殉愛者たちは楽園を夢見る

junaisha tachi ha rakuen wo yumemiru

殉愛者たちは楽園を夢見る
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
4
得点
27
評価数
8
平均
3.5 / 5
神率
25%
著者
柿家猫緒 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

作画
石田惠美 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784576250755

あらすじ

拷問官アーロンの孤独を陽気に掻き回し、人並みの情を教えてくれたクレト。忽然といなくなった彼と再会したのは異端審問所で…。

表題作殉愛者たちは楽園を夢見る

28歳→31歳、ヘイブ国の異教徒の青年
26歳→29歳、アルゴニヤ国の拷問官

レビュー投稿数4

光を夢見た拷問官

合うか合わないか、そして好みははっきり分かれるだろうな、と
思う作品です。

ただ、自分はとても惹きつけられ、その世界観に魅力を感じました。
夜明けの物語がお好きな方には、
何か響くものがあるのではないかと...

(以下、ネタバレ含むレビューとなりますのでご注意ください)



拷問官のアーロン(受)と、その彼の前に現れた
異国の異端者・クレト(攻)。

雁字搦めの世界で出会った二人が
共に楽園を夢見る、夜明けのファンタジーです。

まず、石田惠美先生のカバーイラストが美しくて麗しくて、
言葉を失ってしまう…!
作中の挿絵もどれも全て美麗なのですが、
特に表紙イラストが印象的です。

床に当たる柔らかな光、後ろからアーロンを抱え
その顔を優しく覗き込むクレトの表情…
うっとり、いくらでも眺めていられる。。

そして受けの職業が”拷問官”ということで、
どんな残酷なシーンが…!?と戦々恐々とされている方が
いらっしゃるかな、と思うのですが。

ええと、完全に個人的な感覚ではありますが、
それほど痛くない、と思います。

某長編有名海賊BLシリーズが読める方なら、
おそらく全く問題ないかなと、、
(あまり参考にならないかもですが;)

アーロンが「これから指の骨を片手ずつ◯◯する」と
宣言するシーンや、”拷問された者の悲鳴が響いた”的な描写、
攻めが鞭打ちされたり針だらけの椅子に座らされるー
という直接的な拷問シーンは、あることはあり。


ただ、個人的には”あれ?思ったよりソフトだったな…”
という印象でした。一つの目安・参考になれば…

ただ、どんなにソフトでも
そういった描写はNG!という方はご注意ください;
(一部、児童虐待などのシーンもあり)

で、内容です。

尊ばれる職業ーとされながらも、その実、
蔑みの対象である拷問官のアーロン。
街の誰からも忌避され、職業選択や結婚の自由はなく、
誰からも触れられず触れることも許されないー

淡々と己の運命を受け入れながらも、
寂しさを虎rの奥深くに抱え、孤独に生きる人物です。

そんな彼の前に突如姿を現し屈託なく話しかけ、
躊躇なく体に触れてくるばかりか
アーロンの家に泊まり共寝までしようと言い出す異端者・クレト。

とんでもないことを言い出す奴だ!と
最初は拒絶するアーロンですが、
あっという間にクレトのペースに飲まれ、懐柔されてゆくことに。

それまでのお話でアーロンの身の上、
その心境にどっぷり感情移入してしまっていた自分…
アーロンがクレトの態度に感じた胸の震えや喜び、
感動をダイレクトに感じ、じーんと心震えた場面でした

初めて人と食卓を共にし、会話のある食事を経験、
共寝することで人の体の暖かさを知る...

こんなの、あっという間に絆されてしまうよー...( ; ; )

口では「迷惑だ」なんて言いながらも、
孤独が解けていく喜びが隠せないアーロンが
愛おしいです。

”自分で自分を罰する”として、自身の背中を
毎夜鞭打ちしているアーロン。
そんな痛々しい彼を、クレトが救い出すことになるのねー
という期待を抱きつつ、ドキドキしながらページをめくり。

!!!
なんとその後、クレト、強引にアーロンを抱く。((;゚Д゚)))

ただこれ、陵辱ではあるのですが
「痛みを求めるアーロン」のために敢えて
そういった抱き方をしている風があり、

ちょこっとだけれどアーロンへの気遣いのようなもの、
クレトの思いといったものが匂わされていて、
不思議とそこまで「許せん!」という気持ちにはならず。

そしてその後、なぜか忽然と姿を消したクレトと
異端審問所にて「拷問官と異端者」として再会することになりー

と、物語が続いていきます。

自白しようがしまいが、クレトの先にあるのは
「死」。

自分に初めて人並みの情を味わわせてくれた人物と、
まさかの再会をしてしまったアーロンですが…

あることをきっかけに思い出し語られる
幼い頃の彼の思い出が、辛い過去の中でも一筋の光になっていて、
胸締め付けられました。

屈強な体を持つクレトがなぜか犬を怖がっていたこと、
彼が屈託なくアーロンに話しかけ、その身に触れてきたこと、
そしてなぜあの日、クレトに遭遇したのか、という
その理由。

幼少期の思い出エピソードの中で、
そういった序盤に登場していたピースが
一つの形になっていき、
この出会いが決して「偶然」ではなかったことが
明らかにされます。

アーロン視点の語りの中でも色々なことが判明しますが、
すごく良かった、と感じたのが、終盤の攻め視点のお話です。

アーロンに会いに来たクレトの心情や考え、
そこに至る行動原理、その執着と愛。
そういったものがより深く理解でき、物語への没入感も
一段深いものとなった気がします

出会い、別れ、また出会って別れることとなり…

その後、クレトの国で再会を果たしてからの
二人の道。
そこにはちょっと(だけ!)都合の良さとか、
展開の早さを感じたりもしましたが;

いい!だってBLだから!ファンタジーだから!
二人の夢見た世界を、その手にして欲しい!

と、すっかり鼻息荒く興奮し、
二人の行く手に光あれー!!と見守る気持ちで一気に
ラストまで駆け抜けました

ついに光を得た二人だけれど、それまでの道で
いろいろなものを失ってきたんですよね(特にアーロン)。

アーロンに至っては最終的には体の一部を…ということを
考えると(欠損はしていません)、この結末には
ただただ、良かったな...と思わずにはいられませんでした

拷問官、という特殊設定や痛い場面も確かにあるため、
どなたにでもおすすめー!とは強く言えない作品ではありますが、、

楽園を夢見た二人の逃避行ファンタジー、
手に汗握る展開と切なさ、ラストに見える光に
グッときて、夢中になって拝読しました。

あっ。
挿絵って局部が隠れているものが
比較的多いかな、と思うのですが
アーロンがフ◯ラする(させられる)場面、
攻めの攻めが(発光してますが)見えてます。ドキ...
石田惠美先生!ありがとうございます...!

4

読む人を選ぶ作品かもしれない

気分が落ち気味なときに読むお話じゃないかも。。。

一応ハピエンに着地しますが、宗教における異端審問や拷問官の仕事がストーリーの主軸となっているので、そういう系のシーン……痛々しい拷問や不当な罪着せ、不条理な審問に冤罪による処刑の裁決……が、めっちゃ出てきます。
生々しい拷問シーンに耐性がある方はぜひ、とオススメしますが、全く罪のない人たちを粛々と罰する異常な光景を見るのがツラい方には少し勇気がいる作品だと思います。

疑義をかけられた人たちを罰する異端審問所が物語の舞台。
ピンとこない方は、中世〜近世にかけてヨーロッパで広まっていた"魔女狩り"と聞けば、高校の世界史で確かそんなの勉強したな、くらいは思い出せるはず。現存する明確な地域には言及されていませんが、舞台や世界観はその頃の欧州がモデルといった感じです。
宗教こそが、神こそが全てだと信じられている世界で、拷問官に就く青年が置かれた立場が非常にツラい。疑いをかけられた人たちを拷問にかけることもそうだけど、自身も父親から苛烈な虐待を受けてきた幼少期、父親が亡くなったとてそのしがらみから離れられず、自分で自分を痛めつける自傷行為に囚われているアーロンの身の上が、ああ…読んでいて泣けます。

聖職者ではあるけど、ケガレた存在として人々から敬遠されている存在の拷問官は、当然ながらぼっちです。ただのぼっちなら良いですが、忌み嫌われている上、差別的な扱いをされていることが実は一番の精神的なダメージじゃないかと見えてしまいます。
疑わしきは罰するという現代では考えられない審議や処刑が横行してる中、拷問として従事するアーロンの心の闇はなかなかに深い。父親からの虐待や敬虔な信条主義を叩き込まれた彼は、この社会全体から追い込まれていると言っても過言ではありません。
そんな中、異教徒風の男・クレトと出会い、アーロンの中で何かが変わっていきます。

この変化というのは、クレトと共に生活しているたった数日のことの出来事だけど、アーロンにとっては大きな事件に等しいです。アーロンが何年も支配されてきた精神支配から解放の手助けをしていくクレトのやり方は、結構荒々しいですが、これにはちゃんと意味があってのこと。しかもクレトの身の上には秘密があり、アーロンとの出会いは実は偶然の出来事ではなかった背景描写に、思わずおお…!!となりました。
クレトとの出会いにより、身も心も救われていくストーリーはもちろん喜ばしいですが、拷問官という仕事がねー……その喜びに浸りたくても、痛々しいシーンによってかき消されてしまうので心情的にはあまり楽しい気持ちで読めなかったです。

こういう世界観だから、って言われてしまうと仕方ないですが、読む前に痛いシーンが結構あるということを知ってたら、自分の中で読むのを控える選択肢もあったかなと思いました。
拷問シーンが得意な人、得意じゃない人、、、いると思います。私はあまり得意じゃない。あくまでも恋愛とは別観点だとしても、やっぱり拷問シーンもこの作品の大事な構成要素ですし、無視できません。

なので、作品評価は萌1としましたが、物語背景が得意じゃない私の評価として参考にしてくれたら有り難いです。

4

宗教の名の元で断罪する者の生き方について

今回は異教徒の青年と拷問官のお話です。

拷問官の受様が異教徒の攻様と過ごす日々で
生き方に疑問を持ち、攻様と生きる道を選ぶまで。

世界が幾多の神の教え毎に分類されていた時代
アルゴニヤは異端者狩りが全盛期を迎え
寺院や教会はこぞって異端者狩りに精を出します。

受様は代々拷問官をする一族に生まれます。

被疑者に罪を自白させるために拷問を科す彼らは
「神の鞭」という名誉な呼び名を与えられ
高給で立派な職とされますが

罪人に振れた手は穢れるという迷信により
"穢れ扱い"されて差別され
受様は幼い頃から常に忌まれてばかりです。

5年前に他界した受様父は
己の仕事を崇高だと信じて疑わず
受様に反論を許さず、恐怖で支配します。

そのため受様は自己肯定力が低く
与えられた役割に疑問抱くこと自体が罪である教義で
信仰を深めれば深めるほど逃げ場が無くなります。

いつからか罪から逃れるために自身を鞭打つようになり
受様の体は父の虐待と自らの鞭でボロボロで
受様は死ぬまで孤独と罪を抱えて生きるつもりでしたが

安息日に町中で出会った改宗者だという
異国人の攻様によって生き方を変える事となります。

攻様は知り合いに会いに行った帰りで
仲間と落ち合う約束のために滞在していると言い
言葉巧みに受様の居候となりますが

ある日突然、姿を消したと思ったら
異教徒の疑いで異端審問所に連行されてきて
受様が拷問をすることになるのです!!

攻様は死を免れる事ができるのか!?

拷問官という職を受け入れきれない受様と
異教徒の攻様の恋物語になります♪

あらすじと石田先生の美麗なカバーイラストに惹かれて
手にした1冊で予想した内容とはかなり違いました。

詳細な拷問シーンは攻様が捕まった時くらいで
受様が拷問する描写は具体的ではないのですが
想像できる方にはキツいかなと思います。

受様の仕事は罪の有無には関係なく
多くの人を処刑台に送る罪人を作る事であり
異教徒として捕縛された攻様に待つのは死しかなく
受様は審問中も気が気ではありません。

しかしながら手を抜けば攻様の仲間とされて
罪人とされてしまうのでどうなるのかと
ハラハラ&ドキドキ♪

攻様は監視の目を潜って脱獄し
個々から攻視点のターンとなった事で
攻様にとっての受様の存在が明かされていき

受様と攻様がお互いの手を取り旅立つまで
怒涛の展開で面白かったです (^-^)/

ただ受様の事情の説明ががっつりだったのに対して
攻様の事情やその後の受様の時間が端折り気味で
アンバランスな感じだったので「萌」とします。

3

信仰よりも強い想いによる救済

柿家猫緒先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
痛々しい 4
ツンケン 3
血表現 3
エロ 3
な感じだと思います。

クレトさん×アーロンさんのカプです。

「神の鞭」と名誉な呼ばれ方をしているが、実際には差別化な扱いを受ける拷問官。その拷問官を務めるアーロンさんは、人々からケガレ扱いされ、他人の身体に無闇に触れてはならない法律から、孤独に生活していた。しかし、ある日異国人風のクレトさんに懐かれてしまい…。

受けのアーロンさんは、拷問官という職業をしています。その為、拷問器具の説明くらいですが、異端者への拷問描写が少しあります。
しかし、物語り中盤では鞭打ちや棘の上に座る審問椅子などの拷問描写があります。柿家先生のあとがきで、拷問がエグくならないようにソフトな描写にしている通り、物凄い血表現にはなっていません。ですが、色々と無事ではないので、やはり苦手な人はご用心してください。

また、拷問ではないがアーロンさんが自らの意思で自罰として自身に鞭打ちをしたり、子供の頃に、父親から信仰心が足りないと、鞭打ちを受けたり、その過去から、アーロンさんの健気で不憫な信仰心が肉体的にも精神的にも痛々しく感じました。

甘い雰囲気は少なめで、しんみり辛い描写や展開がありますが、アーロンさんに対してのクレトさんと言動の真意を知った時、神への信仰も凌駕する、アーロンさんへの強い想いに、胸を打たれるので、是非とも読んでほしいです。

2

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