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rikara
水上シン先生といえばまず「軍服」というイメージですが、「中華」も非常に大きな柱だと思います。
本作もそんな中華BL3編と現代物2編の短編集。2003年発行。
「利火羅」
残虐な漢の王は、ただの退屈しのぎに小さな部族を殺戮した。捕虜として連れてきた族長の青年・利火羅の美しい顔を見て、彼をすぐには殺さず慰み者にする。
同じく彼に魅了された妾腹の皇子・聖天。いつもは虐げられて大人しい聖天だが父王が利火羅を犯すのを見て利火羅の激しい恨みが乗り移ったかのように…
首斬りなど残虐描写あり。
愛も恨みも全て強烈。
「牢獄に咲く花」
中国・成都。融通の利かない堅すぎる裁判官・白兎が憧れの先輩・青丈に恋人(♀)がいるのを見て地下牢で泣いていたら…
牢の中の罪人・童黒に見られ、脅されて…
童黒と行為を重ねるうちに色気が増し、堅いだけの心情も変化していく、という話。
牢の格子越しに弄られる白兎がエロいです。
「未練」
こちらの登場人物も利火羅という名前なのですが、「利火羅」とは関係ない話?
辺境部族の利火羅は、都の年若き君主・氷貴の危機に焦って馬を走らせるが、川に転落してしまう。目覚めるとなぜか氷貴の屋敷で…
離れるな、という氷貴の命令で何日も共に過ごすが、何かがおかしい…
美しく気高い氷貴に忠誠を誓うたくましい利火羅の対比がいい。短いけど切なさと耽美さのある話。
「セミダブルベッドで君と」
現代物。
高校時代のサッカー部の先輩と後輩。想いが通じあって社会人になって同居する事に。いよいよ2人きりで初夜を…
…というところにサッカー部の奴らがドヤドヤと。また翌日は元サッカー部OBが待ちかねていてそのまま部屋にドヤドヤと。
でもやっと愛し合う2人のラブラブなストーリー。絵柄は古め。
「タッチアウト!」
現代物。
野球部で練習中、キャプテンの玉置がボールを校長室に打ち込んでしまい、学園の後援者にも怪我をさせそうに。廃部の危機になり、部員たちでその後援者・宮川忍の屋敷で働く事に。
忍はいつもクールな大人の男性で玉置はすっかり憧れてしまう。忍も玉置を可愛いと思い…
…はいいんだけど、その後すぐ強烈なベッドシーン。まあ短編ですからね…
玉置はとてもいい子なので読後感はいいです。
やはり中華ものの迫力がすごい。こういう作品て今見ないから逆に新鮮で印象に残ります。
5本中3本が中華系歴史モノ。残り2本が現代日本モノです。
・牢獄に咲く花
堅物裁判官・白兎(受)が、牢獄に捕らえられている童黒(攻)によって恋を知る。
ちょっとコメディタッチのお話です。
この中ではこれが一番好きでした(^_^)
何でも四角四面な白兎は、密かに上司に片思いをしているのですが、上司には許婚とも言える女性が。
一人になりたい、と誰もいないと思った地下牢で童黒と出会い、上司に片思いをしている事を知られてしまいます。
そこから「誰にも言われたくなかったら身体で口止め料を払え」と、ある意味王道展開なのですが、童黒と関係を続けていく内に堅物だった白兎の気持ちも柔らかく解れていくくだりが好きですね~。
そして、いつの間にか地下牢から解放されていた童黒は実は……、という驚きの展開も待っています。
・セミダブルベッドで君と
高校で3年間、サッカー部で一緒だった同級生と実は両思いで…。
というお話です。
卒業後、同じ会社に就職した二人は一緒に暮らし始めるのですが、そういう雰囲気になると、サッカー部の同級生たちが押しかけてきたり、会社で飲み会に参加させられたり、と中々最後までいけません。
そんなドタバタもお約束ですが、楽しいです。
隣りの新婚夫婦もいい味を出してます(笑)
全部で5つの短編が収録されている短編集です。
雑誌への発表時期は2001~2003年。
中国を舞台にしたお話が表題作含め3作品と日本を舞台にした作品が2つ収録されています。
中国人と日本人のキャラで絵柄に多少違いがあるかなと感じたのですが、私は中国人のキャラの方に魅力を感じました。
表題作の主人公の利火羅は南部の辺境の部族出身でくせ毛で長髪、肌黒なんですが、それがなんとも色気があって素敵でした。
少しややこしかったのは、同時収録作品の「未練」にも利火羅という肌黒のキャラが登場したこと。
設定も表題作の利火羅と似ていて同一人物かと最初は思ったのですが、これは違うのかな…?こちらは髪はストレートなんですよね…。
切ないお話から甘々、コミカル、そしてファンタジー要素が含まれるお話もあって、中々楽しめた1冊でした。