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ao no katami
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『天球儀の海』スピンオフです。そちらの主人公・希の兄である恒(酒のラベル送ってきた五連星の兄ちゃん)の話。
舞台が太平洋戦争も佳境に至って以降の最前線・ラバウルである以上、”死”は前作より更に近く、常に懐に抱え込んでいるようなもの。その”死”に磨り減らされた…磨かれた人の心、物語のどこまでも美しい純粋さが哀しくて、胸が引き絞られました。
美化し過ぎだと笑うことすら出来ません。存分に、敬虔に、ロマンに浸るべき作品です。
最後のまとめ方が若干、易きに流れたというか印象が弱い気がしなくもないですが…作品全体を読み通した満足感の前では些事、ですね。
うーん…これ以上は何書いても蛇足になってしまいそうで、レビュー出来ません。とりあえず、前作に少しでも感じるものがあったなら読め!としか←
あ、一つ難を付けるとすれば、ちょっと誤字脱字が目立ちすぎることでしょうか。
まあそれも、八月初めに間に合わせるために編集部さんが超特急で頑張ったんだと思えば
、ご愛嬌(笑
とかく様々な面で難しいであろう戦中、それも最前線をここまで描き切った作者さんに脱帽です。戦闘機もかなり出張っていて嬉しかった…
…ちなみに。月光が雲の上に出るシーンは紅の豚を彷彿とさせたりだとか、自分がちょうど明日、風立ちぬを見に行く予定だったりだとか、個人的には妙にジ○リと関連づけられる作品ともなりました。
この感動をどうあらわせばよいのか、うまい言葉が見つかりません。
ただもう、後半は涙が止まらず(悲しい涙ではなく、二人のつながりに胸をしめつけられる涙)、読後に他の本を読む気力も興味もすっかり失うくらい、この本に溺れてしまいました。
二人の生きた時代や戦闘の描写だけでなく、南洋戦線下におかれた当時の若者たちが、内地に残る大切な人たちをを守るために、どんな生活をしながらどんな気持ちで日々を生きたのか、戦争小説家の小説を読む以上に心に響きました。別のレビュアの方も書いていますが、本当に作者の筆の力にただただ感激です。
そして二人が種類は違えど、どちらも空と星をバックグランド(育った家庭環境)に持つ世界観を共有し、それが軸になり二人の関係が始まり、そして極限で生き抜く強い支えになる。
度々出てくる宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』も二重三重の複線となり、後半の二人は、まるで中有(あの世とこの世の境の世界)にいるカンパネルラとジョバンニのようにもかんじました。カンパネルラたちと違って、離れることはなく、二人手に手をとってこの世に帰ってきますが・・・。
頭の中にずっと『星めぐりの歌』がぐるぐる廻ってます。完全にやられました・・・。
『天球儀の海』のスピンオフです。
前作で、恒の戦死の知らせが届いていたので、覚悟して発売を待っていました。
まず、表紙が発表になったとき、見た瞬間に魅了されました。
恒と六郎の笑顔が本当に素敵で、素敵な分、二人の行く末が心配で心配で。
でも、こんなに素晴らしい笑顔の二人のお話なら、たとえ何が起きても
二人が幸せな時間を精一杯、生きたことは間違いないと確信しました。
そして、本編は、私のヘタクソな文章では伝えきれない素晴らしいお話でした。
恒は、曲がったことが嫌いで、周りからの嫉妬や妬みで意地悪をされても
真っ向から立ち向かい、毎日のようにケンカに明け暮れてます。
そのたびに、キツイ罰があっても、お構いなしです。
乱暴で粗野な性格かと誤解されがちですが、とても素直で航空機と家族を心から愛して大切に思っています。
そんな恒とペアを組んで『夜間戦闘機 月光』に乗り、恒のことを知って行くうちに、六郎はどんどん惹かれて行きます。
好きにならずにいられない。まさにそんな感じです。
恒もペアとして絶大な信頼を六郎に寄せて、信頼と同じくらい
愛情を感じるようになります。
二人の気持ちが寄り添って行く様子が、とても自然に描かれています。
星の話や花火の話が、ほんのひと時、二人の穏やかな時間として書かれていて、
忘れられないエピソードになっています。
そしていつしか、誰もが認める「黄金ペア」として、戦場でも名を馳せていきます。
戦況はどんどん悪くなり、戦闘機の数も激減し出撃すらできなくなってきた時、
整備員たちが拾った部品などで戦闘機を組み立てます。
そんなことができるのかと、機械音痴の私は思ったのですが、
整備員たちの技術のすごさに圧倒されました。
そして、その『複座の零戦』で恒と六郎は最後の出撃をします。
ラストは、読んで頂きたいので内緒のままで。
本編の他にSSが2編あります。
読み終わった後は、出版社のWEB特典を時間を置かずに読んで欲しいです。
私は、尾上先生が描かれた、恒や六郎、他の登場人物のような方が、実際にいたんじゃないかと思います。
戦争はいけない。
戦中戦後は、辛くて、苦しくて、悲しくて、悲惨なことがたくさんあった。
それは大前提です。誰にでも分かることです。
でも、そんな当時でも、楽しいこと面白いことがあったら笑っただろうし、
それが生活のほんの一部であり、一瞬の出来事だったとしても、
間違いない事実だと思います。
過酷な状況でも笑えるのは、人の強さでたくましさではないでしょうか。
そう思わせてくださる尾上先生の作品が大好きです。
とても面白いけど、悲劇的な最後にしなかったのは勿体なかったんじゃないかな、と思い、前作と合わせ、ずっと評価を迷っていましたが、先日ハッピーエンドではない本を読んで、これは「神」で良いんだと納得しました。
有名なBL小説家の先生が、BLの基本はハッピーエンドです、とインタビューに答えていらっしゃったのは、実は大層奥深い意味のあることだったのだと思います。
二人を死に別れさせなかった尾上先生、ありがとうございます。
前作「天球儀の海」で登場した希の兄の恒と、彼とともに「夜間戦闘機・月光」でペアを組む六郎の物語です。
初めのうちこそ六郎の想いにとまどいを見せていた恒ですが、彼の気持ちを受けとめると決めてからの男前な様子が微笑ましくて。恒の少年のような無邪気な部分と、一度ペアと決めた相手をまっすぐに想う強い意志が渾然一体となって不思議な魅力を放ち、六郎が惹かれるのも当然かと。
ラスト手前まで資紀の心が見えない前作よりも、二人の心が通じ合っている恒と六郎はBLとしての糖度が高いですが。戦地が舞台である分、死と隣りあわせで生きているという緊張感が常につきまとい、恋愛というよりペアとしての絆の深さに心が揺さぶられました。
六郎のお手製の線香花火や撃墜マークのエピソードなど、きらめくようなまぶしいエピソード・・・この生きている一瞬一瞬が、貴くかけがえのない物だと感じさせてくれます。
戦局は悪化の一途を辿り、二人の命もいつ散らされてもおかしくないような状況に突入し。恒が月光ごと海に墜落し溺死しそうになったり、マラリアで生死の境をさまよったり・・・いくら二人の絆が強くても、戦争は一瞬のうちに命を刈り取っていってしまう・・・そんなギリギリの状況下で、六郎は静かに死の覚悟をします。
空で恒と生きて死のう。潔い決意に胸が痛み、切なくて切なくて涙がこぼれそうでした。
前作の中で恒の戦死の報があったので、ラストが近づくにつれて「奇跡でもいいから、生きていてほしい!!」と心の底から願いながらページをめくり続けました。寄せ集めの複座零戦が炎上し、「どうしても守りたいんだ」と敵機に突っ込もうとする恒に「お前とならいい。俺たちはペアだ」と言い切る六郎・・・読んでいる私は、ただもう祈ることしかできなくて。
戦争に巻き込まれ、ただただ航空機が好きで内地の家族を守りたい一心で戦闘機に乗り続けた恒。そんな恒を優しくサポートし、懸命に生きた六郎・・・なんて戦争は理不尽に命を奪っていくのだろうかと、悲しい怒りでいっぱいになり・・・とうとうBAD ENDかと諦めかけたのですが。
あああ、この運命を選んでくださった尾上さんに本当に感謝します!!
睦合いのさなかに恒が教えた“surrender”という単語が、ここでつかわれるとは。鮮やかな伏線にうならされました。恒だけ!恒だけでいいから助けて欲しい!という思いで、必死に叫ぶ六郎の姿。もし二人の怪我の状況が逆であったら、きっと恒と六郎は死を選んでいたでしょう・・・生きていてくれて本当によかった!!
本作は、登場する人物一人一人が本当に愛おしいです。
恒や六郎は言わずもがな、整備士の秋山や恒をいじめていた斉藤ですら魅力的で。
斉藤:「お前みたいな(可愛い)(←ここ、本人無自覚・笑)ちびは、危ない前線に出て来るんじゃない!俺たちが守ってやるから後ろに引っ込んでろ!」くらい内心で思ってそうで(←でもあくまでも無自覚・笑)」
斉藤の死に恒と一緒に泣いたのは、私だけではないと(確信) 尾上さんがサイトにおまけのssを載せてくださっていて、最近“その3”として斉藤のお話が追加され・・・ああ、やっぱり・・・と深くうなずいています。
また恒の希に対する愛情表現は、尾上さんの独特なユーモアのセンスを感じさせてくれました(笑)家族思いで、内地にいる弟の希を想い寝言にまでユキの名前を呼ぶ恒ですが。希を泣かせたうえに、おいうちのように怖い話をする兄ちゃん^^;・・・心から希をかわいがっているが故の恒のこの行動に、なんとも笑えて。でも、もし他の人が希を泣かせようものなら、恒は相手をこてんぱんにやっつけるんだろうなぁと想像してしまいました(ニヤリ)
牧さんのイラストもとても素敵で。恒の笑顔のまぶしいこと。優しい中にも一本芯の通った六郎もすごくかっこいいです。本編中月光に初搭乗したシーンが漫画としても入っていて、最初は驚いたのですが読み返すうちに大好きな部分になりました。月光を見た時の恒の目の輝きは反則ですね・・・これは六郎じゃなくてもおとされそうです。牧さんはツイッターにも水彩で描いた“月光と月光のお父さんとお母さん(笑)”の絵をあげてくださっています。これもとても素敵ですよぉ。
それから・・・ここに書いていいのかどうか分からないのですが(間違っていたらごめんなさい)・・・ホリーさんのサイトでパスワード入れると読めるお話が、もう素晴らしくて。これは、ぜひぜひ本編を読み終わった皆さんにご覧になっていただきたいと思います。本編は身構えていたので、それほど泣かずに済んだのですが。このお話は決して悲しいわけではないのに、ポロポロ涙がこぼれるほど感動しました。優しくあたたかいお話です。
そして、来月末に出る“HOLLY MIX”に“碧のかたみ”の番外編も載るという情報をゲット。今からワクワクが止まらない私です♪
複座戦闘機でのペアという日常とはかけ離れた状況。
その中でお互い相手を信頼していき、それがいつのまにか愛情に変わっていく。
命をかけた戦闘の中で育まれる愛だからこその強くて固い絆。
この二人が離れることなんて考えられないと思った。
恒を強く愛している六郎のけなげさに胸がしめつけられました。
何度も死にかける恒を助ける六郎が不憫で不憫で・・・。
好きな人が目の前で弱っていったり、苦しむ姿は誰もみたいはずもありません。
それが何度もあるなんて可哀想すぎだ、六郎。
でも、そんな辛い経験を何度も乗り越える度に、二人の絆はより強固になっていったと思う。
この本が大好きすぎて死にそうですが、こんなに神評価と趣味じゃない評価が両極端に分かれるのも珍しいのではないかと思います。
「戦争」という今の日本では非日常的なことが題材になっているので、日常でのお話が好みな人には好かれない内容なのかな~と思ったりもします。
でも!約70年前はこれが日常でした。その中の出来事です。
日常のお話が好きな人もこれが日常のことだと想像してみてください。
より切なく、より二人が愛しくなってくる。
「碧のかたみ」はそんなお話でした。
この本はここまででいいやと思って付箋を貼って私なりのラストにしました。燃料が尽きて海に落ちるのを待つだけよりは、と敵機に突撃していくシーン、p241の6行目、「不思議と心は静かだった。」まで。
正規ラストも含めるとあちゃー…と思ったんです。が、この本が私に語りかけてきてくれたことはここまででいいんだな、とここで切ることにしました。神評価です。
史実を臭わせるパラレルワールドの世界のお話と受け取っています。輝ける2人に幸あれ!!
前作「天球儀の海」は、ちるちるさんのランキングで上位に入っているのが気になり、読んでみました。
しかし、欠損表現が地雷の私には読むのが辛く、高評価であっても私には合わない作品でした。
そのため今作は購入するつもりがなかったのですが、フリーペーパー「羽ばたく日」を読み、気が変わって、購入に至りました。
とはいえ欠損表現と並び、死ネタもかなり苦手なので躊躇はありましたが、思い切って読んでみました。
結果、途中涙する場面もありましたが心配していた結末ではなかったので、安心して読み返す事が出来ます。
三ヶ月限定のWeb限定SSも読みましたが、限定なのがもったいない程に素敵なSSでした。
六郎と恒は本当に魅力的なペアで、それぞれ個人で見ても素敵ですが二人一緒だともっと魅力的です。大好きです。
しばらくはこの二人の事が頭から離れそうにありません。
この本を読んでいた時、ちょうど近所の花火大会の日で、花火の音を聴きながら読めたのも幸せでした。
BLという言葉で片付けたくはない。
作中で何度も出てくる言葉
『ペア』というものがとても大切で愛おしいものに聞こえます。
ただ好き好き言い合って、体を重ねて…
というモノではない。
唯一無二の存在、深い深い絆、とても気持ちのいい読後感でした。
前作では作者様の腕は認めるものの、話の筋的に微妙でしたが、
今回は読んでよかったと思わされました。
2014年の「このBLがやばい!」の小説部門の二位の異名は、伊達じゃないなーと実感しました。
前作の1945シリーズ一作目の「天球儀の海」を読み、その設定と展開が絶妙だなーと感じましたが、期待していた特攻隊の青春部分は余り描かれていない所に少し拍子抜けした面がありました。
今巻では特攻隊の戦地での日常や青春に焦点を合わせ、陽の面と陰の面も合わせてリアルに現状が描かれています。その時代のラバウル基地での生活や戦闘機の事など、調べ尽くされている感があるので、安心して話に没頭できます。その反面、飛行機命の無邪気な恒少年が余りにも愛すべきキャラクターなので、六郎と一緒になって終始ハラハラさせられる心境になりました。二人にのしかかってくる戦争の余りにも過酷な現実に、心が苦しかったです。
後半の展開に賛否両論もあるでしょうが、尾上先生から、このシリーズを通して読者に「何としてでも生き延びること」を伝えたいのかなーと思っています。戦後に六郎が恒に示した愛には、ぐっと心が打たれました。六郎は職人気質のせいか恒を見守る姿勢とか真摯で、こういう相手に愛される恒は幸せ者・・と思いました。六郎こそ本物のスパダリだなー。
JUNEや昔のニアホモ少女漫画で、パートナーが亡くなったり、結ばれずに別の女性と一緒に・・という作品を多く目にしてきた自分には、最後はハッピーエンドという展開は、ご都合主義の面は多少あれ、正直ホッとします。主要キャラの死は確かに心に残るし、確実に作品を名作化する側面はあると思います。そこをあえて避け、「何としてでも二人で生き延びること」を主題に物語りを締めくくる先生の姿勢に拍手したいです。