待望のシリーズ、続編登場――!!

ヘブンノウズ 物語

heaven knows

ヘブンノウズ 物語
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神36
  • 萌×225
  • 萌13
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
15
得点
321
評価数
78
平均
4.2 / 5
神率
46.2%
著者
英田サキ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
ヘブンノウズ
発売日
価格
¥860(税抜)  
ISBN
9784813012771

あらすじ

イラストレーターの旭は、ベストセラー作家の渋澤に才能を見いだされ、弟・ミツルとともにに澁澤邸に居候している。澁澤への思いが叶い幸せな毎日が続くはずが、ミツルを養子に欲しいという申し出があり!?

表題作ヘブンノウズ 物語

渋澤征武,34歳,人気ミステリー作家
千野旭,21歳,イラストレーター

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数15

今までの謎の解決編

最終巻は事の発端となる旭の母親の殺人事件の解決編。謎は解けてスッキリするのですが、痛い展開だなあと思いました。特にミツルにとっては数年後にすごく尾を引く、いや一生尾を引く展開だなあと。まあフィクションなので別に心配することはないんですが。

旭の愚かさに結構イライラさせられました。たとえまだ21歳で可哀想な目に合った未熟な子だとしても、もう少し早めに渋澤先生や編集の荻野さんに相談すべき事は相談しようよ、と思いました。結局自分で解決できないんだからさあ。

誰もあくせくしていないのにたくさんの住人が贅沢に暮らしているお伽話みたいなシリーズでした。旭は完全に庶民の家から高貴なお屋敷に入ったシンデレラ。自分で飲み物も入れないような生活によくすんなり馴染めたもんだなと思いました。あまり魅力がないのに薫みたいないい男にも依然としてモテ続けてるのも少女漫画のヒロイン風で、英田作品の受けにしては珍しく好感が持てない受けでした。

ネタバレになるので深くは触れませんが事の発端の発端になった出来事。関係者3人とも私には理解し難い人達です。浮気のお膳立てをしてやる方もちゃっかりそれに乗る人達の方も。周りの迷惑を考えろ!つくづくミツルが可哀想でなりません。人の人生何だと思ってんだ。

まあフィクションなので気にする事もないんですがね(2回目)。なんかやりきれないラストだなあと。最終巻は今までのホラー成分もちょっと少なめでした。

1

活かされない霊視設定

前作でカップルが成立し、甘々な雰囲気で始まる最終巻。賑やかに終わり、まさに大団円の幕切れだった。

主なストーリーは、ミツルの養子話から母親殺害事件の真相へ。事件部分は酷評しか出てこないため、詳細は割愛する。
一つだけ言うなら、唯一他の多くの作品と差別化を図れそうな霊視設定が、今作ではさっぱり活かされない。読みながらずっとオカルトどこいった?と思っていた。一応渋澤が旭のピンチに駆けつけた理由に霊の助けを挙げていたが、能力が便利道具のような位置になっていて微妙だった。

キャラ萌えありき、ストーリーだけじゃ楽しめない。新人の挑戦作でもないし、BLならこの程度で良いんだなあと、ジャンルへの諦めが必要なのが腹立たしく残念。ここに最も失望している。

終わり良ければ総て良し!を期待して読んだが、満足度は低い。一つの物語として綺麗に畳まれていく気配がなく、流れるままに進む彼らの日々の切り取りを見ていただけだったのかと脱力する。四冊ぶん読んで良かったと思いたかった。
渋澤も旭も最後まで魅力が分からず、萌えどころもなかった。

表紙はシリーズ全て素晴らしく、とても好き。単に相対評価で真ん中の萌。

2

渋澤センセイの教訓が刺さる

2014年刊、ヘブンノウズ最終巻。
最終巻にして宇喜田の後継者として平久保を新たに登場させて収拾が着くのかと心配したが、たちまちに屋敷の住人達に溶け込んでいてほっこりできた。
永一と渋澤の関係に驚いたり、薫も無事に帰国してひと安心、シリーズとして上手くまとまった感がある。

さて、3巻・"赦罪"にて、とらわれていた過去の想いから解き放たれた渋澤はまさに絶好調で、恋人の旭との間でも渋澤独自の視点を織り込んだ会話が弾んでいた。
人生の先輩として常に旭を諭す姿にも大いに納得できるが、他にも
"お互い影響を与えあった量子の影響から家族・恋人・友人といった関係を築くと離れていても心が繋がる"、
"沢山愛されて育った子は強い"、
"皆別々の物語を生きている"、
など、彼自身が生きてきたうえでの教訓には多々刺さるものがある。
『渋澤録』なるものが作れそうだな。

実際の愛情表現も豊かで、ベッド上のいちゃつきぶりもさることながら、どのキスシーンも情熱的な様子が伝わってくる。

旭・ミツル兄弟の母親が亡くなった事件の真相も明らかになるが、これは女性にとっては複雑な心境だね。
京香にとっては赦しても赦せなくても荊の道だろうに。
旭の複雑な胸中通り、母親・花枝も実に難しい宿題を残して逝ってしまったものだね…
『個々が持ち織り成していくものこそが物語だ』とはいえ、全員が幸せな道を歩んでいくってのも難しいものだ。

シリーズ全体、ホームドラマとして楽しませてもらった。
幽霊が見える、オーラが見えるといった不思議要素は要らないんじゃないかとも思ったが、渋澤や薫の人格形成に必要なものだとすると受け入れるのに抵抗はなくなった。
登場人物達の今後はまさに"神のみぞ知る"といったところにあるが、恐らくは心配する事はないだろう。

0

全て解決! でももっと彼らの物語の中にいたい気がする

澁澤先生の精子戦争論がすっごく面白かった。
擬人化してかっこいい騎士達が戦う様を思い浮かべてうっかり萌えました。

高齢の執事の後継者候補として見習い執事登場。
きっと無責任に澁澤×旭の中を引っ掻き回す嫌なやつに違いない!っと否定的な目で見てしましました。ごめんね平久保くん。

澁澤×永一?? というのが1巻からなーんか怪しいと思っていたけどそかーやっぱりかーと、痴話喧嘩モードな言い争いのシーンの永一を後ろから抱きしめるイラストを見て納得してしましましたよ。
でも、シリアスなシーンなのに後ろの方で偶然目撃してしまった旭の仰天するちっちゃーい姿に笑っちゃいましたが…
誤解だとわかったあとのお仕置きごっこがエロくてよかったです。
イラストも4巻通じて一番えっちかったです。

それと時を同じくして、母親の親友からミツルを養子にしたいという申し出、澁澤の本のイラストへのネットでの悪い評価と旭を悩ませることが立て続けて起きるけれど恋人に相談もできず悶々として過ごすことなります。

脳は主語を理解しないという話に感銘を受けました。
他人に対しての悪口や否定は脳は自分のことだと思って傷つく、人の失敗や不幸を願うことは自分に呪いをかけることだと澁澤先生は言いました。
たとえ思うだけでも気持ちのいいものじゃありませんから私も澁澤先生のようにそうしない癖をつけていきたいと思えました。ネガティブ思考は三文の得にもならないですからね。

シリーズを通して澁澤屋敷の庭がイラストも合わせてずっとワンダーランドな世界だなと思っていたので澁澤と旭がアリスの不思議な世界を思い浮かべたという場面で私も一緒にシンクロできたのは嬉しかったです。

1巻からずっと続いていた旭の母親の殺人事件が漸く解決してホッとしました。
散りばめられた伏線やヒントから結末を予測していくのもいいですが、謎解きとしてのストーリーよりも旭が再生していく過程やそれを助ける登場人物達との関わりが面白く読めました。
1年間の時の中で成長していく旭の姿を見守ることができてよかったです。

このシリーズは手元に置いて何度でも読み返したい作品になりました。

0

幸せな気分で読み終えることのできるシリーズでした

ヘブンノウズ最終巻。
いたたまれない感ちょっと+しあわせ感たっぷり で
読後感幸せな一冊でした。

当巻での新たな登場人物は
平久保:執事見習い。宇喜田が後継者にするべく仕込む。
田坂芳雄:田坂京香(旭、ミツルの母、花枝の親友)の夫。
木戸亨:花枝の弟。定職につかず、金を無心するばかりのくず男。

事件は、そもそもの発端、旭とミツルのお母さん殺人事件。
それにきっちり片を付けてくださいました。
犯人がまあ、そんなに意外な方ではなかったのですが
やっぱり花枝の人生の選び方、京香の人生、ミツルの人生を思うと
なんとも評しがたかったです。
正解はないと分かりつつも、これからのミツルの人生に幸あれ と
強く願うしかなかったです(泣)
まあ、小説より奇なり で、このような事件は実際発生しているのでしょうが
小説の中で成長を見守ってきた旭、ミツルの気持ちを思うと
正直 なんとかならんかったんかい という気持ちでいっぱいです。
やっぱり大人たるもの、分別をもって生きていかなきゃな。

そんな事件はありつつも、ミツルは着々と良くなり、
また渋澤先生と旭は雨降って地固まるという所あり、
やりきれない気持ちをぶっ飛ばして
最後は本当に幸せな気分にしてくれました。
(先生は ちょっとエロ大魔神化)

最後に大好きな挿絵。甲乙つけがたいですが、やっぱり最後の一枚。
ベッドで幸せそうに微笑みあう二人。嬉しいエンディングでした。
先生、素敵なお話、有難うございました。

0

「結」の巻

4冊ものシリーズの最終巻。
渋澤と旭の恋愛関係は前作で成就したのですが、もしや波乱があるのか?旭とミツルのお母さんの事件の真相は?
事件に関しては、私には想定外の真犯人でした。この件では旭達のお母さんも無垢の被害者、という訳でもなく、だからといって殺されていい訳でもないけれど、過ちの代償は旭もミツルも、加害者の関係者も全員を不幸にしました。
若い旭は、母の過ち、その結果の重さに泣きます。
…旭に渋澤がいて良かった。
本作冒頭の2人の精子の苦難の会話からの人の命は奇跡という事、そして事件が解決した後で交わす会話の中での、人は寂しくてだから求め合う事、大人の渋澤はそれらを上っ面でなく血肉を持った言葉で旭に諭します。
過去に囚われていた渋澤は旭に救われ、たった1人で重い責任を負って苦しんでいた旭は渋澤やその家族達に助けられ、2人は揺るぎない絆を築いていけそうです。
4巻通じて優しさが根底に流れていました。
そして、「エス」や「DEADLOCK」シリーズのようにクールな物語運びが上手いという印象の英田サキさんの、また新しい魅せ方・読ませ方に出会えた事が大きな収穫でした。

2

平久保さん、これだけですか?(笑)

読んで一日も経っていないのに、最終刊読むのが寂しいです。
これをリアルタイムで待ってた方はもっと寂しいだろうなあ。

前回、まとまったのでメイン二人は仲良いままでよきかな、よきかな。
やっとこ、旭兄弟の母親を殺害した犯人が分かりますが、これどうなんだろう。
あまりに身勝手な大人が多過ぎやしませんかね。一体、何人私生児がいるの?この話。
そういう意味では永一のエピソードはいらなかったかなあ。
ある意味、京香さんが一番可哀想だったかも。強く生きて下さい(泪)

萌えキャラは矢張り宇喜田さんで変わらなかったですが、次点澁澤さんという感じでしょうか。
そして、折角出てきたのに特に何もなかった平久保さん、気になります!
スピンオフを是非!!(笑)

表紙は2巻と4巻が大好きですー。本当、素敵ですよね。

3

回収終了

積み本箱の中から発掘してようやく読了。

しかし、前作の記憶が…、と思って、前作をレビューしてたかしらと見てみたら、そこにはやっぱり「前作の記憶が…」のフレーズが、、、
それでも、読み進めている内に、そういえば、前作までで、恋愛譚的にはまとまったけど、放置のままだったそもそもの発端の母の死の謎の回収のための物語であったのかと納得。
うん、納得した。
すごく、理路整然と納得できた。

で、渋澤と旭の関係については、既にしっかり結びついている二人なので、ちょっとしたすれ違いがあってもまあ、ご愛敬レベル。
そして、繰り広げられるエチシーンが、番外編並みにねちっこく甘かった。

1

その後

一応今回メイン?の犯人は、なるほどな~なキャラですが、犯人にしろ殺された母親にしろ、結局は自分勝手な結末って感じでだったので、この2人に同情とか一切湧いてきません。 逆にそんな理由で?!とミツルに恐怖をあじあわせた2人が腹立たしくもありました。 私の中では「赦罪」で2人がカップリングになったところで満足してたので、「物語」はカップルになった2人のイチャラブを楽しめた巻でした。 ここまで甘い人だったんですね渋澤さん。 こういうその後のお話大好きです。

1

さわやかな読後感

正月4日間「ヘブンノウズ」シリーズ、新書4冊一気読み耐久レースはしておりました。やっぱきつかった。「やっと終わってすべての謎が解けた~」てのが、ひとまずの感想。
マラソン完走のさわやかさ。いい読後感。

前巻「赦罪」で、めでたく結ばれた渋澤先生と旭。「よかったねえ」と思いつつ、「渋澤先生、あなたがこんな激アマな、恥ずかしい台詞連発男になるとは思いませんでした」とも思いました。
ミツルくんの事情と、お母さんの殺人事件は、意外な方向に展開しました。私の予測は外れていました。
ふと、思ったのですが、これはシンデレラ・ストーリーではあるまいか?と。
引きこもりの弟を引き取って生活にいっぱいいっぱいで追い詰められていた旭くん、そこに王子さま(渋澤先生)が現われてイラストレーターとして採用になる。自宅にも居候させてもらって、とりあえず食住の心配は無くなった。(ここまではね)
ところが王子さまにはいろいろ秘密があって…。シンデレラ側にも謎がいろいろあって…。
(ありゃ後日談があると「いばらひめ」になるのかな? 王子さまのお母さまが人食い鬼だったってぇアレです)
こんな感じ。大雑把すぎかな?(褒めてます)
まあ、BLでは片方に片方が窮地を救われて、衣食住の心配が無くなる、というのは黄金パターンだもんね。
薫さんも帰ってきて、執事見習いの平久保も加わり、一家7人、まったり暮らしていくのかなあ。
「ヘブンノウズ」とは「神のみぞ知る」みたいな意味だそうです。英田サキさんの作品で同じ名前のゲイバーが出てきたような記憶が……、それは「バカな犬ほど可愛くて」でした。

4冊とも、奈良千春さんの表紙が素敵すぎて、しみじみじーっと眺めて深読みしたくなりますなあ。

8

独特の雰囲気を楽しむシリーズ、完結編

雰囲気のあるイラスト、見事な洋館や執事、幽霊の見える作家、
LOVE&サスペンスにオカルト、童話や寓話、さらには人生哲学……
これはそういう世界観を楽しむシリーズ。

LOVE的には前回でカップルはまとまり
今回は一風変わったバカップルぶり。
イチャイチャしながら蘊蓄を傾けている
澁澤先生のいささかとぼけた変態っぽさが、なかなかおかしい。

謎として残っていた母親の事件の顛末は、
お手軽な2時間ドラマの痴情のもつれ的な話で
いささか拍子抜けというか、とってつけた感があったし
オカルトも前の巻までで終息なのかほとんど関係なく、
個人的にはテンションはあまり上がらなかったのだが
とりあえず伏線は回収して緩やかに着陸、という感じの最終巻だった。

薫さんも(都合よく!)戻ってきて、
この一風変わったホームドラマの面々が屋敷に顔を揃え
ミツルの成長を喜ぶ、穏やかな大団円となった。
執事の後継者・平久保さんという新キャラも登場し
スピンオフありかな?

ミツルの将来を思うと色々と困難も予想されるが、
この不思議の国のような世界は、未来が開けている明るさを感じる
気持ちのいい読後感だった。

5

ついに発売!

待ってました。
ヘブンノウズシリーズラスト四冊目。
発売が最初伸びた時は年内に拝見できないのかな~
と思っていたら間に合いましたね!

前作で二人が結ばれたので今回は残っていた問題
誰が母親を殺害したのか。
でした。
正直、謎解き要素に重点を置いていないので、読んでいる途中でミツルの父親や京香さんを犯人と間違う展開とかは予想できちゃうんですが、それでも、良いです。
皆幸せになれたし(京香さんは違うか)
ミツルが幸せになる為に優しい嘘をついていき、いつかは真実をあっちゃんが語り、その横には渋澤が居る。
そんな未来を想像できるラストだったと思います。
しかしこれ、薫ちゃんスピンオフきますかね?

2

終わるのがさみしい!!

ヘブンノウズ最終巻。
待ってたけど、終わってしまうことがさみしくてさみしくて。
ようやく恋人同士になったふたりが甘くて微笑まくして(・∀・)ニヤニヤ
旭とミツルの母親の死の真相もわかり、物語が終わっていくのがさみしい。
そんな中、作中で渋澤の語る「物語」についての話がすごく好きで。
別々の物語でも共有してお互いの物語に登場する。
そんな嬉しくて素敵なことはないよねって。
旭達の「物語」を横から覗かせてもらってる気分で、一緒に悲しくなったり切なくなったり嬉しくなったり恥ずかしくなったり。
これから先続いていく「物語」を知ることはできないけど、またどこかで共有できたら、嬉しい(*´ω`*)

奈良先生のカバーイラストは本当に素敵で。
今回のカバーもすごく楽しみにしてて。
挿絵もたくさんあってすごく嬉しかった。
ヘブンノウズは奈良先生のカバーイラストもあっての素敵な物語でした。
あ、書き忘れ。
口絵のイラスト、すごく好き。

9

シリアスなのに、甘々

4巻目にして完結編となる今作品。発売を心待ちにしていました。

前作の「赦罪」で恋人同士になった渋澤さんと旭。甘々な空気が流れ、作品を通して一番のラブ度・エロ度の高さで思わずニヤニヤしてしまいました。ミツルもだんだん子どもらしさを取り戻し、明るい雰囲気で話は進んでいきます。

ただ旭とミツルの母親である花枝殺しの犯人探しの巻でもあり、若干シリアスムードが漂います。

誰が、何のために花枝を殺したのか。

花枝の親友の京香の存在。
花枝の弟の亨からの忠告。
ミツルの前の学校の先生である御船先生の証言。
などなど、ミステリとしての側面もありちょっとドキドキしながら読み進めました。

一人の女性として、大人として、花枝の判断には賛同しかねるところも多々あります。けれど、その時の立場や心理状態で、何が正しいのか、とか、受け止め方は変わってくるんだろうなあとも思いました。

しかし渋澤さんは年齢の割に落ち着いてますねえ。34歳、でしたよね。まるで50歳くらいのオジサンのようだ、とかいろいろ思いつつ。話し方が独特ということもあるでしょうが、彼の育った家庭環境も影響しているのかな、と。
孤独を感じ、一人で頑張って生きてきた渋澤さんと旭が、お互いの存在によって癒されていく過程にはホッとしました。

しかしこの作品はタイトルも素晴らしい。足跡、赦罪、そして物語。簡潔にしてスパッと内容を表しているな、と。

それと奈良さんの挿絵も非常に良かった。内容と素晴らしくあっていると思いました。表紙も1巻目の時はすれ違っている二人が、だんだんと近づき今巻は温かみのある色遣いに二人の表情。挿絵を描く旭に、その挿し絵に文を書き足していく渋澤さん。イヤ、すごく良かった。

またどこかで旭たちに会えると良いな、と思います。

8

大団円の完結巻

第四巻目にしてついにシリーズ完結。
全ての謎が明らかになります。


まず、前巻より恋人同士となった
渋澤先生と旭のバカップルぶりが良いです。
僕が女の子だったら今ので妊娠してましたとか、
養子縁組して結婚しようかとか、
会話という会話がベッタベタに甘くて和みますv

旭が手がけた挿絵がネットで酷評されていたり、
旭の弟のミノルを養子に迎えたいという
夫婦が現れたりと、
旭の心をかき乱す出来事は度々起こりますが、
渋澤の支えもあって、そう悲観に暮れることはありません。


そして一巻からの謎、
旭とミノルの母親を殺害した人物が明らかに。
謎が明らかになるプロセスが
論理的に筋道を立てて…という感じではなく
とある人物の目撃証言により偶然…という点が
ミステリとしてはちょっと弱い気が。
真相自体も、ワイドショーにでも出てきそうな
陳腐なエピソードにちょっと拍子抜け。
ここまで巻数を引っ張る必要はあったのかな?
と感じました。

しかし、童話を思わせる幻想的な世界観は
相変わらず素敵。
旭が事件当時のことを夢に見るシーンは
「不思議の国のアリス」で
アリスが穴に落ちていく場面になぞらえてあり
可愛らしくどこか不気味な雰囲気が印象的でした。


陳腐で血生臭い現実と、
素敵なファンタジー世界とが同居しているところが
このシリーズの魅力なのかもしれません。

それぞれに辛い形で家族を失い、内に籠りがちだった渋澤と旭。
小説と挿絵という形で、いわば空想の世界を共有することから始まった二人が
お互いの力を借りて過去を乗り越え、合作のファンタジー児童書を作り上げたことを思うと、なかなか感慨深いものがありました。


最終巻ということで、屋敷に集ういつものメンバーも総登場。
個人的お気に入りキャラ・薫は相変わらず素敵で、次に口説く相手も見つかったようで一安心です。

お別れという雰囲気はなく、またいつかどこかで彼らに会えるような、明るく爽やかな結末。
「物語」というサブタイトルがぴったりの完結巻でした。

9

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