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sweet tale
同棲をテーマに描いた短編集。様々なカップルが様々な理由で同棲するか、それに近い生活をしています。
どのお話もよかったけど、やはり表題作のスウィートテイルが一番インパクトがあって飛んでいて(?)好きでした。
二人ともまともな生活をしていないというか、これでいいのかな?いや、駄目だろ!とツッコミを入れたくなる、そのくらい駄目駄目です。
けどかわいい。ほんとに現実にこんな人がいたらろくでもないし、駄目人間なんだけど、お話としてみた時はやはり面白いのです。
学校を出てから男の愛人をしたり、その愛人の金をとって逃げたり水商売でバイトをしたりお金が入ったら働くのを辞めて、無くなればまた男を引っ掛けて…とろくな暮らしをしていない和也。
住むところも職もない貴史を好きになり同棲を始めます。二人ともけっこうな駄目人間感を漂わせているのですが、でも何とか生きています。
生きるのが辛い、苦しいという感じでなくてもう本当に基盤が緩んでるという感じです。明日のことも考えてないような、そんなに長く生きるつもりないし、という和也は、人生を悲観していることは全くないのです。
やりたくないことはやらない、他人にほとんど興味がない、死にたいとか苦しいとか、思ったこともない、でもいつ死んでもいいか、みたいな気でいる。
彼は苦しいことに耐性が持てず、自分の好きなことだけを選んで生きて来たらこうなっていたんじゃないでしょうか。
でもほんとに悲壮感のようなものは全くないんです。
逆にこっちがつらいときとかしんどいときに読んだら肩の力が抜けていいんじゃないでしょうか。
カップリングとしての萌えとはまた違うかな?
でもこれ以上ないくらいお似合いなカップルだと思います。
この生活と性格が許せるかどうかで好みが別れそうな気もしますが、気の張ったとき、ゆるゆるとしたお話を読みたいときはオススメしたいと思います。
なんとなく、肌寒くなってきたころに読みたくなるお話ばかりなんです。
一言でいうなら、それぞれが自分たちの「家」を見つけるまでの物語。居候中だったり、失業中だったり、どこかで過去にとらわれていたり…。何事にも執着しないくせに自分が思う"かわいい"ものだけには執着したり。すでに同居しているふたりもいれば、これから一緒に住むんだろうというふたりも。こんな男がどこかにいてほしいよ...という和ませキャラが、ふたりのうちのどちらかというパターンが多いかな。4カップルです。
理由はないけど心の波長が合いそうだと感じた瞬間。ひとりじゃ選べなかった道も、もし手を引っ張ってもらえたらどうだろう。なんとなくあきらめてしまった日々が、君に出会った日から少しずつ輝き始めるような感覚。おおげさじゃなく、ほんのり、少しずつ。ちょっといい話、素敵な話、そんな感じのタイトルでしょうか。全部いいんだよなぁ。お気に入りの一冊です。
関連作欄に『ナイト・ウォーク』があります。そちらのキャラの一人(唯)が本作にも登場しますが、未読でも問題ありません。
今回コミックタイトルは「スィート・テイル」と銘打っているが、その中のメインを占めるのは無職の男と売りをしている男との同居生活を描いた「BOY NEXT DOOR」だ。
テーマが男同士の二人暮らしだそうなので、他の作品も行きつく先が同居という部分でテーマに沿った構成になっていると思う。
『BOY NEXT DOOR』
ゲイバーでバイトをしながら売りもして、セフレのような男の元に身を寄せては金品を盗んで乗り換えて、、ないい加減な生活をしている和也。
新しく引っかけた男の家にいくと、無職で居候している貴史と出逢い気になる存在になる。
和也は”かわいいもの好き”しかしそれは~汚れた窓ガラスの陰影~だったり~朝のゴミ捨て場~とか・・・??
貴史を気に入ったのもその表情がかわいかったからなのだが、”かわいい”の基準がアレな和也だから、それは純粋に可愛いではなく、寂しそう、というのが正しいのではないんだろうか?
だらしない和也にあきれながらも一緒に生活する貴史。
拾われたのは貴史なのに、いつの間にか捨て猫のようなのは和也に見えて頬っておけなくなったのかな?
そんないつの間にか・・・という間柄で、ここにも「好き」とか「愛してる」とか具体的な言葉はないのですが、愛おしい・かわいい・見捨てておけない、という基準でいいのだと、ゆるい関係にもどかしさより安心を感じるのです。
『ロングウェイ・ホーム』
過去作品「ナイトウォーク」に登場したオカマヤクザの唯が絡んで出てくるお話です。
唯の会社に借金をした加藤が、借金を待つ交換条件に出されたのはアパートに居座っている男を追い出す仕事。
居座っている男は、その部屋で売りをしている小野泉。
同居人が帰ってくるのをまっているという泉に憐れを感じて何かと面倒を見だす加藤。
結局彼らは二人孤独だったんですね。
ヤクザの唯さんも、まるで見越していたようなキューピッドだったのかも?
彼らの同居は二人の居場所を見つけた、その形がとても解りやすくて、最後気持ちが寄り添うシーンには心が温かくなりました。
他に、経営が行き詰った会社の社長とそのバイト、ある夜声をかけた男に誘われて寝ると、その男は実は以前から好きだったという確信犯的な話。
どれも、少しはずせば暗くなってしまいそうな要素を持ちながらも軽妙に逃れている作風はいつもの宮本さんだなと思います。
最後の書き下ろしで『BOY NEXT~』の後日談がついていますが、「汚い」の意味を取り違える和也に吹き出してしまった!
帯のアオリで「男同士の“ふたり暮らし”、はじめませんか?」と言っているように、ふたり暮らしの4カップルのお話が入っています。
【BOY NEXT DOOR】
「夢はペット可物件!?フリーター同士の甘い同棲ライフ」と帯にありますが、その前に「ビッチとノンケ」と入れたほうがいい気がします。
なんだか地に足が着かない二人のとっても不安な同棲生活のお話です。
本編は成り行き任せな感じが溢れているので、どうにも私の好みに合わないのですが、描き下ろしを読んで変に納得しちゃいました。
相変わらずつかみどころは無いものの、お似合いのカップルなんだねと思えました。
【ワン・ハート】
潰れそうな運送会社の社長とアルバイト君のお話。
帯には「ワンコ系バイト×ヘタレ青年社長の節約同居」とあります。
ヘタレというより苦労性の社長と、コワモテだけど結構頼れるバイト君。
こっちのお話は結構好きな展開でした。
“ふたりでがんばろう”って感じがいいですよね。
【おとしもの】
これは、同居未満です。
帯には「謎の美形リーマンの押しかけ同居!?」とあります。
家に帰りたくない魔性のゲイを拾っちゃったおにいさんのお話。
超短編なので、ただそれだけです。
いつも思うんですが、魔性のゲイってホントにいるのかなぁ。
【ロングウェイ・ホーム】
帰らぬ恋人を待つ為に、頑なに部屋から退去しようとしない少年と、事情により彼を退去させなくてはならない無職の男のお話です。
ほだされラブといったところでしょうか?
しかし、身体を売って食いつなぐというシチュエーションはあんまり好きじゃないなぁって思いました。
拾ったのか、拾われたのか?
いつの間にやら一緒に暮らして。
単なる身体目当てなのか、金目当てなのか?
そこに恋や、愛はあるのだろうか?
「同居の数だけ恋がある」っていう、帯の文句のように、多分「恋があるから同居する」。
でも、それは、灼熱の燃え上がる恋じゃなくって、出るに出られない冷めかけのお風呂みたいな、グズグズの「多分、恋」
そんな、ふわふわした、同居に至る物語を集めたこの本。
宮本作品には、こんな浮遊感のある子が登場することが多い。
それにしても、見事に初出の出版社がバッラバラ。
Chara誌に掲載されたのは、「ロングウェイ・ホーム」のみで、
表題作の「SWEET TALE]まで、自社掲載作じゃないなんてね。
宮本佳野先生らしい、少し寂しげな男と男の boy meets boy……
短編集です。
「BOY NEXT DOOR」
勤労意欲も貞操観念もゆるゆるなゲイの和也。男の愛人になったり、セフレの部屋から金品を持ち出したり。そんな和也と出会った非ゲイの貴史。
なんとなく和也と同居し、なんとなく和也が好きになり、お互いなんで一緒にやっていけるのか不思議に思いつつ家族のようになっていく。
2人で仔猫を飼って、広い部屋に引っ越し、これからも長く一緒に……
偶然の出会い、しかも片方は非ゲイなのに。出会いと縁って不思議だね〜。
「ワン・ハート」
1人で運送会社を経営している西野。だが経営は厳しく、家賃収入を得るためにバイト男性(バイ)を下宿させている。
いよいよ倒産の危機になるが、バイト君が小金をためていて自分を頼ってほしいと…
結局お金はバイト君から借り、彼は共同経営者になり、同居も続けて、なんとなくほのぼの…
バイト君の心意気が優しいお話。
「おとしもの」
外にずっといた男を家に上げてあげた橋本。話を聞くと、自分はゲイで、恋人(男)が殴るから家に帰れないと言う。そして橋本を誘ってくる。橋本は驚くが流されて…
男ははじめから橋本を狙ってた?DVの話は本当?よくわかんないけど、まいーか…みたいなお話。
「ロングウェイ・ホーム」
借金が返せず、それなら不法占拠の部屋から住人を追い出せ、と仕事を振られた加藤。
部屋に行ってみると、若い男性が。
彼・泉は恋人(男)が待っていろと言うから出て行かない、と頑なで、その部屋で男に体を売っている。
加藤は泉を放っておけず、食べ物や毛布を持って行ったり、毎日様子を見に行くように。
そして情が移り自分が泉を引き受けて一緒に住む事にする。
こう見ると、4つの話は全部ゲイ(orバイ)と非ゲイ男性が出会い、不思議な縁で恋人、家族、ずっと一緒にいる存在になっていく、というお話でした。
どこの町にもいそうな人の、どこか切なくどこか優しい物語たち。
そしてどこかつかみどころのない、スイートな寓話。