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ななのこと、生まれてはじめて大事にする人になりたい。
nanashi no anata ni koi wo shimashita.
前作の「5分後に孵るのを待ってる」を読んで、
あの心臓を抉られたような感覚が忘れられなくて。
高校生のみなとは友人と一緒に忍び込んだ廃ビルの屋上で
服をはだけて笑顔でタバコを吸う変な男に出会います。
男は名前がないというので名無しの“なな”と名付けることに。
以来、ななに会うために廃ビルを訪れて一緒に過ごすみなとでしたが、
ある日、意識が朦朧としたななから襲い掛かられて…。
前作でも仄暗さは終始漂っていたけれど、今作ではその重みが比ではない。
捨て子、無戸籍、ネグレクト、性暴力、薬物…と可愛らしい絵柄に反して
ヘビーが過ぎる。
いつもヘラヘラと楽しそうに笑い、わんこのようにみなとに懐いてくる
ななの人生はあまりにも過酷すぎました。
薬物を摂取したせいなのか意識が混濁したななが
売春の顧客か、おとうさんと間違えてみなとに
フェ●をしてくるシーンがあるのですが、その気持ち悪さにぞくりとした。
ななにとってはこれは異常なことではなく、日常なんだ、と
その不快さと悲しみに胸が押しつぶされそうでした。
全ては気まぐれにななを拾ったくせに名前すらつけず、
満足な食事も、教育も、愛情も、何も与えてくれなかった“おとうさん”の罪。
なな自身には何一つ咎はない。
字も読めなくて、普通に働くこともできないから身体を売るしかなくて、
それなのにこんな過酷な人生を幸せそうに受け容れているなながしんどかった。
だからこそ、みなとの無垢な愛に救われました。
そこには下心も欲もなくて、
ただななを助けたい、幸せになって欲しいという純愛しかない。
ななが姿を消しても諦めず、ななにもう一度会うためだけに待ち続け、
ひとりぼっちのななに会いに来てくれたみなと。
ななの人生は辛いことでいっぱいだけれど、
みなとに出会えて、愛されたことだけは幸せだ。
ハッピーエンドではあるけれど、正直手放しの大団円とも言い難い。
ななにはこれまでの薬物依存や心の傷などが残っていて、
ふとした瞬間にそれが顔を覗かせる。
みなとはそんなななを優しく見守って包み込んでくれるけれど、
この先も二人の未来は乗り越えるべき苦難は少なくはないのだと思う。
それでも、ななの傍にみなとが居てくれると思えば少し胸がほっとする。
「何事もゆっくり覚えていきましょう 時間はたっぷりあるから」と
決してなな一人に頑張らせるのではなく「一緒に」と言ってくれるみなと。
ほんとどこまでいい男なんだ、スパダリかよ。
あと、ストーリーに直接的には関係ないのですが、少し画風が変わられた?
愛らしい雰囲気は変わらないけれど、前作よりも可愛さが増したような。