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恋人としての蜜月が始まり、やがて夫婦へと絆を深めて行くターニングポイントとなる第3巻です。
毎日でもセックスしたい香藤くんと、腰がダルいけど籠絡されちゃう岩城さん。前半は、お互いに距離感を手探りしているのが微笑ましい展開になっています。ちなみに生年月日(第2巻参照)から計算すると、岩城さんは29~30歳、香藤くんは24~25歳のお話が収録されています。岩城さんは「年のせい」とか言ってるけど…いやー全然若いよ? 2000年当時のBL作品の中ではかなり高い年齢設定だったのだと思いますが。
基本的に1話ごとに二人の視点が入れ替わるので、お互いの目で見た相手のことや二人の関係などが交互に理解できて面白いです。読み返すと、アラフォーの現在からは考えられないほどの青臭い嫉妬をしているわけですよ、香藤くんが!バカですねぇ。でも香藤らしいです。むしろ、ああ20代の香藤はこんな奴だったよ…と思い出しました。
また、芸能人やアイドルが主人公のBL作品も多くありますが、この二人ほどゆっくりと大きく成長していくキャラクターは珍しいような気がします。最初は俳優としてチャンスを掴もうと必死なAV男優だった岩城さんと香藤くんの、外見だけでなく思考や行動の変化をじっくりと味わえるのも「春抱き」の醍醐味の一つです。
この巻で岩城さんと香藤くんはあるものを二人の未来の保証として手に入れます。とても芸能人らしく、かつ男らしいもの。岩城さんの決断の早さに改めてびっくりしつつ、なんというか…腹を括ったら揺るがない岩城さんらしさが素敵でした。
後半には、こちらも非常に重要なエピソードが掲載されています。まさかの、泣けました。家族っていいな。岩城さん、良かったね。