セカンドクライ

second cry

セカンドクライ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神38
  • 萌×214
  • 萌5
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
16
得点
263
評価数
60
平均
4.4 / 5
神率
63.3%
著者
尾上与一 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784199010934

あらすじ

駆け出しの画家と、若き秘書見習い──旧い洋館で見つけた≪再生≫の物語v

表題作セカンドクライ

奥園桂路,駆け出しの画家,26歳
保坂慧,桂路の亡き兄の秘書見習いの大学生,22歳

その他の収録作品

  • 私の名前
  • a confidential talk

レビュー投稿数16

愛情とは。

とても悲しいところからはじまるけれど、優しいお話です。
心に深く刺さります。
重い設定もあるので読むのをためらう人もいるかもしれませんが、ぜひ多くの方に読んで欲しいです。
人が人を愛するという事の大切さ、愛情のありかについて深く感じ入りました。

ページをめくるごとに、感情が見えづらかった慧くんに血肉が通っていく様に心が締め付けられました。

読後はこの先ずっと、彼の日常が穏やかで優しいものであり続けますようにとリアルに願わずにはいられない程、私の心に存在し続けてます。

0

アイデンティティ

尾上先生の作品が大好きで、草間先生の作品も大好き。
まさに最高すぎる作品なのですが、ストーリーが難しそうでなかなか踏み出せず...
アワードの投票期日ギリギリにようやく拝読しました。

画家と青年、二人の出会いはまさに運命的でした。
表現者のマインドを持ち合わせていないので何とも言えないのですが、何かを描くという行為はアイデンティティと深く結びついていて、それはすなわち己と向き合うことなんだろうなぁと思いました。
アイデンティティに悩まされる画家、アイデンティティが存在しなかった青年。
互いに与え合える関係なんですね...素敵!

0

展開が…

過酷な生い立ちで「普通」を知らずに育ったがゆえに、教えられた「枠」から1mmも外れることを許さないロボットみたいな慧(受け)。
こりゃあ恋どころではないな……と思いながら読んでいたけど、思っていた以上にすんなり「恋」になってびっくり。
いや、これは「恋」なのか??
これはヒナの刷り込みみたいなもんなんじゃないかと思ってしまいました。
なんで桂路を好きになったんだろう?そこまで好きになる理由あった?なぜ桂路じゃないとダメなんだろう?と。

だって路がうわぁ!これは誰でも好きになるわぁ!!みたいな魅力溢れるタイプではないし、超辛口評価で申し訳ないのですが、貧乏画家気取りの生活をしてこれたのも実家が極太だからであって……といった感情が湧いてしまってさほど魅力を感じなかったので……。

そして被虐待児で欲しいものがなにも思い浮かばなかった受けなのに、「あなたが欲しい」とはっきり言えるようになったタイミングがやたら早いなと。

私の感覚から言うと、土の中で発芽はしてたかもしれないけど、まだ地上には芽が出ていなかったのに一気に花が咲いた!みたいな感じというんでしょうか。

麒一郎氏とスーパー秘書緒川のおかげで、寸分狂いなく動くアンドロイドちっくな慧が出来上がりましたが、ここに人間らしいブレとか揺れとか感情とかそういうのをプラスしていくのってもっともっと時間がかかるだろうなぁと思っていたので……
(でもお葬式の様子は誰よりもだったので、スイッチが無い人間ではないんでしょう。)

でも早い段階で結論を出したのは、雑誌掲載作品という紙幅制限上仕方ないのかもしれませんね。
後半、桂路に見合いが用意されていると知った慧が、お墓の前で「欲しいものが見つかりました」と言ったシーンの後くらいに「あなたが欲しい」という展開だったら超好みだったなぁ……と。
ようやくここまで言えるようになったのか!!みたいな感慨があったはず。
(一緒に過ごしていくうちに彼と一緒にいる場所が自分の生きていく場所だとわかり、一冊の後半のほうでようやく「あなたが欲しい」と言えるようになったみたいな展開が好みの人間丸出しの感想ですみません。)

とまぁ、前半部分までの評価は「中立」なのですが、後半、書き下ろしの受け視点を読んで「萌」になりました。
とうもろこしの色に絡めて綴られたところは、とてもいいなと思います。

1

No Title

桂路のような掴みどころのないキャラクターは、物語が進むにつれてその相手方に、つまりこの話では慧にだけに内面を見せたり、過去を開示することで、その人物に対する読者の理解も深まり、愛着が生まれるのだと思いますが、今回は紙幅の都合かそこまで書き切れていなかったように感じました。
ですがその点を除けば、人間ひいては社会の多面性のようなものが非常に上手く描き出されており、とても面白い作品だと思いました。
最後のページで完結するのではなく、読後に読者が各々さらに考えを展開していけるような、不思議な余韻の残る作品でもありました。
尾上先生といえば歴史ものやファンタジーのイメージが強くありましたが、本作のような作品も今後また拝読したいです。

0

タイトルがすてき

読み終わってタイトルに納得。
未熟な2人の周りにいる優しく正しい大人たちも素敵なお話でした。

0

「再生」を仕掛けた駒

将棋好きの尾上先生の最新作は、現代もの。

将棋と囲碁は、何方も先手と後手が一手ずつ交代で進めるゲーム、
違いは、「将棋の駒は動かすもの、碁石は一度置いたら動かせない」
 将棋は、駒を「使う」攻略。
・・将棋好きの尾上先生の小説の構成傾向も、将棋に似ている。

兄が、生前に用意をした遺産は、二つの駒 慧と桂呂 
二人は互いを動かしあい、兄の「読み」の通りに進む愛の遺産の物語・・と考えたらいいみたい。

●奥園麒一郎:兄。父と同じ病気で死亡。大手企業の取締役。妻と子供二人。
●奥園桂路:弟。画家。ゲイをカミングアウトして21才で家を出る。
 
桂呂が12才の時、兄は部下が引取り拒否をした虐待児童の慧を保護。
兄の「とっておきの遺産」は秘書見習いの慧。書付に「普通の生活」を教えることとあった。

●保坂慧:22才、大学生の秘書見習い。 麒一郎が、桂路に託した「遺産」。

「SECOND CRY 」は直訳で二度泣き。同名のrockオペラがある。
「私の名前」は、慧視点。
「a confidential talk」は、密約。

麒一郎が生前に予想した「手」の通り進む、
慧によって桂路が愛を知り、桂路に愛されて再生を得る慧。
麒一郎の死後に動く愛の布陣。桂路も、慧も 愛されていた。

誰かが自分の為に祈りを込めているかもしれない
コロナ禍で色々起きているけど、頑張ろうと思った読後感。

1

数年後が見てみたい

作者さま買いです。
内容については他の方が書いているので省きます。
ゆっくりと始まった二人の数年後が見たいです。
仕事になれたであろう慧がどんな成長をしていくのか。
見守っていきたいと思いました。

3

作家の特性にあった本を読みたい…

 辛口意見になります。
こちらの出版社から出された本を何冊か読み、この作家さんは現代日常ものに向かれていないのでは…と思ってしまいました。Hollyノベルズ時代の頃の良さが全く感じられなくて、別人のように思えます。
あの世界観だからこそ力が発揮されていたのでしょうか。。

 文章もストーリーも単調でキャラメイキングも微妙で入り込めませんでした。
ストーリーが地味でもキャラが立っていれば楽しめるものですが、どちらもぼんやりして全体に印象が薄かったです。
現代日常ものは特殊な設定が無いだけに文章の表現やストーリーの緩急などに工夫や技術が必要で、そちらが欠けていると退屈に感じてしまいます。
多岐のジャンルに渡るBL小説界では、現代日常ものこそが作家さんの向き不向きが出やすいジャンルだと思えます。

 早逝した兄の遺言で託されたくだりのテーマは良いし、葬式のシーンは印象的で小説の帯の言葉の相乗効果で期待が高まったのに、同居生活から後は設定が生かされず、盛り上がりに欠ける展開でガッカリしました。ストーリーが面白く思えなかったので、BL萌えに至れませんでした。

 出版社側も現代ものが受けやすいからというマーケティングからでなく、その作家の特性を活かした本作りをして欲しいです。
作家の良さが発揮されていない本を読むのは読者にとってむず痒いものです。
何度も過去の作品で感動しただけに非常に残念です。
尾上先生しか書けない作品があるはず…!
それはもっと違う作品だと思いました。

5

泣けた…

実はこの作品「小説Chara vol.44 2021年 7月号」に掲載された時に泣かされたお話でした。
発売まで時間が開いたのでその作品だとは知らずに購入したのですが、読んでて途中で気が付きました。

何回読んでも桂路の兄の麒一郎の手帳の文章に泣いてしまうんですよ。
彼は意図していなかったかもしれませんが、彼の大事な家族を結び付けることには成功したと思うし、目的を達成出来てあの世でにこにこ笑って喜んでいると思いました。

麒一郎は妻や子どもたちへもちゃんと愛情があったと思うんですが、妻は彼の同士にはなり得なかったんですよね。妻は彼等の母親と同じ側の人間なんです。(ちゃんと一族や会社に守られている)
なので誰も守ってくれない桂路と慧の行く末を心配してたんだと思いました。

桂路はスパダリでは無いのでなかなか慧との距離を掴みかねててかなりもだついてるのですが、2人がどのように距離を近付けて行くのかが丁寧に書かれているのです。

これと言った悪役は登場しません。慧の叔父が子悪党なくらいでした。なので、社会から爪弾きにあった2人が出会い手を取り合って生きて行くお話なのです。

書き下ろしの「私の名前」は慧視点なので、彼の心の内も凄く分かって良かったです。ここでも桂路は慧の為と思った行動で慧を悲しませてしまってました。ここで慧の上司である緒川にお仕置きされてましたが、ここでお灸を据えられたことで何を優先すべきが学んだと思いました。

慧のお世話係であり上司の緒川が頑固で融通が効かないのは、そのまま慧がコピーしてしまってましたが、職務に忠実なので桂路に意地悪なようでいて実は心優しい緒川が凄く良いのです。

主役の2人以外の人物が光る作品でした。

6

芽吹いたものを見守りたい。

なんというか、物静かでしんみりな雰囲気の中で、ところどころふふっとなるとこもあり。

受け様の慧は、秘書見習いの慧。
攻め様は駆け出しの画家、桂路。

お金持ちのぼんぼんだった桂路は、家を飛び出してその日暮らしをしながら、絵を書いてきた。
そんな時、唯一応援してくれていた兄の麒一郎が亡くなり、その遺産として、秘書見習いの慧を譲られることに。
慧に普通の生活を教えて欲しい、と兄の遺言にあり、困惑しながら受け入れる。
契約書にサインしちゃってたしね(^_^;

虐待されていた時に、桂路の兄、麒一郎に保護された慧。
麒一郎の会社の秘書見習いとして誠心誠意努力していた中、麒一郎が亡くなってしまい、その遺言として桂路を頼むと言われていて。

こうして、一緒に過ごすことになる2人。

珍しく攻め様である桂路視点。
ゲイであり、一目惚れに近い形で慧に惹かれている桂路。
いわゆるスパダリとかではなく、ごく普通の当たり前の人。
「保護者にはなりたくない、恋人になりたいんだ」という真面目で誠実な告白が好きだと思いました。

まっさらだった慧が、自分の欲しいもの、好きなものを見つけられて、本当によかった。
桂路が手放さなかった絵が、慧の心の琴線に触れる絵になるなんて。


後半は受け様である慧視点。
正しいとか間違いとか関係なく、自分の感情を爆発させる慧の姿に、恋ってそーゆーものだよ、と安心しました。
そして、ここでも出てくる契約書(^_^;

スーパー秘書の緒川と慧との会話が愉快です(*´艸`)

これから慧が芽吹いて育てていくものを、見守っていきたいな、と穏やかな気持ちにさせてもらえるお話でした(*´∀`*)







6

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