ななのこと、生まれてはじめて大事にする人になりたい。

名無しのアナタに恋をしました。

nanashi no anata ni koi wo shimashita.

名無しのアナタに恋をしました。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×25
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
1
得点
46
評価数
11
平均
4.2 / 5
神率
36.4%
著者
チ点日子 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784758027922

あらすじ

高校生の浦井みなとは、ある日、廃ビルの屋上で名前のない男に出会う。
はだけた服にブランドのアクセサリーを身につけ、タバコをふかしながら笑う男。
彼は社会のどこにも属さず家も名前もないらしい。そんな彼を、みなとは“なな”と呼んだ。
いつも楽しそうにキスしてくるななに、心を奪われるみなと。
一緒に過ごすうちに、ななが抱えている問題と心の傷に気づき――。

《収録内容》
◆『名無しのアナタに恋をしました。』1~5話
◆描き下ろし10P

表題作名無しのアナタに恋をしました。

寄り添う包容高校生
傷心を抱えた男子

その他の収録作品

  • 描き下ろし:その後(10P)

レビュー投稿数1

しんどい、のち、救われる

前作の「5分後に孵るのを待ってる」を読んで、
あの心臓を抉られたような感覚が忘れられなくて。

高校生のみなとは友人と一緒に忍び込んだ廃ビルの屋上で
服をはだけて笑顔でタバコを吸う変な男に出会います。
男は名前がないというので名無しの“なな”と名付けることに。

以来、ななに会うために廃ビルを訪れて一緒に過ごすみなとでしたが、
ある日、意識が朦朧としたななから襲い掛かられて…。

前作でも仄暗さは終始漂っていたけれど、今作ではその重みが比ではない。
捨て子、無戸籍、ネグレクト、性暴力、薬物…と可愛らしい絵柄に反して
ヘビーが過ぎる。
いつもヘラヘラと楽しそうに笑い、わんこのようにみなとに懐いてくる
ななの人生はあまりにも過酷すぎました。

薬物を摂取したせいなのか意識が混濁したななが
売春の顧客か、おとうさんと間違えてみなとに
フェ●をしてくるシーンがあるのですが、その気持ち悪さにぞくりとした。
ななにとってはこれは異常なことではなく、日常なんだ、と
その不快さと悲しみに胸が押しつぶされそうでした。

全ては気まぐれにななを拾ったくせに名前すらつけず、
満足な食事も、教育も、愛情も、何も与えてくれなかった“おとうさん”の罪。
なな自身には何一つ咎はない。
字も読めなくて、普通に働くこともできないから身体を売るしかなくて、
それなのにこんな過酷な人生を幸せそうに受け容れているなながしんどかった。

だからこそ、みなとの無垢な愛に救われました。
そこには下心も欲もなくて、
ただななを助けたい、幸せになって欲しいという純愛しかない。

ななが姿を消しても諦めず、ななにもう一度会うためだけに待ち続け、
ひとりぼっちのななに会いに来てくれたみなと。
ななの人生は辛いことでいっぱいだけれど、
みなとに出会えて、愛されたことだけは幸せだ。

ハッピーエンドではあるけれど、正直手放しの大団円とも言い難い。
ななにはこれまでの薬物依存や心の傷などが残っていて、
ふとした瞬間にそれが顔を覗かせる。
みなとはそんなななを優しく見守って包み込んでくれるけれど、
この先も二人の未来は乗り越えるべき苦難は少なくはないのだと思う。
それでも、ななの傍にみなとが居てくれると思えば少し胸がほっとする。

「何事もゆっくり覚えていきましょう 時間はたっぷりあるから」と
決してなな一人に頑張らせるのではなく「一緒に」と言ってくれるみなと。
ほんとどこまでいい男なんだ、スパダリかよ。


あと、ストーリーに直接的には関係ないのですが、少し画風が変わられた?
愛らしい雰囲気は変わらないけれど、前作よりも可愛さが増したような。

2

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