切ない、苦い、でもうれしい。そんな恋がつまってる。

ネクタイとカマキリ

necktie to kamakiri

ネクタイとカマキリ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神5
  • 萌×23
  • 萌6
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
5
得点
55
評価数
15
平均
3.7 / 5
神率
33.3%
著者
アユヤマネ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
マガジン・マガジン
レーベル
チェリーシリーズ
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784904468937

あらすじ

ジュネット新レーベル!心の童貞を破るボーイズラブ「チェリーシリーズ」第1弾!

常田と夏木は同僚で恋人同士。常田の明るさに惹かれつつ思いを秘めていた日々も幸せな今も夏木が恐れるものは・・・。
リーマンの恋を描いた表題作他、めぐる季節と恋を描いた短編5編+αを収録!!
描き下ろしマンガ70P以上収録!!
(出版社より)

表題作ネクタイとカマキリ

常田,後輩社員
夏木,虫嫌いのファストフード会社社員

同時収録作品花桃花火

ファストフード店員・柳瀬
顔や体に赤あざのある店員・加古

同時収録作品ふつうの生活

元恋人・悠伍
元恋人・睦・現在彼女もち

同時収録作品我らに罪を犯す者を

冬休みの家政婦に応募した・三好紺
冬休み中の家政婦を雇った・穂積教授

その他の収録作品

  • 指輪を買いに
  • おまけ

レビュー投稿数5

やさしいね

ジュネットの新レーベル「チェリーシリーズ」から出た第一弾。
エチもエロもないアユヤマネ作品がジュネに!?っていうんで違和感たっぷりなんですが、実はこれ掲載雑誌はゲイDVDが付いている「恋ジュネ」なんですねv
あの雑誌は小椋ムクさんが載っていたりとか、エロばっかり!って思っているところにものすごく意外なツボがポロっと落ちていたことがあってびっくりしたのですよね~

この方の絵は、まるで絵本の挿絵みたいなんで、ものすごく好みが分かれる作家さんだと思います。
絵も、白黒の本体よりカラーのほうが断然イラストが際立っていてすごくいいのは確かです。
丸っこい太い線で描かれる人物達はショタな雰囲気もあるけれど、ストーリーは大人なんです。
ゲイであることの後ろめたさ、トラウマ、そんな切なさがふんわりした絵と優しい主人公達の気持ちに包まれて、ほっこりあったかく展開されていく。
本当に優しい、軽い感動さえ訴えかけるお話達なのです。

この1冊は各話毎、人物が、設定場面が、何かしらリンクした人物関係になっています。
表題の虫嫌いの先輩が、家に入ったカマキリを逃がしてくれたことで仲良くなった後輩を好きになるお話は、描き下ろしでその後の絆の深さへと補完されて、とってもあったかい話に仕上がっていますし、
『花桃花火』では、顔~身体にかけてアザのあることで人に迷惑をかけまいとする心優しい青年がバイト先で出会う仲間に、心から好きになってもらえるお話。
彼の痣を、笑った顔が桃の花が咲いたみたいと形容したその心がまた優しいし
『ふつうの生活』ではゲイではない生活を選んだ主人公が、元カレとの再会で、もう一度やり直すまでのお話だし
『我らに罪を犯す者を』ではそれぞれれに憎しみを、許せない相手を持っていた、それを赦す気持ちを持とうとする歳の差カプを。

どれもこれも心に響いて染みてきて、心の見せ方がうまいなーと感じさせられます。
雑誌中で一本だけ読むと、今一つわかりにくいものがあるかもしれませんが、こうして1冊にまとまるとその世界観がよくわかって、より伝わってくると思います。
あなどれない作家さんですよ!!

9

前作よりぐっと万人向け

アユヤマネ氏の作品の特徴は、児童まんが風のかわいらしく個性的な絵柄で大人っぽく余白のある物語を見せるというギャップである。
とはいえ第1作品集である『泣くのはおよしよ仔リスちゃん』では、その収録作の多くが「こども」主体の構図で語られていたために、絵柄にマッチしすぎた「ショタっぽさ」が一部の読者の苦手意識を喚起したようで、「読み手を選ぶ作家」として認識されてしまったように思う。
約4年半ぶりとなる第2作品集の本作では、主人公はおそらくみな成人と見られ(少なくとも前作のように明らかな児童は登場せず)、苦さと優しさの塩梅の利いた巧みなストーリーテリングはそのままに、前作よりぐっと万人向けに仕上がっている。

収録作はどれも好きなのだが、中でも一押しは“ユニークフェイス”を真っ向からしかもさりげなくとりあげた『花桃花火』だ。
主人公は顔面をはじめ体表のかなり広範囲に“赤あざ(おそらく単純性血管腫)”のある青年である。
決して卑屈になることなく、至って真面目に真っ当に暮らしており、勤務態度もよいのだが、その外見による差別を受けることがある。
そんな彼に、もしかしたら初めて差し伸べられた救いの手。
男女によるラブストーリーに当てはめるとあざとくなってしまいそうなところ、BLだからこそ核心に迫る内容に仕上がっているのではないかと感じられる良作である。

余談であるが本作は、12月10日配信番組『オリエンタルラジオのマンガ・アニメの日』内の『今週の一冊』(オリラジの二人+場合によってはゲストが、オススメのマンガを持ち時間各5分間で紹介するコーナー)において、突如として紹介された(メインの紹介作品である河内遙氏の『オーミ先生の微熱』1巻が同性愛を扱っている流れでの紹介)。
オリラジの二人によれば、「表紙の二人(表題作カプ)が自分たちに似ているという理由でジャケ買いしたのだが、読んでみると面白かった」ということである。
彼らはジャンルを問わない結構なマンガ読みのようだが、同番組でBL作品が紹介されたのはどうやら初めてのことらしい。
直接的なシーンがなくBLを読み付けない人でも比較的読みやすいであろう作品集とはいえ(ただし事後のカットはある)、もしかしたら自分たちをモデルにしたかもしれないBL作品(実際にはアユヤマネ氏が自身のサイトで、似ているのは偶然であると表明している)をあっけらかんと受け入れ紹介してしまう彼らの度量には脱帽する。
3ヶ月間視聴可能らしいので、興味を持たれた方は早めにチェックすることをお勧めしたい。

8

自分センサーだけでは辿り着けなかった良作…!

素敵な知られざる名作を教えて下さる方から推して教えていただいたコチラの作品!
見知らぬ作品は表紙買いが多い方なので自分1人では手に取る事はなかったと思います
それ位普段私が選ぶような作画とはテイストが違います
それでもおススメ頂けたので拝読してみたら、、、ビックリ…!
絵柄の好みなんか吹っ飛んじゃう位に1つ1つのストーリーが❝生きて❞いました‼

作品詳細に関しては先行かれた方の素敵なレビューもご参照頂きたいので私はネタバレ無しで感想重視とおススメの気持ちを書けたら…

1冊の中で4組のお話しが紡がれています
ニアミス程度に薄っす~ら関係性が繋がる程のオムニバス形式です
それぞれの登場人物がそれぞれのお話しに影響し合う事はなく、世界観が地続きって感じ程度です
この地続きがある事でこの世界の❝生きた❞リアルさを生んでいるような気がします

どの登場人物も至極「普通」なのです
キラキラ芸能人もスパダリもドラマティック生い立ち不憫さんも登場しません
それぞれ心や体に悩みや戸惑いを多少抱えた、どこまでも「普通」な人々が「普通」に誰かを想い、将来を憂い、日々を丁寧に粛々と重ねています

2010年の作品なので時代背景なんかもあったりするのでその辺も踏まえて読むと、、、環境は変わっても今も変わらぬ、本来人の持つ強さや優しさの存在に触れる事でじ~んと沁みて来たりします

あらすじだけでは分からなかった、、、ほのぼの日常系かな?と思うような表紙や画風からは思いも寄らなかった、、、「普通である事の重み」をまざまざと考えさせられる1冊でした

「普通」の基準はあくまでも「自分」
他から「個性」と思われる事だって自分にとってそれが「自然」であればそれは「普通」だし…!という正に今、声高に叫ばれるようになった多様性への一歩を踏み出す直前のお話しだと思います

いつの日かこの作品の中の人々の悩みや葛藤が全く理解出来ない…!という日々が来るといいな、と思います
決して悩むな、居ない事にしろ、共感出来ん…!っていう事ではなくて「なんでそんな事で悩むの?」と自然に思える位に「多様性」が浸透し切った世の中になったらいいな、と……
そんな願いの集大成は「問題が問題でなくなる事」という意識の変化なんじゃないかな?と読後に色々と想いを巡らせる事が出来る1冊でした

なんか小難しく書いちゃいましたが、、、
スト重を全面にしている訳でも啓蒙感のある作品でもありません
とてもとても読み易いです!!
だからこそストンと響くような1冊でした
自分に響いたこの感情を大事にしたくなるような、本当に素敵で私にとっては刺激のある作品と登場人物達との出会いとなりました

改めて、この作品を世に出して下さった先生に感謝です
そして私に作品の存在を教えて下さった同士の方にも感謝♡
次は私も誰かにこの作品の素晴らしさを届けられたらいいな、、、と願ってレビューを書きました
良かったら読んで欲しい1冊です(*˘︶˘*).。.:*♡

2

余白の陰影

この物語達は、本筋以外が割合に饒舌なので
読んでいて戸惑います。
本筋が饒舌なら節々だけを押さえて端折って
後からじっくり読み返そう、などと楽に棚上げも
出来るのですが、本筋が寡黙気味でともすれば
余白の余談がその補足に回っていたりする。
だから読み流した上で振り返ると意外な所の
ささくれに引っ掛かって前に進めなくなって
しまったりする。
素直な様でいて性悪なのだから始末に悪い。

この一冊ありきでこの『チェリーシリーズ』と言う
サブレーベルが創られたのか、サブレーベルを
想定してこの一冊が編まれたのか。
このサブレーベルから出たのが2014年現在
確認出来る限りこの一冊と言う現実が何かを
物語るでしょう。
新世紀以降のジュネットの特色を読み取る為の
示準標本ともなり得る一冊です。

1

まろやかだけど甘さだけではないんです

表紙に惹かれてフラフラと購入。初めて読む作家さんでした。イラストレーターさんでもあるのですね。中表紙も素敵です。色味も塗りの感じも。全体的に、表紙のイメージそのままといった感じの本でした。

内容は、それぞれの季節毎に登場人物と舞台が変わる構成になっています。

【春】
職場で同じ部署のリーマン二人。そろそろ親戚に身固めをほのめかされる時期、二人の距離が揺らぎます。

【夏】
バイト先での同僚二人。生まれつきのアザの為に偏見の目に晒されがちな子と、彼の優しさに惹かれていくもう一人の子との温かいお話。

【秋】
彼女と同棲している男の所に、一度別れた男の恋人が会いに来た。

【冬】
家政夫バイトの大学生と、バイト先の大学教授。まるで親子のような二人の関係は、一通の手紙で変化を遂げます。

【そして春】
【春】のリーマン二人、左手の薬指にはめる指輪を買いに行く模様…!

【おまけ】
今までのお話全ての種明かし的な感じです。これが有ると無いとじゃ、終わり方のイメージが全然違うと思います。本全体の雰囲気にぴったり合ったまとめになっているので、心地良い余韻に浸れるかと…!


どういう方向性のレーベルかは詳しくない事もあり、的外れな意見になるかもですが、この絵と内容とが上手く合っていると思ったのは【秋】【冬】です。

どちらもある種の生々しさが入っている話です。しかし読後感は嫌みが無い。それら(生々しさ)の鋭さを柔らかくカバーしつつ、切なさを増幅させる、という正反対の効果が一度に味わえて、とても興味深い仕上がりだと感じました。

【春】【夏】は私にとってはちょっと甘さが多いかな、と。可愛いですけどね。季節柄しようがないか。あと【夏】のアザが分かりにくかったのがちょい残念。もっと違和感有る感じだとしっくり来たかも。

付いていた限定ペーパーはすごく普通でした…


次はどのような話を描くのかが気になる作家さんです。

4

この作品が収納されている本棚

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