あらすじ
小国の王子セナは、生まれながらにして「惹香嚢(じゃこうのう)」という、男でありながら子を宿すことのできる特異な臓器を持っていた。
その身体から放たれる香りは、発情期になると周囲の男たちを惑わせる──ゆえに、彼は長い間、孤独と蔑みに耐えながら生きてきた。
そんなある日、父王から突然の命が下る。
「お前を、レスキア皇帝のもとへ嫁がせる」
惹香嚢持ちとはいえ、男が後宮入りした例はない。どんな目に遭うか分からない。
不安の中、侍従一人だけを伴ってレスキア帝国に興入れするセナ。
アリオス皇帝との初夜でセナは発情期を迎えてしまう。
その閨で、セナは皇帝が抱える重大な秘密を知ることになる。
そして宿った子どもには、避けられない宿命が待ち受けていた。
「竜王の婚配者」。それを告げに、護衛官がセナの目の前に現れたところから、物語が大きく動き出す──。
孤独な王子と完全無欠の皇帝、そして感情のない獣人護衛官。
抗えぬ運命が導く、宿命のロマンスファンタジー。