Blue Rose 榎田尤利作品集

Blue Rose 榎田尤利作品集
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神16
  • 萌×214
  • 萌16
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
15
得点
185
評価数
49
平均
3.8 / 5
神率
32.7%
著者
榎田尤利 

作家さんの新作発表
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イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
Blue Rose
発売日
価格
¥1,230(税抜)  
ISBN
9784813012566

あらすじ

青山にある、看板のない『FILAMENT』。
そこでは花のオーダーができる。蘭、白百合、向日葵。
様々な花の一級品が揃っている。店で最も高価な花は青薔薇で――。
愛を売る青年、青の物語が始まる――!
(出版社より)

表題作Blue Rose 榎田尤利作品集

客:高瀬、三津井 /義父:雅弥 /親友:トオル
男娼「青薔薇」 百瀬青

その他の収録作品

  • Sleeping Rose
  • Weeds
  • あとがき

レビュー投稿数15

青の生き方が気になる

極初期の作品を推敲して2012年に発刊した作品。
電子版は、三部構成と合冊版があって、挿絵無し。同じあとがき。
紙版は、3部合冊版と、2001年の「Blue Rose」と「SleepingRose」の二種類。
紙版を破棄して、電子版を購入したら、挿絵が無くて凄く残念。

一度きりしか注文に応じない男娼、
青は「愛を売る」というけど、客から壊されたがる。

愛人契約をした客の家で、幼馴染と偶然遭遇。
トオルは、青の変貌が気になって、青の拠点「フィラメント」を探して青を待つ。
そしてずっと借りていた児童文学書を青に返す。

青の過去と内面を掘り下げる、あとがきに「愛を求める」話とあったけど、
「Blue Rose」は、序盤。
「SleepingRose」では、青の過去。
「Weeds」で、青はやっと欲しかったものを得て救われる。

生き直す物語は、魚住君シリーズと似ている。
この作品、もっと多くの人に読まれても良い作品じゃないかと思うのだけど。

0

青い薔薇の男

榎田尤利先生の初期作品の新装版。
表題作「Blue Rose」、その後をえがく「Sleeping Rose」、そして新装版に追加された完結編的な「Weeds」の3作品収録。

表題作「Blue Rose」は構成がいい。
まず、疲れ荒みきった高瀬という男の描写から始まる。
そこに「贈り物」として高瀬の前に現れるのが美しい最上級の男娼・青だ…
このまま高瀬と青の話が続いてもBL的に普通だけど、この作品はそうは進みません。
呆気なく次の客・医師の三津井と青の姿に続いていく。
ここで、青は本当に「職業男娼」で、客に応じてキャラクターを作る天賦の才のようなものを感じさせる。
並行して偶然会ってしまった青の幼馴染・トオルが絡み、青の抱える過去のナニカが青を侵食し始める。
そして次の顧客・小鳥遊(たかなし)との時間で、完璧に自己をコントロールしていたように思えた青が小鳥遊の思考に引き摺られていく姿を見せる。
つまりは「死」への滑落へ。
死に片足突っ込んだ青を救うのは、トオル。

続く「Sleeping Rose」はその後の青。
トオルに助けられて生に戻ったかと思いきやの、再び壊れ始める青。
レビューではこの後の「Weeds」が蛇足、というご意見があるけれど、私はこの「Sleeping Rose」の方が余計なような気がしている。
青の過去がドラマチック過剰だし、そこから導かれる義父との関係性をことさら「再会」させるのも過剰だし、更には薬物、錯乱、刃傷沙汰にしていく過程もこれまた過剰。
迫力で押されて読むけど、陳腐で安っぽい展開にも感じる。

では「Weeds」はといえば。
物語の展開としては救済編でめでたしめでたしだけど。
表題作の「Blue Rose」の世界観からかけ離れているのが本当に残念。
耽美的な青の魅力。そこは既に片鱗もなく、逞しく生きられるようになった青が描かれて。
それは青にとって幸福だろうけどあまりにも物語の連続性が絶たれているように思う。
「数年後、こんなに人は変わりました」で片付けている。
トオルは今度は青を抱けるの?性愛込みで愛せるの?
そこもクリアされてない。

…と厳し目なレビューですが、全体には面白いと言えるし何より表紙の青薔薇・青が麗しすぎる。
また、BLに女はイラネ派の私ですが、宮乃も翔子ちゃんもいい存在感だった。

0

榎田せんせーぇ!!

またまたトンデモナイ物語と出会ってしまった。古い作品に魅了されているので、どうしてか直感的にヘヴィーなものを引いてしまう。 むしろこういうズンと来るものを読みたいと思っているけれど、こう続くとなんでBLを読んでいるのかわからなくなってくるくらい、打ちひしがれてしまいます。。

ただ一人の愛を求めながら、金で買われた相手に愛を売る高級男娼・百瀬青の物語。青の客が物語の主人公と見せ掛けてストーリーに導入していくツカミが上手い。冒頭、高瀬の自宅に会社の共同経営者からご褒美として遣わされた青が訪ねてくるシーンで既に彼の存在に惹きつけられている。とにかくミステリアスで魅力のある青年なんです。

契約期間を終えると、高瀬の家で偶然青が再会したトオルって一体何者?…気になる謎を残しながら青は次の客、外科医・三津井のもとへ。SMプレイで客の望みを叶えると同時に、悩みも受けとめる青。三津井による調教シーンそのものも楽しませてくれながら、このエピソードに込められている重要な意味が後に明らかになり、登場してくる人物が次々と繋がっていきます。

トオルが通う大学の教員・小鳥遊の客となったあたりから暗くて重い展開になっていく感じ。この時点で一旦、わたしは耐え切れなくなって思わず絶叫しそうになりましたよ…。

「Sleeping Rose」は、青の初恋の人とのドラマが描かれています。榎田先生って、読むのが辛くなるほど激しく揺さぶられるような、こんな痛々しいお話も描かれていたんですね。読後の虚脱感が激しかった。「Blue Rose」に出てきた高瀬が再登場するんですけど、ここではむっちゃイイ男ぶりを見せてくれます。実は作中で魅力的なキャラNo. 1なんじゃないかな。

一番好きな人とはセックスをしなくても心が通じ合っているだけで満たされる。男娼を描くことでそう伝えてくる先生の手腕に、改めて脱帽です。

最後に「Weeds」が収録されていて、この小品によって救われる思いがしました。そこらへんが先生らしい読者サービスなのかもしれません。

6

独特の雰囲気

何処が良いか、具体的な点を挙げられないのですが、何となく全てが良いのです。
好きです。この作品。
物語を流れる空気感というか、全体の雰囲気が今までにない感じです。

あとがきに、主人公 百瀬青が愛を探す物語とあります。
まさしく、それです。
全体を流れる独特の雰囲気の正体はそれなのです。
特定の二人の恋愛物語ではないのです。
普通のBLとは違うのです。

愛を売る男娼の青、その愛を買う人。
そして、愛を売りながら、必死に愛を探す青。
せつないです。

ただ、最後の『Weeds』は、余計です。
これがあるために、無理矢理小さくまとまってしまった感じ。
折角の空気感が台無しです。
いらないわ、これ。
むしろ、表題作だけで良い気がします。


3

薔薇の日々の果てには……

2001年発行の「Blue Rose」と続編「Sleeping Rose」に
書き下ろし「Weeds」を加えた新装版。

看板すら出ていない青山のバーFILAMENTでは、酒だけではなく「花」も売っている。
それぞれの花の名前で呼ばれる、高級娼婦だ。
その中でも最も高価な「青薔薇」こと百瀬青は男娼、
彼は1週間、客の望むものを与える。
性的な関係も含まれるが、彼が与えるのは身体だけじゃない、愛。

美貌の青を買った若い実業家、S趣味の医師……
普通のBLのようにカップルの話が描かれるのではなく、
主人公の青を軸に、人々を描きながら話が進んで行き
やがて青の人生と過去にとらわれて破滅を願いながら生きる心が焙り出されていく。


読みながら感じたのは、デビュー作の魚住くんシリーズと同じ匂い。
勿論全然雰囲気の違う話なのだけれど、かつての榎田先生の匂いというか
今でも実は「交渉人」シリーズなどでもふと垣間見える先生の世界。

青のキャラクターが好きかどうかで、思い入れ度も作品の評価も違うように思う。
私は登場人物のそれぞれに愛おしい思いを持って読んだが、
とりわけ青は好き……というよりも、幸せを祈らずにいられないキャラだった。


本編の10年後を描いた「Weeds」は蛇足、という意見はあるだろう。
それまでと雰囲気も違うとってつけたような不自然さは否めず、
作品を凡庸にしているのも確か。

「Sleeping Rose」のうっすらと希望が見える終わりで充分とも言えるが、
でも、雑草というタイトルが示す青の成長や
彼のはっきりした幸せのありどころを見せてもらったのは、
個人的には嬉しかった。


高階先生の挿絵は美しく、これぞBlue Rose青という感じだが
一方で他のキャラの絵は今ひとつ見分けがつかないというか印象に残らない。
実際には、それぞれ印象的なキャラクターなのだけれど。
特に最後であしながおじさんを買って出た高瀬は、スピンオフがあってもよさそう……
榎田先生は同人誌を書かれないし、ないのかな?


5

彼の「ごめんね」

 百瀬青は、青薔薇という名前で体を売る男娼です。この物語の中でも何人かの男性と体の関係を持ち、その度に心に残るエピソードがあるのですが、私は最初の高瀬との話が心に残りました。

 高瀬はゲイという自分の性癖のせいで、家族と絶縁状態のまま過ごしているのです。酒浸りの日々の中で、共同経営者でもある友人から青をプレゼントされます。
 気乗りではないどころか、青のことを疎ましく思っていた高瀬ですが、青の友人であるトオルとの再会や青の呻きなどから、彼も欠けたものを持っていることを知るのです。

 青は小学生の時からの友人、トオルを避けて会おうとしないのですが、会いたくない人に限って会ってしまうのは何の因果なのかなと考えてしまいました。
昔の青はそんな青ではなかったと、トオルは青を取り戻そうとします。友情と恋愛を取り違えた過ちでキスをしたことは、「俺がジジイになっても忘れない」というのに萌えてしました。
 
 青は時々うなされる理由、彼が男娼を続ける理由が、青の再婚相手である雅弥であることはとてもかわいそうなことに思えたのですが、青の母は何だか全てを知っていたような気がするのです。青が誰かと体を重ねる度に、彼から「ごめんね」と聞こえるような気がして、それは胸が締め付けられるようでした。自分を傷つけてばかりの青に、最後にトオルがいたことが、救い、一番の幸せだったような気がするのです。

3

なんだろう、不思議な感じ。

読後感が「ああ、BL読んだー!」「萌えたー!」って感じのお話ではないんですよね。
もっとなんか深い。
恋愛面よりも青の成長面の方が大きいというか。
すべては青の成長物語だったような気もします。

まず描かれるのは、高級男娼としての青。
客となる人物の望みを叶えるべく自分を変貌させていく。
客にとって居心地のいい空間を創りだす存在。
「愛を与える職業」と語る青。
それでいてどこか愛を欲しがっているのは青のようでもあって。
与えているだけではないような関係。
その危うさ、脆さはSMプレイを好む医師との間でも露呈していきますが、この医師がその一線を見極めることのできる人物であってよかったなぁと心底思いました。
青の根底にある自己否定、自己破壊願望に引きずられることなく、なんとか「プレイ」の範疇で収めることができる人物。
ちゃんと身分の証明された者だけが許される高級男娼のやりとりだからこそ、その見極めもできたのだろうなぁと。
だから、その後の荒れてからの青はその境界を超えてしまうような部分も見てとれて痛々しいです。

それから過去から連なるたった1人に縛られれいる青。
それは義父で青が愛した唯一の人。
青のある秘密を共有することになったことから次第に距離は近づいていき、母親の入院もあってやがてその形を変えていく。
常に愛情に飢えていた青は甘やかしてくれる存在に情を感じ、それをずっと育んでいて。
それは母親の死後、義父が消えてからも胸の奥底で燻っているもので。
だから、再会して激情のままに2人で飛び出していくことにも違和感はない。
ただ、最後の最後で義父が求め続けていたものとの相違を知ることになって。
この義父と堕ちていく感じがなかなか好きです。
どれだけ愛しても愛されなくて。
それでも…。

旧版ではここまでで終わってたんですよね。
救い…はあるのかないのか。
余韻を残したままの感じ。
個人的にはそこまででもよかったんじゃないかな、と思わないことも。

書き下ろしの部分ではその後の青とトオルが描かれているのですが。
これはなんというかちょっとそこまでの展開の雰囲気とは違う気がするんですよね。
これはこれで救いになるのかもしれないけれど。
それでも、なんだかあっさりしすぎていてしっくりこないような気もするというか。
個人的には高瀬が好きだったってのもあるのかもしれませんが。
この2人はもうあのままなのかなとも思っていたので。
もしくは、もう少しじっくり2人の関係を詰められたらよかったのかなと。

3

結末に不満はないけれど・・・

レビューの順番は前後していますが、この作品が、私にとっての榎田さん、初読みです。「Blue Rose」「Sleeping Rose」「Weeds」3編収録されています。
「FILAMENT」は花をオーダーできるバー、その中でもっとも高価な青薔薇、百瀬青。
過去と再会することで壊れていく(壊れてしまいたいと思っている)青。
その過程が重く辛いですが、そんな青を様々な立場から思う人がいて救われます。
トオルがキーになるとは思っていたので「Weeds」の結末に不満はありませんが本編の独特な雰囲気が壊れたような残念さが残りました。

2

男娼 青

自分をとことん痛めつける。
そうしないと自分を保てない。
男娼 青。
人の助けを断る男。
いつも孤独の中に住んでいる。
お客は毎回擬似恋愛だ。
人前では笑ってはいるが 心からは絶対に笑ってはいないだろう。
過去のこだわり。
心のキズはそう簡単には直らない。
義父との再開場面がこの本の核ではないか?
忘れられない男だった義父。
だが最も残酷でもあった義父。
義父は青をまったく愛してはいなかったのだ。
それから 10年。
トオルが一筋の希望の光になる事を願う。
ハッピーエンドがホッとします。

3

自分には無いからこそ欲する

blue rose、青はただひたすら立っています。
衝動に耐えて耐えてそれでも欲する。
真に何を欲しているのかは作品を読んで確認してください。
何が欲しかったのか、本人にも最初はよく分かってなかったのではないでしょうか。
それでも誰かに優しくして欲しくて、優しくしたくて、
でもそれだけでは全然駄目で……
徐々にふらふらしていく青、でもそんな中で登場人物が上手く動いてくれます。
青は強いのか弱いのか、いやきっと中途半端に強くて弱いから哀しいのでしょうね。
最後にはきちんと綺麗に立ってくれます。
キリよく終わって爽快って感じです!

1

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