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jungle boy
5巻から恋愛編と書かれている通り、これまで友情ものメインだった登場人物らの中からカップルが生まれようとしている第5巻。
夏希に淡い恋心を抱きつつある宇都宮と、滝本に対する欲望を抑えきれなくなっていく湖西。
宇都宮と夏希はNLカップルですが、この二人がとても好きです。不運体質の宇都宮の恋路は困難が目に見えていますが幸せになってほしい。
この二カップルをメインにしたかったようですが、途中からどんどん湖西と滝本のBL一色になっていきます。
どっちのカップルも全く意識していなかったのに、「これは恋だ」とわかった瞬間に世界が変わってしまうという経験をします。
NM、BL問わずそこを上手くえがけているところがスゴイと思います。
宇都宮は硬派なので女の子に恋するなんて思ってもみなかったんだろうなぁという初々しさににやっとしてします。
湖西は・・・多分心のどっかでずっとわかっていたことに怖くて気付かないフリをしていただけなんですね。
気付いてしまうと友達じゃいられなくなる、肩をならべたり、部屋で二人きりになるなんてできなくなる…という風に。
宇都宮のわ~ってなっちゃう可愛い恋とは全然違う、湖西と滝本の恋は、アイデンティティを揺るがすほどの、もっと言うと人生に深くかかわってしまうほどの大きな問題。
この巻と6巻にかけて湖西が向き合う、「何のために生まれてきたのか」「何のために生きるのか」という問いかけに関わる問題です。
そんな大げさな、と思いそうですが、二人の出会い編が描かれていて、読んでいるうちに二人の関係にどんどん引き込まれていきます。
まだ子供だったころ、湖西は環境にもなにもかもに恵まれた不幸を知らない子供で、滝本は家に事情を抱える、湖西とは対照的な存在です。
恋そのものを知らない歳に出会って、今高校生になり、恋を知り、世界が変わってしまうというのは少女漫画家さんだけあって本当に繊細な絵がかれ方をしています。
このへんはきっと、同性の恋でありながらBL漫画ではなく、少女漫画として描かれているんだろうなぁと感じます。
滝本と湖西の話が始まります。
作者さんは彼等とウッチーの恋愛を平行して書こうと思ったら、湖西の熱い想いに負けて、宇都宮の話は後回しになったようです(笑)
というわけで、ほぼ一冊まるまるBLになってます。
3巻に引き継ぎ表紙は滝本です。
プロ棋士&寮長&九曜リーダー(生徒会長みたいなもの)を平行して行ってる彼。…普通に考えて無理だな(笑)、ということを軽々やってしまうプロフェッショナルな人。
これ、ストーリーもさることながら、裏表紙も素晴らしいんです。
もろにBL風味ありで、淡く繊細さのある絵。素敵です。
さて、湖西君が滝本への気持ちを本格的に抑えられなくなってきました。
唯一守りたい相手なのに自分が汚してしまう、と苦悩して滝本を避けはじめる湖西。
滝本はというと、湖西に避けられ将棋もままならない。
居て欲しいときにいない湖西を想う滝本と、
もう傍にいられないと思う湖西。
そんな彼等の原点である小学5年の夏休みに時は遡ります。
彼等の想いが丁寧に綴られる、文句なしの良作です。