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決着がつかない良さ、というものが世の中にあるのは重々承知です。
サクラダファミリアも完成しないから、人々の興味を引くのであって、完成してしまったら、有名な観光地のひとつというだけの、唯一無二ではなくなりそうだし。
でも、曖昧な中にも、もう少し、行き先を示してくれるような何かが欲しいときもあるわけで。
そんな気持ちになる表題作と、もう1CPが収録されています。
【君の喜ぶ顔がみたい】(3話)【ある晴れた日に】
近所の子供たちに「幽霊屋敷」と恐れられる屋敷に住む、没落貴族の末裔・白泉。
彼がある日出会ったヒタキという不思議な青年との触れ合いを通して、少しずつ自分の殻を破っていくストーリー。
気になることや思いついたことを「やらない理由」なんて考えずに飛び込んでいくヒタキは、好奇心旺盛な少年のようです。
そんなヒタキに引っ張られて、「やらない理由」や「だめな原因」ばかりを並べ立てていた白泉の視野が広がっていくのが楽しい。
「一緒にいて楽しい」という気持ちから人として「好き」は分かるけど、性的な「好き」につながるのが、いまいち説得力がなかった気がするけれど、芸術家相手に理屈をこねても無駄ですね。
自分もヒタキのようになれたらいいなあと思える、楽しい作品でした。
【泣いたカラスがもう笑う】(2話)【カラスの勝手でしょ】
ううーーーん、勝手すぎる…。
しかも決着がつかない…。
白黒はっきり派の方はご注意を。
惚れっぽくて、自分のことを「かわいい女子」だと思い込んでいて、ノンケ男子に連敗中の友人・烏丸に、毎度恋愛話を聞かされる南。
「涼しげ美形でノンケがいいなら、南くんぴったりじゃない」という烏丸兄の一言で、「どうして自分はスルーなんだ?」と疑問を抱いてしまったところから、話はおかしな方向へ。
好きだけど、友人の枠を壊したくないから、似た人を追うのか。
曖昧なまま、ふわーっと終了します。
南くんはMではないかと思います。
収録順が逆だったら、と考えると、それはそれでナシなんですよね。
先にすっきりと楽しく読める作品があって、表題作で謎かけのような読後感を味わう。
これで正解と思うけど、もうちょっと何かが欲しいと思ってしまう。
そんな1冊でした。
二つの作品が収録されていますが、それぞれ趣きが異なっていてどちらも好きです。
【君の喜ぶ顔が見たい 1 2 3】【ある晴れた日に】
作曲家×没落貴族のリーマン
ある日、亡き父からもらった思い出のコインを排水溝に落としてしまい焦る瑛正。それを見かけた青年・ヒタキは雨の中一緒にコインを探してくれて…。
瑛正の背景にある没落貴族。時代物ではなく現在に生きるリーマンなんです。
財力はなく「名家」なんてもはや形骸化しちゃってるけど、誇りや血といったものを忘れず気高く生きる祖母にやんわり鎖を繋がれているような日々で半ば諦めたような面持ちで過ごしていた瑛正。それが音楽家ヒタキと出会って彼の生き生きとした感性に触れて、固く凍っていた瑛正の心がヒタキの作る音楽とともに少しずつ揺れ動いていく様子が描かれています。
そして家と自分のことを見つめ直した末の「これが僕の家族なんだ」という言葉がいいです。だけどやっぱり自分に課せられた「血」のために愛するヒタキと諦めようとした瑛正と、俺は諦めるつもりはないからお前も諦めるなといって別れたヒタキ。
【ある晴れた日に】でまさかのお祖母様と茶飲み友達としてヒタキが仲良くなっているところが好き。ヒタキって男前だなぁと。もうただただ惚れるしかないです。
そしてそこには外堀を埋めていく狡猾さみたいなものは感じないんです。(そういう下卑た考えはあのお祖母様なら絶対気づくはずなので)
強引さは全く感じさせないのだけど、穏やかにかつひたむきに(コインも決して諦めずに探し出してくれたし!)いつのまにか受けだけではなくその家族そのものも笑顔にして包み込んでいたような包容力、しかも全く押し付けがましくなく自分が好きでやってるんだといったような独特の超自由人さみたいなものを感じさせる攻めの魅力が良かった。(言葉にうまくできないのが悔しい!)
祖母も夢見たものと失ったもの、この狭間で生き続けてきた女性なんだけど、それを決して悔やまずに気高く生きてきた人物としてお話に不可欠な存在でして、お上手だなぁと。
【泣いたカラスがもう笑う】
いつもノンケに果敢に恋をしては振られて泣きついてくるゲイでオカマの烏丸。そしてせっかくアドバイスしてもちっとも聞く耳持たず、懲りずにノンケ相手の不毛な恋を繰り返す烏丸にうんざりしている南。
ある日、バイト先の店長(烏丸の兄)に「涼しげ美形のノンケなら南くんがぴったりなのに、なんであいつ南くんはスルーなんだろう?」と言われて、確かになんでだろう?と気になり始めちゃう。
だけど下手に聞いてしまうと、まるで自分が烏丸のことを好きだと思われてしまうからそれだけは避けたいと思っていたのに、熱中病で朦朧としていた最中、「なんでお前オレの事好きになんねぇの?」と言った直後に後悔するような最悪な聞き方をしてしまい…。
それまでオネエ言葉だった烏丸が「誰がお前みたいなへぼいカマ野郎好きになるんだよ。」と南にいなされた直後に「犯すぞコラ」とオス全開で迫ってくるところが好きです。
そしてまさかのノンケと付き合えるようになりウッキウキの烏丸にモヤる南と、憧れのイケメンとのデートにちっともときめかない烏丸。
南は微妙に自覚しつつあるんだけど、烏丸はまだ無自覚な状態で終わってて、この二人の続きが読みたいな。
やっぱり糸井先生作品、大好きです。
前半は作曲家ヒタキ×没落貴族リーマン瑛正。もどかしくて切なくて。攻めのヒタキ君が頑張ってくれるからこそなんとか成り立っていける関係性とか、ちょっと頑なな瑛正が徐々に解けていくとことか、ホントにうわわわわぁと心が満ちていきます。
後半はノンケイケメン好きのゲイ烏丸×ノンケの親友南。こちらも、まあ、こりゃもどかしい。最後までもどかしい。
糸井先生特有というのか、本人は受け属性なんだけどカッコいい男子な攻め。そしてうまくいかなくてモダモダ。たまりませーん!性癖のさらに奥の部分を乗り超えた愛の成就を感じます。
ハッピーエンドですが何しろ先生の作品全体にかかる切なさが、とにかく好きです。
特に後半CP、続きを期待してます!
個人的には、エロ無しほのぼの系のイメージが強い糸井先生。
表題作は、幼なじみの、くっつきそうでくっつかない、無自覚なすれ違いを描いた、ゆるめのギャグテイストの作品。
一応、ノンケの主人公の方は恋愛感情に気づき始めているが、一方のふられてばかりいるゲイキャラくんの方は無自覚で、ゲイキャラくんの兄にはバレバレで面白がられているところで終了。
この続きって描く予定があるように後書きあるけど、描かれているのかな?結末はどうなったのか、コミックスにはなってない?
元々、糸井さんの絵が手書きっぽいアート系なので、この作品でもギャグ顔と普通顔はきわめて自然で自由に行き来するのでで読みやすい。
コミックスの前半分は全く味わいの違う作品。
没落華族の末裔と現代音楽家のお話。
私はこっちの話の方が好き。
読み逃していた一冊。
表題作はあとがきによれば、この続きとしてまだまだ先のお話が用意されているようです。表紙のような雰囲気を予想しながら読むと、ん?という感じではあるけれども、私は好きです。読者は、彼らのわからなさそうでわかる、そんな感情そのものを楽しめると思います。
作者のあとがきもワクワクする楽しみのひとつ。
ところでこの本は、一つ目の作品『君の喜ぶ顔がみたい』が...いやもう涙でした。これは何も語らない方がよいと思うのですがやっぱりなにか書いておきたい。この作品を読み終えた時点で私は一度本を閉じました、そのまま続きを読めそうになくて。お茶を淹れて一服、頭をからっぽにして表題へと移る。そんなことは久々だったなぁ。
純粋に絶品だと思います。
レビュータイトルはこちらに向けたものです。
運命や絆が存在するとすれば、そういうものの最上級クラスのなにかでつながっていくふたりのお話ではないかしら。頑張って「つながっていこうとする」ふたり、のほうが近いかな。個人的に、壁をぶち壊す系のストーリー展開がなにより大好物なので、こちらは迷わず好きな系統だったとは思います。けれどこの作品がめずらしいところは、ぶち抜く役が出逢いのシーンから一貫して迷いがなく、穏やかにかつ力強く攻め入り続ける。ぶち抜く役の行動はあまり描写がないのですが、その分すべてが想像できるほど強烈な印象(超自由な芸術家)で、気が付いたら完全に陣地に入られているのが不思議と心地よい感覚を残します。納得のラスト、主要人物が同じ場所で皆笑顔になれる、こんなに素敵なことってないかもしれない。深く沁み入る作品だと感じています。
ラストのモノローグは誰の心にも光を灯すものであってほしい。
表題作より「君の喜ぶ顔がみたい」の方が長いですし、最初に収録されているので、読んでいて「あれ?」と一瞬なりました。
没落した貴族というので、昭和初期とか思いきや、パソコンが登場して不思議な感じがしました。ほんと、この作者様の作品は、嬉しい方に予想を外してくれます。あまりちゃんとしたハッピーエンドの作品って印象がないのですが、これは書き下ろし「ある晴れた日に」まで読んで、ほっとしました。
「泣いたカラスがもう笑う」は、書き下ろし「カラスの勝手でしょ」のマスターがそのものの感想を言ってくれていて激しく同感でした。じれったさに、見てるこちらがときめきます!
余談ですが、南の友人が気になります。他のコミックスに出ているキャラだったら面白いのですけれど。
非常にかわいい|●´∀`)ノ)ナンダコレw
表題作「泣いたカラスが~」のほうが後半に収録されているわけですな。
なるほどなるほど。
惚れっぽい上に、かなわないノンケにばかり恋してしまうオカマ。
毎度毎度、好きだと浮かれては泣きつかれて恋バナを聞かされる主人公。
この二人の掛け合いがかわいくて好き。
いつの間にか日常になっていたこの関係。
ノンケで、しゅっとした男前が好きならなんでお前のこと好きにならないんだろな。
の一言がきっかけで、「え?あれ?そういえば・・・」から始まるなんだか複雑な心理描写がなんとも言えず良い。
気づかなければよかったのか、あまつさえいつかは結局なのか。
気になってどきどきハラハラしてしまう地点でそれは「アリ」なんだろうなと思うのよな。
攻守はどちらかといえば、オカマ攻希望w
オカマちゃんの、突如見せる“男”のギャップに萌です。
普段のクネっとしたオカマちゃんが・・な押し倒し!いいと思う!
ノンケはにゃんこな方がかわいいと思う。
続編も出るようなので、首を長くして待ちたいと思います。
さて、打って変わっての前半。
身も心も束縛されて、かごの中の鳥だった主人公が
みつけたひとつの光~な雰囲気というんでしょうかな。
雰囲気的には好きなんだけれど、いまいちインパクトが弱かった。
可もなく不可もなく。かな。
雰囲気ある作風の作家で、感動できそうだったので購入。
前の作品でも思ったけど、実はこの御方のイラストが苦手かも……
ラフな絵の部分が結構多いのですが、そういう部分の線の描き方とかキャラの表情とかが好きじゃないんですよね…。
ここぞというシーンの表現方法はキレイだし好きなんだけどな……それ以外の相性が…
■君の喜ぶ顔がみたい/ある晴れた日に
大人同士。
無愛想だけど甘えたがりの作曲家×没落貴族の末裔の優等生
親の形見のコインを側溝落とした受けを、通りすがりの攻めが助けてあげたのがきっかけで、親しくなって恋をする。
無愛想だけどとっても親切な攻めがよい。
しかし、没落貴族といえども一般人からしたら育ちがよくて、お上品で優等生タイプの受けはいまいちでした。
こういう性格のキャラはあまり好きじゃないので。
一見無愛想っぽいけど実は親切で甘えたがりで、意外と人付き合いが上手い攻めキャラがいい味だしてくれてたので、そこはよかったです。
■泣いたカラスがもう笑う
女子力の高いオカマ×意外と執念深い幼なじみ。
どっちもそこそこ面倒くさい性格の二人の話。
恋話しかしない強引でマイペースなオカマが8割方うざい。
残りの2割はというと…
ノンケに惚れるくせに幼なじみの自分を恋愛対象にみてないオカマにちょっと腹がたって意地の悪いことを言う受けに少しキレて、軽い復讐のために「犯すぞ」って迫ったのがめっちゃカッコ良かった!
オカマキャラが不意打ちで「男」に戻る時がめっちゃ萌えるので、ここはツボでした!!
いつもこのノリでいればいいのに…とオカマちゃんのアイデンティティをガン無視した欲望を抱いてしまったほどです…(´ー`A;)ゴメン
ただ、初回はふつうに男の子っぽさがあった受けが、2話目からまつげが強調されて『カワイさ』が増してたのが逆に残念でした。
男の子っぽい受けがよかったのに、受けっぽい受けにされてる……!(>_<)悔シイ…。。。
あと、どうでもいいけど脇役のロン毛キャラ(攻めの兄)が苦手だったな…
もっと普通のお兄さんでもいいのに…なんであのルックスなんだろ…?
まあ、それはいいとして…受も攻もどっちもけっこー面倒くさい性格なのであんま好きなキャラじゃなかったですが…
続きが出るようなので、たぶん買うと思います。笑
しゅみじゃないとは思いつつ購入予定という矛盾。人間て不思議。どうなったかは気になる程度には面白かったということか、な…?^^;
《個人的 好感度》
★・・・・ :ストーリー
★・・・・ :エロス
★・・・・ :キャラ
★★・・・ :設定/シチュ
★★★・・ :構成/演出
不思議な感覚に陥りました
これは、良い意味でです
イラストには抵抗があり
なかなか読む気にならなかった
この作品
雑誌掲載時にもしっかり読むことはしないで、めくるくらいな感じでした
マスターの髪型がツボだったくらいで・・
コミックになってなぜが、急に読みたくなりました
・泣いたカラスがもう笑う
互いに近過ぎて気がつかなかったパターン分類ではありますが
その描き方がおしつけがましくなく、まわりくどくなく
読みやすい
続きがあるのかわかりませんが
個人的にはこのまま終わってほしい
・君の喜ぶ顔がみたい
この作品が不思議な感覚
久しぶりに感じる不思議な気持ちになりました
いつぶりなのか、何に似ているのか思い出せないのですが
何かの作品に似た感覚をうけました
没落貴族の白泉さん。。。
風貌からして怖い
気持ち悪いなと思ってしまった記憶が蘇ったのですが
しっかり読んだ後には、色気に感じました
人の印象ってすごい
唐突に出会ったヒタキさん
彼がとにかく、行動的で素晴らしい
でも、ヒタキさんが、白泉さんをどう好きになっていったのかは
全くわかりませんでした
ヒタキの口調や行動
生活スタイル、外見
何がヒタキなのかちょっと
不透明でした
音楽を作る方のようですので
そういった芸術肌の系統なのかな
ヒタキ側のことはわからないままですが、白泉さん側のことは
よくわかりました
不器用ではあるけれど、慎ましく粛々と運命と生きている
白泉さんに幸せになってもらいたい
2作目を読み損なってることに今気づいた。
これは3作目なのですね。
デビュー作が重たいお話だったし、木原さんの臭い男の話(タイトル失念ですみません)のコミカライズをされると聞いていたので、これもまたてっきり重く暗い内容なのかなと思っていました。
表題作の前に収録されている「君の喜ぶ顔が見たい」これ、ええ話じゃった~。
没落貴族リーマンの白泉様が、小さなアクシデントをきかっけにヒタキという男に出会うのです。って、今するっと没落貴族リーマンって新ジャンルみたいに言ったけど、そういう設定なんだもん説明は割愛いたす。
初対面なのにいきなりお前呼ばわりでほぼ命令口調のヒタキ。お貴族様に対して!いや貴族ってことは当然知らないんだけど、そんな無礼な振る舞いなのに、不思議と厭な印象を持たないんだなあこれが。
小学生がそのまま大人になってしまっているような男だからかもしれません。
抑圧され窮屈で色のない毎日を送る白泉の日常に、ぐぐいっと入り込んできたヒタキの存在が、淡い色を落としていくような優しいお話でした。何度も読んだよ。
そして表題作ですが、仲いいんだか悪いんだか微妙な南と烏丸のやり取りが面白い。
でっかいオネエの烏丸は、ノンケ男に恋して振られるたびに、唯一の友達である南に泣きつきにくるん。
自分を可愛い女の子とでも思ってキャピキャピしてる烏丸は、ちゃんとしてれば背も高くイケメンってとこも肝。
そしてなにより楽しいのが、時々ふと男になるとこなのですよ。
南が倒れたときなんて「ねえっ!!大丈夫?」じゃなくて「おいっ!!大丈夫か?」と、こっちが素なのではと思わせるとこが憎いです。
ふざけて南を襲う時も、ものすごーく男くさい。これは久々にオネエ攻めキタかこれ!
あとがきに、まだ続くと書かれていたので小躍りしています。楽しみ。
しかしこの昭和ちっくな雰囲気がとてもいいですね~糸井さん。レトロな感じなのに新しい。
2作目も手に入れなきゃだな。