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jungle boy
「心の痛み」に対する描写が素晴らしい1冊です。
切なさを表現されているコミックスの中で、これが個人的にはベストです。
ちょっと大げさ?と思われる部分もあるし、モノローグがかなりクサイ部分もある。
けれど、この画面から発せられる強い想いに心を揺り動かされます。
湖西の苦しい吐露が胸に痛い。強烈に響いてくる。
拒絶されても、どうしようもなく向いてしまう滝本への気持ち。
滝本以外はいらなくて、彼が苦しいときには傍にいれる自分でありたいと願い、その為には何を犠牲にしてもよいと思える、制御不能な想いが切々と語られます。
勿論欲望もあるけど、それ以上に滝本を癒したくて、傷ついた滝本にそっと寄り添う湖西が実に男前。
そして滝本の意地っ張り具合が可愛くですね、湖西と一緒にキュン死にですよ(笑)
また滝本の孤独と喪失感をたった1頁で表現しきっている。
このひとつひとつの画面において筆が冴えきっているといいましょうか、凄味さえも感じさせます。
滝本親子の確執も焦点となっているのですが、彼等が負った哀しみは大きすぎて、其々が新たな人との繋がりで心を癒すしかなかったのだろうと思いました。
それにしても彼等、中学の時に滋賀と神戸と遠距離だったに関わらず週一で会ってるとは、どんだけラブラブ!!?
いくら湖西が金持ちの息子で、滝本が棋士として大阪遠征ありとはいえ。もぉこの二人は(笑)
あと一つ言うなら、湖西に想いを寄せる歳上女性・華住美さんの在り方もいいのです。
同性として、彼女の行動に好感を持ちます。これも愛なんですよね。
この話で彼らのプラトニックな想いの終焉となるのですが、後日談がありますのでまだまだ楽しめますw
JUNGLE BOY の6巻です。
5巻と6巻はこの作品唯一の同性カップルである滝本と湖西のお話。
前回から続く回想で、子供だった2人は中学生になり、家に問題を抱える滝本は関西の家を飛び出し東京の高校に行く決意をします。
それに「傍に居る」と付いてくる湖西。
1巻から仲の良い2人でしたが、滝本の進路に湖西があわせていたとは。
単なる「仲のいい友達」じゃない絆を感じます。
けれど友達から恋心を自覚しはじめたことでギクシャクする2人。湖西の家は貿易を経営する大きな会社で、湖西は跡取りとしてアメリカに来ないかと親に言われ、おまけに既に婚約者もいるという・・・。
そんなときに滝本と勘当状態だった父親が亡くなります。
なんだか怒涛の展開なのですが、家の問題と恋愛の問題をしっかり絡めて描いていてヒューマンドラマとしても恋愛ものとしてもしっかりしてるし、何よりもうせつなくて泣けます。
友達でも恋愛でもどちらでも、出会ってからずっと一緒にいた2人の間にある「お前のためなら全部捨てられる」という関係。
「何のために生まれてきたのか」という、子供に少々思い問いかけをした湖西のおじいちゃんですが、それがちゃんと5巻から続いていて、答えを見つけたときに湖西が1人涙を流すシーンがほんっとうに感動的でした。
脇役な二人なのですが、まだ高校生ながらこんなに壮大な恋愛物語を読めてとても満足です。