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冷酷な鬼×無垢な生贄 異種婚姻溺愛BL
yukizato no oni no hanayome
初読みの作家さま。
お試し読みしてみたらめちゃめちゃ面白そう!ということでそのままお買い上げしました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
小さな村で暮らす翔太朗は、優しい両親に可愛い弟と4人で暮らす青年。
が、実は翔太朗は捨て子。彼の育ての両親は、彼を引き取り、実子と同じように深い愛情を持って育ててくれた。そういう事情もあって、翔太朗は両親と弟に愛情と共に感謝の念も持っている。
が、村に伝わる言い伝えから、村から一人の少女を鬼に花嫁という形で生贄を捧げることになった。そして、両親への感謝の思いもあって翔太朗はその「花嫁」として自ら鬼の元へ行くことを了承し―。
というお話。
序盤、翔太朗という青年の生い立ちが綴られていますが、さほど多いページ数ではないんです。ないのですが、その限られた紙面で、翔太朗という男の子の現状がきちんと読み取れる。読者への魅せ方が非常にお上手で、一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまいました。
鬼のもとに連れていかれた翔太朗は、そこで夫となる鬼・冴月と出会うが―。
翔太朗、そして冴月。
この二人の根っこにあるのは、それぞれの「家族」なのですが、この描き方も実に秀逸です。シリアスになりそう…、と見せかけて、実は―、と続く展開で、めちゃめちゃ切なくも温かい展開ですごく良かった。
親(実両親、という意味ですが)のいない翔太朗が鬼の生贄になる、という出だしで、痛く切ないシリアス度満載なお話かと思いきや、家族愛、友情、主従愛、など形は違えどけれど様々なカタチの愛情を描き切った優しいお話でした。
読後はほっこり温かい気持ちになれること請け合いの、温かなお話でした。