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10代の頃はなんにもわかってなかったから読めたTOMOIシリーズ。
でも大人になるにつれ、手に取ることができなくなりました。
友井人生の時系列を再掲します。
「眠れる森の美男」…N.Yで年上の渋い医師・リヒャルトと恋に落ち捨てられる
「気分はもう正方形」…捨てられた腹いせに、日本で後輩の雪弘と周りの人間を引っかきまわして楽しむ
「マンハッタン症候群」…N.Yに戻って運命の人・マーヴィンに出会うも、修羅場の末にマーヴィンを亡くしてしまう
「空が青い」…死に場所を求めて戦場へ
前作が『眠れる森の美男』、後半3作品の描きなおしが『TOMOI』に収録。
(『眠れる森の美男』のトオコさんとみみみ。さんのレビュー参照)
私はマーヴィンと一緒にいる時の友井が一番好きです。
友井が患者を死なせ酔いつぶれて道路に転がっているときに声をかけてきたのがマーヴィン。
二人は偶然同じアパートで、同じ病院に勤める医者同士。ずっと友井を見てきたマーヴィンは友井を大好き!って気持ちを隠さない。
友井がずっと一緒にいたいと思った時に、「ずっと一緒にいていい?」と聞いてくる、マーヴィンは友井にとって運命の人のように感じます。
友井の下ネタに笑い転げるマーヴィン、その頬に触れて
「ずっと笑っていてくれ ずっと愛しているから」と友井が言うシーンがたまらなく好きです。
運命のような二人が寄り添って、その間に流れるやさしくて甘い一瞬。
TOMOIシリーズがつまんなくなってもかまわないから、この一瞬は永遠に続いて欲しかった…
でも運命は残酷で、物語はドラマティックに転がっていきます。
友井と出会う前、マーヴィンはゲイである自分を否定したくて結婚したもののうまくいかず、不特定多数の男と関係を持ってきた結果、AIDSに罹患…
この頃、AIDSは治療法もわからない死に直結した奇病で、その奇病をもたらしたと思われていたゲイは偏見で蔑まれ、迫害を受けていました。
それでも友井はマーヴィンに全てを捧げて一緒に在ろうとしたのに、運命は二人が一緒にいることも、最期に穏やかな時間を迎えることも許さなかった。
逆上したマーヴィン妻の銃弾からお互いを守ろうとして、マーヴィンは撃たれ、「きみは地獄へは堕ちるな」という言葉を友井に残して逝ってしまう…
マーヴィンの言葉があるから、友井は自分で死ぬこともできず、偏見に満ちたN.Yから逃げ出し、誰かが殺してくれることを期待して、戦いの最前線へ…
そこで友井は、戦火で兄を亡くしたアデライナを守るために、再び生きる決意をするのだけど…
この最後は小物ひとつとっても、全てが辛くて、悲しくてしかたがない。
悲しい結末でも読み終えた時に泣いて、また読み返すことはできます。
おなじ秋里作品の『デッド・エンド』もやりきれない結末ですが、読み返すことに戸惑いはありません。
でもTOMOIシリーズだけは手に取ろうと思えませんでした。
それが、みみみ。さんの「慈愛に行きつくことができた友井の人生は上出来」、この言葉で心のつかえが取れ、ほんとうに久々に読み返すことができ、この友井の人生は上出来なんだって納得して、TOMOIシリーズにendマークをつけることができました。
私には悲しみしか見つけられなかった友井の人生に”彩り”を取り戻し、悲しみを昇華してくれたみみみ。さんのこの言葉、私には”宝物”です。
そして『TOMOI』から12年後、友井と同じ名前をつけられた甥・久嗣の同人誌が発行されています。
秋里作品にハマった方には、『青のメソポタミア』もぜひ読んで欲しいです。
BLではありませんが、宇宙ファンタジーとメソポタミア文明をからめたストーリーは壮大で、主人公の生き様や、仕える者の表には見えない感情に、BLを愛する方なら感じ入るところがあると思います。
そして単行本時のあとがきによると(※文庫版に収録されているかは不明)、友井には壮絶な生き方をしたある人の血が流れているそうです。
「眠れる森の美男」からの続きです。
続きではありますが、BLとして読んでも遜色ない内容だった前巻に比べると、こちらは主人公〔友井〕の内面によりフォーカスした人間ドラマ色の強い内容になっています。
萌えという尺度で測るなら前巻の方が高ポイントかもしれません。
何より本作で主人公が人生の最後に全身全霊の愛を捧げようとしたのは女の子ですし。
ですが、私はこちらにこそ迷いなしに「神」を付けたい。
作品は三つのエピソードからなっています。
一つ目は、リヒャルトに捨てられ傷心した友井がかつて無自覚のまま恋心を寄せていた後輩に会うために一時帰国するお話。
二つ目は、ニューヨークに戻った友井が新しい恋を見付けたのも束の間、その後の友井の人生を世捨人のような生き方に変えてしまう重大な出来事が起こるまでのお話。
三つ目は、ニューヨークでの生活を捨て戦地で医療に従事する道を選び、アフガニスタンへと渡りその地に散るまでのお話。
ラストまで読み終わった時、一読目は結末の無情さにただ涙が溢れるだけでしたが、反芻するにしたがって、この物語が読ませてくれようとしているのは、最初は「恋愛」から始まる人の愛が成熟してやがて「慈愛」に行き着くまでの過程なんじゃないかと思えてきて、そういう意味で言えばこの友井の生涯は上出来だったのではないだろうかと、次第にそんな感想へと変わりました。
愛されたいだけじゃ虚しさをゼロにするのは不可能に近いし、守るべき存在がいないと生きていく意味は見出し難い。アデライナから愛の言葉をもらって「私も好きだよ」と返す友井の慈愛に満ちた穏やかな表情に、作中で友井が投げつけられた「人は神がもう死んでもいいというまで生きなけりゃだめなんだ!!」というセリフが自然と重なって、あぁ人はこの「慈愛」という愛情の形に辿り着けないうちは迷おうが止まろうが生きなけりゃいけないのかもな・・・なんてふうに思いました。
時間をおいてまた読み返したい類いのお話ですね。
生きた年数が更に増えればきっとまた味わいが変わってくるのだろうなと思います。
前巻のレビューでこの作品にはリメイク元の読み切り作品群(『気分はもう正方形』『マンハッタン症候群』『空が青い』)が存在すると知りまして、昨晩レビューをした後、早速『気分はもう正方形』と『マンハッタン症候群』が収録されているコミックを買って読んでみました。
『気分はもう正方形』が本作の一つ目のエピソードにあたるお話、『マンハッタン症候群』が二つ目のエピソードにあたるお話でした。
ならば『空が青い』は三つ目のエピソードのリメイク元だろうか?
これを一番読んでみたかった気もしますが、さすがにコミックに収録されていないとなると入手できる可能性はほぼ無さそうですね…。
ayaayacさま
恐縮するようなお言葉を…ありがとうございます。嬉しいです♪
矢先に…が本当に悲しかったです(T-T)
あまりにも遣る瀬無かったので、前向きな解釈を探してこんな感じで心にしまうことにしてみました。
甥っ子くんそっくりに成長しましたか〜〜運命の人と幸せになれて良かったです^^
ルネッサンスもSFなんですね。なんだかめちゃくちゃ壮大そうなあらすじ!せっかくなので2冊合わせて買ってみようと思います(*・ω・)ノ
コメント、オススメありがとうございました☆
みみみ。様
『TOMOI』のレビューも読ませていただきました。
死に場所を求めていた友井さんが生きる目的を見つけた矢先に…が悲しくて、心身健やかな時でないと読み返せない作品なのですが、「慈愛に行きつけた友井の生涯は上出来」というみみみ。さんの言葉に重苦しさが和らぎました。
あらためて、レビューしてくださってありがとうございます!
同人誌の甥っ子”久嗣”は友井さんに見た目も中身もソックリです。
母親に叔父のような人生を歩まないように(ゲイにならないように)プレッシャーをかけられていたけれど、運命に出会ってしまって…な、いまの萌えBLっぽいストーリーです。
(パラレルで友井さんが幸せになったように錯覚できて私は好きです)
『青のメソポタミア』もぜひぜひ!
ついでに『ルネッサンス』もオススメです。