お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
kaze to ki no uta
风与木之诗
『「生きること」への恍惚と不安
心はいつもよりどころを求めてさまよう
そんな時…
ぼくは彼女と出会ったのだ――』
セルジュの父親と母親のせつなくて激しい恋の物語が綴られています。
身分違いな二人はオペラ劇場で出会います。片方は貴族で、片方はパトロンもいる高級娼婦で。
この二人の恋はまるで、出会った劇場で上演されていた『椿姫』をなぞるかのようです。といっても私はオペラの『椿姫』は知らず、原作のデュマ・フィスの小説を読んだことがあるだけなんですが。
昔はひたすら二人を応援してただけだったんですが、改めて読むと、恋に生きることの身勝手さについて考えてしまいましたねぇ。反対されて当然だと思う私は、すっかりオトナの論理を持つ人間になっちゃったんだなァと、少しホロリとしました。若いときに読むべき本があると思うのはこういうときだ。
パトロンの侯爵が気の毒だとも思った。老いて醜くなった彼には、お金しかなかったのだ。若くて美しい青年子爵に愛情を武器として戦いを挑まれたら、眩しく、そして憎らしく思うと思う。侯爵だってきっと、お金の見返りとしてではない愛情が欲しかったはずだ。
周囲を巻き込み、駆け落ちを選ぶこととなった二人の恋は、セルジュの誕生へと繋がっていきます。
愛し合う両親に見守られ、貧しくとも穏やかで幸せな日々のなかで幼年期を送ったセルジュを見てると、悲惨な幼年期を送っていたジルベールとの差異を感じて悲しい気分にもなりました。
子爵の息子として生まれた父が初めて本気の恋をした相手は娼婦。
褐色の肌をしたココット。
決して正当なみちでは受け入れてもらえない二人~から~なお話。
正直、ここまでのベルナールを読んでから読んでいるせいもあるのだけれど、
セルジュの過去は愛に満ちている。
子爵の家を捨てて、何もないところから始めた二人の生活。
金銭的に豊かではなくても気持ち的には豊かな生活。
明るい家庭に楽しい笑顔。セルジュもそんな両親のもとで育てられた。
これを見ると、セルジュがなぜあんなふうにも納得出来る。
しかし、楽しいばかりではなく、幼いセルジュを残して死んだ両親
そして辛い生活の日々。その中で~のセルジュがカワイイのであります。
ちびセルジュ。。。このまま大きくならなければいいのに