Krovopizza
adios miguel
『ミ・ディアブロ』のコミックス未収録の、同人版。
コミックスに収録されている「アディオス・ミゲル」とは異なる内容で、
時系列としてはコミックス版「アディオス・ミゲル」のラスト~後になります。
『ミ・ディアブロ』のエピローグの「mi diablo」とは全く異なるもう一つの結末。
本編の構成・展開だけではなく、こうしてアナザーエンディングもあるところがまた映画的だなーと思います。
『ミ・ディアブロ』で詳しくは説明されなかった、いくつかの謎。
抗争のその後、ジェイクとミゲルに対する措置、ジェイクと父との関係、ミゲルの生い立ち、等々。
そうした色んな謎に一つの答えを提示しているのが本書です(あくまでパラレルワールドだそうですが)。
ジェイクと一緒に自由になるため、獄中のアロンゾを暗殺&金を回収するという依頼を引き受けたミゲル。
病院に残るジェイクに、その計画と自分の正体を打ち明けるのですが……。
「キミは何も変わらない」というジェイクの台詞に涙。互いの嘘や二人のこれからについて、本編でもこんな会話が繰り広げられたんだろうなーと思わせます。
ミゲルが囚人になりすましてアロンゾに接触し、脱獄に手を貸している頃。ジェイクは、警察とマフィアの癒着を探るため、自分を陥れた昔の同僚宅へ。
それぞれの場所で、二人が知る真実。思わぬ黒幕の正体、父に本音をぶつけるジェイク、ミゲルの出自の秘密…。色々とドンデン返しが待っています。
本編とはまた違った形でハッピーエンドを迎えた二人には素直に感動しました。
ジェイクとミゲルの過去や二人が巻き込まれた事件について、救いのあるフォローがなされていた点も良かったです。出来すぎている感も否めませんが、そこはパラレルワールドということで。
全てが思い通りにいく訳ではないという点は、本編同様少し切ないけど。その運命の中で互いを愛して懸命に生きるジェイクとミゲルの姿は、パラレルでも変わらず。どんな境遇にあっても変わらないその生き方が胸に刺さりました。
「アディオス・ミゲル」 コミックスと同じく、大事にとっておきたい作品です。