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kuse ni naru eki
少ないページ数を生かしきったという点で、爽快と言ってもよい掌編です。
内容は、爽やかさからは程遠いものの、美しい絵が紡ぐ退廃的な物語が、これ以上長くても短くてもいけない、読み手の呼吸にぴたりと合わせて終着するのが、本当に心地良い作品です。
途中でオチに気付いてしまいましたが、それさえも、語り手には織り込み済みではないかと思わせるほどの、完璧な話運びです。
これは是非、単行本にまとめて頂き、私の本棚にお迎えしたいものです。
こちらのレビューで初めて知った、辰巳ドロ子先生のお名前を、覚えておかねばならないと思いました。
「君の血は…何かおかしい」
見るたびに包帯が増えていくクラスメイトの直樹。
苛められているのかと心配した哲也が聞けば、
なんと家庭教師に血を舐められていると。
家庭教師が言うように、本当に直樹の血には中毒性があるのか。
エスカレートしていく家庭教師の性的虐待を
見かねた哲也は、「俺が舐めて確かめてやるよ」と…。
まるで怪談話のような奇妙な味わいに、
ラスト1頁の衝撃的な展開に「え?」と呆気にとられ
本当に何とも言えない(しかし後を引く)読後感。
これから直樹はどうなってしまうのか。
一体直樹が何をしたというのか。
直樹に待ち受ける未来に暗いものを感じさせながら、
本当に唐突に(そして理不尽に!)
幕を閉じる本作品は
人によって好みが分かれることと思う。
しかし、17ページという短編形式が存分に生かされた
迫力あるラストで、強い印象が残ることは間違いありません。
フルカラーは、いつもながら少し暗いレトロな色調で、
だからこそ真っ赤な鮮血が余計に鮮やかに見える。
時代設定は明記されていないが、
カラーバランスや、物語随所に出てくる暗い設定から
(直樹の両親は目が見えないこと等)
やはりなんとなく昭和以前をイメージさせる作品です。
フルカラーにつき鮮血注意(特に表紙)。17ページと短い中でもストーリー性があってきちんとまとまっているので、辰巳ドロ子さんを初めて読むのに適した作品だと思います。ガロ系好きにはたまらない作家さんです。現時点で発行されているすべての作品を読みましたが、BL的なハッピーエンドは皆無に等しく、今後もあまり描かれないのではないかと思います。バッドエンドだったり哀しい終わり方だったり、読者によって意見が分かれるような曖昧な終わり方だったり、予定調和の大団円を描かれる作風でないことは確かです。カラー原稿はもちろん白黒原稿もハッとするほど美しいので、『恋文』など他の作品も覗いてみることをお勧めします。
私は全く知らない先生ですが、mayonnaiseさんのレビューを読んで興味を持ちました。
rentaのためし読みをしたところ、絵が好みで、話も続きが気になります。
電子書籍は好きではないのですが、これは購入するかもしれません。
mayonnaiseさん こんばんは
辰巳ドロ子さん良いですよね!
最近ファンになって、新作を楽しみにしています。
この独自性をどう表現したらいいのかな~と考えていたのですが
そっか「ガロ系」…ぴったりの表現ですね☆
ちょうどレビューを考えていたところに、mayonnaiseさんが的確なレビューを上げてらしたので、嬉しくなってコメントしてしまいました(*゚▽゚*)