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西暦3992年、女だけの世界──。ボーイズラブから飛び出した気鋭の登場。
女子ばっかりの漫画のイメージが強く
阿仁谷さんの作品は好きだけれど・・と買わずにいた作品。
買ってみればガッツリはまりました。
遺伝子ものなので、細かいところまでは突っ込んで読みませんが(難しいから)面白かったです。
さすがというかなんというかですね。
主人公は男の子。
けれど、これは至極不自然なこと。
なぜならば、はるか昔にY染色体をもつ男は絶滅してしまい
地球上に残っているのはわずかな女子ばかり。
なんとか生命を残すために卵子どうしを受精させて子供をつくる。
妊娠出産はいまや国民の義務。そんなさなかに生まれたひとりの男子。
異端のもの。それを知るのは両親のみだった。
そんな主人公の・・・・エトセトラというお話。
普通の女の子。女の子なら。自分は他人と違う。
その葛藤。そして好きになった女の子への恋心と現実と。
案外ハーレムを予想していたのだけれど、思った以上にシリアス
阿仁谷ユイジ 先生が、SFものを描いていたのを知らなかった。
男性の遺伝子が、地上で絶滅。
女性しか居ない状況で、子孫を残すには、卵子を取り出し人工授精するしかない。
そんな状況で、たった一人先祖帰りしたのか、男子が生まれる。
アマゾネス社会にたった一人異分子の男子として存在し、苦しむ主人公。
最愛の初恋の人に、拒絶されて以来、女性不信。
1巻から波乱の展開。
題名通り、テンペスト(嵐)
政府のミッションは、男性絶滅の後に続く女性消滅対策。
マニアックな内容だなと思ったら、著者は、遺伝子の専門家に学びに行ったらしいです。
力作。
ただいま一巻がKindleで無料で読めます。
阿仁谷さんの描かれた非BL作品。
2012年に男性は絶滅しており、三大義務が納税・勤労・出産という世界です。
ぶっ飛んでますね(苦笑
BLでの阿仁谷さんは苦手なのですが、これは読み物として素直に面白いです。
ストーリーと絵柄がぴったりなのですよ。
主人公の一人はこの世で唯一の男の子。
男の体で生まれた姫は、自分が皆と違う体を持っていることに密かに苦悩し厭っています。
両親(もちろん二人とも女性)が姫の秘密を守り続けていましたが、その二人を亡くしてからは自分一人の胸にこの秘密を抱え生きています。
そしてもう一方の主人公は、姫に自分の子を産んでほしいと言っていた友人で優等生の皇。
姫から真実を告白されますが、男を恐れる皇は姫を拒絶し忌まわしい記憶として現在も嫌悪しています。
姫は皇から拒絶された後も、いつか体を女性へ変え彼女の元へ戻ることを夢見ています。
しかし皇の方は子を産む・産ますということが姫の件を彷彿とさせるために厭い、義務として出産を免除されるという理由だけで政府の上を目指しています。
皇は逃げることを選び、姫は未来を夢見続ける。
そんな正反対な二人が、この世界に再び男性を求めなければならなことを知り力を尽くすこととなります。
ぱっと見は百合風味です。
が、なんとも言えない懐かしさのあるストーリー。
昔のSF少女漫画を彷彿とさせます。
阿仁谷さんの絵柄がスタイリッシュとは正反対(すみません・汗)なためによけいそう感じるのかもしれませんが、男×男にこだわられないならばお勧めしたい作品です。
近未来のしかも変わった設定でありながらも、二人ともひじょうに人間臭いところが好印象でした。
若さと環境ゆえの潔癖さで姫を拒絶した皇と、自分自身は厭っても相手を否定しない姫。
そんな二人がどうなるのか。
一巻のラストでは皇の決断は見事でした。彼女は性別は女性なのですが、男性の立ち位置ですね。
遺伝子など難しいことを扱っている作品ではありますが、『愛情』という科学とは真逆のものを根本に置いていると感じます。
気になっていた作家様です。この作品は非BL。男が絶滅して女同士での妊娠、出産が当たり前の世界の中でただ1人男として生まれてきた姫の苦悩に胸が痛むけれど続きが気になる、そんな作品でした。
テンペストの世界観が好み。設定も細かく作り込んであり、遺伝子の事はさっぱりですが難しく考えること無く読む事が出来たので良かったです。
作者様のBL作品も読んでみたくなりました。SF作品が好きな方は読んで損は無いんじゃないかなと思います。