BLコミックの金字塔

風と木の詩(1)

kaze to ki no uta

风与木之诗

風と木の詩(1)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神33
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
11
得点
165
評価数
33
平均
5 / 5
神率
100%
著者
竹宮恵子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

作画
竹宮恵子 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
白泉社
レーベル
白泉社文庫
シリーズ
風と木の詩
発売日
価格
¥581(税抜)  
ISBN
9784592881513

あらすじ

両親の愛に育まれ、素直に育ったセルジュと、愛を知らずに育ったジルベール。学校の寄宿舎で同室になった2人は、まったく対照的のように見えながら、奥底でつながるものがあった。反発しあいながら、お互いの気持ちを確かなものにしていく。
耽美漫画の最高峰にして、ボーイズラブの礎を築いたジーザスな作品。

表題作風と木の詩(1)

セルジュ
究極のツンデレ・ジルベール

レビュー投稿数11

中古で購入検討される際は番外編の収録有無にご注意。

色んな出版社から版違いで何種も出ていますが、現在はほとんどの版がすでに絶版で新品は文庫版か電子書籍でしか手に入らなくなっているため、中古も選択肢に交えて購入検討される方も少なくないと思います。
その際の参考になればと思い、ざっくりまとめてみました。

2017年現在、紙書籍が6バージョン、電子書籍が2バージョン出ています。
一番の大きな違いとして、番外編「幸福の鳩」の収録有無があります。
こちらは1991年に出版されたイラスト集『海の天使』に描き下ろされた作品のため、1990年以前の版には収録されていません。
その他は、イラスト収録、解説の有無、カラーページの収録等で少しずつ違いがあります。

◾︎紙書籍
小学館フラワーコミックス版(全17巻)1977年刊
└オリジナル
小学館ハードカバー豪華版(全9巻)1988年刊
└イラスト収録あり(カラー&モノクロ)
角川書店竹宮惠子全集29〜37 (全9巻)1990年刊
└表紙絵描き下ろし

↓↓ここから以降は番外編の収録あり↓↓

中央公論社愛蔵版(全4巻)1993年刊
└イラスト収録あり(カラー&モノクロ)、作者まえがきあり
白泉社文庫版(全10巻)1995年刊
└イラストなし、各巻に異なる解説者による解説あり
中央公論社文庫版(全8巻)2002年刊
└イラストなし、作者まえがきあり

◾︎電子書籍
eBookJapan Plus版(全16巻)
└ebjが直接作者の会社と電子化契約を締結してデータ作成された電子書籍
現存するカラー原稿56ページ分をカラーで復刻収録

まんがフリーク版(全8巻)
└中央公論社文庫版を元にデータ化された電子書籍


私は角川書店の全集で紙書籍を所持していたのですが、番外編がずっと読めていないままだったこともあり、今回eBookJapan Plus版の電子書籍で入手しなおしました。
カラー原稿に差し変わっているページは印象がやはりモノクロとはだいぶん違ってきますね…!初めて拝見したので、独特で美しい色使いにいたく感動しました。
愛蔵版等に収録されている口絵や扉絵イラスト等も収録されていれば嬉しかったですが、残念ながら本電子版には未収録です。

20年振りに読んでも当時となんら変わりなく揺さぶられる、まさに不朽の名作。その一方で、大人になったことでラストの感じ方が自分の中で当時とは大きく変わっていることにこのたび気付かされました。
読み返す機会をくれたebjの企画に感謝します。
これはまた改めてレビューしたいなぁ。まとめられるかなー。

11

金字塔

名作です。
この手のジャンルの作品では、後世に与えた影響ナンバーワンとも言われる作品です。
2ちゃんねるのヤオイ板に匿名のままで書き込むと必ず『風と木の名無しさん』になってしまうのは、この作品ゆえw
寺山修司が「これからのコミックは、たぶん『風と木の詩』以後という呼び方で、かわってゆくことだろう」と書いてましたが、呼び方ではなくて「これからのコミックは、『風と木の詩』の洗礼を受けている」という意味で然りと思います。この漫画を読んでないBL漫画家さんは皆無に等しいと思う。

この一巻では、セルジュとジルベールが出会います。
小悪魔ジルベール。13歳の少年娼婦。
真面目なセルジュはジルベールとルームメイトになり、必死で彼を理解しようとし、逆にジルベールの闇に引きずりこまれそうになる。
薔薇とか目の光キラーンとか言い回しとか、昔の少女漫画の作法なんですが、慣れると一気に物語の世界に引きずりこまれると思います。

8

ジルベール、あぁ究極の総受け

児童ポルノが騒がれる今日この頃ですが、この作品を推進派の人たちに見せたら、目くじら立てそうです。
小悪魔ツンデレ総受けのジルベールは、あらゆるオヤジに体を求められます。冒頭からHしまくりです。
でもジルベールは、とっても官能的なんです。今のBLでは、あまり求められない要素ではありますが、とにかくゾクゾクするほどセクシーです。
最初は嫌がって抵抗しても、愛がスタートしてしまうと、それに抗うことができず、ズルズルと抱かれてしまう。嫌がっているのに、まんざらでもない、という表情、そして羞恥に耐える表情がたまりません。
虐待される痛い系なのに、もっともっとヒドイことしてほしい~と闇の声がさらなる仕打ちを求めるのです。
背徳的なものほど美しい…
ドキュメンタリー風に幼児虐待はよくない、という陳腐なメッセージを入れずに、この痛い状況を官能的な作品に仕立ててしまう竹宮先生の力技は本当にすさまじい。
今のBLを呼んでいる人は、昔の絵っぽくて嫌とおそらく最初に拒否反応を示すかもしれません。
脇で出てくる雑魚キャラは確かに今の感覚とマッチしてないとことがあります。
しかし、それでも数ページ読んでいくと、半分以上の人ははまってしまうんじゃないかと思います。
画面からは先生の想いがビシビシ伝わってきて、怖いぐらいです。

6

全く色あせない、秀逸な作品

竹宮惠子作品の中でダントツ1位はやっぱりこれ。
30年以上前!?の作品なのに、全く色あせない、秀逸な作品。

キャラクターがみんな人間臭くて魅力的。
そして、何度も何度も読んでるのに、毎回切ないストーリー。
少年愛だとか、同性愛だとかじゃなく、人間愛ですな。
みんなが哀しくて救いが無い様だけれど、最後は希望の光がほんのちょっとだけ見える。
愛でしか生きられないジルベールも哀しいけれど、私は、オーギュが一番哀しい人だなぁ…と思う。


続編「神の子羊」のりす・はーぜ著と合わせて読むべき!
やっぱり救いは無いけど(^ ^;)

6

呼ばれるっていうのはこういうことなんでしょうかね。
不意に「風と木の詩」が読みたい!と思ったが翌日には注文していました。
一時、竹宮さんの作品が好きで読んでいた時期がありまして
母が持っていた作品をいくつか読んでいました。
なので、巧い作家さんという印象はあったんですが、なんだかむしょうに。
まとめて一気に読んでしまった今だから思いますが
面白い作品です。

1巻は出逢い~のお話ですね。
開いてすぐから男とのベッドシーン。
身体を売っていると評判のジルベール。あまつさえ先輩だけでなく
校長をも誘惑し、からだの関係を持っているというつわもの。
常にハダカンボウでまるで妖精だな(*´∀`*)と
笑いながら読めました。や、うん。ね。
昔は、読めていた時代物の少女漫画を読むと無償に笑いがこみ上げてしまうのですが、久しぶりにその衝動。
一度読み終わって読み返すとまた感じが違うんだろうなとは思うのですが。

男同士の姦淫も、淫らなことも。
学校も生徒も教師も黙認している。
そんな中にぽっとわいた転校生。
彼ならばジルベールを変えられるかもしれない、なんとかしてくれるかもしれないと一縷の望みをかけて~からな序章。

急速にジルベールに惹かれていくセルジュとジルベールの駆け引きが面白い

6

避けては通れません

当方、ちるちるレビュー活動ははじめたばかりですが「腐女子歴」だけは、そんな言葉など影も形もなかった頃からというクチ。そんな輩にとって「風と木の詩」は、BLを語る上で外せないエポックメイキングです。
今時の作品しか見たことがない人からすると、ぱっと見であまりに古臭く感じる絵かもしれません。しかし、この作品が世に出なかったら、今の「BL」隆盛は無かったことでしょう。竹宮先生が作家生命をかけて「男の子同士の恋愛」を描くこの作品を産み出し、世の中にちゃんと出してくれたからこその現在(いま)なんです。すべてのBLの母ですよ。

…というと、歴史的価値だけで読み継がれている作品のようですが、そんなことはありません。キャラもストーリーも今読んでもやはり名作は名作なんです。軽いBL作品を読み慣れた人にはちょっと重すぎる部分もあるかもしれませんが、「究極の愛」「人間愛」を追い求めているんですよね。
聞いたことはあるけど、あまりにも古すぎて読んだことないなー…で止まってる人、もったいないですよ。是非ご一読を。

5

名作耽美 (ジルベールとオーギュについて)

"耽美"
この言葉がこれ程までに似合う漫画は他に存在しないのではないかとまで思わせる作品。
手の指先一本一本から香る色気、柔らかか華やかな香りがしそうな髪、挑戦的な目、美少年の象徴であるジルベール。

舞台は寄宿舎で愛情注がれて育ったセルジュと自由奔放なジルベールが出会う場面から話が始まるが私がこの話の核となっていると思うジルベールの過去編について少し綴りたい。
ジルベールの叔父として登場するオーギュスト、実は義理兄の妻とオーギュストの元に生まれたのがジルベールだったのだ。
ジルベールの純粋無垢さに惹かれ一緒に生活していくオーギュだったがある事件により暴行されたジルベール、傷心したジルベールを半ば呆れたように見せかけてジルベールとオーギュは契りを交わす。

ここで、シンプルに分かれると思うのです。あ、単純にこの話苦手だ...と思う方とそうでない方。
私はもちろん後者ですが、ここからが愛、愛憎全ての始まりであり、この風と木の詩の核なのです。
愛を感じるのに体に直接感じられなければジルベールはそれが伝わらないとここで学んでしまう。
本当に愛しているのに、お互いに。

そして、知り得たジルベールは自信に満ち溢れ、そんなジルベールにオーギュは魅力が減ったと突き放すような真似をする。
そんなオーギュにジルベールは死んでやると言っては結局オーギュが折れてとそんなことをする。

オーギュというアダルトチルドレンはジルベールは他の誰かにも取られたくないし、安堵の位置にジルベールがなって欲しくもないけど、、、でも、いなきゃいけない存在がジルベールなんですね。
愛が怖い、受け入れられない。

よっぽどジルベールの方が大人なのかもしれません。
ジルベールもジルベールでオーギュの気をひくため、オーギュのお気に入りの本だけを破ったら、壊したりしてオーギュを怒らせるんですけど、激怒して、(オーギュの)目が覚めた後に凄く愛してくれる。ここの最終段階まで予想がついてて、破ったら壊したりするんです。

アダルトチルドレン、オーギュには失ってからではないとわからない為のエンドだったのかなとも思いました。

4

少なくとも、一週間は死人のようになっていました。

この作品が日本の少女漫画雑誌において初めて連載されたBLであり、BLの始祖と呼ばれるところはご周知のとおりである。私も一介の腐女子として”古典”を学ばねばと思い、購入した。
冒頭の衝撃的なエロティックなシーン。こんなことしていいのか。作者はどんな顔でこんなものを描いているのか。お嫁にマジでいけなくなるレベルである。正直「先生、大丈夫か」と思った。しかも、これが連載されたのは少女雑誌である。竹宮恵子先生の執筆した当時は、時代が時代だけに勇気がいったことだろうと思う。よくやってくださいました。
クラシック過ぎる絵に初めは抵抗があったものの、話が本当によくできていてどんどん次が読みたくなった。ちなみになぜか乳首がかなり写実的である笑。
過去編はセルジュ、ジルベール共に本当に心が引き絞られるようで、辛い。それでも主人公であるセルジュの頑張りによって何とかなるのだろうと信じて読み進めた。
ラストが衝撃過ぎてその部分は二度見三度見どころかおそらく十回は読み返した。ページを戻すことによって、何度も生き返るジルベールに、所詮は作り話なのだと思っても、涙が止まらなかった。初めて読み終えたときはぶつぶつと「ジルベール……」と一人呟いては彷徨っていた笑。今思うと当時の自分の姿は気持ち悪いが、本当に行き場のない哀しみが私の中で渦巻いていたのだった。
個人的な話になるが、私はハピエンが好きだ。バッドエンドは確かに美しいし、いつまでも心に残る。しかし、どんなに辛いことがあっても、最後は幸せになれると信じるからBLを読むのである。そうでなければ、BLなどただ悲しいだけである。風と木の詩を読んでから、”悲劇”というのがBLの究極の到達点なのかと悩んだ。しかし、「私は絶対に恋に落ちた二人を幸せにしてみせる」とBLに携わるものとして誓った。

4

忘れられない運命

たぶん今でも熱狂的なファンがおられる作品
完結から何年もあとに竹宮さんがジルベールのイラストを商業誌に描かれたとき、
作者であっても自由には描けない(もちろん権利の話ではない)ようにコメントを付されていたのを憶えている

非BLタグだが、BLの源流であるのは確か。それでもBLではなく、強いて言えばJune、ほんとうには少年愛の物語だと思う。主人公は少年でなければならなかったからである

じつはわたしはこの長いお話の中で、主人公の一人セルジュの父母の運命の恋とその幸福を描いたパートがとくに好きだ。愛し合う両親から愛を受けて育ったセルジュがジルベールに愛をそそぐ姿を思うと涙ぐみそうになる

CHIHIROCK☆さんがお示しのとおり、
『神の子羊』(のりす・はーぜ著)までお読みになることをすすめたいが、
作者がはっきりと続編として示しておられるし、
もともとの構想に含まれていたストーリーが描かれているからだが、
この漫画だけで十二分にすばらしい

本作とモチーフが類似する、作者の『変奏曲』が現代のBL読者的には知られざる傑作かもしれない。クラシック音楽を描いた漫画として今でも他にはない、天才少年二人のせつなく、うつくしい物語だと思う。未完ではあるが、その子ども世代のお話もまた、愛されない子どもが本作を思わせてせつない

竹宮作品では他に、『ファラオの墓』もおすすめしたい
こちらは非BL、でもニアBLと言ってもいいかもしれない。古代エジプトを題材にした架空戦記が語られるなかで、王家に生まれた少年二人の宿命的な出会いと別れが、官能的でせつなくてたまらない
『天は赤い河のほとり』(篠原千絵作)などがお好きな方に

2

オーギュストが一番好きです

そう言えば昔はストーリーの萩尾、キャラクターの竹宮という感じの言葉があったそうです。
同じ耽美系のジャンルを同時期に書かれていたおふた方ですが
萩尾先生は半神などに代表されるように、話作りがピカイチなのに対し、
竹宮先生ほどキャラに読者を入れ込ませる作家はいかったとかなんとか。
実際に今見てもジルベールのキャラ造形は一級品だと思います
とにかく心理描写が卓越しているので読んでいて楽しい、行間を考えて楽しい、彼や彼とのイフを想像して楽しいっていうね。
オタの素質がある人にはもうたまらないと思いますよ
脚本の構成能力も凄まじいの一言
無駄なところが(続編の伏線と思われるとある一コマ二コマを除いて)全くありませんから。

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