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kaguya
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「輝夜」という人工生命体が主役のオムニバス形式のお話です。
表紙にいるのはみんな輝夜というキャラクターなのですが、別々の生命体。それぞれが幸せになるまでのお話なので、同じ輝夜でありながら別の人格です。外見はちょっと似ているのかな?て思いますが、性格は皆違うし受けだったり攻めだったりします。
輝夜は「オーナー」と呼ばれる主人に依存していて、オーナーが死ぬと輝夜も死んでしまう。けれどオーナーが死ぬ前に別の人間に権利を譲れば輝夜は別のオーナーの元で生きることができます。
成長するし物も食べるし性交もできる、性交したら眼が緑になるという特徴があります。
ストーリーはどれも凝られていてすごくよかったです。
オムニバスなのにどれもハズレがなく、全部面白いっててすごいなあと思います。
設定からして近未来のお話に思えるけど、意外と世界感はクラシカルです。その雰囲気もいい。
本当は全部の感想を書きたいのですが、長くなってしまうので…
一番深いなぁと思ったのは双子のお話。似てない双子の2人は互いの名前も知らないまま犯罪に近い行為で生活を続けています。
あいまいな両親の記憶から、どちらかが人間ではないのではないかと疑い、疑心暗鬼の中真相を知るために身体をつなぎます。
目の色が変わったほうが人工生命体「輝夜」なのですが…これは、BLというよりお話としてよくできていたと思いました。
形は違えど、ここに出てくるカップルはすべて輝夜とオーナーという関係です。友達より両親より恋人よりも輝夜にとって「オーナー」は特別な存在。全ての関係が甘く幸せというわけではありません。
せつなかったりちょっと苦しかったり。
病気のオーナーを看病し、オーナーが死ぬときは自分も道連れにしてほしいという輝夜のお話など、どの輝夜も共通して、運命を共にしたいという気持ちがあり「恋」という言葉では表現できない深い絆に胸を打たれます。
一番萌えたのが、恋人を見返すために「輝夜」を買って自分好みに仕立てるお話。
でも情がうつって好きになってしまう…。このオーナー、情けない(?)タイプのサラリーマンなんだけど、これは輝夜が攻めで、この二人、地味なお話ながらカップルとして一番好みでした。
一番好きと思ったのが、跡取りとして育てられたオーナーと、子どものときからオーナーを親友という立場で見守ってきた輝夜のお話。
オーナーは大人になり、仕事で汚いことをしても輝夜には悟らせず、輝夜はそんな彼を守りたいと思っているのに、互いを大事にしすぎてすれ違うお話です。
お前のためならどんなものからも盾になるという輝夜の関係は、親友であり主従でありなんともいえない綺麗なものに感じました。
一つだけ、オーナーを選ばず別の人間と恋した輝夜のお話があります。
そこまで考えられて1冊にまとめられていて、本当に飽きずに最後まで楽しめました。
オーナーがいなくなれば生きていられない、言い換えれはオーナーを選ばないと生をまっとうできないのですが、その禁忌を犯す=自分が死んでも手に入れたい「愛」というものを描いています。
ただのプログラム通りに生きる輝夜のお話に終わらずここまで描き切っていることは完成度の高さに感動しました。
これだけカップリングがあるので、かならずいくつかは気に入ったカップルがあると思います。
個人的には本当にどれもよかったので、神評価をつけました。
人にオススメしたい作品です。
人造生命体の「輝夜」と人が織りなしていく優しい絆に心が温まる、ラブストーリーです。9人の輝夜の、9通りのお話が収録されています。
「輝夜」は、見た目は人間にソックリです。人と違うのは、オーナーの希望通りに育つこと(例えば、子供のままでいてほしいと思えば成長が止まったり。イケメンがいいなと思えばイケメンに育ったり)と、エッチをすると瞳の色が翠色になることです。
最初から人造生命体だと分かっている場合や、知らずに兄弟として育つ場合など様々なパターンがあって、その一つ一つが切なくて、でも種族を超えた愛情に胸が温かくなります。
初読み作家さんだったけど、綺麗な絵が優しい話と合ってるし、独特の世界観も好みで、他の作品も読んでみたくなりました。