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jakuzurekousaten nite
およよ、ここ知ってるよ!…というのが、最初の感想。
地名を知らない人からすると、変わったタイトルだなーと思うのでは?
ということで、タイトルは単なる地名です。
(作者の藤さんは、このご近所にお住まいみたいですね。)
単なる地名なんだけれど、その名前や暗渠の上に作られた緑道が
この作品を象徴するイメージになっています。
:
裕福な家に育った龍一は、幼稚園から私立の一貫校に通う高校3年生。
家の近所の、この変わった名前の交差点で出会ったどこか影がある円に
名前もしらないままずっと片思いをしていたが、偶然直接話す機会をもつ。
どんどん惹かれて、一緒の時間を過ごして、でもあまりにも違った環境に育った二人は
お互いに分かり合う事ができず、それを感じているのに踏み込めず、亀裂が入って行く。
好きなだけでは上手くいかないままならなさ、
もどかしくて、痛々しくて、切ない、稚い恋。
「SEXが電気のスイッチみたいに、許可・進行と確実にしか切り替わっていかないのなら
それは多分あまりにも味気ないー」
こんな唸らされることばや、詩的な心に響くセリフが散りばめられ、
透明な世界を描き出している。
円の父と叔父の関係や父の病気に関しては、かなり早いうちに想像がつく。
その重さを思うと、円が哀しくて愛おしくてならない。
それを苦労なく育った高校生が計り知れなかったのは、当たり前だと思う。
そして数年の時間が経っての再会。
お互いの想いが、それこそ暗渠の水のように流れ続けた果ての必然。
ファンタジーかもしれないけれど、そう思えて涙が流れた作品でした。
※オマケ
http://wiki.livedoor.jp/r32_takacyan/d/%BC%F7%C5%F2
http://www.geocities.jp/the_traveler_of_wind/setagaya/s100k/021_030/024_setagaya.htm
藤さんのファンですが、ここ数作、微妙なのが続いて。
でも、これはあたりでした。
ツボ直撃です。
やっぱり、藤さんっていいなと再認識しました。
いろいろスペックが高い攻めはヘタレでストーカー体質、受けは謎めいた雰囲気で、いかにも訳あり。そんなひとくせも、ふたくせもあるような二人なので、うまくいきそうでいかないし、それでいて深いところで通じ合ってるのが伝わってくるのが切ない。
ラストで一気に急展開と思ったら、それでも基本的には人って変わらないな、と思わせる結末が微笑ましかった。
わたしは「アナトミア」や、コミックスの「密告」に収録されている「ゆりかご」という話が大好きなんですが、あれが好きな人はたぶん、好きな傾向の話だと思います。
受けの過去にはいろいろありますが、「アタ」ほど重くないし。
表紙のカラーもよかった。
攻めの片思いの話が読みたい!というのと、表紙が淡く優しいような綺麗な色合いに惹かれました。
話は優しい話というより、切ない感じがします。1回目読んで上手く言葉に出来なくて、2回目読んで悩んで、数ヶ月置いて改めて読んで、やはり言葉で表現出来ない感情になりました。でも嫌な気分では無くて、泣けてくるんですけど良かった・・・とじわりじわりときます。
好きなのに、そしてお互いが好きって気持ちも分かっているのに上手く行かない、もどかしさとか切なさ・・・そういうものも含めてすごく読んで良かったと思える作品でした。
絵柄は線が少し強くて、画面いっぱいに沢山描写されてる感じがしますが、背景やトーンの使われ方がどこかファンタジックでいて、それぞれの気持ちが伝わってきます。
--(以下ネタバレと感想を含みます)--
円(受け)の抱えているものが大きくて、でも叔父さんもお父さんに対しても嫌な印象が全然無かったです。あの年代だと特に大きな出来事がなくても不安になったり、自分のことだけで余裕がないと思うので、龍一の気持ちも行動も分かります。そして円の気持ちも。
好きって気持ちだけでは、どうにもならないことがあるんだよな・・・と、これは大人になっても同じかもしれませんけど。
蛇が出て来るシーン、すごく迫力がありました。
龍一が裕福なあの時代から環境が変わって大人になってこそ「あの時、円の話を聞いてあげれたら」って思って、その後もう一度会えたシーンが凄く素敵でした。
「家には何もないけど・・・でもオレンジがあるよ」この台詞、とても好きです。
何度も何度も読みたくなる作品です。
裕福な家庭で何不自由なく育った龍一となんだか訳あり家庭で育った円
龍一は10年に渡って、交差点で擦れ違う円に片想いをしていたけど、ある出来事がきっかけで急接近します。
初めて言葉を交わした後のとどまる事を知らない高揚感が、体の隅々まで染み渡る水道水やオレンジの芳しさなどを伴ってどこまでも立ち昇っていくように感じられました。
だんだんお互いの距離が縮まっていく過程もその高揚感が続いていて、読んでいるこっちも彼らの心臓の鼓動が伝わってくるようです。
お互いを知っていく過程で、何らか円には抱えているものがあり、それを自分は共有できていない事も判っている。
そういった物を含めて円の事を優しく包み込みたいと思っているのだけど、目の前の恋に夢中になってしまって円の心の奥底までは辿り着けないのは若さのせいか。
そして龍一と円は住む世界が違いすぎるというか・・・
行きつけのビストロやレストランがあり、スーツをあつらえてリストランテへ行く。
オーシャンビューのホテルに泊まって海を眺めながらテラスで食事をとる。(高校生ですよ・・・。)
かたや円は海どころか大きな川も眺めた事がなく、病弱な父と時々訪ねてくる訳ありげな叔父との生活。
龍一は暗渠の上に限りなく広がる美しい世界を見せることでその暗く閉ざされたものの存在を忘れさせようとしたんだと思います。
しかし、忘れるのはいっときに過ぎず、かえってその明るさが自分の抱えるものの暗さを際立たせ、
そして龍一が当然として持っているものと自分が持っていないものの違いに余りにも惨めなものを感じたんじゃないかなと思います。
言葉の選び方、連なり方が詩的でうっとりする箇所がいくつもありました。
それらの言葉の数々と星屑のまたたきが美しい夜空や繊細な絵柄と相まって、ファンタジーの世界を読んでいるような気分になりました。
だから普通なら、二人が初めて言葉を交わすきっかけとなったアクシデントと全くアクシデントが数年後にも起きて偶然にも再会という、まるで昔のトレンディドラマみたいな運命的偶然&再会の手法には萎える方なんですが、この独特の雰囲気のおかげで違和感なく受け入れる事が出来ました。
欲を言えば、二人で何とか打破するみたいな展開が好きなので(二人で支え合う、共依存みたいな構図が好きなので)二人が離れている間に円の悩みは全て解決して、再会した後に事後報告みたいな展開がちょっと拍子抜けしましたが、円の抱えていたものが複雑で、当時の若い二人では手に追えなかったかな。。。。
と考えると、別離の間に問題解決→再会、がストーリー展開としては一番現実的だったのかしら・・・なんて。
あと本当にすっごくくだらないんだけど、円がやってたタンクトップを背中側から掴んで脱ぐというのが目から鱗で試したくなって、わざわざタンクトップに着替えてやってみたらできるもんなんですね!腕がつりそうになったけど・・・
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのがこちらの一冊。
何度も読んで噛み締めたくなるような、まるで詩集のような作品でした。
ちなみに一番気に入った文章は「春の月が妖しく滲んでいる」です。
教えてくださり本当にありがとうございました。
こんなに詩的なストーリーを紡ぐ作品は、滅多に出て来ない。…と思う。
BLとしてある程度「売れる」市場があるとして、ならばこの作品のような「詩的な」作品は「売れる」のかというと非常に微妙なラインと言える。
さて、本作「蛇崩、交差点で」。
タイトルからしてすでに唯一無二。
蛇崩交差点はなんと実在。東京都内目黒にあります。「蛇崩」…なんとも不吉な地名ですよね。
2人の男の子が、恋して、近づいて、すれ違って。
その過程が、川の流れが蛇のような濁流となって周りを崩していくイメージで。
1人の幼い男の子が、ある日可愛らしいコを見て一目惚れする。
ずっとそのコのことばかり考えて、見て、追って。
いざプレゼントを渡したいとなって、相手のコが「男子」と知る。
ショックを受けて、忘れようとするもやはり囚われ。
ある日、こぼれ落ちたオレンジをきっかけとして近づいていく…
10年来のストーキングを自覚する龍は、舞い上がる。
そうして近づく2人。でも円には影がある。
それを見ても若さゆえ自分のことばかりの龍。
何も話してくれない円。円だって自分のことばかり。
…とこんな感じで、「青春」なんですよ。
うまくいかなくて、誤解とすれ違い、ちょっとしたことで舞い上がり、落ち込み。
特にこの2人は、金持ちのお坊ちゃんとワケありの少年。すんなりうまくいくわけもなく。
円の境遇には同情する。のちに明かされる父の病気や叔父との長い不和、そんなものを抱えた円が贅沢な龍とうまくいく訳もないのよね。
ヒリヒリと物語は続き、ついに決別の時がやってくる。好きなのに「お前なんか!」としか言えない円の苦しさと、自分は悪くないのにやはり罪悪感を抱かざるをえない龍の不均衡な立ち位置。
そこから数年の時が過ぎ、偶然の再会。
少年の時は言葉にできなかったあれこれ。今2人で共有する事が出来るようになってからやっと2人は同じ場所に立てた…?
2人のすれ違う心の揺れ。特に円が背負う生きづらさ、人に言えない苦悩。
龍の優しさにすがってしまうひととき。心に蓋をして表面的に楽しい夏の日。
やはり分かり合えてなかった恋人の心。
全てがなんとも詩的で、心が震える。
懐かしの藤たまき先生
この作品は初めて読みましたが、記憶の中の藤たまき先生そのままでした。腕なんか折れそうで薄幸の…ただ口は悪い美少年と、優しいけれど若さゆえの足りなさがある少年のロマンス。
龍は攻められるほど酷いことをしたわけでもなく。家が持ち崩した割には育ちが良かったからか擦れることもなく。円を包み込むだけの心の大きさはしっかり育まれていて、穏やかな気持ちで最後まで読み切れます。
また今作は終わり方が好きで。結局挿入シーンはないんですよ!物理の「1つ」は今晩そうなったかもしれませんが、これから時間をかけて「1つ」になるんだろうなと思うと、それを見せなかったのもまたいい終わり方です。
先生このあとは小説の表紙や、新装版のお仕事しかされていないのかな。一般漫画や百合作品も描いてらっしゃいますね。
すっごく面白かった。これは当たり!
ポエムが散りばめられていて 重い話なんだけど キラキラしています。
最後まで全部読まないと 話は繋がらないのです。
一歩がなかなか踏み出せない攻めと捻くれ者の受け。
繋がりそうで 繋がらない。
お互いの生活の価値観が二人を引き離し それでもお互いを思っているのです。
最後はハッピーエンドにはなりますが 切ない恋が満載です。
父親と叔父の関係が鍵になります。
絶対 読むべし!読むべし!
藤たまき先生の世界観は本当に幻想的だと思う。
そして、この味のある藤たまき先生にしか描けない、この絵がとても好き。
10年ストーカーなんて、犯罪の匂いがするなぁと思ってたんですが、まだ狭い世界しかしらない高校生らしい話だったと思います。
好きすぎて自分の気持ちばかりが先立ってしまったり、本当はわかって欲しいけど口から出る言葉は酷い言葉ばかりだったり……。
それに気付いた時にはもう会えなくて……。年月はたったけど再会できたので良かったです。
円は性的虐待でも受けてるのかと思いましたが、龍に触れられるのをビクついてたりしたのは父がHIVだったからなのかなと思いました。
叔父に嫌われていて殴られたりはしてたけど、それは違うのかなと。
円の父と叔父は恋人同士で海外でヒッピー生活をしたりしてたらしいんですが、どんな恋人同士だったのか気になりました。
円の父はHIVで亡くなったので、号泣するくらいの感動巨編でもあるのかななんて思ったり。
二人が歩いた緑道歩いてみたいです。
なんか、BL版 大人の絵本という印象です。
はじめまして。緑道の紹介ページありがとうございました。
藤たまき先生の世界観は本当に素敵ですね。
二人が歩いた道を少し味わえました。
じっくり、読ませて頂きました。曲がりくねった道がすごく良いです。
水道管のオブジェにはびっくりしましたが、楽しそうな道です。
ありがとうございました。
宮原きの子さま、はじめまして。
私も藤たまきさんの独特の世界観に惹かれているのですが、
この作品もまた高校生の日常を描きながらも
とてもファンタジックな作品だったと思います。
ところで、もしかしたらご存知かもしれませんが
作品の舞台になっている緑道について
区の紹介ページがありますので、貼ってみます。
「蛇足」だったらごめんなさい。
http://www.geocities.jp/the_traveler_of_wind/setagaya/s100k/021_030/024_setagaya.htm
どうすることもできない自分の世界、うまくかみ合わない思い、それらを象徴するかのような蓋をされてしまった川・・・・・・。
若い暴走なんだろうけれど、静かだった。そこがジワジワ切なくて、怖い。
藤たまきさんの世界だなぁって思った。
08年の初出から実に4年かかっての単行本。
『浜矢』の1とⅡの間が5号分空いています。ということは実に約1年のブランクがあったということ。
あとがきでも作者さんが書かれているように、停滞とかつまづいた、とか書かれているので、きっと主人公たちの関係性やあり方に迷いが出たのかな?と察します。
でもちゃんと完結しています。
世田谷が舞台なのですが、あの町並みが、暗渠を歩く主人公たちが印象的でした。
私立の一貫校へ幼稚舎から入学したために、地元に友達のなかった主人公・龍一は、
幼稚園の頃交差点で見かけた、儚げでかわいい、下を向いて歩いている子が気になり、そして好きになり、10年以上その気持ちを持ち続け、ストーカーまがいになって彼を盗撮していたりします。
彼の交差点を通る日と時間が大体決まっているので、ただすれ違うために彼をまっている。
その彼がオレンジを落としたのを拾ったことで、互いを意識していたことがわかり、友達になります。
その彼は、円といい、家が厳しいから、とただそれだけしか知らないまでも、許された日と時間、龍一の家で会うのが愉しみになります。
ある夜突然現れて、激しく激昂している様子を見せる円に煽られ、身体を重ねようとする二人ですが、円のあまりの緊張に、その日は何もなくすごしますが、翌日から円が姿を見せなくなる。
そして、二ヶ月後再会した円は家出をしてきたといい、龍一の誘いで彼の家の海の別荘で夏休みをすごすことに。
最初深呼吸していた円は次第に息苦しさを覚え、そしてある夜かかってきた電話に、龍一に厳しい言葉を投げつけて出て行くのでした。
その後、龍一の家の事業が失敗したこともあり、彼らは音信不通になるのですが、社会人となったある日、円に再会します。
経緯としては、そんな展開で進むお話です。
能天気で、家が裕福なこともあり楽天的でヘタレな龍一。
見た目の綺麗さとは裏腹に影を背負い、何故か尖っている円。
互いにないものに惹かれはするのだと思いますが、いかんせん龍一がぼっちゃん気質なので、気持ちが通じ合った初めての恋愛に舞い上がって、相手の事に踏み込まないのが、スレ違いの原因だったのでしょうか?
いえ、龍一は聞こうともしていましたが、円がはっきりとそれに答えておらず、自分の中に溜め込んでいるのでは?と思われます。
確かに、龍一は円にとって気を抜けて肩を預けたい存在だったのかもしれないですが、二人ともまだ未成年の高校生、互いを思いやったり、気遣ったりするには、自分だけで精一杯だったのかもしれません。
結局のところ、円は自分でなんとかしてしまったような気がします。
そんな、割と主人公たちがそれぞれ、自分勝手に進んでる、そのために二回もスレ違いを起こしたりしているので、
そして龍一視点で、彼のモノローグがかなり多いので、ちょっと一歩通行っぽい部分が大きかったような気がします。
円の抱える問題は、かなり深刻だと思います。
身内にゲイがいて、という話を最初にしているのですが、自分が男性を好きになることについては否定的ではないので、その点が、早い段階ですぐ気持ちが通じ合う要素であったと思われます。
もう少し、円目線の、円の気持ちが知りたかった。
そして叔父との関係も、そうしたら、とても重い話になってしまったかもしれないが、結末への納得ができたようなきがするのにな~と思われます。
龍一については、幼稚園の頃からずっと円が好きな想いをもちつづけた筋金入りの、愛の持ち主ですから、それは揺るぎなくても納得でしたが。。。
それにしてもヘタレちゃんだなぁwwそれが彼のいいところかも。
いい線いってる話なのに、何か惜しさを感じてしまう1冊でした。