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この出会いは魂を震わすほどの運命
hureru shirayuki
妖狐と人間とのお話なのでファンタジー要素はありますが、人間の生活の中から外れないようなストーリーとなっていて、がっつりファンタジー!という感じではないのが読みやすかったです。
妖たちを前にしても雪はまったく動じないんですが、その肝が据わっている感じがファンタジーっぽさを中和させてくれていたかなと思います。
盗賊をしていたころはいくらツラいことがあっても、お頭の役に立ちたい一心で堪えていたのだろうことが記憶を辿っている雪から伝わります。
お頭がいない世界で出会ったハクに心を開くのは簡単なことではなかったと思いますが、彼の優しさに触れたことで意識が変わり、前を向いて歩き出せたことに感動。
そしてどこか人間味の薄かった雪がその日々で
人間らしくなっていく様子もすごく良かったです。
ハクにも人間との悲しい過去がありますが雪がそこから救ってくれていて、お互い必要とし合っていることがわかります。
偶然だった出会いがまるで運命だったと思わせてくれるような結末、すごく沁みました。
ハラハラするところはたくさんありましたが
子狐のシロの愛らしい姿にほっこり癒されたり
ハクと雪の空気感が少し甘くなっていく様子にドキドキできたりと、苦しいだけではないので
力が入りすぎずに読めた作品でした。