センチネルバース 水底の虹

sentinel verse minasoko no niji

センチネルバース 水底の虹
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神13
  • 萌×28
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

118

レビュー数
6
得点
103
評価数
23
平均
4.5 / 5
神率
56.5%
著者
安西リカ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
松基羊 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
ISBN
9784778136567

あらすじ

警官の吉積は火災現場で高校の先輩・蓮と七年ぶりに再会する。昔と変わらず美しく飄々とした蓮は、目に見えないはずの火事の手がかりを吉積に伝えて去り、直後に吉積は蓮が所属する特殊部鑑識課に配属された。蓮は感覚が異常に鋭敏な〈センチネル〉で、吉積は彼をサポートする〈ガイド〉に選ばれたのだ。不思議なほど任務に熱心な蓮は、能力向上のため吉積と絆を作るべくセックスしようと言い出し――

表題作センチネルバース 水底の虹

新米巡査→警察庁特殊部鑑識課、ガイド
警察庁特殊部鑑識課、センチネル

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数6

あらっ

ここ最近の安西リカ先生の作品の評価は殆ど神にしてたのですが、今回のセンチネルバースは私の期待していたのとかなり違った物でしたのでこの評価になってしまいました。うーん。

こちらの作品はセンチネルバースの現代物で、しかもセンチネルにしては結構緩い設定なのでセンチネルバースというよりは特殊能力を持った警察物として読めるし、初めての人でもスッと物語の中に入れると思います。

私はそんなに数は読んだ事は無いのですが、ガチガチのセンチネルバースしか読んだ事がなくて、それがまた好みだったのでこちらの作品はなんだかしっくり来なくて何度か戸惑いました。まず、繁華街らしいとこに住んでて人の多い居酒屋に行ってるのにビックリしました。

時代設定は現代物ですがセンチネルバースの研究自体はそんなに進んでなくて、センチネルバースの黎明期のような設定だと思いました。
それ故か事件自体も凄く地味だと思いました。せっかく警官から特殊部鑑識課に移動になってますが、担当する事件も少なくて個人的に追ってる連続放火がメインの事件なので「思ってたのと違う」感が強くて、読んでて途中でこのまま終わるのかしら?と戸惑いました。

そして蓮がゾーンアウトするキッカケになった事件の扱いが雑でした。吉積に疑問を持たせてからの蓮の残像視認でしたが、ちょっと私には???となりました。その結末とか書いてあれはまた違ったと思いました。

それと今回は私的には萌が殆どありませんでした。安西リカ先生の作品は数少ない作家買いしてる作品なんです。なんだか今作はらしくないなぁと思いました。次作に期待したいと思います!

1

より強くなるために求めた相手は

今回は交番巡査と特殊部鑑識課の技能者のお話です。

センチネルの受様にガイド指名された攻様が
受様と公私のパートナーとなるまで。

攻様は友人が大怪我を負った
放火事件の犯人を捕まえたいと警官を志し
地元エリアの管轄区に配属されます。

管轄区には老朽化が進み住民が激減した団地があり
出火通報で先輩巡査と現場に向かいます。

火災には少々敏感な攻様ですが
今回燃えたのは倉庫の放置されていた段ボールのようで
近所の住民により鎮火されていました。

消防への連絡のためにパトカーに戻った攻様が
パトカーを降りた時人の気配を感じて顔をあげると

長袖シャツと白いボトムで素足にビーチサンダルながら
一度見たら忘れられない美貌な男が立っていて
「ひさしぶり」と声をかけられます。
この美貌の主が今回の受様です♪

攻様は一目で受様だとわかりますが
受様は高校で有名だった先輩ながら
口をきいたのは1回だけです。

その際になぜか「警察官になるつもりはない?」と
訊かれた事が心に残っていましたが
まさかの再会に驚いていると

受様は胸ポケットから警察手帳を取り出し
特殊鑑識課の所属を告げて倉庫を起点とした
百メートル四方をスキャニングした後に
「おれのガイドになってくれたら嬉しい」と
去っていくのです。

先輩巡査は
特殊部の技能者は超能力を有するセンチネルで
そのサポート役がガイドであり
相性のいいガイドをスカウトするらしいと言いますが
攻様は半信半疑です。

しかしその2日後、攻様に突然の移動通知が届き!?

センチネルの受様にガイドとして見込まれた攻様の
現代日本を舞台としたセンチネルバースです♪

センチネルバースは特殊能力を活かして
警察や事件に絡むバディモノが多い印象ですが
本作の受様も能力を活かす技能者です。

今回すごいなと思った設定は
センチネルは遺伝性で神経過敏の傾向がみられると
すぐ国家の保護対象となり

物心着いた時から共同施設で生活し
それぞれの資質にあった国家機関で働き
約に立たないセンチネルは生きている意味がないと
受様が思っている事でした。

常識者で健常な強さを持つ攻様を
ガイドにできた受様はより能力を高めるためと
個人的な繋がりを欲します。

受様母は相性の良いガイドを得られなかったことで
力を使い果たして亡くなっていたため
より強い力を欲するのはわからなくもないですが
受様が恋ではなく攻様との繋がりを欲するのが
とても痛かったです。

そんな2人の曖昧で危うい関係性に
攻様の友人が怪我を負った時と
同じような連続失火、放火事件が発生する事で
受様はより捜査にのめりこんでいき
ハラハラ&ドキドキ

連続放火犯の逮捕によって更なる難関に対した攻様が
受様を取り戻すまで楽しく読ませて頂きました。

0

身も心も救われていく救済の物語

安西リカ先生といえば、現代日常ものBLのイメージが強い作家さんの1人。
センチネルバース設定の作品を手掛けたとあっては、読まなきゃっしょ!……ということで購入です^ ^ BLと事件の部分から楽しめるストーリーでした。

センチネルバース自体、小説コミックス合わせて私はまだ数作品くらいしか読んだことなく、ザックリとした知識しかないのですが、事件のあらましや犯人に辿り着いていく真相究明は複雑であるにも関わらずすごく読みやすかったです。
滑らかな文章の読み心地が良く、登場人物たちの相関関係も分かりやすい。読み慣れないジャンルの設定でもスッと入ってくるストーリーのお陰で、物語の世界に没入出来ました。


警察組織に所属するセンチネルとガイドの2人が主人公で、センチネルの中条の能力を吉積がサポートすることによって事件を解決していくストーリー。それと同時に恋愛関係にも発展していく2人の関係が見どころです。
中条のキャラがちょっと変わってて、センチネルという能力を持つが故の特性といいますか弊害なんですが、情緒が育ってないんですよね。空気が読めないとか、倫理観の欠如みたいなところがそう。センチネルの力を最大限に引き出すにはガイドとの"絆"が必要だってことで、中条はいきなり吉積にセックスしようと持ち掛けます。

硬派な吉積はキッパリと断るのですが、中条はどうにか吉積とセックスできないものかと諦めず、ずーっとセックスしたいセックスしたいと考えていて、まあまあしつこいです( ̄▽ ̄;)
一応、中条がセックスにこだわるのに理由もちゃんとあります。ありますが、セックスセックス言いすぎていてビッチかよって途中思ったくらいです(笑)

そんなこともあり、身体から始まる系のセンチネルバースストーリーってことになりますね。結局、セックスしちゃいましたし。
身体の繋がりから2人の絆が深まっていく、そして好きになっていくそんなお話です。
センチネル能力を高めるための手段としてのセックスから始まる恋愛模様は、ストーリー重視というより展開重視みたいなところがあって、もう少し顕著に関係を進めていって欲しかったかな。センチネルとガイドの間にある"絆"というものがチープに見えたのがちょっと残念でした。


事件の解明や中条の身に起きた身体のリスクについては、ハラハラもしたしドキドキもしました。特殊な能力故に国に庇護される対象だけど、愛国心や"役に立つ"ことの精神の植え付けには闇深さを感じるところで、そこんところの読み応えはすごかったです。
中条の中に根付いた使命感は、彼が異常にセックスにこだわっていたこととも関係があり、彼の自己犠牲がベースにあることを知ったときはやるせない気持ちにもなりました。

吉積との出会いによって身も心も救われていくエンディングは感動的でした。彼らの中に生まれた本当の絆を実感できたことに安堵の思いでいっぱいです。

1

うまいなあーーーー!

先生買い。面白かったー、一気に読んでしまいました!読み終えてから、センチネルバースって安西先生、めちゃ相性良いんじゃないかなあ?と感じました(めちゃ上から目線な物言いで申し訳ありませんっ)。私としては、書いていただいた「気持ちの揺れ動き?」が最もしっくりくる先生のお一人です!ファンタジー要素ありますが、気持ちの揺れ動きという点では、デビューから一貫して変わらないというように思います。安西先生お好きな方でしたら、是非!ほんと、上手いんですよう。

不審火の現場で、高校時代の先輩(1回ぐらいしか話したことない)に再会した吉積。特殊部鑑識課に所属しているらしく「俺のガイドになってくれると嬉しい」と言われたと思ったら、特殊部鑑識課へ異動になり・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
和久井(攻めの高校時代の友人)とその弟、鮎川(受けのサポート役担当職員)、内田(♀、聴覚のセンチネル)、志摩(攻めの元バディ的同僚)ぐらいかな。

++好きだったところ

ガイディングしているところの記述。まさに紐でつながっていて、迷子にならないように引っ張って、水底から引き揚げてくれるという感じの記載が、すっごくしっくりして。もともとセンチネルバース好きだったんですけど、安西先生の書かれたこの感覚のところはすっごく好きでした。

それから受けの背景。センチネルが幼い頃から大変で、人とは違う環境で育つときに励まされる言葉、それが刷り込みになって・・というところが「うーーーーん、上手い!!!!!!!」とすごく納得、しっくり、はらおち。そして、そう思っている受けだからこそ「ガイドしない」と言われた時の絶望感というか全てを失ったようになるのは、なんかもうシンクロしすぎて、しんどかったかな。ようやく見つけた縋るものに縋れなくなるという絶望感は、ほんとシンドイ。

最後、聴覚だけは防げなくってっというところで、攻めの音痴が効いてめでたしになるところまで、「うまーーーーーーーい」と思うところ、多数で、本当に読んで良かったと思った一冊でした。本読み楽しい。先生有難うございました。また次の本、手に取らせていただけると嬉しいです。

2

現代ものセンチネルバース

安西先生のセンチネルバース楽しみにしていました!
安西先生らしく現代もので、今の私達の現実的な世界に沿った世界観でした。

センチネルバースの超常的、ファンタジー的な雰囲気が苦手な方は馴染みやすく読みやすいかもしれません!

攻めは警察官で大らかで単純シンプルな性格。男らしく割とモテるタイプ。
受けは高校の先輩で浮世離れした美人系。ガイド×センチネルです。

個人的には、これまで何作か読んだセンチネルバースでは
『センチネルは五感が発達していて一般生活も送るのも困難=センチネル特有の隔離された環境で暮らしている』
という設定の作品を読むことが多かったので、

今回受けの蓮が普通の環境で暮らしていることに中々馴染めず…具体的に言うと、蓮が居酒屋やカラオケに行く描写に「センチネルなのに、そんなガチャガチャしたところ行って大丈夫?;;」とハラハラしちゃいました(世界観はそれぞれという事は頭で理解しているのですが…)

幼少期はそうした特殊な環境で育ってきた背景があるので、訓練次第で一般の生活にも適応できるということなのでしょうか。

また、恋愛感情やガイドとのケア目的というよりも、能力を最大限に使うために絆を結びたい=ガイドとセックスするという面が強調されていた気がします。

「役に立ちたい」「能力を最大限使いたい」
という気持ちが強く、早々に攻めにセックスを迫る受け。
攻めも最初は「そういう行為は恋人だけ」と突っぱねていたのですが、結局なぁなぁに流されていってしまいました。
うーん、残念!攻めにはそのポリシー貫いて欲しかった。

直接的ではないですがゾーンアウトのきっかけになった攻めの発言も、個人的にはやや納得できないというか。。

シリアスな事件面や蓮の過去やセンチネルとしての苦悩?が多く読み応えはあるのですが、ラブ面はちょっとサッパリしていたかなぁ。もう少しキャラや関係性に萌えたかったなと思います。

2

センチネル受けの、献身的な思いに心が締め付けられる…シリアスな事件×バディもの

楽しみに楽しみに待っていた、安西先生の新刊!・:*+

センチネルバースという、まだ数少ないバースもの、
そしてイラストが松基羊先生ということで、ワクワクしながら拝読しました。

ちょっと、感想を書くのが難しいかも、、

恋愛ものとしての萌え度はやや低め、事件・ミステリーものとしては
ハラハラドキドキしながら面白く読めた…

というのが読後の正直な感想です。


今回の新刊の舞台は、現代日本の警察組織。

主人公は新人巡査の吉積(攻)。

高校時代の親友の足をダメにした、因縁のある放火犯を捕まえるために
警察官になったのですが、突然”ガイド”として視覚特化型センチネルの中条(受)に
スカウトされ、中条の所属する鑑識課へ異動することに。
(二人は高校時代の後輩と先輩という関係で、久しぶりの再会となります)

そして二人はセンチネルとガイドとしてバディを組み、事件解決のために
奔走することになるのですが、
能力を最大限に発揮するための”絆(ボンド)”を繋ぐため、
「セックスしない?」と中条に誘われ、驚愕した吉積はーー

と続きます。


ええと、まず、思っていたよりもずっとずっとシリアス寄りで、
ほのぼのしたり甘ーい時間というのは、ほぼ無し、という印象です。

攻めの周辺で巻き起こる連続放火事件の解決、というのが物語の中心要素かなと。

もちろん恋愛要素はあるにはあるのですが、ちょっと正直なところ
展開早いな…?と思ってしまった部分があり、”心から入り込めた” /"萌えた”とは
言えないかも。。

特に「セックスは恋人とするものだ」と、きっぱり断り怒りを見せた吉積が
絆されるまでの過程は、もう少しじっくり心理描写を追いたかったかな、、
という気がします。


ただ!
何よりも自分が心打たれたのは、受け・中条の健気さ!!

センチネルとして幼い頃から施設に入れられ、過酷で特殊な環境で育ったせいで
情緒が常人とは異なり、天然で世間知らずな中条。

そんな彼が無邪気に(?)吉積をセックスに誘う描写に
自分も吉積と一緒になって「なんなんだ??」と思ってしまったのですが。

…不思議なことに、読み進んで中条の過去や抱える思いなどが分かり
解像度が上がっていくにつれ、どうしようもなく中条という人物に惹かれてしまう…!
これはひとえに、安西先生の筆力なのだろうなあ、と。

「国家の役に立たなければ、センチネルである意味がない」という
ある種の強迫観念のようなものに駆られている中条。

そんな彼が、(意識はしていなかったとしても)高校時代から吉積の姿を目で追い、
好意を持っていて、再会後も健気に”セックスしたいなあ””でも無理だろうなあ”と
思っていること。

一見、「セックスしよう」なんて、なんて無粋な…!という感じなのですが、
特殊な環境で育った中条には”情緒”が欠けていて、
そのストレートすぎる言葉が、本当に本当に心から健気に吉積のことを求めて
出た言葉だと分かるんですよね。

そんな一途健気で不憫な中条のことを間近で見ていたら、
自分だって早々に絆されちゃいそうだなあ、なんて思いました。

作中でも触れられていますが、「自分がそばにいてあげないと…!」と、
猛烈に庇護欲を掻き立てられるタイプ。


なんというか、恋愛面に関してはこの受けである中条視点のターンは
かなり萌えたのですが、吉積ターンが若干薄味のように感じられ、
萌えきれなかったところでした;


で!物語の中心・カギとなる、「連続放火事件」と「ゾーンアウト」。

連続放火事件のほうは、後半から一気に見えてくる事件の真相に
心痛みました( ; ; )

中条が能力を最大限に使ったことで真犯人が分かるも、
そのまま”ゾーンアウト”と呼ばれる状態になった彼は…

という展開、それから約1年後…とお話の舞台が飛ぶのにもびっくり。


どうしても自分にとっては恋愛面(攻めの感情変化)と、
事件の収集の部分がやや駆け足気味に思えましたが、
光の見えるラストには、ほっと安堵のため息が。

漫画にもコミックにも、まだ数少ないセンチネル・バース。

しかもファンタジーではなく現代日本が舞台のミステリものということで、
レア度高めな気が…!
ミステリー好きな自分はとても興味深く読むことができました◎

「萌え」の部分を考えるとちょっと悩むなあ…、
前作(「君と暮らせば」)の方が「恋愛もの」って感じだったなあ…という気持ちがあり、
今回「萌2」とさせていただきました。

3

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