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薬やAIDSの描写読みながら今は中々こういった題材を取り扱うのは単純に時代の流れで難しいのかなって思うと、この時代じゃなきゃ描けなかった話かなーとも思うので、そういった意味で神。
上下と読み終えて物語の終わりが人生の終わりではなく出会いと別れは繰り返すもの。
唯一無二を浪漫と見るか...ていうところでBL的に好みも分かれるのかもしれないけど、それがこの作品のテーマであり人生を描く上では当たり前にあることだと思います。
ハピエン好きにはオススメし辛い作品ですが何でもどんと来い!な人は読んでみて欲しい。
「空気の存在」下巻。
性格の合わない2人。だけどだからこそ惹きあう2人。
すぐに熱く嫉妬するドックに、表面上クールで涼しげなタブ。
今2人はルームメイトで同じ大学に通っているが、タブがドラッグにハマりはじめている…
…という上巻からの流れがあって。
メランコリーの妹までもがドラッグで死に。
タブとドックが囮のようになってメランコリーを摘発する。
これで何もかもうまくいく…かと思いきや、の究極の展開キタ…
ドックのバイトである氷の運搬。これが実はメランコリーのドラッグの運び屋の仕事だった…だからメランコリーが捕まって一気にヤバい事になる…
…今時のBLではありえない展開がやってきます。
ドックが殺される。
そして下巻では、ドックの死後にタブに新しい恋が訪れる所も描ききる。
それも、その次の人も死んでいることが暗示されていて、そこをまた回想するという流れで物語が進むんですよね…
ドックの死があって、もう恋などできないタブの歳月が描かれる。
そこにちらちらと登場するのが、同じ大学生のゼッド。
いつまでもドックを心に棲まわせているタブ。そこをわかっていてゼッドは恋したのでしょうね…でもタブにとってはゼッドは生涯の相手とはなりえない。
だからゼッドは苦しくて、一夜の衝動、不特定多数とのアフェアを繰り返すようになる…
さて、この物語の時代性が重要になってきます。
AIDS。
ゼッドはHIVに感染します。感染後にようやくタブに想いが届く。しかし遅すぎた。
タブが一人残される本作の結末は、今現在令和の時代のBLファンはどう感じるのでしょうか。
今ならこの物語はどんな風に展開するでしょうか。
死ネタがあって、本命の恋人が死んだ後に新しい恋人ができる、だがその人も死ぬ、というストーリーは受け入れられるのでしょうか。
今本作を読みながらそんな事を考えます。
本筋から少しズレますが、私、定広さんの作品に登場するダークサイドなキャラがどいつも好きで、この作品だとキャンディ売りの〔メランコリー〕。
こいつさえいなければ…!と憤るホント最低なクズ野郎なんですが、寂しさとか虚しさとかそういう負の感情に心が支配された時にこういう奴が甘い蜜を手に近付いてきたら、タブ同様、私だって突っぱねれるかどうか。
悪い男には何かしら魅力があるものです。
最良の回避策は、こういう人種に出会わないよう、近付かないよう生きていくことですね。
そんなダークサイドキャラのメランコリーがますます悪魔的に二人に絡んでくる下巻です。
上巻のレビューではタブの弱さにばかり言及しましたが、二人が甘い関係を上手く築けない原因の一端は勿論ドックにもあります。
ドックは急ぎすぎているのですよね。
ドッグの目指す理想の恋人像へ到達するには二人はあまりにも若すぎるのです。
彼の愛が弱いタブを更に追い詰めてしまっていることに若くて情熱的なドックは気付けない。
それがタブを余計に暗闇へと堕としていきます。
光と闇の交錯する展開は本当にお見事で、光が見えたかと思えば叩き落とされる繰り返し。
しかもそのアップダウンは次第に振り幅が大きくなり、ヘビーさを増していきます。
そして最後に用意されていた最大最悪のドンデン返し…
あまりのやるせなさに暫く心が死んでしまいました。
定広さんの美学が恨めしい…(TT)(TT)(TT)
後日譚となる『遥かなる水の音』がまたやるせないです。
愛する相手とSEX無しで愛し合いたかったタブの願いがこんな皮肉な形で叶うことになるとは…
それでもこちらのタブには悲しみを乗り越えた分、強さが宿っているのが救いです。
出逢いがあれば別れもあるし、時には絶望的なことだって起こるのが人生。
腐らずにへこたれずに真摯に生きていくには自分なりの試行錯誤を繰り返して乗り切っていくより他ないわけで、そこの奮闘にしっかりとした人間臭さを感じさせてくれる作品ならば物語的にはどれだけ悲しくとも心にはずっしりと響きます。
こういう作品を読むと、バッドエンドが美学として許された時代のバッドエンド作品にはバッドエンドなりの良さがあるんだと改めて実感させられます。
バッドエンド=病みエンド的な当世流のバッドエンドモノとは意味合いが明らかに違いますね。
上巻のレビューにて、思ったことの欠片も言えてないことに気付き愕然としました。
この作品は沢山のことが詰まっていてとても私の文章力では太刀打ちできないと、痛感しているところです。
昔読んだときに凄さは感じつつも、好きと言い切れなかったのは、ドックのあまりに激しい愛し方や、タブの弱さに共感しずらかったからかもしれません。
何度も読んだ今なら、解る気がするのです。
説明的な描写はさほど多くはないけれど、よくよく見れば画面から伝わってくるものが沢山あって、定広さん流の描き方に改めて痺れさせてもらいました。
この文庫化にあたり追加のストーリーはありませんが(話の順番は時系列順に直されていると思います。)
最後の定広さんのコメントをみれたことで私は満足です。
作者自身が"唯一悔いなく描ききった作品"とするこの作品、
魂の再生の物語でもあると思います。
彼らの情熱に満ちた人生は、これからも私のなかに居続け、人を愛することの意味を思い出させてくれるのではないかと思っています。
このⅡのエンド、90年代前半だから許されたのでしょうか?
ドラマチックです!!
学内の麻薬売買で死亡者まで出る。
極めつけは、タブの更生に援助してくれた、売人をしているメランコリーの妹・アンジーまでがオーバードーズで死んでしまう。
タブが麻薬をしていたことを知り自ら体を張って犠牲になろうとしたドック。
こんなに沢山の人が傷付いて、死ななければタブは再生することができないのか?
その代償はあまりに大きすぎる!
そもそも、校内でホモの噂が出た時、タブは素直にその性癖を認めるのだが、ドックは自分はダブにだけそうなんだ、だからほもではないという言葉を吐く。
その思い方の違いさえも、タブには溝に感じてしまっていたのだろうか?
いくら相手を守るためとはいえ、一途で真っ直ぐなドックに、タブは引け目を感じすぎる。
そしてそのすれ違いが悲しい。
売人のメランコリーが逮捕され、二人にやっと安息と本当の幸せが訪れるはずだった矢先・・・
その後、ゼッドという学生と知り合い、恋人になる。
しかし彼は病気があり・・・
そのゼッドとの恋愛の葛藤は、薬の次にHIVという深刻な問題を提供してシリアスに向き合わせる。
ドックを失ったタブだが、ゼッドに対し前向きに進ませるのが救いだ。
ドックに導かれ、彼はきっとゼッドの最後も看取ったのだろう~
舞台がアメリカ、セックス・ドラッグ・HIV と、普通の大学生の生活の中にでも普通に存在すると言うそのリアル感を見せながら、
とまどい、時には絶望し、葛藤し、それでも前向きに進んでいく若者の姿がまぶしく感じて、その真摯さがある種の感動になるのは間違いない。
ただタブが、弱い人間だけに、どうして?何故?と若干彼に入れ込める部分が少なく、どちらかというとドックだったりゼッドだったり、タブを導く人々に魅力を感じるのは、彼らへのほのかなあこがれかもしれない。