ジェラールとジャック(文庫)

gerard to jacque

ジェラールとジャック(文庫)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神61
  • 萌×218
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
13
得点
393
評価数
87
平均
4.6 / 5
神率
70.1%
著者
よしながふみ 

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媒体
漫画(コミック)
出版社
白泉社
レーベル
白泉社文庫
シリーズ
ジェラールとジャック
発売日
価格
¥638(税抜)  
ISBN
9784592884309

あらすじ

フランス革命のパリ――。親の借金のかたに男娼専門の売春宿へと売られた、貴族の少年・ジャック。彼はそこで「始めての客」としてであった、銀髪で顔半分に大きな傷を持つ男・ジェラールの屋敷で偶然働くことに。時が経つにつれ、次第に強く美しい青年へと成長していくジャック。そして彼を見守るジェラールの心の中には、閉ざされたある悲しい出来事があった・・・。革命の嵐の中、歴史の波に翻弄される2人の運命は・・・!?

表題作ジェラールとジャック(文庫)

官能小説家
没落貴族

レビュー投稿数13

この傑作! コミック版と文庫版の違い

フランス革命を背景に描かれる、愛に傷ついた男の魂の救済の物語。
エロあり、コミカルあり、エスプリありのロマン大作?!

話のあらましやら見所やら感想やらは、皆様がお書きになっていらっしゃるので割愛して、
これから購入される方の為に、コミック版と文庫版の違いについて
書きたいと思います。

コミック版にも旧版(ビブロス版)と新版(リブレ版)があり、
残念ながら手元にリブレ版しかないのでこの両者の違いは分かりませんが、
リブレ版と文庫版は、大きさが違う、上下が一冊というだけではない違いがあります。
(おそらくリブレ版は、ビブロス版を引き継いだ形で出ていると思われる。
ということで出版年は文庫版より後だが、原稿は古いものではないかと。)

カラーの扉絵の有無や、小タイトルのバックの絵が異なることがあるという他に、
リブレ版では背景が真っ白なコマが結構あるのですが、
文庫版ではその一部に背景が書き加えられています。
更には、セリフが変わっているところも何カ所かあります。
作者はよりよくしようと加筆修正しているのでしょうけれど、
どちらがいいかはお好み次第な気がします。
(ああ、それと、文庫版には例によって蛇足に思える解説もついています。)

熱烈ファンとしては、両方いいので両方どうぞ!というところかな(笑)
どちらで読んでも、最後は泣けます。

19

素晴らしい!よしながワールド!

私が初めて読んだBL作品が、よしながふみさんの『執事の分際』『ジェラールとジャック』。BLにはまるきっかけとなった作品。 


もう素晴らしいとしか言いようがなく、読み終わったあと1時間くらい放心状態だった。まるで映画を見終わったあとのよう、それも極上の。今でも私の中でナンバーワン。


ジャックはジェラールの初めての客で、出会いは最悪。しかし、再会し共に過ごすうちに…。 


『…これは恋か?』 


夜毎ジェラールを想い自分で慰めるジャックがとても可愛らしい。もともと貴族だったため、自慰なんて汚らわしいと言っていたのに。 

ふたりの想いが通じ合ったときには、すでに怒濤のフランス革命が始まっていて、官能小説家であったジェラールには逮捕状が…。そのときふたりがとった行動が!! 

ジャックの 
『ああ、神よ!!お許しください!!この男と一緒に死ぬことがこんなにも幸福です…!!』

という言葉が忘れられない。


この本を読むときに注目してほしいのが18世紀のフランスを見事に再現していることと主人公2人の変化だ。 
本当に違和感なく表現しているので実際にこんな人いたんじゃないかと思わせる。またふたりとも髪型や顔つきがどんどん変わって大人びていく。そこも見所だと思う。 


この作品は何度読み返しても涙が出るが、全体的にコミカルでギャグも面白い。個人的にジャックをからかうジェラールがかっこいい。 
本当にBLというカテゴリーに収めてしまうには惜しいロマン作品だと思う。
でもまぁHな場面も多いのだが。 

もし機会があればより多くの人に読んで、ラストの展開に驚き、よしながワールドに浸ってもらいたいと思う。

14

ロストマンが生きて得たもの

愛と赦しと希望。
帯にあるとおりこの一文がすべてで、其れが過不足なく描かれています。

最悪の出逢い方をした二人のおよそ十年間の物語。

ジャックは娼館でジェラールに抱かれ、身請けされて自由の身を与えられる。そののち、偶然にもジェラールの家へ下男として訪れ雇われる。
彼はとても素直で向学心があり才気煥発。でもそっち関係は晩生で、自慰すらしたことがなくジェラールに手伝われて射精に至った折りには泣いてしまうほど。

ジェラールは学生の頃に平民でありながら、ナタリーという賢しらな貴族の娘を愛し結婚する。子どもを授かるが、其れは死産と聞かされていた。
ナタリーは、子どもは不義の子で「生まれてきた事自体が罪だわ!」と云い己の不貞を悔いることなく捨てていた事、其の娘が肺病を患ってはいるが生きている事をジェラールが知るのはナタリーが不義の相手・ラウルと、彼の妻の葬儀の夜に情事に及ぼうとしていた自宅で、なのです。

わずかでも逢う事がかなった娘の優しさに触れて、"この子は 俺の子だ"と云う場面、ジェラールは失くした左目側の顔なのですが、これぐっときます。
きっと泣いてる。

斯くも大きいジェラールの愛と、其の喪失。

ラウルに教えられた男色は、(とは云っても娼館へ行き金で買った男としかしてない)女を愛する事の絶望からかもしれないけれど、不幸な子どもをつくりたくないという思いが強いのだと感じます。

ジャックが貴族であることはナタリーと重なり、彼の出自は娘と重なる。
ジャックへの愛は子どもを愛するような気持ちもあり。

「これは恋か?」段々とジェラールへの想いを自覚していくジャック。彼を思って手慰みをし、彼の眠っているベッドに潜り込む。(余談ですが、彼らはこの話の中では2回しかしてないのです、最後までのは!)

この翌朝、寝ているジャックへキスをしようとして、止める。
また別の場面。ベッドに横たわるジェラールがナタリーを愛していたとジャックへ告げ、あんな女を愛した自分自身に一番愛想を尽かしてるよと云う彼に「愛してる ジェラール」と静かに涙を流しながら胸に顔をうずめるジャックを、抱きしめようとして、止める。

この後の肝のシーンで爆発する為のもどかしい描写ですが、心情の見せ方に唸ります。

そして、この物語はこれ以上は無いという結末を迎えます。

失わなければ、この愛は得られなかった。
最後の1ページまで素晴らしい…!

死ぬまで手許に置いておきたい一冊。
これを初めて読んだとき、答えが描いてある!と思いました。
何のかは解らないけれど。

11

これですよ!!

『これです、私が求めていたものは!!!』
そう、心の中で叫んでしまいそうな一冊でした。

私は面白い本ほ読んでいるときは
「あ、あとこれだけしかない……」
と、ページ数が気になってしまうタイプの人間なのですが……これは違いました。

いつの間にか、ページがなくなっていたのです。
しかも、読み終わっても、あの特有の切なさというか、さみしさというか……あの感じがない!!

はて、と思いました。
なぜだろう?

そして気が付いたのです。

「この二人は、終わってなんかいないんだ」
ということに。

まだ読んでない方はお分かりにならないでしょう。
ですが、読んだ方にはわかると思います。

2人の間には、『ゴール』も『終わり』も無いのだと。
どこまでも愛を育み続けるのだろう、と。
そう思ったからこその感覚なのだろうと思いました。

そんな安心感をくれる二人なのです。

この本は、決して愛を細かく書き示し、説いたものではありません。
しかし、心の中にスッと確かな『愛』を届けてくれます。

中世というロマンとドラマの詰まった舞台に負けない……
いえ、そのがあったからこそ……
いいや、そんな舞台さえかすんでしまうような、ドラマチックな物語です。

穏やかで、でもどこか激しい二人の『愛』を、感じることができると思います。

お暇がなくても、ぜひ、読むべき一冊です。

5

傷フェチ

よしながふみ作品・・・  涙・・・  拍手喝采!!!

この本のテーマ曲は ちあきなおみの『喝采』。 名曲です。
涙が止まりません・・・   ブラボー!    総立ち

私 1番のお勧め所は ジェラールの「眼の傷」。
傷フェチにはたまりません。
独眼流政宗や 有名少年漫画のゾロがお好きな人には 解ってもらえると思いたい。
色気があるのです。寂しそうな顔ったら・・・ゾクゾクします。
ジャックを見守る蕩けそうな顔も す・て・き。
とにかく この本を全ての民に 読んでもらいたい。後悔はしない。

傷フェチの皆様へ この本お勧めです。

5

ピピン

>mihiさま
やられましたっ!
今度、「ジェラールとジャック」を読む時に、背後に「いつものよぉに 幕があ~き~♪」とBGMを流してしまいそうな自分が、すごく心配です。

さらっとしてなくて最高でした。

時代背景、フランス革命辺り。訳アリ主従関係。お互いにトラウマを抱えているといういろんな設定をよしなが先生のうまい展開で一気に物語を読ませてくれました。

ジェラールのこうなったまでに至る過程とジャックのこうなるまでの過程の描き方がうまく、わかりやすいです。そのためストーリーがとてもドラマチックで響いてきます。

もちろんBLとしての攻めのかっこよさ、受けのかわいさはしっかり押さえていて・・・ひたすらうまいなあと。(中身も外見も(笑))

そしてジェラールの叫びにとても共感を覚えた作品で、人が今そこに至る過程を読める作品だなあと思いました。

3

年々落ち着いていくジェラールと、綺麗になっていくジャックに見惚れる

 元々2冊だったものを1冊に纏めた文庫版なので当然といえば当然なのかもしれませんが、このボリューミーな1冊でギャグもロマンスも哀しさも存分に味わえる上、2人のことをかなりの時間をかけて描かれていて大満足な作品でした。終わりかけに冒頭の娼館にいた頃のジャックのコマが挟まれていて、そういえばジャックはあんなに未熟な幼い子供だった、と思い出し驚いたほどです。文字の書き込みも最小限で読みやすく、とても集中して読むことができました。

 娼館の男を身請けするとなると、そのまま家で囲って自分だけに伽をさせたり、逆に今までのことを忘れさせるように甘やかしたりする流れが多いんじゃないでしょうか。でも、この作品はまったくそんな流れではないんです。ジェラールはあくまでジャックを身請けするだけ。そして、ジャックが自ら応募した使用人としての職場が、偶然ジェラールの屋敷だったという流れなんですね。ジェラールはジャックが夜伽をしようとしても断り、かといって子供だからと甘やかす言動もとらない。途中までただ健全に、ジャックの成長と2人の距離感が縮まっていくのを見れることが、新鮮でいいなぁと思いました。

 中盤にはジェラールの過去も描かれています。ここでこの作品をさらに魅力的に感じました。ジェラールがどうしようもなく貴族だった妻を、最後まで愛し抜いたこと。本気で愛したからこそ、憎いということ。彼の人間としての深い感情を知り、ジェラールという人物をよく理解できる話でした。妻の何もかもを許した彼がどうしても許せなかったことが、自分ではない男との子供を彼女が蔑ろにしたことなんですよ。こんなにも愛が深い人がいるんだなぁと。

 体にも心にも傷の刻まれたジェラールが、自分でも無意識のうちにジャックに傷を癒されていく。彼のジャックへの態度は最後までほとんど変わらず、言い合うことも多いんです。事後の朝だってジャックを早くから起こしたり。でも、物語が要である時に彼がジャックに伝える言葉は、彼がいかにジャックを愛しているかが一瞬で分かります。もちろん、情事中の言葉責めも甘い。普段と熱いシーンとのめりはりが効いていて、より愛の言葉の重みが感じられた気がします。重厚過ぎず、でも余韻の残る作品でした。

3

よしながさん=神ではない

よしなが作品=「神」とはしたくないのですが、
神にしたくなる作品を多く描いていらしゃる方かと思います。

本作は、フランス革命のパリを舞台にしています。
(本当なら、私、こういう時代設定のものって遠ざけてしまうのですが(笑))
売春宿へと売られた、貴族の少年・ジャックと
ジャックの最初の客であったジェラールのストーリー。

ジャックは、ジェラール邸で、下働きとして働くことになります。
貴族として気位の高いジャックにとって、
平民(成金)のジェラールが気に食いません。
でも、自分の身の程も理解しています。

時代背景と主人公たちの在り方がマッチしており、
オセンチなものでもなく、でも、感動を誘うお話です。
これはお勧めです。

1

完璧なハッピーエンド!

ハラハラしてどうしようかと思ったんですが、結末は四方八方丸く収まる少女マンガ形式です。まじめなストーリーでこんなにきれいに収まる話は久々でした。

恥ずかしくてバクハツしたり(←文字通り)、思い余って夜這いしたりと、軽快さと亡命貴族のシリアスなストーリーとのバランスがまたたまりません。

1

ドラマティック

CDが聴きたくて原作を読みました。傑作と聞いていたとおり面白かったです。BL作品としてだけではなく、フランス革命前後の緊張感のある物語が読み応えたっぷりでした。

よしながふみさんの淡白な絵柄と、人間が持つ負の部分や不幸にまつわる容赦ない描写が苦手で、素晴らしい作家の一人と思いつつ、著作はメジャーな一般作品しか読んだことがありませんでした。本作を読んでもその印象は変わらなかったのですが、その分、ジェラールとジャックが重ねてきた月日とその時代背景がより際立って、ドラマティックに感じられました。けっこう分厚い文庫本なのに、一気に読んでしまいました。またじっくり読み返さなければ。

3

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