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思いのほか胸がいたくて興奮した
kanashii hiro wa dokonimo inai
Almost Summerは、連れ子同士の兄弟が成長してくっついちゃうお話。
どっちが攻め?
って言うか、この二人、属性的にはどっちも受けにしか見えないんだけど、役割固定せずに仲良く代わりばんこしててくれるといいなぁ。
オールドファッション以降の表題作を含む短編が一連のお話。
サナダという男が、拾ってきた犬を、犬だけでお留守番させていたら、犬同士がくっついっちゃったお話。
こっちの二人は、一応役割固定してエチシーンもしっかりあるのだけれど、でも、リバ転化率が実に高そうなカップル。
最終話でようやく登場するサナダさんといい、結局誰一人として攻め属性のキャラがいないような、、、。
でも、この、攻めキャラ不在な所が、すごくツボ。
山田酉子さんもまた、その独特の雰囲気が不思議と居心地のいい作家さんだな~と思うのですが、雑誌だとなんとなく他の作品に埋もれてしまう感じがするのに、単行本だとすごくその個性が際立って引き立ちますよね。
その空気感が丸っと一冊堪能できる、自分的にはヒット作品でした。
主人公達に際立った性格特徴があるわけじゃない。
ヒモとして男にイヌとして飼われてた青年。
男に留守番を頼まれた、覇気のないドーナツを丸く挙げるのだけが上手い大学生。
この学生と青年の間にはセックスしかなくて、一緒にいても何かハプニングがあるわけでも、熱い情熱や想いがあるわけじゃない。
何とかも三日で慣れるじゃないけど、男が帰ってこなくて、アパートの契約が切れてイヌはお役御免になる時に訪れる別れ。
大学生はこのイヌが気になって・・・
そこからが表題になります。
ここで静かに、確かに、二人の感情がうごいています。
状況も変わってきます。
密かな独占欲。
イヌから脱却して人間として自立しようとするイヌ。
本当に静かに、そして淡々と。
以外にもこの大学生の純情で子供っぽくて初心かったその本当の姿を見た時に、不器用でかわいいじゃないか!とイヌでなくてもおもうのでしたw
激しい、はっきりとした恋愛じゃないけど、はっきりと感じ取れる二人の変化。
ラストの「ワンルーム」では今までとは全く違うエッチによって甘い二人に変わっていることが、二人が人間らしくなったな~(盛ってるだけなのにw)と思えるのでした。
もう一本は血のつながりのない兄弟モノ。
母親を亡くして父子家庭になってしまった家の兄弟の父親は放浪癖があって、ふっといなくなっては家を留守にしてしまう。
そこで父親に言われる「たった二人の兄弟だから」これが呪文のようになって二人の心に浸透して刷り込まれてしまったのでしょうか?
弟を守るために強くなりたいとボクサーになった兄が目の病気で引退を余儀なくされて、無職のニートとなっている。
弟への気持ちを隠す為に家を離れて仕事を始める兄。
兄がいなくなって兄への独占欲を漏らす弟。
これも、はっきりした二人の想いの言葉や行動があるわけでもないのに、二人は知っている。
決して不親切でもなくて、そうだよね、って納得できる関係はとても自然だ。
独特の空気感に好みが分かれる作家さんですが、居心地がいいっていうのはこのことなのかな?とも思うのです。
山田さんの著作を初めて読んだのは、BLではなくTL(多分)でした。
それから色々読みあさりましたが、何故だか一番始めに読んだ話が一番BLっぽかったような??
今回の話は、今まで読んだ中で一番とりとめがない気がします。
でも、嫌いじゃない。
雰囲気的には、よしもとよしともの短編に近いような。サブカル漫画の読後感に似てました。
淡白な人の視点だからかもしれません。
意味あるのかな?ないのかな?という乾いたお話が詰まってました。嫌いじゃないですが、萌えはなかったかも。
どれも不安定ですが、兄弟も犬も「いつかいなくなる」前提で話が進んでいるようで、ハッピーエンドっぽいのにとても不安な気分が消えません。
この不安な感覚が、山田漫画の醍醐味なのかしら。
絵は、少し前の簡素な絵の方が好みかも。