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橘さんとひとつになりたい!!!
shougai no koibito
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
雑誌「Q」は購読してないんだけど、気になる作家さんが執筆している。
そして出る単行本も気になるモノが多いのです。
ということで、作者さん初の商業単行本となるこの本、実はものすごくヒットしました!
結構、根底に「男を好きになるということ」とか「ゲイであるマイノリティ」という部分が流れていて、それが切なさを誘うだけではなく、その人の恋愛観や人生に影響してくるから、それが胸を時に締めつけるような苦しさを与えてくるのです。
でもゲイだろうが、マイノリティだろうが、人に上手く伝えられない気持ちは性別越えて同じことなわけで、
そういう点でも結構リアルに胸に迫る心情が描かれているのです。
表題は、美容室に勤める男子とその店長の2つのストーリーで構成されています。
◆美容室勤務の哲夫は長い間好きだとアピールし続けて、やっと受け入れてもらえた、階下の家具屋店員・橘と一応恋人。
いつもつきあってもらったからと、遠慮がちな哲夫だけど、ほんとうは一歩踏み出した関係に進みたいと思っている。
だけど、それは言えなくて悶々としてるうちに橘の気持ちも見えなくなってしまって。。。
橘がきっとどうやって接していいかわからない不器用さんだったとは思うのですが、「言わなくても好きだってわかってると思ってた」とは!?
第三者的にはダメだよーそれじゃぁ!なんだけど、一途でワンコな哲夫には何よりも嬉しい愛の言葉なわけです(単純な奴でよかったww)
この温度の違いがゲイとノンケの違いでもあるのかな?という部分を見たような気がします。
このカプは基本あまあまラブバカップルです♪
◆美容室店長・相模の話はとってもとっても切ないです!
高校時代、互いの気持ちを言えないまますれ違って別れた後輩・信と偶然に再会する。
過去のわだかまりはまるで忘れたかのように、普通に友人づきあいが再開するのだけど、、、
二人は触れないけど、その過去の気持ちを探るような感じが満載なのです。
だけど、後輩の信には婚約者がいてもうすぐ結婚するのだという。
昔の恋心が再燃したというより、過去の言えなかった気持ちへの後悔だと思うのです!
セフレのショーちゃんに、御免と謝りながら、信を抱く代わりをさせている相模が切ない!!
これは決してハッピーエンドではないと思うし、あくまでも過去の気持ちだと思うんだ。
一種のノスタルジックな気分。
彼らは歳を重ねた分大人にはなったと思う。
仮に相模がもし、信がもし、過去の気持ちを吐露していたらどうなったんだろう?
そこで都合よくいかないのが大人だよね。
ショーちゃんがイイ人すぎたので、相模はショーちゃんと幸せになればいい、彼の必要性に気が付けばいいと思うんだ。
『ミラー』は双子モノ
『十日で五割の恋人』は闇金の取り立てと男の娘
『マイネイムイズブルー』はマイノリティを隠すリーマンのお話。
それぞれにカラーは違えど、必ず切なさとか苦しさが入っていて主人公が悩んでいます。
これらはアンハッピーではありません。
それなりにハッッピーであり、十日で五割の話は借金取り立て男がいい味を演出して、健気なツンデレバカワンコが冴え渡っています。
モノローグも決して少ないわけじゃないけど、ほどほどにきちんと会話も絵も見せる形をとっているので、非常にわかりやすいです。
切なくて苦しいけど、それだけじゃなくて、
読者が一緒に考えて、切なさを共有できる展開はとても秀逸だと思います。
表紙がトボけた頼りない感じがしていますが、読み応えは充分だし、中身の白黒絵になっても裏切らないので、期待できる作家さんですよー♪