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marude, kare mitaina kare
蓮川先生挿絵なのでマストバイ。夢乃先生テイストで、透明感あり、かつ不思議テイストもありなお話と感じました。めっちゃ萌えたわけではないんですけど、良かったね、と思う終わり方で読後感良かったので萌にしました。大好きな人を忘れられないというタイプのお話がお好きな方でしたら、きっと嬉しいのでは。
大学生の時に恋人を事故で亡くした春也。その恋人を忘れられずにいましたが、ある日教えている大学で気になる話し方をする学生に出会います。その学生は自分の授業を取っているようで、偶然会うこともあり、少しずつ近づいて・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
俊(受けの元恋人、事故死)、越川(俊のことを知っている昔からの友人)、神さま、攻めの幼馴染ぐらいでは。
++
攻めはぴちぴち大学生、軽くはないけど陽キャ。人生前向きに生きている!って感じがとてもします。ま訳ありなんで当然っちゃ当然なんですけど。さわやかイケメン~♪
受けは失った恋人の事がまだ忘れられずにいる方。体力やや無し、線の細そうな文系学者って感じです。まあ好きだった人を事故で亡くしちゃうと、なかなか立ち直れないわな。
そんな二人の、出会いからやり直しました的恋物語。ほんと、そういうように世界が回っていれば、そう信じられれば、幸せですよね。ちょっとしんみり、しみじみしたものを感じたお話でした。
うーーん、うーーーーん…
とても評価に迷う一冊でした…
というのも、ある出来事が起こる中盤から、「思ってたんと違う……」という
気持ちになってしまったからです;
その出来事が起こる前、序盤〜前半部分の受けの気持ちには
かなり共感してグッとくるところがあったため、
余計「えっ」となってしまったのかも。。
(※以下、核心に触れる部分ありのレビューとなりますので、未読の方ご注意ください)
先生の12月の前作「闇色の王は白騎士の接吻で目覚める」が面白くて&
蓮川先生の麗しい表紙イラストに惹かれ、購入したこちら。
学生時代、事故で年上の恋人・俊(攻め)を亡くした春也(受け)。
12年経ち、大学講師となった今でも喪失感を抱え、
俊のことを忘れられずにいます。
そして4月、大学の新学期がスタートし、初めての授業で
なぜかとても印象的で、俊を想起させる新入生・友彦と出会いーー
と始まる、喪失からの再生…の物語だと思っていたんです。
いたんですが。
そこでまさかの「神様」の登場、魂の入れ替え(正確には入れ替えとはいえないのですが、似たようなこと)。。
突然のファンタジー展開に、「えっ」と呆気にとられたというか、
拍子抜けしてしまったというか( °o°)
この展開は、正直なところ自分の予想したもの・期待していたものとは
かなり違っていて、、
ああ自分は、大切な人を亡くした後、
その悲しみ・苦しみを抱えて生き続けなければならない
リアルな(現実感のある)人物のお話を読みたかったのだなあ、と。。
物語としてはとてもドラマティックで感動的な展開なので、
もうこれはただひとえに、
”自分のストライクゾーンではなかった”ということなのかな;
「器=姿形が変わっても、相手のことを思い続け、追いかけ、探し見つける」
一途な攻め、
そして「姿形が変わっても、恋人の中身を変わらず愛してゆける」という点が
とても素敵だとは思うのですが、自分の中の萌え心にはうまく火がつかなかった、
というか。。
決して戻らない(はずの)存在が戻ってくる、というファンタジー展開に
ちょっと自分の気持ちの持っていきどころが分からなくなってしまいました。
途中出てくる当て馬・越川からの告白も、
なんだか取ってつけたような感じを受けてしまい
今回は自分のストライクゾーンではなかったかな…ということで「中立」と
させていただきました;
う、、辛口ですみません、、
+ちょっと気になったのは、「滑る(すべる)」という言葉が
全て本作の中では「辷る」という表記(常用漢字外)になっていたこと。
何か、先生なりのこだわりがあったのかな、、?
あまり普段見ることのない表記で、ちょっと「あれ?」と思った点でした。
うあーーー……めっちゃ切ない…。゚(゚´Д`゚)゚。
12年前に死んだ恋人の影をずっと追い求めている描写がずーーーーっと続きます。
肉体はなくとも、春也の中でずっと生き続けている恋人・俊の存在感がすごく強くて、俊が春也にとってかけがえのない恋人であったことの描写が物語の至るところで散りばめられていました。
12年って相当な年数ですよ。なのに忘れるどころか、想いが増しているかのように感じたのは、俊の存在を忘れまいと敢えて身体中に刻み込んでいこうとする春也なりの愛し方だと感じてなりませんでした。時間が忘れさせようとすることへの反発心みたいなね、とにかく春也は12年前で時間が止まっているかの如く、俊に執着している姿がとても印象的でした。
そんな春也の前に、姿形は似ずとも俊に似た青年が現れるという転機がやってきます。
喋り方や考え方、好み、感性、果ては春也がコーヒーに入れるミルクや砂糖のことまで、仕草や振る舞いが恋人にソックリなことに違和感を感じ、次第に心が乱されていく春也。行く先々で"偶然"にバッタリ出くわすこともしょっちゅうでした。
あまりにも春也の行動様式と同じ行動を辿るもんだから、一瞬こわっっ。って思ったり……((((;゚Д゚))))))) 春也が俊にソックリな彼・友彦に対して嫌悪感を抱いていないから良いようなものの、他の人がやったら完璧ストーカー疑うレベルですもん。
春也が俊のことを想いながら共に過ごした記憶に縋る一方で、友彦にも惹かれていく胸のザワつきの部分が、まさかのファンタジー要素ブッ込み案件になるとはでした。亡き俊と友彦に似通った部分があることの謎解きにも関係してくるので、すごい方向からアプローチしてきたものだとビックリです。
そのファンタジックなカラクリは、どれだけの時間を経ても尚、2人の想い合う気持ちが強いことの証明となっており、感動で思わずウルッ。"彼みたいな彼"のタイトルの意図もまさしくでした。
これはネタバレなしでぜひ読んでもらいたいなと思います。
俊と友彦との間にある関係性が暴かれることによって、この1つのドラマが感動にも感銘にも広がる感情をたくさん与えてくれることでしょう。
しっとりした空気感に包まれた切なさいっぱいのストーリーですが、喪失感や息苦しさを乗り越えて辿り着くエンディングは最高の多幸感でした。
春也の中で12年間止まっていた時計の針が動き出したことにより、過去ではなく未来に意識を向けるようになったことが私は一番嬉しかったです^ ^