このよのはじまりこのよのおわり

konoyo no hajimari konoyo no owari

このよのはじまりこのよのおわり
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神17
  • 萌×218
  • 萌19
  • 中立1
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
17
得点
215
評価数
58
平均
3.8 / 5
神率
29.3%
著者
たうみまゆ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784812481646

あらすじ

幼馴染みへの恋心を自覚した、あの日から早十年ーーー…
人気女形となった佐根市(さねいち)は、相も変わらず幼馴染み・善介(ぜんすけ)への想いを秘めたまま、 惚れた腫れたは芸の肥やしと数多の女たちと色恋を繰り返していた。
そんなある日、次の演目の役がどうしても掴めず、煮詰まった佐根市は善介の家を訪ねる。
しかし、そこで彼の縁談相手だという娘にばったり出くわしーー…!?
さまざまな時代の儚くも粋な恋模様を緻密に描いた待望の麗人ファーストコミックス!
佐根市と善介のその後がわかる描き下ろし番外編も収録!

表題作このよのはじまりこのよのおわり

佐根市 女形役者
善介 幼馴染で手習いの先生

同時収録作品硝子哀歌

清次郎 姉の婚約者
寧 姉の双子の弟

同時収録作品いずみの如く

同時収録作品カラスの名前

義明 大店の息子
役者 唐沢

同時収録作品カムバック・スイート・ホーム

テッちゃん 金持ちの息子
善ちゃん 売りをする幼馴染

その他の収録作品

  • 龍の引っ越し
  • おまえ百まで
  • あとがき

レビュー投稿数17

時代もの短編集

作者さん麗人デビュー作だそうです。
地に足のついた人間関係を描かれるイメージなので、麗人でどんな?と思ったのですが、持ち味健在でした。

表紙から分かるように時代もののお話が多い短編集です。
どれもただハッピーエンドという単純な言葉では表せない人間劇になっていて、短いですがしっかりストーリーが作り込まれていて読み応えがあります。

器の大きい手習の先生と、恋愛不器用な歌舞伎役者のお話や、吉原を舞台に、将棋を介した真剣な恋の駆け引き、兄の死後訪ねてきた青年、婚約者と弟を見守る女性など、どれも読後余韻を残す物語でした。

0

言葉が胸に残る作品ばかり

時代物ばかりの短編集。
どの作品も言葉選びや使い方が素晴らしいです。

【このよのはじまり】【このよのおわり】 萌2
女形役者の佐根市と、幼馴染で手習い塾の先生をしている善介。
女性を演じるからには女性を知らなければならないと、さまざまな女性と睦み合っては、相手の感情を芸の肥やしにしてきた佐根市が、唯一、芸に変えられなかった心は…、という話で、何度も繰り返される「心を芸に変えてきた」というモノローグが、ものすごく効果的。
善介の10年の想いを体現した芝居、さぞかし素晴らしかったんだろうなあ。

【硝子哀歌】 萌2
清次郎と婚約者の敬子、それに敬子の双子の弟の寧(ねい)。
いくら隠しても、秘めても、お互いを見つめる視線に、言葉に、距離感に、滲み出てしまうのが恋。
表現がうっとりするほど素敵でした。

【いずみの如く、】 萌2
吉原で働く番頭の佐治(さじ)と、遊び慣れた「通人」の辻野屋。
「通人」を調べてみたら、流行りの着物に身を包み、教養に富んでいて、遊女たちを虜にする存在だったとか。単なる女好きの常連客とは全く格が違う人だったんですね。
恋だ愛だは信じない世界で添え物でしかない番頭に、女を知り尽くした辻野屋が惚れ込むという構図が良いです。
一歩踏み出す瞬間がすごく粋でした。

【カラスの名前】 神
19才で病床に臥したまま死んだ兄。
大声で泣き喚く兄の婚約者に、辛辣な言葉を投げかけた役者の唐沢は兄の恋人で…。
弟目線で語られる淡々とした寂しいモノローグと、回想シーンの楽しそうな兄と唐沢のコントラストが絶妙で、鳥肌が立ちました。
読み終わったあとに、しばらくページをめくれなくて、後からじわじわ泣けてきます。

【カムバック・スイートホーム】 萌2
幼馴染で、お互いに両親を亡くして天涯孤独。
お坊ちゃん育ちのテっちゃんと一緒に住み始めたものの、仕事が決まらないテっちゃんを養うべく、女装して立ちんぼで稼ぐ善。
切ない!!
こういう昭和枯れすすき的な、ダメなヒモ男に惚れちゃってる薄幸な子に弱い…。
途中、テっちゃん、どこまでだめなやつなんだ!!!っていう怒りが込み上げてくる一節があるので、文字から妄想の翼が広がる方はご注意を。ダメージ喰らいます。

【龍の引越し】 萌2
大火で妻を助けられず、背中に火傷を負った火消しの信。
それ以来、妻の月命日の14日に、毎月蔭間茶屋に来ては念者(年長者とあったけど、今で言う攻め?)を買うようになって…。
臥煙の青年が言う「死にたがり」に関する言葉が、信だけじゃなく、自分を置いて逝った兄にも言っているようで胸に刺さりました。深いです。

【おまえ百まで】 萌
表題作からさらに10年経った佐根市と善介。
痴話喧嘩も芸の肥やし?

全部の作品にそれぞれ1000字くらい書きたかった…。
それほどまでにどれも深くて、胸に残る作品ばかりでした。
未読の方はぜひ!

0

「恋」に因む短編集

全部善かった、絵が綺麗。

ほくろや流し目など、歌舞伎の佐根市シリーズは、体の描写、全体のデッサンが正確で、演技の決ポーズが綺麗で楽しめます。
背景の描き込みは、ほぼ省略されていますけど、背景より人物の視線や仕草、さり気無い台詞に重点を置いたのだと思う。「カムバック・・」の東京タワーなんて、三分の一しか描かれてない。

他の短編も、筋書きが人情味豊かな内容で、胸が詰まります。
特に切なかったのは、死んだ兄の秘めた恋を描いた「カラスのなまえ」。
19才で亡くなった兄は、恋人がいることを弟にだけ少し話していた。
兄の葬儀に、舞台衣装のまま駆け付けた兄の恋人が訪れる。
弟が「小さなカラス」に気付いて短い挨拶を交わす。
その後どうなったか気になるけど、ここでオシマイだから、惹かれる。

次に印象深かったのは、「龍の引っ越し」
火消だった男の背中の入れ墨は、龍の姿にかぶさる火傷の跡がある。
火事で亡くした妻の最期の言葉が辛くて、火消の纏を持てなかった男が、生き直す話。

どれも綺麗すぎる展開で、遺される人が抱える悲しみが沁みて、泣けます。

思い切りよく余分を削り落とせる短編の良さを生かした構成で、結末を読んだ後の余韻が良いです。こういう造り込みを耽美風というのかな。
---
内容:*は、善介と佐根市の話。
このよのはじまり*
このよのおわり*
硝子哀歌
いずみの如く
カラスの名前
カムバック・スイート・ホーム
龍の引っ越し
おまえ百まで 書下ろし*

あとがき
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0

じわじわくる時代物短編集

江戸〜昭和戦後までの時代もの短編6本。
萌えが少し増えた気がします。

表題作。
十年間片思いしていた相手が実はそれを知っていて、相手も好きだったけど黙っていた理由が粋ですね。
善介の懐が深い。
一見にこにこした優男だけれど、男前だな〜と思いました。

硝子哀歌。
大正時代の華族?の2人が、姉のはからいで家族を捨てる話。
2人が愛し合っているさまを第三者が語るシーンがよかった。
あと、姉がいいですね。

いずみの如く。
江戸時代、吉原の遊び人が番頭に惚れる話。
全くその気がなかった番頭をどうやって落とすのか興味津々に読みました。
おもしろかった。

他作品も、それぞれ地味だけれど、じわじわくるいいお話です。

0

江戸〜昭和

時代背景が江戸〜昭和のお話をまとめた短編集です。

どれもストーリーは大変面白いのですが、惜しむらくは絵でして。たうみまゆ先生の絵柄は決して嫌いではなく、むしろ好きなぐらいです!表紙も好き!
ただ、お話が艶っぽいものが多いので、これでストーリーにあった華のある絵柄だったら、おそらくもっと読まれることになったであろうと思うのが口惜しい。演出次第ではストーリーの深さが更に伝わってきたと思う。
そういう意味でも麗人っぽくないな。

ラスト描き下ろし、いつも、いつまでも上手な善介さんがいいですね!

1

江戸・明治・大正・昭和(戦後すぐ位)とバラエティ豊か

江戸・明治・大正・昭和(戦後すぐ位)という時代背景ばかりのBL短編集でバラエティに富んでます。
江戸物はちゃんと粋に感じられるところがあり、時代物を読んでいるという満足感が得られました。

特に気に入ったのは以下。
表題作【このよのはじまり/このよのおわり】
人気女形と手習い小屋の先生、幼馴染同士の話。
幼馴染への気持ちが恋心だと気づいて以来、10年間その思いを全て芸へと変えて人気女形へと成長した左根市だけど、この幼馴染のほうが役者として一枚上手じゃないかと思うほどでした。
一切そんなそぶりを見せず心に秘めていたのは役者の左根市に惚れ込んでいたからであって、その肝の座りようがすごい。
最後の【おまえ百まで】は彼らの10年後を描いています。名女形が尻に敷かれている様子が描かれていて、やはり幼馴染の先生のほうが一枚も二枚も上手だと実感。

【カラスの名前】
明治時代。病で亡くなった兄を振り返る弟視点のお話。
「生まれ変わったらカラスになりたい」と言っていた兄は19歳の 若さでひっそりと生涯を閉じた。誰かと恋をしたらしいということ位しか兄のことを知らない弟の前に弔問客として現れた青年。
その青年とカラスが繋がるところが・・・涙、涙。

自らの死期を悟っていたお兄さんは自分の病んだ肉体が魂の牢獄のように感じていたのではないか、死んでようっやく自由になってカラスになって飛んでいけたのではないかと思うと泣けました。

作者さんがあとがきで「一昔前の王道お耽美BL」を描こうと思ったとあるように、決めどころがしっかりあって読み応えがあり、とくに江戸時代の話はどれも粋な決め方が上手だなと思いました。
ただ非常に残念なのが絵に艶やかさが感じられないこと。
明治、大正、昭和モノのお話だとストーリーと絵の違和感は感じないのですんなり読めるのだけど、江戸時代のお話は遊郭や女形など艶やかな題材を扱っているのに匂い立つような艶かしさや湿り具合といった含みが絵にないので、そこが勿体ないな、と。



1

それぞれの時代

初めて歴史物のBLを読みました。
幼なじみ物が好きなので表題作の江戸幼なじみカップルが気になり購入したのですが、江戸時代ならではの描写や(歌舞伎役者)の恋愛観など、現代BLにはない要素がたくさんあって良かったです。

攻めは凄くヘタレで幼なじみに想いを伝えるまで相当時間がかかっていますが、受けは攻めの想いを知りずっと待っていてくれたり、思いが通じ合ってからもずっと男前でした。

10代、20代、30代と章ごとにどんどん時が流れているのですが、自然に違和感なく2人の半生が描かれている感じでした。私は表題作が1番好みです。

その他短編は切ない雰囲気のものが多かったです。
江戸の火消しや昭和など、どれも今とは違う時代だからこそ生まれた恋愛の過程が読めました。

3

どこかで見たような

この作家さんは初読みです。
絵の感じといい、お話といい、よしながふみ作品のようでした。
あの雰囲気が好きなら好きかも。

短編にしてはそれぞれ中々濃い内容でよかったんですが、だからこそもっとしっかり書き込むか、いっそ完全に匂いにするか、まとめ方のさじ加減が惜しい!と思いました。
それぞれに印象に残るシーンはちゃんとあって、おお!となるんです。なので、あとはその余韻の残し方が私の好みには合わなかった、というだけです。
表題作の二人のおまけが最後にあって、すっかりバカップルになっている明るいラストは好きでした。
そういうものも含め、やっぱりよしながふみ作品ぽいなぁと思ってしまいました。

3

なかなかにしっかり時代物

たうみまゆさんの絵柄が可愛らしいので、
少々アニメちっくな印象も無きにしもあらずですが、
なかなかどうして、男性のチョンマゲなど、
しっかり時代背景を表した絵が素晴らしいなと思いました。

割と頭の剃った部分をごまかした江戸ものって多いですもんねぇ。
絵的に萌えないからチョンマゲものって少ないのかな。
個人的には時代物にはその時代の風俗や言葉を取り入れたもののほうが好きなので、
この作品の言葉や服装も時代になぞらえてあるところが気に入りました。
(某銀河系江戸漫画みたいな無茶な設定だと逆に全く気にならないですがw)

表題作『このよのはじまり』『このよのおわり』
攻が芸事をしているという設定が私好み♪
恋をして芸事に深みが増し、成長が見られるっていいですね~。
そして受けさんのほうが攻めさんの恋心を知っていながらも、
相手が自分の気持ちをきちんと伝えられるようになるまで待つことができるところが好きでした。
相手の気持ちを知っていても、芸事の邪魔にならないよう、どっしりと構えて待てる受けさんに拍手。

他の作品も基本的には時代物ばかり入った短編集でした。
どの作品も時代背景を大切に描いていらっしゃるところに好感が持てました。

6

時代物つめあわせ

表題作から他収録作に至るまで現代で繰り広げられるお話はひとつもなく、全てそれぞれの時代でのBLストーリーです。個人的に「硝子哀歌」が好みですが、それは追々。
いずれも世が世ですので、同性同士の…ということにあまり抵抗がない世界です。けれどもそれぞれが恋に苦しみ、悩み、悶々としていました。愛とか恋とか、「このよのおわり~」の佐根市が思うように「ただ『抜き挿し』」するだけではありませんし、悔やんだり羨んだり恋慕するのはいつの世も同じですね。

表題作【このよのはじまり】【このよのおわり】
今の世ですと16歳なんてまだまだ子供ですのに、江戸時代となると大人同様の扱いや振る舞いですね。佐根市が 恋 とは 愛 とは、そうしてそこから生まれる 艶 がなんであるかや 色目 なんて知らなくても当然なのだろうな。
なにも知らないように見せて、すべてをお見通しのままじっと、佐根市からの覚悟を待っていた善介の心意気は男前だと思いました。そうして【おまえ百まで】で書き下ろされているふたりのやりとり、善介は完全に佐根市の手綱、握っていますね(笑)

【硝子哀歌】
短いお話ですが個人的に一番好きです。許されない関係、双子の姉弟、許嫁、舞踏会!
敬子がはじめからその気であったというのが「灰かぶりよね?」で分かるのか…とじんわりキます。夜の12時きっかりに、魔法は溶けてしまうから。かぼちゃの馬車で王子と共に…。
ラストで、敬子が寧のハイヒールを履くシーンが特に好きです。こちらのお話では主役ふたりよりも、姉・敬子の気持ちが沁みました。

【いずみの如く、】
モノ好きな若旦那。吉原の世界で、こういうこともあったんでしょうか。

【カラスの名前】
死に至る病が山ほどあった頃。
恒夫には心を開いていたんでしょうね。そうでなければカラスの話をしようとは思わないから。心から愛する人と、永く添い遂げ墓に入ることが難しい時代だったと思うほど、切なくなります。

【カムバック・スウィートホーム】
なにもかもが進化する時代、急発展しはじめた街。だからこそ、テレビを買おう、家をつくろう、家族になろう、と語りかける姿が印象に残ります。

【龍の引っ越し】
纏い持ちの立ち姿がかっこいい…!
生きることがどうでもよくなってしまった信の、どこを捉えているのか分からない目が、藤助同様こわいと感じました。生に執着しないからこそ、死の訪れをも受け入れてしまいますよね。それじゃ、お龍がなんで生かしてくれたのかさえ分からなくなる。
立ち直ることができたのも、また纏を持って屋根に立つことができるのも、そうして龍を背負うのも、生きようと思えるから。藤助の男気にそりゃもう惚れてしまいます。

どこかノスタルジックな香りの漂う一冊でした。
胸の端をカリッと掠めるような侘しさもあって、不思議な感覚です。
短編集ですので、一作一作は短いですが、少しずつ様々な時代をつまみ食い出来ました。

7

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