に関するハイエルの高圧的で独善的な言動に少し公私混同を感じずにはいられなかったです。
あとは、ハイエルが藍の過去の詳細とその心の傷をどの程度まで深く理解しているのか、起きた出来事をどれくらい具体的に把握しているのか、その辺がもう少し知りたかったかな。ハイエルと父の関係ももうちょっと踏み込んだ内容が知りたいし、藍と広義に同じ病を抱えるアニタとのシーンももっと読みたいところです。彼女は本当に魅力的な人でした。続編とか出ないかなぁ。
挿画も良かったです。初めて拝見した方ですが、印象的な美しい絵ですね。小さな子供の描写もとても可愛くて、胸が温かくなりました。落ち着いた装丁も美しく、これもまた他の方のレビューにありますように、確かに帯と本の一体感がとても素敵でした(期待していましたので、二冊とも破れたりせずちゃんと綺麗に付いて来ていて嬉しかったです(笑))。
とは言えどうしてもすっきしない点が一つだけ……。タイトルにも記しましたが、言葉にしてあげてもよかったのでは?―というのが最後まで引っかかったし、そのために読後感を少なからず冷めさせたのは否めません。勿論、それが彼女との大事な約束だったのはよく解るのです。それを交わした時の状況も鑑みれば、破る心境にはなり難いということも。ただ、彼女に義理立てするあまり、今生きてそこに居てくれている大切な人に大切な言葉を惜しむ必要があるのか?という一点がどうしても気になる。亡き妻との約束に今愛する人を巻き込むかのように、頑なに絶対に言わない(言えない)というのが、個人的には納得がいかなくて。勿論約束は守るためのものだけれど、ハイエルの言動を見ていると純粋に亡き人への愛からという強い動機よりも、「言わない」という誓いを守ることそれ自体が目的になってしまっているような、ある種の呪縛に囚われてしまっているような、そんな矛盾する心情を感じるので……。常に危険と隣り合わせの彼らの職業を考えれば、もしこの先藍に何か起こって不意の別れを迎えなければならなくなった時、ついにその言葉を言えなかったことを、彼は今度は後悔するのでは……?あるいはハイエル自身に何かあった場合にも同様に。
―そんな風に詮のないことをつらつらと考えてしまう読後感でした。
個人的信条として、「あの時何度でも言えばよかった」という後悔を絶対にしたくないので、日頃から感謝や愛情を出来るだけ口に出して伝えるようにしておきたいと思い、しかしそこは典型的日本人でありますからして照れが邪魔をしつつも、なるべく実践するようにしようと思っているからこそ、自分は余計にハイエルの気持ちや彼にそれを貫かせた作者さんの意図に添えなかったのだと思います。
でもこの辺の領域の問題への考え方は、テーマが大変デリケートな分、本当に人それぞれでしょうね。ハイエルが「愛している」と言わないことにこそ意義があるとお考えになる方も勿論沢山いらっしゃると思いますし、実際、第三者として見てハイエルに納得出来ない自分でも、いざハイエルの立場、ジュリーの立場、藍の立場、それぞれに立って考えたら答えはまた変わって来ますし。結局は、難しい問題だ……という曖昧な言葉で終わってしまうのですが、まぁ、創作であるからこそ聞かせて欲しかったという、結局は若干ロマンティックな心情にも多少傾いてもいるのかもしれませんが。