お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
kimi ni shizumu
タイトルと表紙がイカしていて好きだなと(死語?)
でもこのタイトルのお話はないんですね。
収録されている各話の人物が人を好きになることをこう表しているのか。かっちょいい。
あとがきの「埋没できる程 誰かを好きになれたら それはとてもしあわせなことだと思います」ですね。
イシノ先生の絵が好きでして。
構図、背景、紙面の美しさが。
でいて、説明が少なく、絵で語るところも。
イシノ先生の作品を読んでいると、誰かを好きになる瞬間、理由なんかはわからなくていいと思える。言葉さえいらないかもしれない。
理屈ぬきに好きになっちゃう。
報われない時は涙も出ちゃう。
一緒にいられれば楽しくなる。
タカタが口ではセフレだ遊びだと言っていたけれど、店長と別れて泣いちゃうのが本当は好きだったんだなとわかるのが切なくて。
ちんくしゃの赤ちゃんの写真を見た時の「可愛いッ」のタカタのかわいいこと。
他は無精なのに植物を大切に育てたり。
「愛情過多 表現力過小」ですねw
あと、カフェじゃなくて喫茶なのが好きです。
「この盆にヤツらの情事が乗っている」の表現もいい。
タカタの小説「路面の電車」ってどんな小説?と気になりましたw
妹尾が本屋で「路面の電車」を何冊も平積みに並べて、枯葉と被せているのが粋ですね。
他も短いながら味わいあるお話がたくさん。
痛いのが好きなのは苦手だけれども。
中でも樫井さんが色っぽかった。
表紙になるだけあって絵になりますね。
あとがきがこれまたステキでした。
イシノアヤ先生って、セックスシーンが全くない作品もしっかりある作品も面白く描けるのがすごい。ハピエンでもそうでなくても面白いのもすごい。
激しい濡れ場は基本的にないですけれど。
◾︎表題
某ドラマで「泣きながらご飯食べた事ある人は、生きていけます」なんてセリフがありました。
泣きながらカニ、寿命が延びるってもんよ。カニを食べる様のエロさは非BL作の「ギャラリーフェイク」で知った口です。
終わりの一行が好きです。ちょっと他人事みたいで、でも自分事で、過去を振り返るモノローグだったのかと思うと、より一層愛しい。
◾︎ スウィートベイビー、ヘヴィーベイビー
すごく好きです。好きです。短話が終わった後に左下に「タイトル/おわり」って書かれてる、タイトルを見たときに腹にズンとくる。ヘヴィー…
絵がストライクすぎて、購入した作品。
読んだ後、イシノアヤさんの作品を一気に買い集めました。
読後感がすごく冬野さほさんの作品を読んだときに似ていました。
独特のタッチの絵、多くは語らない、そこに提示されたものだけで想像や妄想が無限に広がるような、読み終わったあとにもたまに頭にふと浮かんでくるような短編集。
【ドリップ/LES FEUILLES MORTES/SEED】
3部作でとあるカップルの出会い、日常、これからを予感させる構成になっていますが、あとがきによると2話目が先にあって、前後はそこから描かれたとか。イブ・モンタンの有名なあの曲とリンクしているのかと思いましたが、単純に「枯葉」がモチーフなだけでした。
淡々とした中に描かれる自分勝手な男と分かっていても振り回され続けた男と、そんな男に情がわく男。渦中の人のはずのカフェの店長が何も語らないことで、2人芝居に仕上げています。モノクロのフランス映画のような味わいのある作品でした。
【スウィートベイビー、ヘヴィーベイビー】
これまた自分勝手な男と振り回された男の話。
世間体のために裏切った男もまた裏切られて、という因果応報でした。身勝手で最低な男というものはどこまでも最低だけれど、最後のシーンは何だろう。欲しいものはまだそこにあって、手を伸ばせば容易にまた手に入れられたはずだけど手を伸ばさない。後悔やプライド、以前と同じものであっても手を伸ばした瞬間に「好き」から「同情」に変わってしまうなら、手を伸ばさずに「好き」のままにしておいてほしい。不快な男だけど深い。
表題作の中で身内の結婚式が行われるホテルの廊下にいた2人って、この作品の片方と友人ですよね?
【ロリーポップ】
高校生同士。気持ちいいから触れ合う、そこに気持ちはない。芽生えそうな何かを芽生えさせていいのか、気付かないフリでやり過ごすか、という話。言い聞かせる時点でもう芽生えるのです。
【larghetto】
ラルゲット。ややおそい、という音楽用語のタイトルと、男娼と彼を本気で好きになった男。
自分に跡を残してくれない、届かない相手に、少しでも何か傷跡を残せただろうか、という話。
【置き去り/スパァク】
larghettoで出てきた男娼と別の男娼の話。別れと出会いのエピソードが前後しています。洗面所というスペースでひとつのタオルを2人で使うシーンが印象的でした。
【有卦入り】
うけいり。「幸運に巡り合って良いことが続くこと」(あとがきより)らしいです。
傷つけられたい男と尽くす男。ひとりはしあわせ、でももうひとりは本当にしあわせなのか分からない。こういう関係は他でも見かけますが、相手の望むことをしてあげたいだけで、自分の望みではないと思いたいのか、そうじゃないのかを曖昧にして読者を煙に巻いてます。
この2人はカバー裏にも登場しています。
【センカイ。】
好きな男の想い人の身代わりになる男。捨てられる荷物と自分が重なって離れられないループ。不毛だけど必死です。つらい。
【ソリスト】
ピアニストと謎の男。「バイオリニストはバイオリンに恋をして無敵なんだよ」という謎の男は一体誰?種明かしが素敵です。恋をしているから無敵なんですね。
【幸福な男】
たった3ページの小品。なのにすごく良かったです。最後にこの作品があることでしあわせな読後感に浸れました。
絵の雰囲気がお好きな感じなら、きっと好きになる作品です。
久々の再読。
BLを読み始めてすぐの頃、イシノ先生の作品を知ってファンになり全コミックスを即行制覇。その中でも一番のお気に入りがこの「君に沈む」でした。
表紙の暗めな色合いに、雰囲気で押してくる短編たちの思わせぶりな展開がとても好みで。
フランス語のサブタイトルの意味は『彼はあなたを愛していました』…
「ドリップ」「LES FEUILLES MORTES」「SEED」
喫茶店でバイトをするノンケ塾講師が、ある1人の男から目が離せなくなり結局恋してしまう連作。
真ん中に配されている「LES〜」(枯葉)が最初に描かれていまして、それを感じながら読むとより味わいが出る。
「スウィートベイビー、ヘヴィーベイビー」
片方の結婚で別れることになった2人が、共通の友人の結婚式で再会する。裏切られた方の男の心はまだ痛んでいる。裏切った男は軽い口調でちょっかいをかけてくるが、本当は闇を抱えていた。そしてもう時は戻らない事を知っていた。
「ロリーポップ」
リバの高校生CP。気持ちィこと好き、気持ちィから好き、本気なんかじゃない…って言ってるけど、本心はどうなんだろ?
「larghetto」「置き去り」「スパァク」
ゲイデリヘルが舞台の連作。
この3編、とにかく「樫井」の存在感。本作の表紙は樫井ですね。「マリーゴールド」に樫井の過去編が収録されています。
「有卦入り」
プレイとしてのDV?痛いのが好きな男を相手にするには傷めなければ。
後悔もしてるけど、高揚する。欲情する。タイトルの意味は「良いことばかり続く」。
「センカイ。」
オトコがいる男に横恋慕。ツラいけど、でも身代わりでもなんでもいいくらい一緒にいたい、行かないで…!というやんちゃ健気な子のお話。
「ソリスト」
コンクールを前にナーバスになるピアニスト。恋人に励まされて…いや、彼は恋人?それとも妖精?
「幸福な男」
おっきなクマのぬいぐるみと暮らす男の日常。「夢みた週末」の元です。
全体に、絵柄のクセ・強弱が強く内容は難解寄り。雰囲気で押してきて読み手に感じさせるタイプの作品が多いです。名前もなく攻めも受けもない話が多いので、きちんとしたストーリーが無いと…という方には合わないかも。
イシノさんはとても大好きな作家さんです。
「room share」が一番好きですが、「椿びより」も大好きです。
大体、好きな作家さんは当たり前ですが作家買いするのですが、イシノさんは時々個人的には苦手なタイプの痛い話をガツンとか描かれるので、買った後で「今回はこれか!」と叫ぶ事があります。
これが、そのタイプのコミックスでした。
だからといって決して嫌いではないのですが、リアル過ぎてつらいというか。
BLは虚構を楽しんでいるので、自分はある程度作り物の安心感が欲しいのだろうなあと思っています。
表題作はそこまでではないですが、売りの子や痛めつけられたい子の話がちょっと重いです。
この重さも本来は嫌いではない筈なのですが、イシノ作品にこの方向を求めていないのかも。
「ソリスト」と「幸福な男」は好きです。
特に後者は、「my dear」に繋がって(?)います。
短編集です。
オサレ系です、自分はオサレ系だとどうも一歩引いて距離を取って読んでしまうという悪い癖があるので萌2評価ですが、そうでなかったら神評価を付けていたと思う。
どの話もハズレが無いです、センスが良くて成程なーと思わせるストーリーと捻りの効いた展開や終わらせ方は流石。
自分的には「ドリップ」が気に入りました。
失恋した男を無理矢理、蟹専門店に連れて行ってひたすらに黙々と2人で蟹を食べるのですが、効果音も無い台詞もなくただ蟹を食べる。
そのシーンが妙にエロティックで良いのですなー。
こういう所に漫画センスの良さが伺えました。
神評価に限りなく近い萌×2です。
内容は多分殆どの人の口に合う筈です。
障害になるとすれば絵柄なのですが、
厄介な事にこれ等の物語はこの絵で
語られないと説得力が多分半減します。
作り込まれた華美ではなく、叫び出す様な
殴り描きではなく、ただありあわせの紙に
さらりと描かれた様なスケッチの累積。
心情を整理する為のスケッチは、時に
意気込んで作られた芸術より雄弁なのです。
「椿びより」でほのぼのしたマンガを発表したイシノさんの前作は、とてもディープでナイーブで繊細な気持ちを表現した短編集です。
くねくねした線と、白ヌキ多めの画面に黒のベタが印象的な絵と、醸し出す雰囲気も注目です。
☆「ドリップ」以下3作は、ゲイのタカタの心情が切ない話です。
夜は塾講師、昼は喫茶店でバイトをする妹尾と、妻持ちの喫茶店店長の浮気相手の作家のタカタ。
タカタは報われない愛に、店長が奥さんと離婚するかもという淡い期待を抱いていたのですが、奥さんの元へ戻ると聞いて落ち込む。
ゲイが理解できない妹尾でしたが、悲しい恋をしているタカタが気になってカニを食べに連れていく。
そのカニを食べるシーンが、何ともエロティックなのです。
最初タカタは泣きながら食べているのですが、段々集中して、口元のアップシーンはゴックンものでした。
それから、タカタは現れなくなり、偶然の再会から妹尾は家に通うように。
タカタの苦しみ、悲しみ、想いがその後わかってきます。
ゲイには子供をつくるということができない、その絆を何に求めたらいいのか。
妹尾はノンケの人だから、女性とそういった幸せを選んだほうがよいのではないのか?
ゲイであるが故の寂しさが、周りの人間によって知らされ、気が付く妹尾。
子供を作ることができないタカタが野菜を育てているのも、妹尾の妹に子供が生まれたことを自分の事のように喜ぶことも、家族とか絆とか、そういったものへの憧れだとおもうのです。
きっとこの二人はとてもよい関係を築いていくことができるんじゃないかな。
タカタの気持ちがセツセツと胸に訴えてきて切なかった。
☆「スウィートベイビー、ヘヴィーベイビー」は元恋人の再会の話。
一方の結婚によって終わりを迎えた二人が、友人の結婚式で再会。
まだ片方は想いを残しているようなのですが、結婚した方は本音を見せない。
でも、、、言えなかった本当のこと、、、これも最後に胸にキューンと来る切なさ。
誰もを虜にしてしまう、無表情な出張ホストのカシイに関する話が3編。
他に学生リバ、SMカップル、寂しがり屋、幽霊のお話があります。
最終話の「幸福な男」ではまだ見ぬ恋人の代わりにクマのぬいぐるみを抱くサラリーマンが登場しますが、これは近日単行本でメインになって登場します。
全体的に暗いトーンかもしれませんが、胸をつかんで離さない、心に残る作品郡です。