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まさかあの写真を再び掘り返してジェルミに突き付ける時が来るとは思わなかったので、驚くと共に非常にハラハラしました。確かに、お前の痛みに二度と目を瞑らないと言っておきながら、イアンが真にジェルミの苦痛に向き合ったことはなかったのかもしれない。それはもちろん、ジェルミにトラウマを思い出させたくないという気持ちがあるからでもあり、もう半分は、自分の実の父親の狂った言動や考えに真正面から向き合うのが怖かったからでもあるのでしょう。プロのカウンセラーなら止めるかもしれないけれど、ここまで頑なになってしまったジェルミにも、この荒療治は確かに必要だったのかもしれません。
自分の恐怖を、目を閉ざさず真っ直ぐに見つめる。2人にとってどんなに勇気がいることか、想像もつきません。父親がいかに猟奇的で残忍な人物だったかを認めること、自分も父親のような衝動に飲まれそうになっていることに向き合うイアン。そして、グレッグの仕打ちによってあらゆる部分が腐っていき、綺麗な部分などどこにも残されていないと思う自分や、最愛の母が彼との関係を知っていたにも関わらず最期まで見て見ぬふりをしていたかもしれないことに向き合うジェルミ。グレッグの性的虐待という1つの事象が、他のあらゆる方向へ魔の手を伸ばし、二重にも三重にも苦しみは増していく。これらすべてを、子供2人で乗り越えようなんて正直無謀だとしか思えません。それでも、必死に足掻く2人が、人間は人生をやり直せるんだという希望を僅かであっても私達に見せようとしてくれているのかなと思いました。