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α no kamiato
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
海軍の船上を舞台に、満月の夜にαが獣人化すると言うオリジナル設定が色濃く出ているオメガバース作品。通常は耳や尻尾など一部のみですが、時に完全に獣人と化して理性を失ってしまう者が現れます。
オメガバースは発情や番関係に焦点が当てられる事が多いと思いますし、その要素もありますが、どちらかと言えばαの獣化問題とその対策について考える事をメインとしたお話です。
オリジナル設定に主軸が置かれているので、オメガバらしいお話をお求めの方には不向きかと思われます。オリジナル要素以外の部分も出版社や作家さんによって設定は異なるので、その都度臨機応変に適応出来るスキルがオメガバ読者には必要かな、と思いました。
βの桃山蓮は見回り中完全獣化したαに襲われる。その上βからΩに突然変異してしまい、経験した事の無い発情と戦いながら、完全獣化からαを救うプロジェクトに関わっていく事になります。
物語や設定はしっかり練られて凝っていると思います、ただBLとしての萌えが足りなかったです。主人公二人が堅苦しくセリフも汎用的で無個性寄り、あまり人間味を感じられませんでした、脇の花菱先生とか浜谷君の方がニコニコしていて親しみやすかったです。
過去のトラウマや贖罪、命に関わるような切ない要素もきちんとあるはずなのだけれど、番になった影響でいつの間にか自然とお互い惹かれ合っているし、恋愛部分が淡々と進んで物足りなかったです。
Hシーンも殆どが発情を鎮める為の処置でラブ不足、境界線ぼんやりの白抜きだったので状況が解り難い箇所もありました。
細かい所では、橙悟の叔母の奈白が最初「祖母」と書かれて変だなと思ったのと、序盤の特性(αβΩ)の説明でΩの項目だけ「妊娠可能」と書いてあるのに、橙悟の父と父上は男性同士でα同士の夫夫…?どこにもΩしか妊娠出来ないとは書いてないけれど「…??」となってしまった。
…実はα×α超絶地雷なんですが(^-^;この威厳ある態度の父上様(総司令官)が、後ろ姿しか出てこない父と言う人物に抱かれて橙悟を産んだのを想像すると、強い受け好きな私は地雷関係無しに良いなと思いました。
αのラット(発情)はΩとの接触を極力避ければ回避出来るけれど、獣化はお月様が存在する限り自分の力では防ぐ事が出来ません。この作品の一番良い所は、Ωの発情と同じように、定期的で自分ではどうにも出来ない苦悩と恐怖をαの方にも与えた事だと思います、番が死ぬまで解消出来ない設定も良かったです。
甘さもエロも控えめだと思いますが、オメガバース&α獣化のある社会に立ち向かうようなストーリー重視の作風を楽しめる方には合うと思います。