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东京飞航纪录
-灯りの下で、僕は忘れられた夢と出会う。-
帯のコピーも文面も、まさにこの本の世界を的確に表わしています。
たしさんって、カラー絵がとても素敵なんですが、この本の装丁もまた素敵!
明暗のコントラストが、光の具合がいい味を出してるのですが、表が家の中を外から見た構図なら、裏は上から建物の玄関を見た絵になっているのです。この立体感に引き込まれます。
使われている茶色の帯も落ち着いてますが、表紙カバーをはずすと本体も茶色で、このお話が漫画であると同時に、小説のような外見をしているのもすごくイイ!
さて、肝心のお話ですが非BLではありますが、男子の相互理解と友情を描いています。
高校2年生のタカヤは自分の進路が決まらなくて憂鬱だ。
同じクラスの見た目外人のリゲルは平気で早退したり、休んだり、補修や追試を平気でさぼったり、クラスの誰ともつるまない孤高で全くの自由人。
ある日学校の帰り、タカヤの前で少女が転んでカバンの中身をぶちまけてしまう。
すると、中身はクズ鉄らしい。
変質者に間違えられるか?と戦々恐々としながらも、声をかけてその少女を家まで送ってあげることになる。
送り届けた先で迎えに出てきたのは何と学校を早退したリゲル!
この少女はリゲルの妹だったのです。
またそこは、一本路地を入った中に突然現れる、そこだけ西洋の空気をまとった建物の真ん中にある、骨董品などを扱う”ボイジャーレコード”という店でした。
リゲルの祖父の店なのだが、現在祖父は外国へ行っており、リゲル達の両親は離婚問題を抱えてどうも二人でこの店の店番をしているようです。
そんな偶然からタカヤはその店に通い、リゲルとも打ち解けて行くのですが、同時にタカヤの抱えていた鬱々とした気分が腫れて行くのがわかるのです。
母親が病弱でほとんど家にいないために、ほぼ父子家庭の状態でイイ子で育ったタカヤ。
涙もろくて純粋で、ちょっとヘタレで、言いたい事も相手をおもいやるからつい言葉を飲み込んでしまうという、そこにも自分で違和感を抱いている子なのです。
一方歯に衣を着せない思った事をズバっという性格のリゲル。
そして、何でも修理して作りだすと言う器用なリゲルの手にタカヤはあこがれて、彼等との交わりの中で、タカヤは自分のやりたいことを見つけるのです。
またリゲルも、タカヤと交流することで日本人に対する偏見を解き、そして日本人であるタカヤと本当の友達になることができるのです。
ボイジャーレコード=旅人の軌跡とでも訳したらいいでしょうか?
意図して作者さんが付けた店の名前だとは思いますが、中身はまさに!です。
タカヤはこの出会いによって自分探しをして自分を見つける。
リゲルは自分の傲慢な部分を少し反省して相手を思いやる気持ちをタカヤから学ぶ。
アパートの面々や、クラスメイトの面々が登場しますが、アパートの面子はリゲルの世界、クラスメイトはタカヤの世界。
それぞれを紹介しあって着実に彼等は成長していきます。
少年達が成長するお話は大好きです♪
この本のラストもとても素敵な終わり方をしています。
素晴らしい友情に彼等の将来がどんな形になるのか(愛だの恋だのではなく、あくまでも進路)想像することは苦ではなく、愉しみなのです。