皇たる鷹は若葉の月を寵愛する

sumeragitaru taka ha wakaba no tsuki wo choai suru

皇たる鷹は若葉の月を寵愛する
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×28
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
74
評価数
18
平均
4.1 / 5
神率
33.3%
著者
葵居ゆゆ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
壱也 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784344853126

あらすじ

地方貴族の緑月は、父親の自死に疑問を抱き、“黒雀宮”の科挙を志願する。黒雀宮とは皇太子のための宮であり、将来の腹心を育てる学府だが、実際は皇太子の夜伽の相手もしなければならないらしい。
それでも、皇太子の覚えがめでたい者は、貴族の最高位である「比翼」の座を手に入れることができる。緑月はその地位と権力があれば、父の死の真相を明らかにする再調査ができると信じていた。
しかし、次期皇帝であり皇太子の静鷹は、人の上に立つべくして生まれてきた人物だが、他人には心を許さず、懐に入れるのはごくわずかな身内だけだという。
そんな気難しい人物が相手でも、緑月は閨をともにする試験・伽科で野心をむき出しに静鷹に抱かれる。その性質が気に入られたのか、緑月は無事入宮し、その後も静鷹の寵愛を一心に受け甘く抱かれ続けることに。
しかし、静鷹の緑月を特別に扱う行動には思惑があり…?

表題作皇たる鷹は若葉の月を寵愛する

静鷹,玖国皇太子,24歳
緑月,黒雀宮への入宮を志願する青年,17歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数4

ただの寵愛ものじゃない

これはなかなかの読み応えある中華BL。
そして色んな設定盛り盛りです。

まず舞台は王宮でしょ。
父の死の疑惑解明でしょ。
陰謀論渦巻くミステリーでしょ。
後宮での全寮制生活でしょ。
それにスパダリ皇帝との閨事情。

父親の死の理由を明らかにするため、立身出世を目論む青年・緑月を取り巻く様々な人間関係や、出自貴族の派閥、嫉妬や嫌がらせ、皇帝・静鷹からの寵愛などなど、多岐に渡る設定と構造が複雑に絡まり合う濃厚な物語です。

よく刑事ドラマで見かけるホワイトボードに書かれた当事者と関係者の人物相関関係図があるじゃないですか。この作品の相関図が欲しいなーと何度思ったか。
誰が何氏出身で、母親は◯◯氏の出で〜…とか枝葉の部分まで知ってないとチンプンカンプンになります。
まぁ…こうした緻密な設定の下地があってこそ、ストーリーの幅も奥行きも広がっていくんでしょうね。


BLと同時並行に展開していくミステリー要素のパンチが効いてる作品かなと思います。事件パートが色濃いのでナゾトキ好きな読者にはハマるかもです。
誰が裏で糸を操っているのか終盤まで分からないし、分からないから面白い。

静鷹と緑月との関係もですね、最初はお互いの思惑と打算から始まっているビジネス的なラブ。
作品の冒頭1ページから始まる淫靡なセックスシーンにウヒャ〜となりましたが、あんなにエッチなのに好き同士じゃないのが信じられません。(あの時点ではです)

が!
お互いに下心ありな閨事であっても、ここから2人のハッピーエンドが始まっていくのは間違いないわけです。お互いの目的のために相手を利用しようとしている状況は冷ややかに見えますが、演技でも建前でも隠しきれなくなった恋心がどんどん溢れていく気持ちは温かいです。
特に百戦錬磨の絶倫皇太子の変化は見ものです。
おそらく緑月が初恋だと思われますが、閨事はプロフェッショナルでも恋にはビギナーなのがニヤっちゃいました。

…こういうギャップってめちゃ萌えるので大好き!
しかも相手がスパダリでセックス上級者であればあるほど萌えが止まりません^ ^

いつも強気な静鷹が"好き"の気持ちに臆病になったりひよったり。彼のらしくない態度にヤキモキしましたが、それこそが偽りのない静鷹の想いや態度であって、やっと心から信頼し愛せる相手に巡り会えたことの証なんだと胸がジンワリ。
緑月の方も好きなのにハッキリと言わないもんだからダブルで焦ったいったらありゃしない。
身体やセックスのことは隅々まで知り尽くしているだろうに、心の方はとんと無知な2人にやれやれでした(笑)


BLパートは、濃厚なセックスの裏で次第に心を通わせていくところにキュン。
事件パートは、父の死の真相と王宮内の物騒な事件にハラハラ。
実はこうでした。でも実は裏でこうでしたと、裏の裏を書く一連の事件の全貌は心理戦と情報戦の応酬です。
1人だけを"寵愛"することで生まれる不穏な空気も相まって、登場人物みんな怪しく見えるので、誰が犯人でも不思議じゃなかったです。


ヒヤリとした事件の顛末も、静鷹と緑月の恋の行方もキッチリと回収。皇太子だしね…絶倫だしね…ゲイでもないしね…今後どうするのかなと思っていました。
緑月一筋を貫く姿勢と行動は、皇太子という立場を思えばリアル感に欠けますが、BL小説という夢の空間の中ではグッジョブ!読後感を損なわないラブラブいちゃいちゃはニンマリです。

中華系の重厚さと、全寮制という制限された秘匿空間が見事にマッチ。サブキャラたちも個性的で色んな角度からたくさん楽しめる作品でした。

11

受けのキャラクターが好きです

葵居先生初の中華風物語。250P超の上下段組で非常に読み応えのある作品でした。
少々登場人物が多く、その背景にある家柄もあちこちで登場するものですから、これなんだっけ?名前の読みは?他、慣れるまでは正直混乱しました。ですが、設定が面白かったのです。

皇太子が将来皇帝となった際に仕える人材を教育する、黒雀宮が舞台となっている今作。中華版寄宿舎、ギムナジウムといった感じでしょうか。
出世を目指して入宮を志願した貴族の青年達が、共に勉学に励む爽やかな物語です。…と言いたいところですがそうではなく、家柄その他それぞれの思惑が蠢いていたりと結構ドロドロした印象のお話でした。

父の汚名を晴らすべく、絶対に出世をするのだと入宮した主人公の緑月。
彼がですね、気難しいと噂の皇太子・静鷹相手でも、スコーン!と真っ直ぐに臆することなく自分の意見を言えてしまう気持ちの良い性格の子なんですよ。挿画の印象とは異なるものでした。
そんな性格なものですから、皇太子の静鷹から面白いやつだと気に入られ、寵愛めいたものを受けることに。
様子を伺いながら出世を狙うライバル達の陰口もなんのその。愛玩用?上等!な、目的のためならなんだってする逞しくて賢いタイプの受けで、なんだか読んでいて好ましかったです。
静鷹側にもとある思惑があるのですが…緑月という人が、静鷹が今まで生きてきた人の裏を読むのが当たり前の世界の中で、裏も表も何もなく、私にはこれしか目的がありませんさあどうぞお好きにと計算なしの丸腰状態で全く臆さない。
性格の相性が良いのか、似たもの同士なのか、身分差があるとは思えない2人のやり取りが面白く、次第にそれがゆっくりと恋に変化していく様子が焦ったくてとっても良かったのです。皇太子様が不器用でかわいらしかったな…
相手を想う言葉と信頼が素敵な2人でした。

貴族関係だけが少々ややこしかったので、途中途中詰まってしまうところがありました。
けれど、恋愛面はもちろん、誰がどこでどう暗躍しているのかを想像しながら読めるミステリー風味な謎解き部分も両方楽しめる良作だと思います。

3

皇宮に潜む闇を狩るために

今回は次期皇帝となる皇太子と
黒雀宮に入宮の決まった白氏分家筋の青年のお話です。

父の死の真相を探る受様が攻様に利用されながらも
攻様の隣を居場所とするまで。

玖国は皇家である赤氏、青氏、黄氏、白氏、墨氏の
五氏の貴族によって支えられてしまいます。

受様は白氏の分家筋の青年で
皇太子である攻様を支える人材を育成する
黒雀宮の試験に知識を問う文科で合格します。

貧乏で白氏分家筋の受様は黒雀宮で名を挙げ
皇太子の廷臣の中で最も地位の高い"比翼"になり
父の死の真相を知ることを望んでいます。

それは受様を1人で育ててくれた父の死が自死とされ
父の友人の町人塾の先生以外
誰も受様の話を聞いてくれなかったのです。

受様が合格した文科の二次試験は
閨で皇太子の相手をする伽科です。

攻様は受験者30人の前に
比翼の最有力候補と噂される乳兄弟を伴って現れ
武科の試験で5人を相手に見極めたので
伽科も5人ずつ相手をすると宣わりきすが

受様は咄嗟に「困ります」と口にし、
乳兄弟に睨まれながらも

武科でも初めはひとりをお相手したのに
伽科は最初から5人ずつというのは不公平だと
言い切るのです。

攻様は面白がって受様の言い分を認め
最初の1人として受様に相手を迫ります。

見きわめ役として役乳が見守る中
初心な受様は攻様に翻弄されながら抱かれた結果
攻様に受様を気にいったと言わしめます。
果たして受様は望む未来を手にできるのか!?

次期皇帝である攻様と
皇太子の為の人材育成の宮に入宮した受様の
中華風王宮ファンタジーです♪

攻様は優れた容姿、文武両道、品行方正と言われ
2年前に亡くなった正妃となるはずだった従妹姫に一途で
将来の攻様の花嫁たちの集う雛姫宮でも
儀礼的に相手をするだけと言われています。

伽科の翌日、受様が大講堂に入ると
一斉に視線が集まり、寵愛やみだら猫などと囁かれますが
今のところ一番に気に入られたという事実を支えに
堂々としていようと行動します。

攻様が受様を気入りと公言したはある策略のためであり
受様は皇宮内で暗躍する者を捕らえる
囮とするために選ばれたのです。

攻様の正規の有力候補だった従妹姫の呪殺
攻様を敵視していた異母弟の事故

皇位が狙われたのか、赤氏転覆が狙いなのか、
その黒幕は誰なのか

そんな宮廷策謀に巻き込まれた受様は
攻様の助けにより父の死の真相を知る事となりますが
それによって受様の父の死の背後にも
白氏が絡む権力争いが見えてきます。

ほぼ無理やりから始まる2人の関係が
どうやって変わっていくのかワクワク&ドキドキ、
受様に好意的な人物がやたらあやしく見えてきて
かなりハラハラでしたが 

糸を引く者の目的が白日の下に晒され
受様が攻様にとってかけがえのない存在となるまで
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)/

2

大ボリューム

2段組だったのと盛り沢山な設定や伏線などが用意されていて、とても読み応えのある作品でした。

冒頭からあらすじにある試験の伽科のシーンがあって、最近の好みがエロは朝チュンくらいで良いと思ってる私にはキツいなぁと最初は不安になりました。

この独特な皇太子のための黒雀宮(こくじゃくぐう)という設定が活きていて、誰が緑月(りょくげつ)の味方か敵かと新たな人物が登場する度にハラハラドキドキするんです。

そして緑月の父親の死の真相や静鷹(せいよう)の周りで起こる不吉な出来事の黒幕、静鷹の寵愛を受ける緑月への羨望や嫉妬も相待ってお話は複雑な様相を見せ始めるんです。この辺りになって来るとエロも必然になって来るので気にならなくなり、夢中になってページを捲っていました。

誰もが怪しく思えて来るので読みながら除外者を判別して行くのが楽しかったです。ちょっとした推理力を試されてる気分でした。かと言って大事なLOVEの要素もおざなりになっていないところが凄いんです。

個人的には緑月の同室者となった黄氏(おうし)の仔空(しあ)がお気に入りのキャラでした。彼には是非とも運命を叶えて欲しいです。www

田舎者で世間知らずだけれども黒雀宮で静鷹と出会い成長して行く緑月というキャラが凄く魅力的で、そんな緑月と出会って生真面目で融通が効かない静鷹が唯一を見つける素敵なお話でした。

地名や名前は漢字表記で音読みにしたとの事でしたが、章が変わる度にふりがなが欲しかったです。

2

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