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Hana
なんとも退廃的な香りが漂う作品です。でもどことなくさやかな感じがするから不思議です。
攻めは、戦時中、軍人一家に忌まれながら、落馬して兵隊になれず、行き場のない怒りをまわりにぶつける暴君息子。
「天皇を敬うなら、俺を敬え。この国に仕えたいなら俺に仕えろ」
と1歳年上のドイツ人のハーフの住み込み青年に、強制的関係を迫ります。
抵抗しながらも、抗いきれない純粋なハーフ青年。
この「どうにもならん」シチュエーションがたまりません。
半分だけ日本人という引け目から、本当の日本人になるために必要以上の苦行を強いられる。かつて大河ドラマで見た「山河燃ゆ」もこんなシチュで子供心にせつなかったのを思い出しました。
自分の命より他人の命のために犠牲になって死んでいった兄に複雑な気持ちを抱く攻め。その2人がよいコントラストになっていました。
題材としては暗いものですが、読み終わったときの、気持ちはなぜかふわふわとして心地よいから、とっても不思議ですね
小野塚先生の中で一番好きかもしれない。。。
実家にあるので
いま読み返せないのが悔しいのですが
なんか、じわじわ来るんですよ。
小野塚先生読んでたら
学校の保険の先生に
これは読まない方がいいんじゃないかなって位
俺は影響を受けてたのではないかと思います。
時代背景も、なんとも言えないエロティックさを出していて
上下関係のリアリティーも感じますし
あの時代だからこそ
それはよりリアルに感じてしまって
表面には出さなかった心の秘めたる部分が
愛おしいと思ってつい涙を流してしまった一冊です。
大人向けなのかな?
とても独特の世界観なので苦手な方は苦手かもしれませんが
俺は、この世界にどっぷり浸かってる時間が時々ほしくなります。
BLどうこうというより、マンガとして面白い1冊。
そして装丁が素晴らしい。今こういう表紙って全く見ませんが、色合いといい字のぼかしといい、何か怖く甘さのない雰囲気が好みです。
「夏が来れば思い出す」
「深夜少年」収録の「息もすんじゃねえよ」の続編。
修二の仕事仲間、漫画家の沓澤が主人公。
沓澤の憧れの漫画家・池谷さんは、生まれつき心臓が悪く、時に発作も起こしていた。5年前アシをしていた沓澤は、心臓に負担がかかることは知っていたが「抱いて」と言ってしまい…
その後、結局池谷さんは心臓マヒで亡くなるわけです。
葬式を終えて、沓澤の苦悩。だけど修二の言葉で少しは救われる沓澤。
好きな人が病気で、結局亡くなる。その喪失をBLで描くとこうなるのか、と目が開かれる作品。
「花」
こちらは戦時中の混血男性のお話。
父親がドイツ人で白人の容貌をした旭は、日本人の祖父が働いている軍人の家で共に住み込みで暮らしている。
が、その屋敷の足の不自由な次男に言葉でも性的にも嬲られていた…
そして戦況は激しさを増し。
戦時下に混血であること、障害があること、それらが拭えない負い目になること。そんな危うさは今もある。多分…
「泣き男」
多分恋したことはなく、ヤるだけの付き合いを続ける不誠実でコドモな野島。
野島と色恋抜きで付き合ってくれるのは、高校からの友人・安藤だけ。
そんな野島が、高校1年生の男と戯れに寝た後ストーカーされて、束縛されて…
「好き」という感情や人への向き合い方を考えるようになる、というお話。
「キャラコリ デュ ネギュス」
この1冊の中で、これが一番好き。
ゲイ専用回線で知り合った編集さんと19才。
ひまつぶし、なんて軽く自己紹介。でも初めて寝た時にこれまでにないほど感じ、本心では好きになってしまった。でも最初にオトナぶったせいで素直になれないトモ。
そんな時、佐々木さんの父親が亡くなり…
無口だけど現実的な佐々木と、背伸びしてるトモの不器用な恋。
トモは「息もすんじゃねえよ」「夏が来れば思い出す」の修二x晃司の知り合いです。(晃司はまだ修二と最後までやってないらしい‼︎)
小野塚カホリさんの描く「好き」はイコール「暴力」なのかもしれない。
湧き上がる「好き」という感情を相手にぶつけて、自分に心を縛るって
もう暴力なんだよーっ。
「愛してる」なんて言葉がむしろ心無いうすっぺらなセリフに思えて
酷い暴力に愛を感じてしまうんだーっ。
やべぇ小野塚ワールドこえぇーっ麻薬みたいv
個人的に人が死ぬ話あまり好きではない。
なんというか残された人がいいように判断してしまうんで
恋愛は生きているうちに完結して欲しいと思う。
「死」して「生きる」という美学より
無様に生きて愛するほうがかっこいいと思う。
表紙も見るからに不穏な気配が漂っていますが、中身もやりきれない作品が多いです。
表題作の【花】戦争末期、軍人一家に育った息子と住み込みで働くドイツ人ハーフとの話でして、ようやく双方の気持ちが通じつつあると思ったら、ハーフという事で日本人になりきれない負い目を背負っていた受けがまさかの特攻志願をし、死に別れるという死ネタです。
【夏が来れば思い出す】は心臓が弱い漫画家が主人公でして、これまた暗い死ネタ絡みのお話です。
あとがきによると描いている途中で、お知り合いの漫画家さんがお亡くなりになったとかで気が沈んで仕方なかったとのこと…。
【夏が来れば思い出す】【花】は死を扱っており、その影響が如実に伺えます。
>ハーフという事で日本人になりきれない負い目を背負っていた受けがまさかの特攻志願をし、死に別れるという死ネタです。
訂正します。大間違いです。
傲慢横暴だと思っていたおぼっちゃま(攻め)が特攻志願し、ハーフ青年は生き残ります…。
短編集です。
最初は、漫画家さんとアシスタントの話。お話を動かすのは、同業者の友人。
憧れの漫画家、池谷さん。一度でいいから抱いて、と思い切って言ったら、後でデートに誘ってくれて、許してくれた。
池谷が亡くなった後、アシから独立していた沓澤は自暴自棄になりますが、口は悪いけどいい友人がそばに居て、仕事が手につず死のうとした沓澤に、先生も気持ちがあったんじゃないの、と解説してくれる。
そしてまた前を向く、そんな話。
次は、戦時中に旧家へ居候していたドイツ人青年の話。
戦争には負ける、と言って憚らない、自由な家の御曹司。彼に夜ごと抱かれる、異国の青年。
しかし彼はある日、じゃあまたと言って、特攻に志願して家を出るのだった。
衝撃のラストだが、趨勢を見切り、日本なんか嫌いだといい、青年に文字を教えていた、そんな良家の子息がなぜ特攻に志願したのか、分からなかった。
次は現代のお話で、どうしようもないだらしない男の話。
Hするだけで全く愛情のない男。いつも相手にきれられて、傷が絶えない。そんな男を心配する友。
しかし、その友に女がいると知った瞬間、男はだらしない生活をやめる。
恋の予感を漂わせて終わる話。
最後は、コーヒー豆の名前がタイトル。
10歳も上の彼氏は編集でいつも忙しく、セフレのように会えばHするだけ。でも彼の手管にメロメロで。。
彼が実家に帰ることになり、ようやく本気でぶつかり合う二人。大事な人同士だから、家のしがらみを絶って戻ってくるよと約束をする。
初期の作品でしょうか。
切ないものが多いですが、ラストの後味はそんなに悪くないです。
でも短編なので、ちょっと消化不良になったかなあ。
◆夏が来れば思い出す
こういう題材好きだなぁと思います。死が1つのテーマになっているけれど、重たい終わり方ではなくて、希望も持てる終わり方になっていて。心臓が悪く亡くなってしまった池谷。沓澤は自分が気持ちを伝えたせいなんじゃないかと後悔していたわけですが、生前の池谷の言動を他人から聞くことで、彼も自分の意思で応えたいと思ってくれていたことを知る。もう彼は戻ってこないけれど、恋愛経験のなかった人生で最後に沓澤とそういう好意や熱情を交わせたのは、綺麗な思い出として魂に刻まれたんじゃないでしょうか。天国でも沓澤を優しく見守っていてくれるといいですね。
◆花(表題作)
戦時中の退廃的な空気が充満している物語でした。突如特攻を志願した彼の想いとは一体…。何かのけじめなのか、自棄なのか、ドイツ人の青年が日本を好きと言ってくれたから最後に自分も日本人に殉じようと思い立ったのか。いろいろと読者に想像させるこういう終わり方も悪くないですね。