犬とつばめ (通常版)

犬とつばめ (通常版)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神35
  • 萌×214
  • 萌6
  • 中立10
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
22
得点
259
評価数
67
平均
4 / 5
神率
52.2%
著者
雨隠ギド 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
まんだらけ
レーベル
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784860720889

あらすじ

「エディス」掲載のBL作品を1冊に!
描き下ろし10Pあり!
(出版社より)

表題作犬とつばめ (通常版)

再会した11年前の友達、高校2年生
兄を亡くして悩んでいる、高校2年生

その他の収録作品

  • 金もち×びんぼう
  • あとがき
  • 山田朝日の話

レビュー投稿数22

装丁に並々ならぬこだわり

犬とツバメの作画、妙に楓がキラキラしてて可愛いんですよ!雨隠先生の受けキャラってそんな可愛い系多くないので、楓も一般的に見て可愛いと言われる子じゃないのかも知れませんが、髪のふわっと感とか目のくりくりがどう見ても可愛い。

フォントも含め、雨隠先生の漫画の中ではちょっと違う世界づくりをしてる気がする。出版社がまんだらけだからかな?珍しいですよね。帯も装丁も美しいです。
ストーリーは先生らしく、ミステリー調のお話の中に男性同士の恋愛とか、人に言えない事とか、思春期の思いとかを混ぜています。攻めの弱さをしっかり描くのも先生らしい。

「今 小型犬いなかった?」のコマが好き。余白に優しさがあって。
表題作のお友達の短編「金持ち×びんぼう」も優しい話です。人それぞれ悩みがあって、ただ隠しているだけかもしれない。

0

ツバメを見るたび思い出しそう…

すごいですね。
やっぱりストーリー展開が上手いなと思いました。
それに、今作はものすごく切なかったです。

兄を亡くした楓のすき間を埋めるように現れた幼馴染の野呂。
楓は、兄が亡くなる前に傷付けるような言葉をぶつけてしまい、自分のせいで兄が自殺したのではないなと悩んでいた。
野呂も複雑な家庭環境の中で、父に暴力を振るったことがあり、それが心の闇のようになっていて…

お互いに空いた穴を埋めるような楓と野呂だけど、お互いのことが好きなのは間違いないと思います。
そして、兄にも秘密があり、その秘密を共有できる相手・朝日がいた。

楓と野呂には未来があるし、兄は事故死だということが分かり、やっと前を向いて歩き出すことができるでしょう。
だけど、朝日はどうでしょう…
最後の朝日の短編は切なかったな…

なんだか忘れられない作品になりそうです…

0

ヤシマかわいい

兄の死に関して後悔するところがあり、精神的に不安定になっている楓がむかしの友人と再会、いっしょにすごすなかで兄の死について知っていき、どう乗り越えるかという話でした。
お兄さんの死についてはやりきれなくつらいですが、それについて情報開示していくのと、野呂と近づいていく過程がうまくかみ合っていて物語としてきれいだしカタルシスです。

そして装丁がおしゃれ。
カバーなしでツヤのない紙に、物語の重要モチーフになるつばめの箔押しがすてきです。帯のイラストと作者名の配置も好き。
こういう装丁の感覚や本文のモノローグづかい、「間」を大事にして作られた作品だなと思いました。

絵柄は、線がばさばさしてるときがあるのと、かきこみが少ない感じ?が好みが分かれそう。

最後に楓たちの級友、あっちゃんとヤシマの話が数ページあって個人的にかなり好みでした。ヤシマかわいい。あばらが浮いてる子いい。

0

結構重い作品です

雨隠さんの作品は『恋まで百輪』シリーズしか読んだことがないのですが、この作品がここまで重い雰囲気とは全く思わず読み始めました。
主人公は高校生なのですが2人とも何らかのトラウマを抱えていて、それがこのお話の軸になっています。
どちらも家族が絡んでいて、特に楓の方はある意味もう取り返しがつかない状況なので、辛いなぁと思いました。
評価は萌と中立で迷いましたが、お話自体は良かったので萌にしました。
恋愛ストーリーとしては私が萌えを感じた箇所は余りなかったのですが…。

野呂が楓を守ろうとするのが男らしく頼もしく感じました。
作中では弱っている楓に付け入っているという描写がありましたが、私はそこには悪い印象は受けませんでした。
むしろ楓の支えになっていて、それでいいんじゃないかと思います。
この2人は結構サバサバしているタイプのように思います。

ラストに収録されているお金持ちと貧乏な2人の友人達のお話が面白かったです。

0

可愛らしい高校生BL

幼なじみとの再会、同級生、男子高校生、トラウマ持ちの少年2人、THE手描き感を思わせる優しいタッチの絵柄…私の大好きな要素全てが詰まった作品で、堪りませんでした。読んでいてあまりの萌えに声が出ました。
神!作品!と言うよりは個人的なツボをどしどし突かれた感があるので「萌萌」の方が表現は正しいのですが…やはり一番良い評価をしたいので!

本編の中心CP以外にも2つのCPが出てくるので、最後のおまけ(?)漫画まで楽しめる作品でした。

1

ギドさんファンになる前に

読んだ作品です。ちるちるで傾向検索していた時に
引っかかったので、ずうっと気になっていました。
同人誌ということで、簡単には手に入りそうにないなーと
思っていたんですが、某大型中古店にて
発見したので購入しました。

一言で、暗いお話でした。
受けの兄の死について真相を探っていくのが物語の根本にあり、
謎解き要素が含まれていることで、どきどきしながら
読み進めていきました。受けは兄の死に直接自分が
関わっていると思っていて、ふさぎこんでいます。
兄が死ぬ前に酷い言葉を投げかけてしまったからです。
罪悪感でいっぱいだったんですが、
解き明かされていく真実はまさかの展開で……。
もの悲しい気持ちになりました。

恋愛要素よりも心理描写を重視した作品だったように
思います。ただただ恋愛しているよりも、背景を
ちゃんと描いてくれている作品が好きなので、
それなりに楽しめましたが、何せ話が重かったです。
人の死がキーワードになっている話なので
当然ですが、受けの周りを囲んでいる人物のことを
考えるとなんとも言えない気持ちになりますね。
ただ、この評価になったのは、受けと攻めの恋愛が
あまり印象に強く残らなかったからです。
背景にばかり気を取られ、いつのまにかひっついていて
あれ!?いつの間に!と思いましたw
全体的にはシナリオが良かったのですが
BLと考えた上ではこの評価になっています。

1

兄が可哀想。

BLに深くハマる前に、装丁がずっと気になって買うかどうか悩んでいた本でした。
他の本が面白かったので、通常版ですが勢いで購入。
装丁が滅茶苦茶可愛い。
カバーじゃなくて、分厚い洋紙なんですね。たまらんです!
ああ、特装版買えばよかったなあ。

ただですね…………話は全く響かなかったのです。
同じ作者さんの他の話は好きだったのですが、これはちょっと不得手かも。
お兄さんがあまりに可哀想ではないですか?
弟がずっと兄を傷つけた事を後悔しているのは分かるんですが、こういうタイプはまた無神経に誰かに同じ事しそうだなあという印象を持ってしまいました。
決して嫌いなタイプの子ではないのですが、そこに最初から引っかかってしまって。ゲイだから気持ち悪いって兄に云ったのに、自分は男とまとまっちゃうのか、そうか(もやもや)
別に云われた事がきっかけで死んだ訳ではないのですが、どっちにしても淋しい死に方ですよね。

マイノリティの無駄な死っていうのが駄目なのか、自分でもよく分かりません。作者さんは好きなので、これが合わなかっただけでしょうね。

1

やはり奥が深い作品

ギド先生は、他のBL作品とは違う、甘いだけではない、恋人同士になればいいっていうわけでもない、人間ってなんなのかを考えさせられる作品を描くと思います。どの作品を読んでも深く、人間ってものを学ばされます。ギド先生の描く世界観は素晴らしいといつも思います。

今回も受けと攻めが恋人同士になるまでの間に受けの兄の死というものを乗り越えます。偶然はやはり必然であって、辛いことがあるからこそ人は成長していき、それを乗り越えたとき初めて幸せってものを知るのかなと思いました。

甘いだけではなく、大人のBLを読みたい時にはギド先生の作品をオススメします...♪*゚ぜひ読んで見てください!

3

モヤモヤがぬけない。

これ、難しかった。
自分の気持ちの置き場にかなり
苦慮した。

読み方によって切り口が異なってみることも出来るので
それについては面白いのだろうし、それだけ世界観があるのだろうけど。

でも、死を描くのは必須だったのだろうか。
私は死からみのものは
読みたくない。
どうしても死んでしまったこと、死んだ人に気持ちがもってかれてしまい、それ以外のラブに気持ちがいかなくなるから。

今回の死はお兄さん。
山田朝日の話で少し気持ちがあがりましたが、それでもやはり
お兄さんにしか気持ちがいかなかった。

犬とつばめ。作品としては嫌いじゃないし、幼少の記憶、それぞれの家族、愛情がある家族であっても、全てを分かり合えるわけじゃない、冷めた家族であっても
恨みばかりじゃない、
色んな家族もあるからこそ
色んな感情もある。

でも、死を描かれてしまったら
それは深く考えてしまう。

2

トラウマ描写はさすがの雨隠ギドさん

視点がコロコロ変わるのがちょっと読みにくかったし、
どちらの心情も読んでる側に筒抜けになっちゃって
あんまりドキドキ感とかこの先どうなるんだろうみたいな期待感が
欠けてテンポが悪くなってる気がしました。

それならもっと楓に復讐心むき出しの野呂くんが読みたかったかな!

後半、お兄ちゃんの死因の謎解きは面白かったです。
自分のせいで兄が自殺したのではと悩みに悩むトラウマ描写も、
またそこからの回復も
さすがの雨隠ギドさんでした。

2

わがまま少年、思いやることを知る。心の成長物語。

いくら近しい人でも、
人と自分とは違う、と認識すること。
「知らない」ことがあるのは不安だけれど、
知らない部分があるからこそ、
相手を気遣う気持ちが大事なんだ、って思う。
知って、認めて、大切にする。
そんなことを、一冊を通じて気付かせてくれるような
せつなくて優しさもある物語でした。


人の「死」が絡む物語は、
なかなか自分では選ばないのですが、
これは事前情報なしで装丁惚れして購入。
カバーなしの小説単行本風で、
燕柄のシルエットはホログラム印刷なのかなぁ。
すごくセンスが良くて素敵。


我が儘で自分勝手で周りが見えない楓。
その性格は幼いころからのもので
筋金入りなのだけれど、
兄の死・野呂との再会で
少しずつ変わっていく。

楓は作中で何度も、
人に対しての自分の言葉に自分で傷つき、
どうにも出来ずに後悔をする。
自分で自分がいけないことを口にしたと、
だんだん気付くようになっていくんだよね。
中盤では、気付くのにどうしたらいいのか分からない。
自分を棚に上げてしまうことが息苦しい。
でも、兄の死を自分なりに乗り越えようとすることで、
やっと自分以外の人を気遣うということを
考え、自分なりの実行が出来るようになっていく。
その様子がゆっくり描かれていってます。

幼いころの回想を見れば、
お互いがお互いに執着してしまうのが
雰囲気で伝わる。
野呂が楓に「会いたい」と思ったことが、
どう恋心に変化したのかっていうことが、
なんとなく気になっちゃうところではあるけど、
恋はそういうもんだと思えば
そんなに気にするところではないのかな。

恋愛よりも楓の心の変化、
自分をよい方向に変えていく物語として
読了したように思います。
お互いがお互いに独占欲を抱いているという、
BL風味の友情話として終わっても
この物語の雰囲気は成立すると思ったし、
この雰囲気ならキスまででもよかったかなー
という感じもしました。

恋愛だけじゃない心の成長話が好きな方は
好きになれるお話のように思います。
せつなく優しいトーンです。

ラストの【山田朝日の話】は
馬場の恋心が回想と共に伝わって、
少ページながら胸に来るお話でした。

3

何度も何度も・・・

読み終わったあと、感動で暖かい色で胸がいっぱいになってる中に、ひとつどうしても塗ることが出来ない空白がありました。「山田朝日の話」について、彼の気持ちを表現する言葉が見つかりません。自分だけが知ってるあの人こと。大切な大切な場所に閉まっていくのでしょうか。

本編のメイン野呂と楓は、二人とも見た目も性格も好みでした。小さいころの野呂が大変可愛いと思います。にまにまして読んでしまいます。
野呂(攻め)は、楓のお兄さんが亡くなった後、偶然会いにきた昔のお気に入りの友人(犬)。
楓(受け)は、喜怒哀楽がはっきりとしていて、思った事をすぐに口にしてしまうところがありますが、繊細で優しい人。

楓が抱えている「お兄さんが亡くなった原因は自分にあるかもしれない」という自責の念。
野呂が握り締めている過去と、楓に会いに来た本当の理由。それぞれが悲しく、知れば知るほど、楓も野呂もお兄さんも誰も悪かったわけじゃない・・・と思えます。

知らなかったお兄さんの姿、野呂らしくないよ。と思った野呂の姿。
帯にあるように「君がとなりにいないとき どこでなにをしているか 知らない」自分の知ってるみんなの姿が全てではない。自分が見えてる世界がすべてではない。と言われたような気分になりました。
でも楓は、野呂のことを野呂が話したいと思うときに、それがずっと先でも、もし話して貰えるのなら、いつか教えて欲しいって言うのです。
その時の野呂の表情が、その後の笑顔がたまらなくて、泣きそうになりました。

その後いろいろありますが、二人が気持ちが通じ合って野呂が嬉しいって思うシーンがすごく好きでした。少しでも気持ちが返って来て嬉しいって、小さいころの楓が満開の笑顔でボールを投げている絵が読み終わったあとでも、何度も何度も、ふっと出てきて、何故か胸を締め付けられるような気持ちになります。
上手く説明できませんが、読むたびに好きなシーン、癒される台詞が増えていくような感じがします。

7

ちょっと読みづらかったです

装幀がとても良いです。表の紙が混色の緑で燕の箔押し。
綺麗なのでこれだけで素敵な雰囲気なんですが、絵がちょっちアレなんですよね。
線画がぐちゃっとしているのと、背景があまり描かれていないのが残念だったかな。

それと思春期にありがちなネタがちょいちょい入っている(ナイフ所持とか)んですが、
作品全体を通してみると、だから何?という感じで理解不能でした。

あと初めての挿入で楓が痛がってるのに、そこで「たまには俺の言うこときいて」って言うのは駄目です。わたし的にはアウトー。
BLファンタジーとはいえ、そこで盛り下がり。
どう考えても絶対狙ってそのセリフ言わせたんだろうって分かるんだけど、分かるんだけどダメです!
無茶したら大変なことになるんだから。
そこで好きならHさせてよみたいなの、ずるいから駄目なのっ(どうした私!)
私も楓と同じように絶対蹴りを入れるわwww
女も男も後ろを使うなら一緒よ!初回で入るわけないじゃない!入れたことないけど!
ガバガバの変態じゃあるまいし、壊れたら野呂のナイフで野呂自身を切り落としてさしあげるわ!
・・・あら?ヤンデレ系になっちゃった?

コホンッ・・・とにかく合わなかったということで。

4

今回もキュンとなる作品でした。

兄を失った原因が自分にあるのではと思ってしまう楓。
昔、夏の間、楓と過ごす時間があった野呂。
再会の理由はあったはずなのに、本当の理由は実は違ったんじゃないかと思えて。
野呂と過ごしていくことで、少しずつ楓の感情が芽生えていくのが実にかわいらしい。
野呂の方が勝手に完結してしまってるからなかなか実らないけれど。
それでも、完結してる野呂も完結してるだけで退く感じでもなく。
どんな時も楓を支えたいような。
最後には頼ってもらえる人になりたいような。
野呂の中の昏い部分は全ては明かされないまま、まだ闇として残っていて。
それでも、その闇を楓となら乗り越えて行けそうでもあって。
なんというか、楓にとって野呂がアニマルセラピーだったと見せかけて、実は野呂にとっての楓の存在こそ癒しのようにも思えて。
2人だから乗り越えていけるような部分もあるのかな。

「金もち×びんぼう」
これ、非常に好きです!
もう表題作より好きかも。
あっちゃんが最高すぎる。
周りに気遣いを見せるイイ人のようでいて、実は腹黒というか。
このマンガではあっちゃん視点でモノローグとかもあっちゃんなので、あっちゃんの内心がダダ漏れ。
この内心がステキすぎるよ、あっちゃん!!
どんんだけ素直な内心なんだ。
ムラムラするって!(笑)
それでも、素直にそのムラムラを恋心へと直結させない往生際の悪さみたいなのも好き。
ホント、あっちゃんいいよ~。
ヤシマもね、なんかかわいいんだよね。
この2人、続きとかないのかなぁ。
あっちゃんが自分の気持ちを認めた後とか見てみたい。

1

そして浮世に近づいて

浮世の世知辛さから逃避する方法は幾つかあります。
その中にひょいと性癖だとか恋愛が織り込まれ、
その在り様の正邪について口角泡を飛ばされる事も
またしばし。
しかして浮世を漂っては思うのです。
人間関係に正しいも間違いもヘッタクレもないのだと。

この二人、いずれが犬でいずれがつばめか。
一応の暗喩はされているけれども舞台自体が読み進めて
行く内に二転三転どんでん返しし隙間に秘められた
人の業とも絡まって理屈小理屈を放り投げ出したく
なりそうになります。
むしろ二人ともが犬でつばめは退場した御仁なのやも
知れません。それとても恐らくこじつけでしょうけど。

当世の事なのに何故か昭和の残り香がふと濃厚に
感じられる、厄介な一作です。

1

巣晴らしかった!

帯『君がとなりにいないときに
  どこでなにをしていえるか知らない』

自分は恋まで百輪で初めて雨隠ギドさん作品を読んだんですが、それとはまたがらりと変わった世界観とタッチで読んでいてその世界にぐいぐい魅き込まれました。

主人公の兄がベランダから落ちて死んでしまう。
その数日前に、彼は兄に女装癖がある事を知り冷たい言葉を投げかける。

兄は自殺なのか、それとも事故死だったのか。
その部分はネタバレせずに是非読んで欲しいところ。

最後の兄は幸せだった事もあったんじゃないか、という一文が心に響きました。

カバー無しの装丁も内容に実にマッチしています。
いや、素晴らしかったです。
個人的には主人公はもちろんですが。兄が凄く心にぐっと来ました。

4

表紙はさわやかな感じ(ネタバレ有り)

【タイトル】犬とつばめ
【作者】雨隠ギド
【設定】幼なじみ・学生
【舞台】学生生活
【攻め】美形・寡黙(野呂)
【受け】平凡・寂しがりや(楓)
【絵】いい意味で淡白・優しい

【内容】
お兄ちゃんが大好きな楓。
ある年の夏休みにお兄ちゃんが海外留学してしまい、その間会えなくなる。
そんな中、楓のご近所に夏の間だけ田舎から野呂がやって来る。
お兄ちゃんに会えない寂しさを野呂で埋める楓、楓になつかれる野呂…。
しかし楓と野呂の別れはそっけないものだった。

月日は流れて11年…楓の元に再び野呂が現れる。
以前と変わった楓になにかひっかかる野呂。楓を変えてしまった原因は実の兄の死だった……。

【個人的感想】
とにかくほんわかです。絵のタッチはなんていったらいいんだろう…。
優しい絵です。山中ヒコさんとか好きな人だったら絶対に楽しめると思います。
BLじゃなかったらflatっぽい雰囲気の絵です。
少女漫画みたいにキラキラした絵ではないので切なさもマックスに伝わってきます。
BL誌だとoperaとかcraftとか好きな人にはオススメです。

内容についてですが、兄の死について自分を責める受けと、兄を超えられないんじゃと苦しむ攻め。兄の元恋人も登場してシリアスシーンもしっかり描かれてます。

それに対して、ラブラブっぷりもたくさんです。
最初の頃は無表情で、暗そう、周りと関わりたくないオーラをだしてる感じに描かれてる受けと寡黙、クール、大人っぽく描かれてる攻めですが、時間が経つにつれて、甘い雰囲気になってくるので◎。

その甘さも不自然じゃなくて、自然な感じっていうか、見ててこっちが照れるくらいピュアでした。かといって王道な甘さでもなく…ほんわかしっぱなしです。絡みはほぼ無いです。最後にあったけどくどくないし、さらっとしてて初心者にも読みやすい作品です。

強いて言えば、楓と野呂の同級生仲間でもある金持ち人気者×貧乏ほんわかキャラのやりとりがもっと見たかったです。でも、この二人の話は後から続編で描かれるのかなぁ。と思っています。
しかし、兄の死の理由設定には少し無理があったとような気が。

でも個人的にこのようなカップリングは大好きなので、大満足です。
今後の雨隠さんのご活躍に期待しています。

ちなみに雨隠さんは、あと2冊同時に発売してます。BL本じゃないみたいですが、雨隠さんが気になる人はチェックしてみるといいかもしれないです。たぶん私はそのうち買います(笑)

1

純文学のような


内心描写が的確で、しかもそれを上手く言葉にしていたので、共感しすぎてついうるっとしました。
装丁も私好みで、小一時間見惚れました。
絵柄もどちらかというとかわいい系です。絵柄が可愛いというか、キャラの動きが可愛いと言った方が正しいかもしれません。
内容はちょっと暗めでとても切ないです。でも心が暖かくなる素敵なお話しでした。
踏み込んだ話を書きますと、楓の大好きだった兄が亡くなり悲しんでいたところに昔一夏を共に過ごした「お気に入り」の野呂が帰ってきたっていうのがお話しの始まりです。ここだけだと単なる青春の恋の話しかなっ思ったのですが、話しを読み続けて行くと青春は青春でも恋だけを指して言った青春ではないと気付きました。
正直語りつくせない程良かったです!
後ろの方にきちんと兄の話しも載っていますが、またそれを読んでは切なくなります。しかも楓のかけている眼鏡は兄のかたみなんですかね。

扱いにくいお話しをこんなに上手にまとめた作品を描ける雨隠さんは本当にすごいなと思いました。今後の作品にも期待大です。

7

装幀が素敵

カバーなしで、本体表紙の紙が絶妙なグリーンにツバメの箔押し。
黒文字で入ったタイトルのロゴといい大きさといい、装幀が素晴らしい。
特に、背のタイトル文字の間に箔押しのツバメがきっちり一つづつ入っているところとか、感動もの!
この装幀で評価++!

中の絵も素敵。
正直言って、前に読んだ「恋まで~」は今イチぴんと来なくてレビューも書きそびれていたけど、こんなに絵がお上手だったとは!

ストーリーも、子どもの身勝手さや、狡さや、素直さがストレートに伝わってきてよかったです。

そして本編よりおまけの「金もち×びんぼう」!!!
このエロ目線がたまらない。
「山田朝日の話」も好き。

2

ツバメ

面白かったです。
やっぱりこの人の漫画って魅せるの上手いと
あらためて。これからの作品もまたまた楽しみになりました。
さて、お話。

大好きだった兄をなくしたのとかわりに帰ってきた昔なじみ。
小さかった頃、兄が居なくなった夏休みの少しの間だけやってきていた男の子。仲が良かったのに、兄がかえってくると同時に居なくなった。
そしてまた、兄が死んで居なくなったらやってきた。。。俺の犬

しょっぱなから、なんちゃ切ない(´Д⊂
胸ぐらキューンでよんでおったのですが。
とちゅう、後半に向けてとても可愛らしい作品でした。
友達?昔馴染?犬?それとも。
変化する気持ち
兄を失ってぽっかり空いたところに~

説明ベタなので、どうにもなりませんが、良かった。
良かった・・・のだけれど
兄のエピソードだけは切なくてどーしようもなかった。
残された相手が描かれているから尚更。
気持ちがそこに残っているのを感じてしまうから尚更。
弟さんたちハッピーエンドですが
なんだかちょっと心切ないお話でした。

というか、兄の女装~見つかる~のネタ
いつかどこかで同じような場面を見た気がするのだけれど
どこだったんだろう

4

ぎゅってしたくなる

悪人を泣かせる方法が良かったので買ってみました犬とつばめ
正直表紙を初見した時点では好きなタイプのカップリングではないかも…?と思っていたんですが
すごく良かったです!
なんとも言えない若さゆえのワガママな高校生男子らしさのある楓(受け)は、人間味があって愛しくなります。
対する野呂(攻め)もただ楓が好きで戻ってきたなありきたりな感じではなく、自分本意に動きつつ楓に振り回されるところもあり…
どちらも纏めて幸せになれ!そう思える二人でした。

ギドさん、すっかりファンになってしまいました。
なんともいえない人間らしさ、どうしようもないけどどこか優しいお話が、すごく魅力だと思います。

4

またつばめがやってきた

雨隠ギドさんって、どうしてこんなに心に響いて、がっつりハートを掴むのがうまいんだろう!!
つばめが来る季節に、大好きなお兄ちゃんを亡くして悲しんで、ひょっとしてそれが自分のせいで自殺したんでは?と苦しむ高校生に、
11年前、兄が海外へホームステイでいなかった夏休みに偶然遊びに来ていて友達になった男子が突然転校してきて、彼に犬のようにくっついていて、
それぞれが抱えたものがありながらも、それを通して心を通い合わせて、そして人の心の痛みや苦しみや、そんことがわかるようになり、兄の事実も判明して、っていうお話。

大樹が11年ぶりに突然やってきたのには、ほんとうは理由があるんですが、その複雑な気持ちが切ないです。
だけど、楓は犬のようについてる大樹を本当にペットのように扱いながらも、実は楓のほうが大樹から離れられないという、
だからこそ、大樹には複雑な想いより、11年前の楽しかった嬉しかった気持ちが思いだされて優先されて、楓が愛おしくなっちゃうんだろうな~と思ったのですが・・・
どちらかというと楓が主人のつくりなので、その楓の気持ちが溶かれる変化がわかりやすかった。
兄の元を訪れた時に言った不用心な一言、それが自殺の原因ではないか?って。
それは、仕方のない無邪気な言葉だったかもしれないけど、大樹との関係の中で、相手の気持ちを思いやるという形になって、ちょっと大人になると思うんです。
そんな時、兄が講師をしていた時の塾の生徒が現れて、あれは自殺じゃないと言い切り、検証をしに行く。
肩の荷がちょっとだけ降りた楓は、大樹の気持ちを真摯に受け止めて彼をきちんと受け入れようと思う。
大樹の気持ちはとても複雑で深いものだけど、楓がそれを少し返してくれたことが嬉しいという彼の気持ちはすごく素直で、その表現がまたぐっとくるんです。
この大樹の言葉は、楓の気持ちはすごく等身大だなって。

描き下ろしとして、楓の兄・朝日の話がのっています。
彼が亡くなってしまったのは本当に残念!
きっとあの教え子とのひょっとしたらがまっていたかもしれないのに、、
でも、彼が救われていたことがわかって少し嬉しくなります♪

今のところ雨隠キドにはずれなし!やられまくりです

7

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