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ouji no hakobune
機会があったらぜひとも読んでほしい。
そう勧めたくなるほど、レビューを書いている今も心地良い余韻に浸っています。
中世の話かと思って読むと意表をつかれる、SFのような3連作で始まり、理不尽でダークな部分もあるけど、描き下ろしがコミカルな短編、西部劇の時代のような短編と続いて、最後のこちら。
【夜明けの音楽】
作家志望の青年と、隣に住む脳に腫瘍がある少年の話です。
ベタです。
ベタなのですが、1ページ目から作画の美しさに目を奪われて、気付けばぐいぐい2人のいる世界に引き込まれていきました。
青年は交通事故で右手を失い、義手をつけています。
「木の手触りが好きだ」と言ってピアノを弾く少年は、青年の家に来るたびに木製の義手を触っていきます。
自分のことを小説にしてほしいと言う少年に、青年はぽつぽつと書き始めるものの…、という展開で、おそらく「脳腫瘍」というキーワードから先が読める方も多いかと思いますが、「結末が分かっている」のと「読んで知る」のとでは全然違う。
手術前日の少年の焦燥や、小説をしばらく書かなかった青年がまた書き始める心情、2人がすれ違う情景、全部目で見て、文字で読んで、肌で感じてほしいんです。
言葉では言い表せない感動が、待ってます。
短編なのであまり興奮して書きまくると全部ネタバレしそうなので、ここで留めます。
美しい作画で描かれる美しい青年たちや少年たち。
うっとりするような世界を、ぜひ。
不思議な感覚を覚える作品でした。
冒頭、手紙を待つ男と、配達員の少年。
来ない恋文を待つ男は、実は一国の王子で・・・!?
というお話。従者がやってきて、その次の話で「あれ?どんな展開?」とちょっとトリップしてしまいそうな感覚を覚えました。
一国の王子で、妃をもらい、しかし最後にはそれが夢?現実?という展開へと移ります。
記憶と、登場人物と、それにおける背景。いろいろな交差があって、考えさせられる作品。良くも悪くも。
結論としては、絵がすごくタイプだからそれだけで満足というのもある(´∀`)ケッキョク
アルマンがこれまた私のタイプのドストライクでしてww
ほか短編もいくつか。
『永遠の~』は、監禁陵辱モノです。妹のために~という攻もナカナカのもんですが、監禁されて、陵辱されて~の受の心理描写がすき。
終わりよければすべてよし。男気あふれる受がなんとも言えずw
性描写はあってないような感じでは有りますが、これはこれで有りだなと思わせてくれる作品。持ってて後悔はない。
「夜明けの音楽」が一番面白かった。
死ネタです。
Hはありません。キスだけ。匂い系です。
14歳でそろそろ死を覚悟している「章央」と
30歳の小説家で事故が原因で片方の手が無く義手をしている「晴之」。
家がお隣同士で 章央が晴之の家に入り浸っている。
しかし お互い意地っ張りで 大事な話はしない。
章央が入院する前に ポツリと漏らした一言。
「窒息しそうかも。」
中学生の死に対する不安な心の動きが 繊細に描かれている。
死ぬ間際 章央は晴之に キスをねだる。
美しい死の終わり方だった。
円陣闇丸先生の絵はとても綺麗だ。
死ネタだが 二人は両思いだった事を匂わせている。
読んだ後の 儚さや刹那さがたまらない作品だ。
表題作シリーズはなんとも不思議な作品でした。
王朝モノだと思いきや、現実の時間はそうではなくて・・・SFモノ^^;
どこまでが現実で今なのか、どこまでがバーチャルで過去なのか、悪く言えばちょっと分かりにくい。
短めの話が3話で成り立っているのですが、構想が結構ややこしいので、3話だけでは説明が不十分な所が多いように思いました。
「永遠の檻」は監禁モノなのですが、ソフト目で、敬語攻めです。
メガネを着てスーツを着た優等生がロクデナシの男に一種の復讐をするお話。
「ラブ・チョコ」は「永遠の檻」の後日談なのですが、全くトーンが違ってコメディになってます。
メガネ攻め(もしかしたら受けかもしれない^^;)が天然になってて笑いました。
「WILD SONS」ははっきりとは書かれてませんが、アメリカの西部劇ものっぽいお話。
半分だけ血の繋がった兄弟の話ですが、はっきりした恋愛モノではありません。
絡みのシーンがあるんですが、私はちょっと好みではありませんでした。
女性が絡んでもいいという方にはOKかもしれません。
最後に収録されている「夜明けの音楽」が一番印象的で好きな雰囲気のお話でした。
家が隣どおしの作家志望の晴之と、もうすぐ死ぬと言う14才の章央。
「語り」が晴之なのですが、まるで文学小説を読んでいるような感じでした。
甘美な胸の痛みが印象的な作品です。
表題作連作他、短編集。
表題作なんですがちょっと分かりにくかったです。
中世風っぽく始まり、結局それはバーチャルだったという所までは分かるんですが、アルマンの存在がイマイチ分かりにくかった。あと手紙とか。
話の整理が足りないかなーという印象。
「永遠の檻」は監禁モノ、最初は良かったんですが意外にあっさり決着付いちゃったなあというのと「ラブ・チョコ」のカップル度の温度差が急すぎて、ありゃりゃってなりました。
絵はいいし漫画も上手いんだけど、今作はどれも微妙にもうちょい何か欲しかったんだよなー。
悪くはないんですが、円陣さん作品としてはイマイチ。
これは自分がハードルを円陣さんハードルに上げて読んだからで、普通だったら萌評価だったとは思います。
ヴァーチャルと現実世界の間を行ったり来たりするような感覚はそこそこ面白い。
でも、あまりに『心』の部分が抜けていて、パンチがないんだよね。
やまなし・おちなし・意味なしループに陥る寸前というか。
それにも増して、登場人物の魅力にちょっと欠けている。
キャラの存在感でいったら、表題作の王子様とフィリップが一番いいんですが、
王子様とフィリップの関係もイマイチわからないし、アルマンはなおさら意味プー。
ラストの「夜明けの音楽」は一瞬、来るかー!?悲恋オチ死にオチ!!
と期待したが、重さのないまま、ゆるみかけた涙腺があっさりもとに戻ったw
絵はうまいのに、コマ割りがスッキリしないのもちょっと惜しい。