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私は闘牛士になって、闘牛場で死ぬ――!
Golondrina
えすとえむさんって、作品の題材がいつも面白いなぁって新作を読む度にワクワクします。
そうだよ~知らない世界を知る、このワクワクこそ読書の醍醐味なんですよね!
それをいつも満たしてくれるのがえすとえむさんです!
今回の題材は「闘牛士」。
もう私なんて「トレロ◎モミーロ、昼寝が好き!って曲」オンリーの知識でしたが、「闘牛士の誇り」にゾクゾクしました。これでいっぱしの闘牛士通になれるかも…嘘です、でも凄く興味が沸きました。
またえすとえむさんが描く男が色気溢れてて良い男なのよ!闘牛士の制服がかっこいい!闘牛士+えすとえむさん=なんか今回の男は色気ムンムン?
闘牛士が実際に出てきて、戦うシーンなんて「おぉっ…」って溜め息が出ちゃいました。臨場感で、本当に闘牛を観に来てるみたい。
闘牛士って、本当に命懸けで闘牛と戦うんですね。
主人公はチカっていうレズビアンの女の子で、恋人に振られたから死ぬために闘牛士を目指すっていうあらすじなんですが、またチカも可愛い。ていうが、正直邪魔にならない可愛さだなと思いました。
またえすとえむさんの新装版で「BLの闘牛士版」が今月出るそうなので、喜び勇んで本屋に走ります!
ドキドキしたいなー、綺麗なものが観たいなー、もうただの制服じゃあ萌えない!って方は読んでみると良いと思います。
ずっと一緒にいようと誓った最愛のマリアの妊娠に裏切りを感じ絶望したチカは、
自殺しようとするが果たせずに、アポデラードであるアントニオに保護される。
(アポデラード=闘牛士の代理人)
アントニオに連れていかれた闘牛場で、彼女は印象的に死んでマリアに見てもらう為に
闘牛士になることを決意する。
と、なんとも青臭いというか幼稚で直情な主人公が、闘牛士の修行を始めているところまで。
初めてずくしの世界で、失敗し悔しがりながら喰いついて、やがて死ぬ為に修行するチカ。
一方、彼女を教えるアントニオは、かつて闘牛士を死なせた苦い過去を持っている。
物語自体は、設定を提示したところ(+スポコン?水の中でのトレーニングとかw?)。
珍しい設定だという事と、今後どうなるだろうという期待以上の面白さはないが、
相変わらず絵が美しい。モノクロなのに、赤や黒や極彩色が見える。
主人公の名前はチカ。最初日系なのか?と思ったりもしたのだが、
スペイン語のChicaは「女の子」という意味なので、
彼女の匿名性の表現なのかもしれない。
そういえば、「うどんの女」の主人公の名前もチカだったなー。
*追加のコネタ 女性闘牛士の記事&写真を見つけたので。
http://japanese.china.org.cn/life/txt/2011-07/07/content_22941766.htm
「青春ソバット」なんかが連載されていた青年誌のIKKIに連載されている作品の第一巻。
年末に華藤えれなさんが闘牛士モノのBL小説を出されましたが、その元になった同人誌は、えすとえむさんとの合同誌。
また過去に「愚か者は赤を嫌う」という本があり(3月に新装版が出ます)えすとえむさんと闘牛はサッカーと共に切り離せないテーマですねv
BLではなく主人公は女性。
しかも女性が好き(ある意味ゲイ)な人なんです。
その主人公・チカが、ずっと一緒だよと約束したはずの彼女の裏切りにより絶望し、死にたいと願うんです。
その衝動のまま車の前に飛び出した彼女を拾ったのが、チカが5歳の時亡くなった闘牛士のマネージャーをしていたアントニオだったのです。
自分を裏切った彼女に自分が死ぬところを見せてやりたい。
その為にチカは闘牛士になることにするのです。
果たして女子の闘牛士というのはいるのでしょうか(知らないのですみません)あったとしても、差別があるのかも?きっと困難も沢山あるでしょう。
彼女が闘牛を通してきっと復讐ではなくて、生きがいをみつけていくのかもしれない。
ひょっとするとそんな話になるのかも?と予想はするのですが、それでも彼女の行く末を見守りたいと思わずにいられません、
そんな求心力が、魅力があります。
彼女は決して男になりたいと思っているわけではない。
女性という性を受け入れている。
だからこそ、彼女は強いのかもしれません。
闘牛士を殺したという悪名がつくアントニオにも、きっと何かあるはず。
そして、本の後半で出会いがあります。
そんな人間的魅力にあふれた作品。
性別を飛び越えて、注目せざるを得ないはずです。