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asyura no chigiri
大竹直子先生は、ずっと衆道をテーマにした歴史作品を描いている作家。
特に、衣装や髪型等当時の風俗について仔細に調べて描いていて、好き。
●宇喜多直家:中国地方の三大謀将の一人
『太閤記』では、斎藤道三や松永久秀に並ぶ悪人。毒殺や計略が得意な武将。
(天正7年(1579年)直家は、織田信長や西播磨の赤松政秀と結び、
実際は、毛利氏と手を切り、穝所元常とは敵対していなかった。)
●岡剛介/幼名・清三郎
この作品は、二通りある説の内、衆道で身を起こした美童説を土台に描いている。
宇喜多直家の命を受け、穝所元常の家中に入り、元常を暗殺し帰還。
●備前国上道郡龍ノ口城主・穝所元常(さいしょ もとつね)
美少年愛好家。
▷この作品では、清三郎が、主の密命を受けて暗殺する衆道美談の筋書きになってます。
・織田方に内通する宇喜多。毛利を見限ったことから、
剛介の守る備中忍山城付近は敵対関係となり、暗殺。
▷でも史実では、穝所職経の死は、別勢力(毛利)による暗殺だった:
実際は『中国兵乱記』『新釈 備中兵乱記』に「暗殺したのは、毛利」と書かれている。
・穝所職経は、毛利方への内応を中島加賀守(輝行)へ密通
・離反内通がばれて、職経は毛利方におびき出され、滝へ突き落とされ暗殺。
・城中の穝所氏の配下には「職経が岩を踏み外して滑落死」と称し言いくるめる。
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衆道が絆を深める手段の一つにだったらしくて、
「葉隠れ」にも衆道が書かれてます。
色々調て分かったことが沢山。備中には謎が多いので、面白い。
大谷直子さんといえば時代モノ!
自分は戦国武将萌えはないのですが、萌えに走ったイケメン設定の戦国武将モノより史実に妄想と想像をプラスして世界観を膨らませたこの大竹時代作品が大好きです♪
少し前にQ&Aスレでも時代モノの云々について触れられていましたが、この作品はどうでしょうか?
表題および、その前振りになる「阿修羅の泪」は毒殺・謀殺などで恐れられた亀山城主・宇喜多直家と、その小姓・清四郎の敵将を打ち取るお話です。
ここにはごく自然に衆道が登場し、敵将が衆道を好む者であることから、見目のきれいな、そして度胸もあり強い清四郎が抜擢されて乗りこむのです。
そこにあった驚愕の真実。
決して衆道が中心ではなく忠義が中心になった作りはがっつりと読ませます。
表題において、辛い経験を乗り越え、感情に疎く修羅のような直家がいかに、この清四郎を信頼し会う関係になったのか、このストーリーに、武士の萌えを感じるのです。
清四郎の心の動きに、ベタながら思わず時代モノの良さを実感いたします。
『兇星~眠る狐』はこの宇喜多直家がどうしてこういう人になったのか、その生い立ちの歴史をつづった物語です。
名将といわれた祖父・能家を女にだらしない父親より心棒して尊敬していた八郎(直家)ですが、能家は主家の浦上家の家督争いに巻き込まれ自害してしまいます。
逃げおおせたものの、領地もなく、父親の側室の家にやっかいになる八郎はそこで毒草について学びます。
父親の死と同時に阿呆になってしまった八郎ですが、実は仇打ちの時をねらっていたのです!
作者さんが参考にされた文献などから膨らませて行ったお話ですが、多少史実もふくまれているのかもしれません。
下克上ならではの世ゆえの、それぞれの人生はとても劇的だと思います。
そして、衆道が当たり前のようにあったからこそ、これらの関係が進んでみたり、物語の進展があったりするのだと思われます。
これが萌えなのかどうかわかりませんが、それがある種の腐女子魂を揺さぶる根源なんでしょうね。
決してBLではないのですが、BLとして読めてしまう。
おそるべし、戦国w
休刊になってしまった「戦国無頼」という雑誌に掲載されていた作品だそうです。
作者さんの解説も詳しくのっていますので、とても解りやすい本であると思います。
戦国好きの方には是非に☆