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ぼくこと徹は『委員長』と呼ばれる真面目な中学2年生。でも、家庭には恵まれず、教会で他の小さな子供たちと一緒に暮らしています。
小さな頃は、幼なじみの裕也とよく遊んでいましたが、裕也に特別な感情を感じ始めた頃から(でも自覚なし)避けるようになっていました。
疎遠になると共に、裕也も慢性白血病で入退院を繰り返すようになっていました。
ある寒い日、入院中なのに徹のところへひょっこり現れた裕也。
「委員長にどうしても会いたかったから」病院を抜け出してきたというのです。
わかりたくないことなんですが、裕也の命には期限があることを、無意識にわかっていたんでしょう。だからこそ、裕也を何よりも優先する徹。
裕也が生きていた証を残すように、一緒に絵を描きに行ったり。
でも、裕也の両親が「裕也を返して!」とやって来ます。
裕也の父はお医者さんなのに、一人息子の病気を治してやれない……と思い悩んでいて、特に母は悲しんでいました。
お互い愛するものをなくす哀しみを持つ者同士、解り合えるんでしょう、抱き合って泣いちゃうんです。
裕也の「死ぬなら徹のそばで」という気持ちを大事にして、両親も徹のそばにいることを、条件付きで許してくれました。
途中「ひょっとして、病気が治らないかな?」と祈ったけれど、やっぱりダメで、裕也は逝ってしまいました。
その後、三原から朝比奈に名前の変わった徹は、たくさんの人を連れて行く『病気』を少しでも減らすためお医者さんになりました。
まだ中学生なのに自分の寿命を告げられる気持ちって、想像できませんが、辛いとか哀しいとか、そんなもんじゃないんでしょうねぇ。
懸命に今を生きる裕也と徹が健気でねぇ。この二人は、悔いのない人生を生きたんじゃないかと思いました。
そしてその25年後が、書き下ろしで入っています。
40歳になった徹の前に現れた、大学生の春来。出会ったときに、二人して泣いちゃってるんです。そうなんです、春来って裕也の生まれ変わりとしか思えなくて。
春来が思いっきり積極的に迫って来るんだけど、かなりの年の差なだけに、とまどいの方が大きい徹。
でも、教会で同じ時期を一緒に過ごした友人(別シリーズの登場人物だそうです)が、同性同士で結婚したと聞いたことで、やっと踏ん切りをつけるんです。
書き下ろしは、かなり「そんな~」っていう設定でしたが、徹が幸せになるためには、これくらい大げさなエピソードじゃないと、裕也の死は乗り越えられないよなぁ~って思いました。
裕也の両親も、生まれ変わりだと思っているようだから、きっと二人のことは認めてくれそうな気がするし。
ラストはほのぼのとハッピーエンドだったから、救われた気持ちです。