空気の存在 上

空気の存在 上
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×21
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
25
評価数
6
平均
4.2 / 5
神率
50%
著者
定広美香 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

作画
定広美香 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
双葉社
レーベル
シリーズ
空気の存在
発売日
価格
¥762(税抜)  
ISBN
9784575727609

あらすじ

アイスホッケー部の試合で、殴り合いのケンカを始めたタブとドック。
しかしそれは借りの姿。ふたりは愛し合っていた-。
直情的なドック、冷静なタブ、愛し合うがゆえに破綻ギリギリまで追い詰められるふたり。
空気のようにそこにいるだけでいいのに、求めすぎては壊れそうになる・・・・・。
愛の不条理を描いた名作BLコミック、ここに復活!

表題作空気の存在 上

転入生 タブ
ハイスクールホッケー部員 ドック

その他の収録作品

  • TRUE COLOR
  • 心呼吸
  • 空気の存在Ⅱ

レビュー投稿数4

ピュアすぎて痛い、青春ラブ

もう記憶の彼方なのですが、私がこの作品を知ったのは13~15年前だったと思います。
それでも一番最初の同人誌が出たのが1986年ですから、もう20年以上前からの作品なんですよね。

その頃定広さんの作品に傾倒しそれなりに作品を集めて読んでいたのですが、
当時一番好きだったのは『COUNT5』でした。
でも一番覚えているのは『空気の存在』なのです。
好きかどうか以上に、時を経ても心に残り続ける作品のように思います。

H度はそれなりに高くても描写はあっさりめですから、驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。
そうであるなら、ぜひこの定広さんも知ってほしいです。


舞台は定広さんお得意のアメリカ。
情熱的なドックとクールなタブの、まるでハリウッド映画のような青春ラブストーリーです。
特に私は前半の同人誌部分が大好きでして、
このあたりの画面の見せ方、セリフ回し、、すべてにおいて称賛したいです。
あまりに印象的なシーンがありすぎる…。
そして好きであったこそ、あえてプラトニックであった彼らのこのピュアさと葛藤!
この部分は他とかなり絵柄が違うし、コマ割等も違っているのですが、
この少女漫画により近い繊細な囲気がのある画面ス、トーリーに非常にマッチしていると思います。

いまどきのBLと比べちゃうと面倒くさい展開かもしれませんが、
若い時分にあるであろう青臭さがきちんと描かれていて、私はひどく好きです。
またいろいろと回り道をするのは、ドックの生い立ちとタブの過去の恋愛が起因となっているのです。

それで一度身体の関係を持ってしまえば若い彼らのこと、溺れるのは必死なわけでありまして、特にナイフのように鋭く激情家なドックはどんどんタブに執着し、タブの重荷になるのはわかっているのに自分をさらけ出すことしか出来ない。
表面的にはドックのほうが弱いように思えるけど、実はタブのほうが自分を抑え目にする理想主義的なところがある分、ひどく脆かったりします。

別の個人であるからこそ、どんなに好きあっていても理解し得ないこともある。
身体をつなげれば解かる?違うよね。
でも愛してるのならSEXするよね。ではどこまで心をさらけ出す?溺れていいの?
・・・すごく単純で判りきっていることだけど、深い。
そういった葛藤に向き合おうとできる時期が学生時代なのかと思います。

愛する人にずっと寄り添える「空気の存在」のようになりたいと願った、
情熱的で鮮烈な愛の軌跡が描かれている、名作だと思います。

3

美学で成り立つ名作

評価を神にしないのは、これはもう単純に私の嗜好とのギャップによるところ。
作家様自らが「唯一悔いなく描き切った作品」と仰られている通り、作品としては間違いなく名作だと思います。

80年代後半~90年代に描かれた作品と言うことで、定広さんの作品は今読んでもあまり時代的なギャップを感じずに読める普遍的なものが多いですが、これは如何にも古典的な美学を感じる作品でした。
導入となる『空気の存在』の初出が1986年発行の同人誌だそうですから、すでに30年近く前の作品なんですね。
思いもよらなかったラストには、竹宮惠子さんの「風と木の詩」を初めて読んだ時ばりに心をごっそりと持っていかれてしまいました…
純粋すぎるが故に、取り返しのつかない方へとどんどん狂っていく、悲しいラブストーリーです。

主役となるタブとドックは、定広作品らしい対称的な二人。
ドックはタブを愛し過ぎるがあまり、タブにまとわりつく空気にまで嫉妬し、親友や恋人といった言葉で言い表せるような存在を超越した存在になりたいと願う、独占欲強めの熱い青年。
タブはドックと対等な存在でありたいと願い、過去の恋人関係と差別化するためにSEX無しでも愛し合える関係にいたいと思っている、人からはクールに見られる青年。

この作品の悲しいポイントは、主人公のタブがあまりにも弱い人間だったことでしょうか。
恋人と対等でありたいとか、他とは違った特別な繋がりでいたいと思うことは、タブのような頭が良くて理性的な人にはありがちだと思いますが、ドックのような情熱的な相手にそんな愛し方を貫けるほどのタフさがタブには足りない。
故に二人の間の愛が大きくなるほど、タブは引け目を感じて選択を間違えてゆくのです…

ドラッグが絡む作品です。
不器用で弱い人間がドラッグに嵌まっていく姿ほどやるせないものはありません。。。

下巻に続きます。

1

やっぱりガチンコ青春ものは定広作品だな~♪

80年代の香り漂う作品。(背景の映画の看板がセントエルモスファイアーだったりww)
当時の少女漫画(Lalaとか)の作風が、絵が懐かしさを誘います。
表題は同人が初出なんですね。

主人公は高校のホッケー部の仲間であるドックとタブ。
彼等は恋人同士なんだけど、それは人に知られてはいけないと隠している。
まだキスしかしない間柄の二人に、かつてタグの恋人(?)だった体の関係があったロイが科学教師として赴任してきたことからドックはタブとの関係が不安になる。

そんな始まりで、タブは二人が対等でいたいからと体の関係にならないことをドックに説明しているが、ドックは愛しているなら分かち合いたい、全てを知りたいと思っている。
そんな、セックスをするまでの心の段階がよく伝わってきます。
特にダックの心情に肩入れした為、彼の気持ちが痛いほど伝わってくるのです。
最初の相手が世間体を取りつくろうロイだった為に、魂をむき出しにすることを恐れたタブを、ダックが本気の本音でぶつかって殻を破らせる。
そんな、定広作品に欠かせないガチンコ青春がとても初々しくて、新鮮です。

そして中間に、タブとロイの過去の話。
ドックの過去を絡めた、タブとの始まりの話が、表題を補足する形で挿入されています。

そしてⅡでは、同じ大学で同じ学部で、ルームシェア仲間として念願の同居が始まった二人のシーンから始まります。
苦学生の二人は、学費をねん出するためにバイトを励まなくてはならないのですが、そんな時タブにヤクの魔の手が!?
下巻の劇的な展開の序章であります!

ドックの方がヤンチャでそういった不良な感じがしてタブのほうが優等生な感じなのに、貧しくても沢山いる兄弟の面倒を見、成績優秀なタブに何とか遅れをとらないように、必死で頑張るドックが健気です。
そのタブへの執着は、自分だけを見て!他の人と話をしないで!と若干子供のような独占欲を示しますが、どうしてタヴは素直に純粋に自らドックを求めることができないんだろう?
そこにジレンマを感じながら、後半へ大いなる期待♪♪


1

熱く深い愛し方

良くも悪くも時代を感じさせる作品。
まず絵柄は少年漫画っぽい。
そしてストーリーは、これがもう何とも「濃い」。濃いの一言。
元々同人誌からの物語ということで、こうして上下巻で一気に読んでみると時系列的にわかりづらかったり、重複したり、辻褄が合わないような部分が正直あります。
でもそれを上回る読み応えが確かにある。

冒頭は、いけ好かない転入生、だけど本心は気になって仕方ない、それは恋の裏返し?という出会い。
すぐに熱くなる喧嘩っ早いドックと、涼しげな優等生のタブ。
ドックもタブも真剣な恋で、真剣すぎてなかなかうまくいかない。
特に、タブは前の学校で研修生と関係があって、独占欲の強いドックはそれが許せずに荒れる。
この上巻では、このようなドックの嫉妬描写がかなり多いです。
お互い強く想いあっているのにぶつかりあって傷ついて、それでも離れられない、そんな「痛い愛」が繰り広げられています。
中盤からドックとタブが同じ大学に進学しルームメイトに。
ここでもドックとタブは真剣すぎてぶつかってしまう愛し方のまま。本当は70才になっても共に隣にいたい、と想いあっているのに…
そして、彼らの運命を変える人物がここで登場してきます。彼の名はメランコリー・レクター。
メランコリーによってドラッグを使うようになってしまうタブ…
クスリの事はドックには言えない。でもドックに熱く愛を告げるタブの姿に、何とか立ち直って2人の未来が見えてくるのか?という上巻の終わり方。

…だが、昔のBLは必ずしもハッピーがお決まりじゃないんだぞ?
下巻に続く。

0

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