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okubyou usagi no junjou
挿絵なし。
物心ついた時から、好きになるのは同性。ゲイ受けです万歳。
そして、かっこいい外見と優しい性格の攻めの事がめちゃくちゃ大好きで片想いしている。
ツンデレ(というかほぼツン)だけど、ただキツいツンじゃなくて、わからせたくなる可愛さが滲み出る感じのツン。
攻めは、自分の店の商品を盗んだ受けを咎めることもなく可愛がっていたが、運転中に飛び出してきた受けが当たり屋のバイトを進んでやってると勘違いして、スイッチが切り替わり受けを犯しかけた。(ゲイじゃないのに何故とは思ったが、性別問わずちっこい奴が好きで受けのことも好きになってたから)
これ以降、受けは攻めを見る度に怖くなって避けるんだけど、攻めが可哀想で可哀想で……。
受けも頭では喜んでるけど、身体が勝手に拒否反応起こして逃げの姿勢になっちゃうのがもどかしい。攻めを好きなのか嫌いなのか分からなくなる。
攻めも受けも悪くない。悪いのは全てあのデブです。
着ぐるみ越しに涙を拭く(拭けてない)受けがまじで可愛い。
個人的に、おまけSS「その後のふたり」が本編だと思ってます。幸せな二人がイチャイチャ夫婦してて良かった。
体格差といい(絵は無いけど)、年上×年下といい、男前×健気といい、ずっと萌えで満たされます。
伊勢原ささら先生の現代もの!
伊勢原先生というと”切ないファンタジー”のイメージがあったのですが、こちらの現代作品も最高に切なく、最高にグッと来て、最高に刺さる一作でした…
読後の余韻に浸り、今ちょっとぼーっとしてしまってます。
が、この感動を残しておきたいし先生に伝わればいいな!伝われ…!という気持ちでレビューを。
悲しい過去を持つ年上攻め×身寄りがなくその日暮らしをする受け、不憫×不憫カプの両片想いのお話です。
主人公は両親もおらず失業中の多希(たき・受け)、20歳。ひもじさから青果店の見切りバナナを盗んでしまい逃げ出すも、体格のいい店主・司(攻め)につかまってしまいます。
警察に突き出されて終わりか…と思いきや、「二度と悪いことはするな」と諭して果物をくれた司に、一瞬で恋をした多希。
ゲイである自分の想いが叶うことはない、と自覚しながらも足繁く店に通い、二人の距離は近付いていきます。
しかしある時、逆らえない昔の兄貴分に出会い”当たり屋”を強制されて飛び出した先には、なんと司の店のトラックがー
危うく事故になりかけたところ、車から飛び出してきた司。その様子は尋常ではなく、二人の間には埋められない深い溝が生まれてしまい…
と続くお話です。
まず、司のトラウマとなっている出来事が辛い。
そしてそんな司のトラウマを意図的にではないとはいえ刺激してしまい、怒りに我を忘れた司に多希が襲われる場面。ここも辛い。
そしてそして、それからどうしても体格のいい司のことを恐れるようになり、「好きなのに、近付けない。触れられない」と落ち込み悩む多希の描写…辛い。。( ; ; )
これ、多希を怖がらせてしまい、好きだけど近付けない、触れられない、傷つけたくないと思う司の方の気持ちにも共感してしまい、切なくてたまらなかった…
一方は相手のトラウマを刺激するような悪事を起こしかけ、一方は体で相手をねじ伏せようとし…
多希も司も、互いに自分が相手を傷つけたと分かっているし罪の意識もあるため、近づこうにも近づけないんですね。
で、ここでタイトルの「臆病ウサギ」とは?という話。
弟の学を交通事故で失ったことをきっかけに、事故現場にカーブミラーを設置するよう働きかけている司。そんな司の事情を知り、多希は贖罪の意味を込めて彼の活動に協力することを決めます。
「顔を合わせて活動することはできない」と、鉢合わせしそうになった際、咄嗟にそばにあったウサギの着ぐるみをかぶり、司とはジェスチャーのみでコミュニケーションをとるんですね。
誰にも必要とされていない、とまだ20歳ながらどこか諦念と投げやりさを感じさせる生き方をしてきた多希が変わる様子、その成長と健気な努力がもう…!!!! 涙腺崩壊。
終盤、着ぐるみの中で涙を流し、ウサギの手じゃ涙が拭えない…となる部分で自分も一緒にぽろぽろ泣いていました。
司はきっとウサギの正体に気付いてるんだな、と読者には察せるようになっているんですが、実際の司は一番最初に見た時は多希だと分かっていなかったというところも、リアルさが感じられて、良い。好き。
二人が体を重ねるシーン、多希を怖がらせまい、傷つけまいとしながらも自分の気持ちと欲望が抑えきれなくなる攻め・司にも最っ高に萌えました。
そして何よりも幸福感に包まれたのが、”二人のその後”数年後の様子が読めたこと!
”くっ付いて終わり”ではなく、同棲してカミングアウトして、一緒に働き周囲の人たちにも関係を祝福されてー
と、ドン!と落とされ辛さを味わった後の、ラストに向けての曲線の爆上がり方に一人拍手喝采。
意地っ張り純情健気受け(←長い)君の紆余曲折あっての光のラストに、胸が震えてしまう一冊でした…・:*+.