禁猟区の森

kinryouku no mori

禁猟区の森
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×21
  • 萌7
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
7
得点
40
評価数
11
平均
3.6 / 5
神率
27.3%
著者
定広美香 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
マガジン・マガジン
レーベル
ジュネットコミックス ピアスシリーズ
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784904468036

あらすじ

戦争で混乱する昭和初期。航空兵に志願した佐助は、死ぬ前に主人である和泉を思い出の森で抱きたいと願いでる。時代に翻弄され、抗えない身分違いの恋の先にある未来とは・・・
他、読み切り2作と大人気シリーズ『オーガニック・サンズ』のその後も収録!!

表題作禁猟区の森

猟師→兵隊→会社社長
領主の若様、学生→男娼

同時収録作品ペパミントキャンディ

26歳、元警官
18歳

同時収録作品ホーム・スイート・ホーム

ホームレス
リストラされた会社員 27才

同時収録作品ふるさとの君に 前・後編

21歳、空と一緒に農業を営む
28歳、田舎で農業を営む

レビュー投稿数7

「ペパミントキャンディ」一点買い

表題作は正直全くピンと来なかったのですが、同時収録の「ペパミントキャンディ」は私をBLにハメてくれた思い出の作品。
評価は迷いに迷って、結局「好きな作品(への思い入れ)基準」で決めました。
表題作のほうは、戦中期が舞台で、褌という時代物ならではの素敵アイテムが登場。絵も構成も安定感があって、安心して読めます。
ただ、個人的には後半の展開が昼ドラすぎるかなと。好きな作家さんだけにハードルを上げてしまってるせいもありますが。
…ということで、以下全て「ペパミントキャンディ」についてのレビューです。

◆キャンディで愛を教える物語◆

主人公の登希(とき)は18歳。或る殺人事件で重傷を負い、入院治療中です。
事件のショックで記憶を失っている彼が唯一覚えているのは、両親が殺され、自分も拳銃で頭を撃たれたということ。撃たれた傷がもとで、彼は5歳程度の幼児に退行してしまっています。
そんな登希を見舞ってくる謎の男・黒崎(26歳)。
登希は彼が誰なのか覚えていないものの、
「俺が君を守るよ」
と言ってくれる黒崎が大好き。
或る日黒崎が登希を病院から連れ出すところから、物語は始まります。
果たして黒崎の正体は? 彼の目的とは?そして、事件の犯人は…?

昭和のB級サスペンスドラマを彷彿とさせる作品。
基本謎解きを軸にストーリーが展開しますが、作品の実際の核心は、黒崎に性愛的な感情を持っているにもかかわらず、自分の感情を自覚できない登希に、黒崎がキャンディを使って愛を教えるという、まさにBL展開の部分にあります。
ジュネットコミックスですので、当然肌色シーンも高濃度。
「体が18歳で心は5歳の少年」とBL展開…もうそれだけで背徳感満々のエロス。イケナイものを読んでるような後ろめたさも、この作品の湿った情感を煽っているのかも。

ただ、作品では敢えて二人の心境に立ち入らず、淡々と二人の行動が描かれていきます。説明的な描写が削ぎ落とされているため、一読しただけでは意味が読みとれない部分も。
でも、読み返すうちに、二人が(特に黒崎が)何故そういう行動をとったのかが、分かって来る…このじわじわ感が、たまらなくイイんです。
後からあとから切なさが押し寄せる、そんなストーリーです。

見どころは、二人がキャンディを舌で取り合ううちに、キスをやめられなくなるシーン。
「何度もとりっこしてるうち いつのまにかキャンディは消えちゃった だけどクロサキはまだ探してる ぼくも…」
幼い語り口の登希のモノローグが、淫猥なムードを盛り上げています。
そして気が付けばベッドの上…この後のキャンディの使い方も、重要な見どころ(?!)のひとつ。
ただ、個人的には、中盤までの、登希と気持ちを通じ合えず、ともすればひとりよがりに暴走しそうになる黒崎の苦しみを描いた部分に、心を鷲掴みにされました。
エロいですが、描かれているのは純愛です。

わずか26ページ。派手さはないし、ツッコミどころも多々あるものの、長く記憶の隅に残り続ける、存在感ある作品だと思います。
古めの画風OKという方はぜひぜひ読んでみてください。

4

昭和初期は“時代物”扱い

領主の若様・和泉と使用人の猟師・佐助のお話、時代物初挑戦だそうです。
戦中戦後の動乱期、お互いのことを思いながらも身分の違いや徴兵制度という壁に阻まれ、正直に思いを伝えられない二人ですが、佐助が狩猟中誤って和泉の足を撃ってしまった事件から糸がほぐれ始めます。
それでも主として、抱かれたい思いを素直に出せない和泉に「航空兵に志願したので、最後の思い出に抱かせて欲しい」と佐助が言い出します。立派に戦死してくることを条件に思い出の場所で抱かれる和泉ですが・・・ここまでが前編。
後編は戦争で死に損なったものの、起こした商売が当たった佐助が、男娼に身を落とした和泉と再会して・・・というお話。

これだけだと、よくあるお話になってしまいそうですが、「相手のことを想い、願う」という伏線が張られていて、説得力のあるものになっています。
帯には「下克上!!愛する主人を辱め犯す!!」とありますが、ちょっと違う内容です。嫌がっている人を抱いているわけでも、辱めという程酷いことをしているわけでもないので。

同時収録「ペパミントキャンディ」はせつないお話。頭を撃たれた後遺症で幼児退行してしまった登希と元巡査・黒崎の複雑な事情が重なることによってうまれた歪んだ関係。ハッカ飴の使い方がエロいです。不幸だけどハッピーエンド、こういう話ってなぜだか好きです。

「ホーム・スイート・ホーム」はホームレスの話かと思いきや・・・というお話。原さんは“ヘタレ”扱いでよろしいんでしょうか?どこからどう見ても、リストラされて悩んでいいはずの昴(受)のほうが態度が男前なんだもん。

もうひとつは太陽×空のシリーズ。空くんフリーダムです。農家の後継ぎとは思えないくらい奔放ですな。病気もらわないようにしないとね。

5

短い中に濃密な香り

表題作は、戦中〜戦後の身分違いの恋。
前編、そして再会までは面白く読んだのだけれど、
シリアスな題材だったのが、最後ファンタジーになってしまった感があり残念。

「ペパミントキャンディ」は、最後の意外性がいい。
頭を撃たれ精神が5歳児に戻ってしまった登希。
自分を見舞ってくれる男が誰なのかは分からぬままに、惹かれていくが……。
タイトルになっている、ハッカ飴の使い方が象徴的でとてもエロティック。

ペパーミントは古くから親しまれたハーブだが、
刺激の強い香りは神経を鎮める効果と、覚醒させる効果と双方あり、
古代では催淫効果のある香料としても使われていたというし、
予知夢がをもたらす力があるとも考えられていたもの。

「ふるさとの君に」は「オーガニックサンズ」という作品の続編らしい。
こちらは元気なBLな感じの話で、前半二つとはテイストが違うかな。

もう少し長編で書かれていると読みでがあったような気がするが、
むしろこの短さで濃密な世界を描き出していることに感嘆するべきか……?


4

snowblack

yoshiakiさま、コメントをありがとうございました。

私も実はyoshiakiさまのレビューを拝見して、この本を手に取りました。

歯磨き粉やがガムのイメージが強いペパーミントですが
爽やかさだけじゃない「大人の味」ですよね。

チョコレートのアフターエイト(After Eight)が有名ですが、
イギリスでは夜8時過ぎは大人の時間として、
ペパーミントを使ったお菓子やお酒を楽しむ習慣があるそうです。
大人の時間……と言えば……かな。

yoshiaki

snowblackさま

ペパーミントには催淫効果もあるんですか。勉強になりました。
「ペパミントキャンディ」は、アソートのフルーツドロップを買うとハッカ味が最後まで残るという部分が自分の子供の頃の記憶にも重なって、惹き込まれました。
大人の味ですよね。

電子本で読んでましたが、snowblackさんのレビューを読んで、紙の本も買ってしまいましたよ( *´艸`)

待ってましたヾ(o゚ω゚o)ノ゙

発売をすごく楽しみにしてました。ありがとうございます。
しかしまぁ、読後の印象はといいますと、心臓の痛い作品が多かったかなと。
代表作である「禁猟区の森」ちょうど、終戦間近~のお話ですね。時代物は個人的にすごく好きです。なんていうんだろうね。味があると言うか。
今後くるジャンルだと思ってるのは私だけ?(たぶん
領主の息子と、それにつかえる子供。
離れた月日の分だけお互いに大人になり~な感じなんですが、このキャラクターがこんな風に成長するのか~と思うとちょっと不思議な感覚でした。
自分が予想していたのがどれだけありきたりな設定なのか思い知らされ・・・。
プライドの高い受が、素直に言葉にできず「帰るな」と残して最後いちどだけ抱かれる。
「死ににイク。帰らないから最後にいちど」と言った手前帰れない攻。
んで、領主のボンは戦後娼婦に落ち・・という展開なわけですけども。
散々他の男たちに抱かれてて、淫乱になって・・という・・ね・・・なんかこころ痛むというか。だからといって感傷的になっているわけじゃないのがむしろ痛むと言うか。
攻さんも、子供のときの印象があるのでイマイチ大人のキャラがしっくりこないのも事実。ハッピーエンドだからまぁ、いいんですが。

ホームレスのヤツはちょっと先が読めてしまいましたね~。残念

そんで、太陽と~な話。前回もラブラブメロメロエロエロでしたが、今回はまた心臓痛い。なんていうかさ、「浮気してこいよ」もいいけどさ。なんていうんだろうな~空・・・すごく複雑な気持ちになりました。うん。うん。うん。
好きおーとるならそれででいいじゃないのよと思う。
オッサンとの交尾もなかなか良かったですけども。け・ど・も。
これまた不思議な感覚でした。
代表作とあわせて、好きあってるんだけど・・・というのがどうも私にはまだ難しいのかなと思ってみたり(お子様
なにはともあれ、それ含め良い作品でしたwラブラブ甘いのが読みたい人にはおススメしません。いや、甘いっちゃあまいんだけど・・・なにかが・・・

3

定広美香さんに禁猟区はありません(きっぱり)

デター!定広さんはどんな狩場(設定)でも
バキュンバキュン撃ちまくります。
この人にタブーとかNG・・・つまり《禁猟区》といった聖域はないのですw
すべて犯しまくりですから(きっぱり)

今回は、そんな定広さんがはじめて足を踏み入れた狩場(設定)
時 代 モ ノ !
意外です、まだだったんですね。
定広さんのお初の時代モノでした。
第二次世界大戦が終結する間際の時代モノ
田舎に暮らす主従関係の身分違いの恋です。
・・・定広さんにしては定番で王道モノでしたねぇ。
先の読める展開で、ちょっと肩透かしでした。


『ペパミントキャンディ』のほうがオチにひねりがあって
定広節だなって気がしました。
下のおくちでキャンディを食べるシーンだけのために
この作品があるような気もしますw


『ホーム・スイート・ホーム』は、ベタ甘でしたね。


『ふるさとの君に 前・後編』は
別コミックス『オーガニック・サンズ』の続編。
ま・さ・か!の展開に食い入って読んでしまいましたよ。
そういえば空ってけっこう本能的な子でしたよねw
もともとナイスミドル髭マスターに惚れてたくらいですから
今回のカメラマンの髭オヤジも、ジャスト空の好みなのでしょーがwww
たいがいの読者が、この空の心替わりに気持ちがついていかないのではないでしょうか?

だって・・・だって・・・かっこいいか?このオヤジ???

空が去ってしまったあとも、太陽は村に残るのですが
太陽の欲望のはけ口が田辺よりも空の父のほうがよかったんじゃないかと・・・
すいません、そんな風に思ってしまいました。

ちょっと残念なシナリオ運びもありましたが
定広さんの骨太なキャラたちは、いつも激しく欲望に忠実で
生き生きとしてましたよ。

3

yoshiaki

>下のおくちでキャンディを食べるシーンだけのために
>この作品があるような気もしますw

そんなことないと思います(笑)あそこでキャンディが出てくるのには深い意味があると私は思うのですが・・・
もう少しキャンディの意味が前に出てたほうが面白かったかも。

下剋上?猟師で佐助っていうのがツボでした!

「下剋上!!愛する主人を辱め犯す!!」なんて、エロエロを想像してしまうのですが、いや、辱めてませんでした、、大丈夫両想いだよ。。
煽り過ぎです、この文句。

昭和18年設定で猟師と若様の主従関係。
その猟師の名前が佐助って、、この設定だけでもう悶えてしまう自分は何フェチなのか悩んでしまったデス。
徴兵される前にと故郷へ一度帰省した若様こと和泉が、間違って佐助に足を撃たれてしまい・・・
和泉が足が不自由なんでトイレに足を落とすシーンっていうのと、佐助のふんどし姿が、個人的に好きでした(?)
で、悔しいので和泉は佐助に目の前で自慰させちゃって自分も興奮。
ツンデレあげくに抱いてみろ!って、、想いを遂げ会う二人。
いいなー、いいなー、この二人の関係大好きです。
でも、その二日後佐助は航空隊へ志願して離れ離れになる二人。
戦後、特攻で生き残った佐助は別人になって東京でヤクザになっていて、そこで男娼になっていた和泉と再会。
あれだけ田舎丸だしだった佐助がイイ男に変身して言葉も普通になっていたのにはびっくりしましたが、こういう主従の不変な愛モノって、王道ながら萌えますね。
その先に幸せがあるのか、悲しい運命があるのか、またわからなくエンドに持っていっているところが定広さんらしい展開でした。

『ペパミントキャンディ』
銃で撃たれて記憶が後退して5歳になってしまった青年と、その青年に親切にする男の関係は?
キャンディを使ったエチがエロスでした。
またこれも、切ないものでした。

『ホーム・スイート・ホーム』
会社をリストラされた男性が、ひょんなことからホームレス男性とテントで同居。
自家暖房とはエチのことです♪
寒さを凌ぐには一番の方法なんでやってばかりいましたww
しかし、その後の展開として、実は・・・な驚きの社長×秘書ものに物語は転身したのです!
社長室にテント張って別荘にするって・・・www

『ふるさとの君に』
「オーガニック・サンズ」の続編。
定広さんお得意の、浮気してもそれを認めてしまう男らしい、ウジウジしない関係というのがさっぱりして小気味がいい!
それにしても田舎育ちの空くん、あまりに奔放すぎてびっくりしました!
そして東京土産が、舌ピアス・・・これで舐めるとすごく気持ちよいらしいです。
って、、、そんな事東京で教わってきたのか!?

2

イチオシは「ペパミントキャンディ」

全部で4作品入っていて、表題の『禁猟区の森』とオーガニック・サンズの続編『ふるさとの君に』が2話構成の中編、『ペパミントキャンディ』『ホーム・スイート・ホーム』が読み切りの短編です。

毛色が色々なせいか若干寄せ集めのようにも感じてしまう一冊で、パンチも他の短編集に比べると弱い気がするのですが、そんな中で『ペパミントキャンディ』が短いながらに非常に面白かったです。
頭を撃たれて5歳児に退行した記憶喪失の18歳の青年が欲情する姿にただならぬ興奮を覚えた私は、開けちゃいけない扉をまた一つ新たに開けてしまった気がしますw
5歳児の幼児ってところがポイントなんだなこれ。
汚れていない危うさが何とも言えないです。
そしてキャンディを使った行為がこれまた何とも言えないエロス。
これからミント飴を食べる度にこの二人のエロシーンを思い出してしまいそうです…
謎めいた二人の関係性は一番最後に明かされます。

表題作は、時代モノということもあってドラマティックな展開で読ませてくれますが、定広さんの作品にしては珍しく受け(和泉)が女性的なキャラで、それ故にか昼ドラちっくな雰囲気漂うお話でした。
終わりを意識して刹那的に抱き合うのと、いつ終わるか分からない状況で命をかけて愛し合うっていうのは、一見似てるようにも見えますが別モノで、私は後者には強さを感じて惹かれるけど、前者には弱さを感じるので全く惹かれなくって、この作品は前者的かなと。
時代設定が昭和初期ということで、佐助(攻め)の雄臭いフンドシ姿は良かったです(*´˘`*)

オーガニック・サンズの続編は、「え?え?え?ちょっと待って?空さん何してんの?」ってビックリ展開で始まってビックリでしたよ。
太陽を自分の田舎に残して、なんと他の男と東京に駆け落ちしてるというw
フリーダム過ぎる。
でもそのお陰で自分にとっての特別が太陽だとちゃんと確信が持てたようでまぁ何より。
東京で舌ピまで開けちゃって、ねぇ?(笑)

『ホーム・スイート・ホーム』は、リストラされた男とホームレスの恋物語。
後半のドラマティックな展開はいかにも定広作品という感じでした。

2

みみみ。

yoshiakiさん

コメントありがとうございます。
これほんと面白かったです!
最初なんでミントキャンディなんだろ?って思いましたが、yoshiakiさんの「大人」ってキーワードとsnowblackさんの「覚醒」ってキーワードで、そういうことか~!と。
何なんでしょうかねこの何とも言えない危うさの魅力は…ハマります。
素敵な作品を教えていただけて感謝です(^^)/

yoshiaki

こんにちは♪
「ペパミント・キャンディ」いいですよね!
この危なすぎる設定がたまりません (*゚∀゚)=3
三角関係ものにはめくるめく作品がいろいろ出てますけど、一対一の話でこれを超える設定にはまだ巡り会えていません・・・

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