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tokyo rhapsody
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
私はBL小説に出会ってから、かれこれ20年目でたくさんのプロの小説から無料の小説まで読み込んできました。
私が某サイトで皇帝、オメガバースのお話を読ませていただき、手塚エマ様のプロの小説家顔負けの文才、構成力の才能に驚きを隠せず、すぐに他のBL小説を探して東京ラプソディの購入を決めました。
少しずつ味わいながら読み進めていきました。じわじわと確実に主人公の気持ち、攻めの男性の慈悲やいやらしさ、手に取るように文章から伝わってきました。
交わりも綺麗な描写で芸術の様な営みにとても嬉しくなりました。下品なのはもう懲り懲りです。
じれっとした気持ち割り切れない思い、悔しさなども感じました。
偶然も運命もない…すれ違いもあり、お互い気づかない気持ちにとても切なさを感じました。
また嫌味のない人間らしい女性も登場し、現実のリアルさも感じ取れてとても素晴らしく思いました。
最後は爽やかな風が吹く様な終わりにとても心が洗われました。
とても素晴らしい小説なのでたくさんの方に読んでいただきたいと、思いました。
手塚エマさん素敵な小説をありがとうございました。
昭和レトロな舞台設定に、まず惹かれました。二人の想いのすれ違い。最後まで、一気に読んでほしいです。このレビューでは何だかわからない、という方は、ぜひお手に取ってみて下さい。
ということで、寝る前に気軽に読み始めたら面白すぎて朝の五時近くまで(平日なのに!危険!!)読み耽ってしまった…
起きなくちゃいけない時間が刻々と迫ってきているのが分かってるのに、どこで止めたらいいのか分からないくらいお話の展開に夢中になってしまいました。
ということでこちらのお話、昭和初期を舞台にした逆転主従関係+両片想いBLです。
世間知らずで育った不憫受けちゃんが、この物語を大きく拗らせた感はありました。
読んでいて何度も何度もあなたたち両片想いよね!って思ったことも多々ありました。
しかしそれもこれも、かつて良き身分にあり、底辺へまで堕ちた受けちゃんの未熟さ故と、真面目な性格故に、攻めの想いに気が付かないどころか、状況をどんどん拗らせていくという…(まあ、これが面白いところなんですが、次第にちょっとしつこさも感じたりはしてくるのですよね、、、)
で、かつて受けちゃんの家に世話になっていた攻めが、まだ立場がめーーっちゃ受けのこと好きすぎて、前半から中盤にかけてとにかく尽くしまくり、強強な嫉妬深さを見せるのが最高だった。
この攻めもまた不幸な生い立ちで、でも受けのおかげで救われ成功したんだけど、金と愛はあるのに言葉だけは不器用な大正生まれの罪な男…!
全体的に場面描写が細部まで具体的で映像として浮かびやすかった。おそらくこの時代がお好きなんだろうなあという印象。
あと初紙本らしいのですが、めちゃくちゃ書きなれた感があって物語に没入しやすかったです。(そのせいで、若くないのに久しぶりに完徹してしまった汗)
この時代や攻めの執着愛、とてつもなく切ないBLが好きな方へ、ぜひぜひおススメいたします!!
笠井さんホイホイされてお買い上げ。
初読みの作家さま。
今作品がデビュー作なんでしょうか?アルファポリスのBL小説大賞奨励賞受賞作品の書籍化なんだそうですね。アルファポリスは拝読していないので、書籍化にあたり加筆修正があったかどうかは分かりません。
昭和7年。
世界大恐慌から引き起こされた貧困にあえぐ日本。が舞台のお話。
レトロな空気感漂う作品を笠井さんが描いてくださるということでテンション高く手に取りましたが、作中の挿絵は一切なし。なんてこった!とがっかりしたことは否定しません。
ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は律。
資産家・伊崎家の次男で蝶よ花よと育てられてきた彼は、名門の音大に通う大学生、だった。が、恐慌のあおりを受け、さらに父、そして長兄を相次いでなくしたことで実家は没落。今はカフェーでピアノを弾くことで日銭を稼ぐ日々。身体を壊した母の治療費を賄うこともままならず、粉をかけてくる資産家の愛人になることも頭をよぎるような極貧生活を送っている。
そんなある日、律は暴漢に襲われてしまう。
その窮地を救ってくれたのは、かつて伊崎家に仕え、律の面倒を見てくれていた聖吾という青年だった。とある出来事をきっかけに伊崎家を出て行った彼は今や帝都指折りの資産家にのし上がっていた。伊崎家に恩義を感じている聖吾は、律と律の母親への援助を申し出てー?
というお話。
聖吾の過酷な幼少期、聖吾がかつて伊崎家から受けた恩義、伊崎家の窮地に聖吾が日本にいなかったために援助が遅れたこと、そして、律が子どものころから二人が築いていった歴史と信頼関係。そういったものが少しずつ見えてきて、聖吾が本気で律を助けたいと思っていることが分かってくる。
けれど、律を主人のように扱う聖吾の姿に不信感も見えてくる。
金銭的な理由で行けなくなっていた大学への復学に伴う金銭的援助、高級な衣類を購入し律に着せ、主人と書生という立場でありながら律に傅く聖吾の、その本心はいかに。
自分に仕事を任せてくれない(律は聖吾の書生ということで聖吾に引き取られているので)聖吾への不信感や、帝都きっての資産家とのし上がった聖吾とともにいる律への周囲からの目もあって、そこはかとなくシリアスな空気感が常に漂う展開なのです。
スパダリな攻めさんから溺愛され寵愛を受ける受けさん、ってBL作品では珍しくはないので、律がなぜ素直に聖吾からの溺愛を受けずにかたくなに拒むのかちょっぴり不思議に思ったりもしつつ読み進めました。
が、今作品のキモは、その律の「根っこの強さ」かと思われます。
自分の足で立ち、人に助けてもらうことを良しとしない、彼のまっすぐさ。人から受けた恩義を忘れない、その義理深さ。
それゆえに聖吾ともすれ違っていきますが、良いところのボンボンで人からしてもらうことに慣れていたであろう律のそのまっすぐで一本気なところが素敵なのです。
ただ、なんていうのかな。
かなり厚さのある作品なのですが、この厚さに見合った内容だったか、と言われるとちょっと首をかしげざるを得ない感じ。
律の大学の友人の丹下という人物が登場しますが、彼の巻き起こすトラブルはかなりあっさりしたもの。さらに、聖吾の家の女中さんという女性も。もう少しドロドロしていた方が面白かった気もしました。
律という美貌の薄幸青年が、周囲の悪意にまみれながらも「聖吾」という人物の助けを借りて自分の足で立っていくストーリー、なんだと思いますが、なんていうのかな。ページ数が多いわりにあっさりしている、というのか…。聖吾が律に救いの手を差し伸べたその理由がもう少し複雑だったなら、あるいはもう少しストーリーに厚みが出た気がしました。
ただ終盤の2人の想いが通じるところはグッときました。
聖吾の律に向けるまっすぐな深い愛情を、律もまたまっすぐに理解し受け入れる姿に萌えが滾る。主人と従者ではなくなった二人の姿に。
笠井さんの描かれた表紙は今回も神。
2人のビジュアルはもちろん、色遣いでレトロな空気感も醸し出す。挿絵がないのが残念だなとしみじみ思いました。
今作品には数人の女性が描かれていますが、この中の一人・瑛子さん。
カッコよ!
最初から最後まで、このお方は美しかった。
律、聖吾、そして瑛子さん。あ、加納くん(聖吾のもう一人の書生)も。
「自分」をしっかり持ち、自分の足で立ち、自分で夢を追いかける。人に任せず、自分の失敗も未熟さも、すべて自分でその責を負う。そんな人としての強さを、その美しさを描き切った、そんな作品でした。攻めさんも受けさんも、どっちもカッコいいです。昭和初期というレトロな空気感が上手に生きているな、と感じました。
次回作も楽しみに待っていようと思います。