己で刻んだ印を背負い、愛を求め続ける男たちの物語

刺青の男

shisei no otoko

刺青の男
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神80
  • 萌×227
  • 萌16
  • 中立11
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
48
得点
567
評価数
141
平均
4.1 / 5
神率
56.7%
著者
阿仁谷ユイジ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
茜新社
レーベル
EDGE COMIX
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784863490277

あらすじ

刺青を持つ三人の男たち(牡丹の潟木、ラナンキュラスの武藤、狂い鮫の埜上)。それらに絡む謎の男、久保田。社会の裏側を生きる男たちに救いはあるか…? 刺青シリーズ完結編『みんなの唄』描き下ろし42ページを加え、すべての物語が収束される。ほか、片思いの相手が毎夜生き霊になって現れて…『はるのこい』『ゆめのあんない』を加えた異色作品集。
収録作品「僕のカタギ君」「ラナンキュラスの犬」「狂い鮫とシンデレラ」「みんなの唄(描きおろし)」「はるのこい」「ゆめのあんない」
出版社より

表題作刺青の男

同時収録作品僕のカタギ君

久保田みつる,刑事
潟木清次,ヤクザ

同時収録作品ラナンキュラスの犬

武藤大輔,ヤクザ
金城有馬,ヤクザの息子

同時収録作品狂い鮫とシンデレラ

埜上猛志,街を牛耳るチンピラ
久保田みつる,刑事

同時収録作品はるのこい / ゆめのあんない

春野,遊び人の大学生.最近具合悪そう
安奈光久,大学生,春野に片思い中

その他の収録作品

  • みんなの唄

レビュー投稿数48

なんともモヤモヤする読後であった。

面白いと言うよりは、魔力があったという方がしっくりくる。

読んでいるというより、勝手に頭の中に入ってくる感覚。

面白いも何も…ちょ、まって、まだ、まだ駄目…!駄目…!みたいな感じで、世界についていけないんです。

これは作品として減点なのかというと、そうではない。とんでもない。

ついていけてない私が駄目なんである!と。
思いもよらない展開と、見せ方、時間軸、視点、表現、描写、加えるなら表紙の装丁までも!
どれをとっても、素晴らしい!!



蛇龍どくろの「エンドレスワールド」がしっかり構築された現実世界での薬物による幻覚症状を上手く見せたのに対し、阿仁谷ユイジの「刺青の男」はしっかりとしている筈の現実世界を最初ッから歪ませて幻覚を見せているかのように表現している…その見せ方も凄かった。

雰囲気が同じカテゴリかな?というので引き合いに出してみましたどくろさんの「エンドレスワールド」…。(こっちも素晴らしい漫画です是非どうぞ)



表題作「刺青の男」のシリーズのあとに、別の読みきり二話分も収録されています。

この「はるのこい」はいつものユイジワールド全開な内容なのですが。
これも密かに才気を感じさせる出来で舌を巻きました。

かつてこれほどのエロス表現を見たことがあるだろうか!?いやない!!(反語も飛ぶ!)
これほどのオリジナリティあるエロシーン…
背中から蝶が飛び立つ睦言なんてそうそうあるわけない!

もちろんこちらも、本を開いたまま掲げて「スバラシー!!!」と叫んだのは言うまでもありません。

12

ようやく再読できるようになりました

「僕のカタギ君」「ラナンキュラスの犬」「狂い鮫とシンデレラ」「みんなの唄」(描き下ろし)
「はるのこい」「ゆめのあんない」⇒春野(大学生 女好き)×安奈(大学生 ゲイ)

「僕のカタギ君」~「みんなの唄」は主人公がそれぞれ違い独立して読める作品になっているのですが、他の作品に登場したキャラがまた登場していたりとリンク作になっています。「僕のカタギ君」~「狂い鮫とシンデレラ」までは掲載誌の「OPERA」で連載され、「みんなの唄」は描き下ろしだったようですね……

皆さんのレビューでも言われているとおり、この作品は読後痛い・哀しいという印象を強く残す作品です。でも実は「僕の…」~「狂い鮫…」までを読む限りではそういう雰囲気はないんですよ(なので掲載誌しか読まれていない方にとっては「そうだったっけ!?」と思われるんじゃないでしょうか)。

その雰囲気がガラッと変わってしまうのは描き下ろしの「みんなの唄」を中盤くらいまで読み進めた頃でしょうか。読み始めはむしろ甘々なくらいなのにいきなり「アレ!?」と思うようなシーンが出てきて、そこがちょっと引っ掛かりつつも読み進め、また甘々な感じに…と思ったら一気に突き落されます。そこからはホントに急転直下という感じで哀しい現実が明らかになります。今まで読んできた3作がここでこういう形で収束されるとは…としばし呆然となってしまいました。

正直、最初に読んだ時はショックが大きく「もうこの作品読めないかも…」くらいの事を思いましたが(でも評価的には[神])、少し時間が経って落ち着いて読んでみるとまたちょっと違う印象を持ちました。だからと言って私の分類の中でこの作品がハッピーエンドに思えるようになったという事ではなく、ラストのページ(Thanksページみたいなところ)にある“幸せの雛形なんてどこの誰が作ったの?”という言葉を受け入れる余裕が少し出てきたというだけなんですけどね。

「はるのこい」「ゆめのあんない」のシリーズは、片思いの相手の生霊と夜な夜なエロいことをしてしまうというちょっと変わっている話なんですが、こちらは安心して楽しめる!?作品でした(まぁあちらと比べてしまえばねぇ…)。最後に実物とHをするというシーンで、今まで攻だと思っていた方(ずっと片思いしていた方)が受になるのはちょっと驚きましたが、むしろその予想外な感じに結構萌えました。

11

文句なしの「神」作品

いつ散ってしまうか分からない裏社会で生きる男たちの壮絶な生き方が描かれています。
それぞれの話の時系列が一度読んだだけではよく理解できず、二度読んでようやくすべてが繋がりました。
そして鳥肌。

結末が結末なだけに万人受けするとは決して思いませんが、未読の方に是非オススメしたい一冊です。

「僕のカタギ君」
背中一面に美しい牡丹を咲かせる<潟木>と、その恋人<久保田>の話。
仕事に行きたくないと駄々をこねる潟木とそんな彼をなだめる久保田の甘ったるい朝の光景から始まるのですが、久保田が潟木のスーツの胸ポケットに入っていたある物を見つけたことで話が急展開します。
公私を混同することなく自らの責務を全うする久保田の男らしさには惹かれずにはいられません。

「ラナンキュラスの犬」
亡くなった前組長<鶴子>との約束を守って胸に大輪のラナンキュラスを刻む<武藤>と、前組長と現組長の間に生まれた一人息子<坊>の話。
物語中盤で坊から武藤に突きつけられる二択が非常に痛ましく、武藤にとってはどちらを選んでも鶴子との約束が守れなくなってしまうのですが、それでも真摯に結論を出します。
このすぐ後のページで二人が幸せそうに笑い合っている何気ない一コマが結末を知ったあとだと胸に突き刺さりますが、外の世界を知らずに大人たちに守られて育った狡くてエゴイスティックな坊はどう見ても井の中の蛙。モチーフのラナンキュラスとも繋がります。

「狂い鮫とシンデレラ」
金と権力がすべてで、腕に狂い鮫を飼う<埜上>の話。
不貞をはたらいた自分の女を容赦なく窓から突き落とし、相手の男にも後を追って飛べと言い放つ衝撃的な場面から始まります。
周りには影で「かわいそうな男」と言われていることも知らずに、自分のことを「王様」と発言しているさまはまさに裸の王様。鮫の刺青がよくお似合いです。
そしてこの章で描かれている久保田について。
普通の感覚からすると彼のやり方は狂っているとしか言えず、果たしてここまでする必要があるのかと理解に苦しみましたが、ラストの「みんなの唄」で自分達のような人間が何のために存在しているのかを潟木に語るシーンを読んでようやく腑に落ちました。
加えて、久保田が埜上の性癖を最初から知っていたとすれば…?
何を狙ってあのような不可解な行動や発言をしているのか推測できます。

「みんなの唄」
前半の武藤と坊のエピソードがこの物語全体の悲しさと行き詰まり感に拍車をかけます。
とはいえ坊と武藤が取った行動は組からすればやはり裏切りでしかなく、「ラナンキュラスの犬」で鶴子が武藤に語っている通り、ヤクザ社会にいたこの二人には遅かれ早かれ似たような結末しか待っていなかったのだろうな、とも。
後半の潟木と久保田のエピソードは、潟木の久保田に対する愛と久保田の潟木に対する愛が本物過ぎて泣けました。
ズタボロにされた背中の牡丹は潟木の勲章、その通りだと思います。
この二人には最後のその日まで全力で生き抜いて欲しいです。

どの話にも登場人物が決断を迫られる場面が出てきます。
あの時こうしていれば彼らの未来は違っていたのではないかとついつい思わされるのもまた、現実的な生々しさがありました。


「はるのこい」「ゆめのあんない」
ハタチの大学生二人が登場人物の、表題作とは全く別モノのお話です。
恋愛モノでふわっとしていて安心して読めるのですが、よくよく想像すると吐き気をもよおす気味の悪さです。
こちらは★3つくらい。

10

鳥肌(^O^)/

とにかく、鳥肌がたちました。

ユイジさんはミスター~から読み始めましたが
これを読んだ瞬間、大好きな作家さんになりました。

雰囲気が全然違う…!

始めて読んだ時も思いましたが、表情が妙にエロい。
そんなに露骨に表現している訳でもないのに、なぜでしょう…。

ただ、暴力が嫌いな方は止めておいたほうがいいです。
後、リバが苦手な方も。

ちなみにわたしは大好きですが(笑)

そのわたしの意見ですが…
わたし、刃物を使うのは苦手なんです。
だけど殴った青痣は大好物です。
青痣だらけのこの1冊。
堪らない。

普通の漫画に飽きてしまった方、是非読んで下さい。
オススメです。

6

絵がかわいいっ

好きです。すごくっ

刑事×ヤクザっていうのがたまらないし、ヤクザ物大好きな自分には、かなりきましたっっ。

中でも「狂い鮫とシンデレラ」の久保田が大好きです。

女装って久保田綺麗すぎっ

首絞められちゃうとことか、殴られちゃうとこがお気に入りですっ

ほんと大好きっ

6

刺青の男と死生の男ナリ

精力的に活動されてる阿仁谷ユイジ先生の魅力が凝縮された名作、刺青の男です。タイトルに死生の男と書きましたが、どこかで同じ表現を見たような気がしてます。たぶんなのですが一言お断りしておきます。
この作品を読んだのはちょうど昨年の今頃なのですが、何とも言えない読後感を抱きました。blから逸脱してる面があって、こういう形のblもあるような。悲惨だけどちゃんと救いがあるというような・・・コレは一重に久保田という男の存在ゆえではないかと、私は思います。
久保田(だけ、下の名はナシ)はほんわりした、可愛い系のゲイのようなイメージで登場します。彼氏の言うことなら何でも聞きそうな、そんな優男な感じ。それが、幼馴染みのカタギ君(変換難しいのでこれで)とのセックスで攻めの時点から、これは違うのかもしれないと思わせます。
脱力系で語られる久保田のモノローグでも、カタギ君より遥かに深い男だな、と思っているともう久保田の正体が判明。久保田は刑事、愛してるカタギ君に手錠を掛ける。
これが第1話「僕のカタギ君」です。飄々として掴みどころのない久保田の印象を強烈に刻みつけて、第2話「ラナンキュラスの犬」はキャラと雰囲気が変わります。ヤクザの武藤と組長の息子、有馬の物語。昔気質らしい武藤と女顔で坊な有馬。二人に愛があるのは確かだけど不器用で、そしてヤクザの世界から抜けようとしている、逃亡計画の鍵は武藤の舎弟のカタギ君に実は掛かっているのだけど・・・と、ここで余韻を残して終わり。二人がどうなったのか?分からぬままに第3話、「狂い鮫とシンデレラ」この話が強烈で久保田という男の怖さと凄さを思い知らされるのです、彼が刑事なのだということを。
雑誌掲載はここまでだったようですね。これでも秀作ではありますが、意味がよく見えてきません。各話を繋ぎ、刺青の男を名作たらしめている真価は書き下ろしの最終話、「みんなのうた」にあるのです。
カタギ君、武藤、有馬がどうなったのか、彼らの背後にいた久保田の真の気持ちとは。
読後感は重く、それでいて清々しいです。読む人は選ぶと思いますがこのbl史に残るでしょう、傑作をぜひ!

6

神々しい構成


作者のコミックスの中でもっとも異彩を放っている。
初見の時とんでもない衝撃を受けた。
ついついショックを求めて作品を選んでしまうが、これは
BLでありながらストーリー性、演出も秀逸で
読書中ずっと驚きを楽しめた。

BL的スゴ本である。

4

今のとこベストof短編集^^

表紙の絵の美しさに購入しました。中身も良かったです。短編集ながら読み応えがあります。
痛いシーン多数ですがただのバイオレンスじゃない。刺青の男達ひとりひとりの愛模様が三者三様ですが、共通して"愛"なので、読後すっきりまとまってるように感じます。刺青効果も一因。
絵も綺麗・・・この人が描く受の表情好き(^///^)
個人的にラナンキュラスの話が最もズッシリきました。他の話も重たかったんですが、これは心が痛くて泣けました 切ないわぁ・・・・・
でも刺青って痛みを耐えて自身に綺麗な絵を彫り、その絵に自らの矜持を託す・・・というイメージなので、刺青テーマで痛い話ばかりなのはしょうがない、と何か納得して読んでいました。

せつなさに呆然とした後にいい具合に後ろに載ってる話がテンションを元に戻してくれます。おすすめー

4

どこにも救いのないおはなし・・・

購入されたなら二回はお読みください。二度目は最初から胸が苦しくなります。伏線が張られた、悲しくて哀しくてヒキズルお話です。
私個人として、小説やマンガや映画などの物語は報いや良い結果があるべきものと思っています。このお話はそれに該当しません。ただ、この作者さんの作品群の中でも、出色の完成度であることは確かです。3話と書下ろしのけして長丁場でない4連作で紡いだお話は十分な感銘を与えてくれました。神評価は付けます。けれど、私と同様にバッドエンドを好まれない方にはおススメいたしません。それほど暗いお話です。私は電子書籍の48時間限定で読みました。いつも良かったなと思う作品は無期限で買い直しますが、このお話だけはあえて48時間限定で済ませます。というか、無性に悲しくなるので思い出したくありません。
第二話では上村一夫、三話と四話では石井隆を彷彿とさせました。

4

「神」か「中立」か「しゅみじゃない」か

とことんやりきれない。
今でも思い出して泣いてしまうくらい。

何とか色々考えたけど、私にはメリバにすら思えませんでした。

あまりにも悲しくて辛くて痛くて、現時点、作品を読み返せないので、私を土偶人形顔になるまで泣かせた「ラナンキュラスの犬」「みんなの唄」のみ、簡単なレビューをいたします。
坊と武藤のお話・・・。
坊の耳鳴りの意味。そして二人が見せてくれた愛溢れるほのぼのとした幸せな日常風景。

真実は余りにも残酷でした。
木っ端微塵に打ちのめされました。
これは堅気の世界で生きてこなかった二人への報いなんでしょうか?
肉体はあんな事になっていても坊の夢は終わらないほうがやはり幸せなんでしょうか?
武藤はあっちの世界で一人で寂しくないんでしょうか?
登場人物たちに何らかの救いはあるんでしょうか?

私には何にも答えが見つかりません。
ただひたすら泣くのみでした。

評価が真っ二つに分かれると思います。
バッドエンドに耐性がない方は「中立」か「しゅみじゃない」
ただしBLでここまで描ききったという点からは「神」。
萌えの要素はありません。
中立か神かどちらにしようか迷いましたが、生涯これ以上痛くて忘れられない作品はないという点で「神」にいたします。

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews

で教えていただいたのがこちらの一冊。
教えてくださりどうもありがとうございました。

4

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